45 / 80
プンプン!
しおりを挟む
今日から子供たちも二学期が始まり、夏休み中に五歳になった子は入学式だった。
妻は行かないつもりだったのだが、みんなも仕事を休んで行くというので、一緒に行ってみた。
焉貴は高等部の教師なので、少し抜けて、入学式を見にきた。小学校の教師、月命と張飛はそのまま仕事をするという形で、入学式が始まった。
孔明が十二日に入学する尋を連れていっていたが、知らない子供がそばへやってきて、名前を聞かれていた。
当然、先生に子供は叱られるわけで、
「列へ戻ってください」
と言った声がどこかで聞いたことあるなと思ったら、月命だった。妻は一人大盛り上がりである。
きゃあ~~! 月さんだ。仕事してるとこ初めて見たよ!
そうして、午前中だけの学校も終わり、夕方。月命が元気がなく、夕飯も食べないと言う。
何か悩みでもあるのかと、色々と聞いてみるが、彼とはやはり生きている時間に差がありすぎて、上手く理解できないのだと思った。
何に悩んでいるのかと考えていたが、遠くのほうで、明引呼が、
「素直に話せばいいだろ」
などと、月命に言ってるのが聞こえてくる。そうして、彼は私のそばへやって来て、
「僕は君とずっと一緒にいたいんです~」
と言う。入学式に他の配偶者が親として来ているところに、自分も混じりたかったようだ。しかも、我が子は三人新しく小学生になったが、一人は自分が産みの娘だったのだ。
月さん結構、悩んだり、我慢したりするんだよなぁ~。
なんて考えていると、
そういえば、もう一人の小学校の先生、張飛さんは何とも思わなかったのかな?
すると、孔明がちょうどやって来た。
「張飛はね。悩まないタイプだからないよ!」
「あぁ~、確かに、いつでも前向きだよね」
明るい話なのに、孔明の声は重苦しい。
「颯ちゃんのいる世界で生きてた時は、それで大変だったんだからね!」
「まぁ~、あの前向きさは、下手するとすぐ死ぬタイプだよね? 敵の罠でも前向きにとってはまっちゃうから」
「こっちの世界でも同じ!」
妻は孔明の様子がおかしいことにやっと気づいた。
「どうしたの? 今日、トゲトゲしいけど?」
「颯ちゃん、これ見てよ!」
紙がぐしゃぐしゃに丸められていた。
何があったのかは、ピンと来た。
「孔明さんの大事な書類を、張飛さんが紙飛行機にして、子供と遊んだんだね?」
「そう!」
「それで怒ってるのか」
激怒している孔明。
「それで、張飛さんに意見したけど、前向きすぎで、全然本人が反省してないってことだよね?」
「そう!」
それよりも、
「孔明さんが怒ってるの初めて見たよ。怒るんだね?」
「プンプンだよ!」
いつも冷静な大先生も感情に流されることがあるんだな。
とりあえず解決策だ。
「触らないでって言えばいいんじゃないの?」
「張飛はそれでも触るよ」
「孔明さんがどれだけ悲しい想いをしたかを何度も言うしかないんじゃないかな?」
「え~? それじゃ聞かないよ」
「いやいや、それでも、話し合わないと、大人なんだし、夫夫なんだからさ」
元の綺麗な紙に戻ったのを、袂に入れて、孔明は背後にあったソファーに座ろうとする。
「あぁ~、何だか怒ったらお腹空いちゃった」
「せんべい食べたら?」
「うん」
パリパリと音が聞こえてくると、
「ふふ~ん♪」
ご機嫌な鼻歌が聞こえてくる。
「孔明さん、食べると怒りが冷めるタイプなんだね」
「そうそう」
そうして、孔明のいつもそばにいる尋がやってきた。
「尋、パパさっきプンプンだったんだって」
「プンプン?」
「怒ってたんだって」
「パパが怒る?」
ありえない出来事にでも出会ったみたいな反応で、孔明が怒るのは珍しいことらしい。ということは、
何だかんだ言って、孔明と張飛は仲がいいんだな。本気で怒るくらいなんだから。
何だよ、ラブラブなんじゃないか!
また出来レースの悩み事相談だ。
2019年10月2日、水曜日
おまけ――
そうして、一時間後。
光命と話していると、孔明が夫の頭の上にもたれかかるように乗ってきて、
「もう、光 聞いてよ! 張飛ったら、ボクの話全然聞いてないんだよ!」
怒りが再燃していた。光命が、
「あなたが怒っているのを初めて見ましたよ」
と言った。孔明が張飛の態度を説明しているのを聞かされるたび、光命がくすくす笑うのだった。
妻は行かないつもりだったのだが、みんなも仕事を休んで行くというので、一緒に行ってみた。
焉貴は高等部の教師なので、少し抜けて、入学式を見にきた。小学校の教師、月命と張飛はそのまま仕事をするという形で、入学式が始まった。
孔明が十二日に入学する尋を連れていっていたが、知らない子供がそばへやってきて、名前を聞かれていた。
当然、先生に子供は叱られるわけで、
「列へ戻ってください」
と言った声がどこかで聞いたことあるなと思ったら、月命だった。妻は一人大盛り上がりである。
きゃあ~~! 月さんだ。仕事してるとこ初めて見たよ!
そうして、午前中だけの学校も終わり、夕方。月命が元気がなく、夕飯も食べないと言う。
何か悩みでもあるのかと、色々と聞いてみるが、彼とはやはり生きている時間に差がありすぎて、上手く理解できないのだと思った。
何に悩んでいるのかと考えていたが、遠くのほうで、明引呼が、
「素直に話せばいいだろ」
などと、月命に言ってるのが聞こえてくる。そうして、彼は私のそばへやって来て、
「僕は君とずっと一緒にいたいんです~」
と言う。入学式に他の配偶者が親として来ているところに、自分も混じりたかったようだ。しかも、我が子は三人新しく小学生になったが、一人は自分が産みの娘だったのだ。
月さん結構、悩んだり、我慢したりするんだよなぁ~。
なんて考えていると、
そういえば、もう一人の小学校の先生、張飛さんは何とも思わなかったのかな?
すると、孔明がちょうどやって来た。
「張飛はね。悩まないタイプだからないよ!」
「あぁ~、確かに、いつでも前向きだよね」
明るい話なのに、孔明の声は重苦しい。
「颯ちゃんのいる世界で生きてた時は、それで大変だったんだからね!」
「まぁ~、あの前向きさは、下手するとすぐ死ぬタイプだよね? 敵の罠でも前向きにとってはまっちゃうから」
「こっちの世界でも同じ!」
妻は孔明の様子がおかしいことにやっと気づいた。
「どうしたの? 今日、トゲトゲしいけど?」
「颯ちゃん、これ見てよ!」
紙がぐしゃぐしゃに丸められていた。
何があったのかは、ピンと来た。
「孔明さんの大事な書類を、張飛さんが紙飛行機にして、子供と遊んだんだね?」
「そう!」
「それで怒ってるのか」
激怒している孔明。
「それで、張飛さんに意見したけど、前向きすぎで、全然本人が反省してないってことだよね?」
「そう!」
それよりも、
「孔明さんが怒ってるの初めて見たよ。怒るんだね?」
「プンプンだよ!」
いつも冷静な大先生も感情に流されることがあるんだな。
とりあえず解決策だ。
「触らないでって言えばいいんじゃないの?」
「張飛はそれでも触るよ」
「孔明さんがどれだけ悲しい想いをしたかを何度も言うしかないんじゃないかな?」
「え~? それじゃ聞かないよ」
「いやいや、それでも、話し合わないと、大人なんだし、夫夫なんだからさ」
元の綺麗な紙に戻ったのを、袂に入れて、孔明は背後にあったソファーに座ろうとする。
「あぁ~、何だか怒ったらお腹空いちゃった」
「せんべい食べたら?」
「うん」
パリパリと音が聞こえてくると、
「ふふ~ん♪」
ご機嫌な鼻歌が聞こえてくる。
「孔明さん、食べると怒りが冷めるタイプなんだね」
「そうそう」
そうして、孔明のいつもそばにいる尋がやってきた。
「尋、パパさっきプンプンだったんだって」
「プンプン?」
「怒ってたんだって」
「パパが怒る?」
ありえない出来事にでも出会ったみたいな反応で、孔明が怒るのは珍しいことらしい。ということは、
何だかんだ言って、孔明と張飛は仲がいいんだな。本気で怒るくらいなんだから。
何だよ、ラブラブなんじゃないか!
また出来レースの悩み事相談だ。
2019年10月2日、水曜日
おまけ――
そうして、一時間後。
光命と話していると、孔明が夫の頭の上にもたれかかるように乗ってきて、
「もう、光 聞いてよ! 張飛ったら、ボクの話全然聞いてないんだよ!」
怒りが再燃していた。光命が、
「あなたが怒っているのを初めて見ましたよ」
と言った。孔明が張飛の態度を説明しているのを聞かされるたび、光命がくすくす笑うのだった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる