明智さんちの旦那さんは10人いるそうで……

明智 颯茄

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息子のイタズラ

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 妻が生きている世界は、いろんな事件が起きて、暗~いニュースが大半を占める。ついついネガティブになりがちな思考回路。

 旦那さんたちの暮らす世界には、悩みはあれど、ポジティブに考えて、人生を乗り越えてゆく。明るさと強さを持った人ばかり。

 死ぬことがない、永遠の世界。恋に出会えば、それはいつまでも別れの来ない真実の愛という原石。

 この前置きと、もうひとつ。
 旦那さんたちのうち、4人が、すべてのことを記憶している頭の良さを持っている。すなわち、罠を張ることが簡単にできる。できるのは、光命、焉貴、月命、孔明である。

 何年前の、何月何日、何時何分何十秒の、誰々との会話。その、何十番目の言葉は、誰が何と言ったか。一字一句間違えずに思い出せる。というハイレベルだ。数字にも強いが、言語にも強い。策略が成功するためならば、言葉を巧みに扱う。

 いるんだね、こういう人が広い世の中には。
 妻は本編を書く時大変である。本文のセリフの部分だけを拾って、いちいち数えて、コピペして、彼らの思考回路を書かなくてはいけないのだから。

 これらを踏まえて、本題へ。
 こんな笑い話を聞いた。

 バイセクシャルの複数婚をした旦那さんたちだが、当然、彼らのほとんどには、親兄弟、親戚などがいる。

 まわりからはどんな反応をされたのか?

 気になるところである。
 ちなみに、本編では独健が少々話していたが、特に反対されていない。というか、する人がいないと思う。相手を尊重していたら、自分の価値観にそぐわないものでも、そういう個性もあるのだな、と柔軟に受け入れられるものだ。

 しかし、受け入れるにしても、人それぞれなのだから、そこに何か経緯があるのでは? と思った。聞こうと決心した時、孔明と光命がそばにいた。

 孔明は残念ながら、親兄弟、親戚がいない。ということで、光命に聞くことにした。

 前々からの話だと、彼には5歳の弟と妹たちが何人かいる。しかし、大人の世界を満喫していた光命は、ほとんど関わらなかったそうだ。だから、兄弟からどうこう意見が出るはあまり心配なさそうだった。

 しかし、両親はそうはいかないだろう。
 夕霧命とは従兄弟。母親同士が姉妹なのだ。小さい頃から、ふたりが一緒に遊んでいるのをそばで見ていれば、親は気づくのでは?

「両親は知ってたんですか?」
「えぇ、知っていたそうですよ」

 愛を感じるね。親として、黙って見守ってたんだな。息子が同性を好きでいたとしても、他に類を見ないとしても、子供の気持ちを尊重するということだろう。

 両親の許容範囲の深さに感動していると、光命が、

「ですが、結婚の挨拶をした時には、驚いたと言っていましたよ」
「え……?」

 妻はぽかんとした顔をした。

 何で? 前から知ってたんだよ?
 結婚の挨拶には応じる意思があるんだよね?

 そこで、何が起きたのか気づいて、妻は思わず吹き出した。

「それは、驚きますよね?!」
「えぇ」

 光命はくすくす笑っている。
 それではなぜ、彼の両親が驚いたのか。

「夕霧さんと仲がいいって気づいてたのに、結婚の挨拶に来たのが蓮だった。うちの息子は何人好きになってるんだ! ってことですよね?」

 息子は大人の世界を満喫している。両親が知らない大人になってからの、職場で出会った、恋愛などは範疇外であろう。

 15年も前から、夕霧命とのことを思い悩んでいた息子。しかし、優先順位がいつの間に変わっていたのである。

 結婚する可能性はデジタルに冷静に、感情を抜きにして、順番は簡単に入れ替えられ、光命が両親へ挨拶に連れていった男の順は、
 
 蓮→夕霧命→焉貴→以下、登場人物紹介順に続く。

 これね、思うんだけど……。光命が両親にイタズラしたんだよ。わざと相手の名前を言わないで、会わせたんだ。間違いない。

 言うでしょ? 普通だったら、誰と結婚したいので、連れてきますって。名前の部分抜かして伝えたんだ。

 もう!
 こういうところ子供だよね。両親に策略して、驚いているのを見て、一人でくすくす笑う。それって、甘えてるんだよね。

 世界初のバイセクシャル複数婚という悩みも、こうやって、笑い話にしてしまうのだ、みんな。

 他の人たちの、結婚話も聞けるのであれば、聞いてみたい。

 2019年8月21日、水曜日
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