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理想郷ではない
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何度も出てくるが、旦那さんたちの住んでいる世界は、こことは違う。
死ぬことはなく、病気になることもない。
恋愛は片想いで終わることはなく、離婚などの別れは一切起きない。
悪意のある人は誰もいない。
好きな仕事に就ける。
お金がなくても、普通に生活していける。
私は理想郷なのだと思っていた。
みんな(蓮以外)の15年前の話は聞いたことがある。
どんな職業についているとか、結婚したとか、子供が生まれたとかだ。
たとえば、光命のことなど、
音楽をやっている。
とだけ聞いていた。というわけで、勝手に想像していた。
数字に強い彼だ。
PCとかで、プログラミングして、曲(クラシックではなく)を作ってるのかな?
CDとか出して、ツアーとかもして、成功して有名なんだろう、と。
だが、そんな自分の思い通りになる世界はどこにもないのだ。たとえ死んだとしても。
実際は、クラシックのような曲を演奏するピアニスト。CDは2枚出した。それだけ。体が弱く、ツアーが行えなかった。
どんな想いを、15年間彼はして来たのだろう、と思った。
他の旦那もそうで、先日、昔の覚書を見つけた。
今や大企業とも言えるほどになりつつある大農園の主、明引呼。最初からやりたいことを熱くやっていたのだろうと、信じきっていた。
だが、彼の最初の職業は全然違っていて、転職するにあたって、悩みや苦労などがあったのだろう、思った。
新しく婿に来た、張飛。彼は小学校の体育教師だ。
だが、妻と子供がいながら、いろいろな職を転々として、他の子供と接する機会があり、今の職業に就いたのだと言っていた。
「孔明に今の職業があってるって言われてるっすよ」
愛する夫に言われたら、それは幸せだろう。
私は彼のことはまだよく知らないが、体育教師は似合っていると思う。
誰が無理して倒れたとか。頻繁に起きる。
旦那たちだけでなく、子供もそうだ。
1人回復したと思ったら、別の子。
デコボコ道の毎日。
687年で1つ年を取る。みんなが住んでいる世界はゆったりと時間が流れている。それでも、様々なことは起きる。
そんな中で、
ずっと活動休止していた光命が、CMに出ている友人のヴァイオリニストのコンサートで1曲だけピアノを、明日弾くそうだ。
彼は今日まで私に言わなかった。
私に嘘をつくことになるかもしれない。
ということだろう。
いつ、自分が倒れるかわからない。キャンセルになるかもしれない。
だが、明日に迫った今日。
倒れる可能性はかなり低くなった――伝えても、嘘になるという可能性は低い。
ということだろう。
コンサートをするは、いいと思う。
最近、倒れることがずいぶん少なくなった。
アーティストである以上、いつかはツアーをするだろう。今まで、倒れてしまって、できなかったのだ。それをたった1回でもできたら、次は2回、その次は3回といって、回数を増やしていけば、いつかはツアーができるようになる可能性は上がる。
彼はようやく進み出したのだろう。普通という線路の上を。
他の方のコンサート。しかも、クラシック。
家族全員ではいけない。子供によっては退屈するだろう。かと言って、ファミリー席を用意してもらうは気がひけるのである。
ということで、光命が演奏する曲だけ聞きたいという子供たちを、月命が連れてゆくになった。
パンフレットを百叡と策羅に見せてもらった。しっかりと、パパが演奏する曲には丸がつけてあった。
孔明も仕事を抜け出して聴きにいくと言っていたが、基本子供の引率は月命のみ。迷子になられたら最後である。
しかし、その辺は教師である。会場の地図を大画面に映して、どこをどうやって通って中に入るのかと、それぞれの席順を先に決めていた。
途中からの入場であり、私語は厳禁だ。
さすがである。女装教師。
それでも、誰か迷いそうだなぁ~。
明日、そのハプニングを聞くことになるんだろうな。
こうやって、失敗しながらも、家族は少しずつ進んでゆくのだ。
2019年7月25日、木曜日
死ぬことはなく、病気になることもない。
恋愛は片想いで終わることはなく、離婚などの別れは一切起きない。
悪意のある人は誰もいない。
好きな仕事に就ける。
お金がなくても、普通に生活していける。
私は理想郷なのだと思っていた。
みんな(蓮以外)の15年前の話は聞いたことがある。
どんな職業についているとか、結婚したとか、子供が生まれたとかだ。
たとえば、光命のことなど、
音楽をやっている。
とだけ聞いていた。というわけで、勝手に想像していた。
数字に強い彼だ。
PCとかで、プログラミングして、曲(クラシックではなく)を作ってるのかな?
CDとか出して、ツアーとかもして、成功して有名なんだろう、と。
だが、そんな自分の思い通りになる世界はどこにもないのだ。たとえ死んだとしても。
実際は、クラシックのような曲を演奏するピアニスト。CDは2枚出した。それだけ。体が弱く、ツアーが行えなかった。
どんな想いを、15年間彼はして来たのだろう、と思った。
他の旦那もそうで、先日、昔の覚書を見つけた。
今や大企業とも言えるほどになりつつある大農園の主、明引呼。最初からやりたいことを熱くやっていたのだろうと、信じきっていた。
だが、彼の最初の職業は全然違っていて、転職するにあたって、悩みや苦労などがあったのだろう、思った。
新しく婿に来た、張飛。彼は小学校の体育教師だ。
だが、妻と子供がいながら、いろいろな職を転々として、他の子供と接する機会があり、今の職業に就いたのだと言っていた。
「孔明に今の職業があってるって言われてるっすよ」
愛する夫に言われたら、それは幸せだろう。
私は彼のことはまだよく知らないが、体育教師は似合っていると思う。
誰が無理して倒れたとか。頻繁に起きる。
旦那たちだけでなく、子供もそうだ。
1人回復したと思ったら、別の子。
デコボコ道の毎日。
687年で1つ年を取る。みんなが住んでいる世界はゆったりと時間が流れている。それでも、様々なことは起きる。
そんな中で、
ずっと活動休止していた光命が、CMに出ている友人のヴァイオリニストのコンサートで1曲だけピアノを、明日弾くそうだ。
彼は今日まで私に言わなかった。
私に嘘をつくことになるかもしれない。
ということだろう。
いつ、自分が倒れるかわからない。キャンセルになるかもしれない。
だが、明日に迫った今日。
倒れる可能性はかなり低くなった――伝えても、嘘になるという可能性は低い。
ということだろう。
コンサートをするは、いいと思う。
最近、倒れることがずいぶん少なくなった。
アーティストである以上、いつかはツアーをするだろう。今まで、倒れてしまって、できなかったのだ。それをたった1回でもできたら、次は2回、その次は3回といって、回数を増やしていけば、いつかはツアーができるようになる可能性は上がる。
彼はようやく進み出したのだろう。普通という線路の上を。
他の方のコンサート。しかも、クラシック。
家族全員ではいけない。子供によっては退屈するだろう。かと言って、ファミリー席を用意してもらうは気がひけるのである。
ということで、光命が演奏する曲だけ聞きたいという子供たちを、月命が連れてゆくになった。
パンフレットを百叡と策羅に見せてもらった。しっかりと、パパが演奏する曲には丸がつけてあった。
孔明も仕事を抜け出して聴きにいくと言っていたが、基本子供の引率は月命のみ。迷子になられたら最後である。
しかし、その辺は教師である。会場の地図を大画面に映して、どこをどうやって通って中に入るのかと、それぞれの席順を先に決めていた。
途中からの入場であり、私語は厳禁だ。
さすがである。女装教師。
それでも、誰か迷いそうだなぁ~。
明日、そのハプニングを聞くことになるんだろうな。
こうやって、失敗しながらも、家族は少しずつ進んでゆくのだ。
2019年7月25日、木曜日
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