最後の恋は神様とでした

明智 颯茄

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光を失ったピアニスト

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  城に面した大通り。空中道路が主な道である首都の街は、地面を走るそれは渋滞もなくスムーズに車がゆったりと行き交っていた。

 交差点で停車していた車は信号が青になると、東へと曲がりいくつかブロックを進む。すると、デパートがのきを連ねる主要道路へと出た。

 人々が歩く店先では春らしい淡い飾りが、優しいそよ風に吹かれ、芽吹きの季節を祝福しているようだった。

 龍や人、イルカなどが作る人の波を追い越しながら、首都の街を南下してゆくと、大きな音楽堂が近未来的な顔を見せた。

 その壁や入り口は、今日の主役の人物を象徴するような、青で統一された、大きな垂れ幕がかけられていた。

 ――HIKARI First Concert。
 光命ひかりのみことがソロで出演する初のコンサート。

 人混み歩けば、人々を老若男女振り返させる男の、ベストショットがポスターとして何枚も貼られていた。

 どんなに控えめに飾ったとしても、石畳の上を歩く人々は誰かれ構わず、足を止めて、感嘆のため息をもらす。

 風で横へとなびく、シルクのような滑らかさを持つ紺の長い髪。遊び心を表すように、リボンで結ばず自由に宙を舞っている。

 少しきつめの印象がある冷静な水色の瞳は切れ長で、真っ直ぐをこっちを見ている。内に眠る情熱を氷河期のようなクールさで抑えているギャップが人を惹きつけてやまない。

 頭の良さを強調するように、細く神経質な手で髪を大きくかき上げ、頬は白くきめ細やかで、全体的に貴族的なイメージ。

 十五倍の速さで流れる時の中で、大人に急成長した人の特徴で、あどけなさが強く残るのに、成人としての若さあふれる矛盾を含む貴重な雰囲気。

 彼は実際まだ七年しか生きていないのに、十八歳として生きているのだから。人々の目はどうやっても引き寄せられてしまう。

 持ち前の美麗さで、歩道をゆく人々が、光命のポスターを見て立ち止まっては、チケット売り場へと向かってゆく。

 増設をして当日券を用意したが、それが完売するのもあと間近だった。
 
    *

 客席のライトは一部分だけついていて、音楽堂の中はまだ空席ばかり。ステージの上では、作業しやすい格好をしたスタッフが、忙しそうに大道具を運んだりしている。

 中央に大きな黒のグランドピアノが堂々たる風格で置かれ、両脇に花を添える楽団員が座る椅子が並べられてゆく。

「ライト、もう少し右でお願いします!」

 太陽光のように差し込んでいる強い光りが言われた方向へ動く隣で、スタッフ数名に囲まれた、光命が最後の打ち合わせをしていた。

「ステージに上がったら、中央で一旦挨拶をしていただきます」
「えぇ」

 足下につけられた印の近くで、今日の主役である、遊線ゆうせんが螺旋を描くもてあそび感がある優雅な、独特の響きがエレガントにうなずいた。

 白いカットソーに、黒革のチョーカー。甘くスパイシーな香水が美しさに拍車をかける。細身の黒いパンツに、膝までの濃い紫のロングブーツは、逆三角形の体躯を足元で引き締めていた。

 舞台袖に集まっていたスタッフたちが、紺の長い髪が揺れ動く様を遠くから眺めながら、感慨深げに語り出した。

「いや~、いよいよ、コンサートツアー今日からスタートですね」

 腕組みをして二本足で立っている犬の横で、鹿がテンション高めで言葉を添える。

「女王陛下のご兄弟! 早秋津家はやあきつけの長男ですからね」

 頭に赤い鉢巻を巻いた猫が、横から顔をのぞかせた。

「光命さんは、テレビゲームのモデルでも女性に人気ですから。ツアーも最終日まで完売ですよ」

 大盛り上がりのスタッフの背後から、重厚感を漂わせた女の声が突然割って入ってきた。

「――それはあくまでも宣伝のうち。ひかりの才能は本物よ」

 スタッフたちはよく聞き慣れた響きに、ギョッとした顔をして一斉に振り返った。

「社長っ!? おはようございます」

 恩富おんぷ隊の代表――弁財天が両腕を組んで、足をモデルのようにクロスさせながら、光命の姿が見えるところまで近づいてきた。

「おはよう。どうかしら?」

 彼女はアーティスト自身の様子を聞いたが、浮かれているスタッフは誰もまだいない客席を頼もしげに眺めた。

「若さあふれる、期待のピアニストと会えるという、ファンにとってはなかなかないチャンスですから」
「このまま波に乗って、三枚目のCDもクラシックというジャンルを問わず、一位を取ること間違いなしですよ」

 母親の影響を受けて、一枚目のCDはそこそこ売れた。作曲家として他のアーティストにも曲を提供している。そんな活動の中で、自身のピアノ曲も作り、二枚目で多くの人に知れ渡ることとなり、今日の日を迎えた。

 しかし、弁財天には心配事があった。やり直しから戻ってきた光命が、社長にだけは伝えておきたいと言って、あることを教えてくれた。

 それで人気が落ちるとは思わないが、起こらないのならそれに越したことはなく、スタッフ全員には伝えていない。

 今や恩富隊はこの世界では一番大きい事務所となっていて、数多くのアーティストを抱えている。

 通常ならば、一アーティストのツアー初日に顔を出せるほど、時間の余裕はないのだが、子供の成長を見守る母親のような気持ちで、弁財天はやって来てしまった。

 スポットライトを浴びる中で、冷静な水色の瞳が揺れ動いたり、優雅に微笑んだりするさまを眺めていた弁財天の耳に、スタッフたちの吐息が入ってきた。

「やっぱり綺麗ですね。光命さんが歩くと、みんな振り返ってしまう」

 仕事をしているのに、その手を止めてまで、どこかの国の王子みたいな気品のある男に釘付けになっているのを、弁財天は見つけた。

 うさぎのスタッフが話すと、長い耳がゆらゆらと揺れた。

「あの繊細さが人気なのかもしれませんね」

 だからこそ、逆に危険だと、弁財天は思った。ステージの中央にいたスタッフの一人が右手を大きく上げた。

「光命さん! ピアノの準備整いました」
「えぇ」

 舞台の端でスタッフの話を聞いていた、ピアニストは短くうなずき、ロングブーツのかかとを鳴らしてピアノに近づいて、慣れた感じで腰を下ろした。 

「ピアノの音の響きを調べますから、演奏をお願いします」
「えぇ、お願いします」

 白と黒が規則正しく並ぶ鍵盤に、光命の神経質な両手が乗せられると、香水の香りがふわっと舞い上がった。

 右足はダンパーペタルに乗せられ、白いカットソーの下にある胸へ息が吸い込まれ吐き出されたと同時に、ピアノの弦を叩く音が激しく鳴り出した。

 三十二連符の十二連打が土砂降りの雨のように、音階を滑り落ちてゆく。紺の長い髪はリズムに乗って揺れ動き、不意に入り込む高音のフォルティッシモが、雷鳴のように鋭く会場の隅々につき刺さる。

 余韻を残すペダルは、主旋律を際立たせるために、一拍ごとに小刻みに踏み直され、ピアニストとしての技術と光命の激情を惜しげもなく披露する

 たくさんの人が見るであろうステージの上でピアノを弾く。その行為が、光命の中の脳裏で、人生のやり直しをした、ある時を色濃くなぞった――

 ピアノのコンクールで一位を取った時、晴々とした気持ちでロビーへ出ると、深緑の短髪と無感情、無動のはしばみ色の瞳で、自分とは真逆の性質を持つ従兄弟が待っていた姿が浮かんだ。

「君のことを思って曲を作ったんだ」
「感謝する」

 地鳴りのような低さで、落ち着きがあって真っ直ぐな夕霧命の声が、光命の心に呼びかける。

「光……」

 それが残響のように幾重にも鳴っているうちに、今度は別の場面を思い返した。

 知礼しるれを初めて家に招待して、両親が大喜びで出迎えたあの日。記念にと思い、ピアノのある部屋へ彼女を連れてきた。

「チャーミングなあなたに、こちらの曲をプレゼントしますよ」
「ありがとうございます」

 可愛らしく素直で、少しとぼけた感のある女の声が、光命の心に今度は呼びかける。

「光さん……」

 ――さっきからずっと響いていた男と女の声が、ぐるぐると自分を飲み込むように回りながら少しずつ大きくなってゆく。

 ピアノの鍵盤の上でもつれそうになる指先を、光命は必死で押さえながら、冷静な頭脳で正常へと戻ろうとする。

 ――弾き続けられる可能性を高くする方法……?

 不意に目の前が暗くなりそうになり、意識を呼び戻すが、悩めるピアニストはいつもの迷路に迷い込んでゆく。

 私は夕霧を愛している。
 私は知礼を愛している。
 私は夕霧を愛している。
 私は知礼を愛している。
 私は神の意思に背いている。
 私は神の意思に背いている。
 私は夕霧への想いを断ち切らなければいけない。
 私は知礼だけを愛さなければいけない。
 私は夕霧への想いを断ち切らなければいけない。
 私は知礼だけを愛さなければいけない。
 私は……しなければいけない。
 私は……いけない。
 私は……私は――

 光命の視界はとうとう真っ暗になり、ガジャーンと不協和音を鳴らして、糸が切れた操り人形のように、目を閉じたまま椅子の上で横へ崩れ、床の上にどさっと落ちた。

 怪我もない、病気もない世界で、今日の主役が床の上に倒れるという光景に、まわりで演奏を聞いていたスタッフたちは、不思議そうな顔をした。

「どうしました?」
「光命さん?」

 あっという間に人垣ができて、

「光命さん?」
「眠ってる?」

 一人事情を知っている弁財天は驚いて、慌ててステージ上を走っていった。スタッフをかき分けて、神経質な頬に紺の髪がもつれ絡みついているのを見つけ、弁財天は白いカットソーの肩を揺さぶった。

「光? 光?」

 ビューラーで巻いたみたいに綺麗なまつ毛は一ミリも動くことなく、腕がだらりと体の脇から床へ落ちた。

(気を失ってる……。気絶が起きてしまった)

 危惧していたことが現実になってしまった。弁財天はそれでも取り乱すことはなく、すぐそばにいたスタッフに指示を出す。

「病院、病院に連絡して!」

 場所の名前は聞いたことがあるが、利用する人など皆無に等しい世界で、スタッフたちは何が何だかよくわからず、全員目を丸くして驚き声をとどろかせた。

「えぇっ!?」
「いいから病院よ!」

 それから数時間後、会場の入り口周辺では、チケットの払い戻しの案内が何度も繰り返されていた――

    *

 首都の中心街にある、ガラス張りの高層ビル。吹き抜けのエントランスから、二階の回路へと登る階段。

 龍が最上階へエレベータも使わず、まっすぐ上へと登ってゆく様は雄大だが、人々は慣れたもので、それぞれ忙しそうにフロアを歩いていた。

 個性的な服装をした猫が二足歩行で、反対側から来る人の横を通り過ぎようとすると、

「お疲れ様です!」
「あぁ、この間の音源ありますか?」

 資料を抱えていた人間の男が急に立ち止まり、勢いよく振り返った。かぎ爪のついた手のひらが向けられると、瞬間移動で四角いものが現れた。

「携帯電話に入ってますよ」
「ちょっとエフェクターをいじりたいので、データいただけますか?」
「いいですよ」

 ネットを経由するのではなく、弓形ゆみなりの鋭い瞳が画面を見つめると、必要なファイルが空中に半透明で浮かび上がり、そのまま人間のスタッフがポケットから取り出した携帯電話に吸収されるように消え去った。

 意識化で操作できるそれは、データの送受信は視線の動きでできる。便利な時代を神々は、人間として生きていた。

 そのやり取りをしている廊下の一番奥にあるのは、自社ビルを持つ恩富隊の社長室。窓の外には今日も太陽がなくても綺麗な青空が広がる。

 ブラインドカーテンからの隙間から入り込む日差しは、デスクに飾られた花々を通り越して、床へと伸びていた。

 秘書もいない人払いされた応接セットのソファーに、部屋のあるじである弁財天が座り、ひどく残念そうにため息をついた。

「そう。ツアーは全て中止でいいのね?」

 念を押すように聞き返された、向かいの席に座る光命は、冷静な水色の瞳を曇らせていたが、あくまでも平常心をたもったまま、「えぇ」と優雅にうなずき、

「倒れないという可能性がゼロになるまでは、行うことはできません。先日のように、楽しみにしていらっしゃった方々の気持ちを傷つけることはしたくありません」

 ツアーの初日、ピアノを弾いている途中で切れてしまった記憶は、次は病院の天井からだった。

 開演時刻どころか、日付は翌日になっていて、後悔してもし切れず、思わず硬く閉じたまぶたの感触は今でも忘れない。

 弁財天は何度も説得してみたが、他人優先の光命が一番したくなかったことが起きてしまい、誰の言葉も彼には届かなかった。

 やり直しから帰ってきて、少し様子がおかしいと思っていた。

 何か力になれることはないかと、弁財天も聞こうと努力をしてみたが、光命は硬く心を閉ざし、のらりくらりと交わすだけで、決して口を開こうとはしなかった。結局防ぐことはできず、こんな形になってしまった。

 ひどく疲れた様子の光命を、弁財天は優しく微笑んで心配する。

「そう、わかったわ。CDはどうするの?」
「今の体調のままでは、レコーディングのスケジュールも決められません。ですから、そちらもしばらくお休みにします」

 耳にかけていた後毛が落ちると、細い指先ですぐにかけ直すのに、それもしない。光命が必死に何かを耐えながら話しているのは、長く生きている弁財天には痛いほどわかった。

「そう。光がそう言うなら仕方がないわね」
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 激情という獣を、冷静な頭脳という盾で飼い慣らし、光命は事務的に話を終えて、スプリングコートを手にして帰るような仕草を見せた。

 弁財天は慌てることもなく、少し低めの声で、人生の難所に差し掛かっている、青年に先輩として一言忠告した。

「これだけは決して忘れないで。ピアニストはピアノを弾いている時が一番幸せなのよ。だから、ピアノから遠ざからないで――」

 光命は喉が締めつけられるように痛くなり、水色の瞳は涙でにじんだ。

 幼いからピアノがとても好きで、何が起きても弾いているうちに、頭の中が整理されて、新しい可能性が浮かんだ日々だった。

 それが最近はなくなり、今まで緻密に積み上げてきたデータがなくなり、可能性の数値が全て狂ってしまっていた。

 自身の基盤となるものが崩壊していたが、あっという間に冷静な頭脳で押さえ込み、光命は深々と頭を下げた。

「お気遣い、感謝いたします」

 ソファーから立ち上がると、ロングカーディガンの裾が気品高く揺れ、ショートブーツのかかとが床にカツカツと、軽やかなステップを残していたかと思うと、すうっと瞬間移動で寂しげに消え去った。

    *

 太陽もないのに、春の日差しが穏やかにさす神世。城の隣にある早秋津家の庭では、広い芝生の上で五歳の子供たちが、ボール遊びをしていた。

「いくよ~!」
「は~い!」

 それぞれの服装は上質な白のシャツに蝶ネクタイと半ズボン。パーティーに行くようなふわふわのドレス。ハイソな装い。

「きゃははははっ!」
「うわっ!」

 他の家とは違って、上品に遊んでいる子供たちは、ボールが不意に誰もいない――思ってもみないおかしな方向へ飛んでゆき、声高らかに笑った。

「あははははっ!」

 ウッドデッキのチェアでは、この家の長男――光命が本を読みながら、アフタヌーンティをたしなんでいたが、彼は上の空だった。

(あちらの可能性が34.57%。こちらが67.97%……)

 読んでいた本をいつの間にかティーカップの脇へ置き、少し曲げた人差し指をあごに当てて、思考時のポーズを取ったまま、一日も早い復帰の目処めどを立てようと、頭をフル回転させていた。

 今までの記憶で残っている部分を、土砂降りの雨でも降るようにザーッと流したまま、そこから必要なものを取り出して、可能性の数値に置き換え――

「――お兄様?」

 あどけない声が足元で聞こえたが、冷静な水色の瞳は動かず、紺の長い髪が春風に優しく揺れるだけだった。

 小さな兄弟たちは、すらっと二メートル近くの背丈を持つ兄が無反応なのを見て取って、小首を傾げた。

「ん?」

 最近、兄の様子がおかしいのだ。刺すような冷たさを持っているが、上品な笑みで優しく話しかけたりすることが、減った気がする。

 氷雨でも降っているようなクールさだけになり、どこか遠くに行ってしまっているようだった。

「お兄様?」

 袖口を引っ張られて、光命は思案の旅から現実へと戻ってきた。彼らしい驚き方をして、

「おや? どうかしたのですか?」

 弟や妹に心配かけないように優しく微笑んだ。弟の一人が大きなボールを差し出して、とびきりの笑顔を見せる。

「一緒に遊ぼう?」
「えぇ、構いませんよ」

 光命はそう言って、もたれかかっていたデッキチェアから起き上がり、ブーツのかかとを鳴らそうとすると、母の優しい声が背後からかけられた。

「光?」
「えぇ」

 優雅にうなずく、決して『はい』とは言わない息子。若さゆえに可能性が導き出せない、隠しているそぶりを見せている光命に、母親は精一杯手を差し伸べた。

「あとは私たちが見ているから、お友達に会ってきたら?」

 ツアーが中止になってからふさぎがちで、小さな子供の面倒ばかり。自身の子供ならまだしも、兄弟ならば、それを見る役目は自分たち親になると、母と父は思っていた。

「しばらく顔を見せとらんから、待っているかもしれないぞ」

 テラスへ出る廊下の扉口で、父に言われてリムジンの用意をした、運転手が丁寧に頭を下げた。

 弟や妹たちだけでなく、両親も運転手からお手伝いさんまでに、心配をかけているのだと思うと、光命は何としてもここから出たいと願った。

 飲みかけの紅茶はそのままに、久しぶりに見せた優しい笑みでうなずく。

「そうかもしれませんね」

 暖かく見守ってくれている家族を見渡して、光命はテーブルの上に置いてあった懐中時計を手に取り、

「それでは、出かけてきます」

 ポケットに忍ばせると、ブーツのかかとを鳴らして窓へと歩いて行き、運転手に視線だけで合図をした。

「いってらっしゃ~い!」

 家族全員が手を振る前で、長男は外出のための上着を瞬間移動させ、瑠璃色のタキシードを着て、暮れかけた夜の街にリムジンを走らせた。

    *

 家でじっとしていることがない光命。彼の社交場は色々とあった。乗馬クラブ、カジノ、社交ダンス、高級ラウンジ、クラシックコンサートなどなど……。

 夜は特に家にいることがないほど、早秋津家の長男は大人の世界を満喫していた。

 壮大なクラシック音楽を車内で楽しんでいると、広く少し長めの階段の前に、黒塗りのリムジンは止まった。

 運転手がドアを開けるとすぐに、黒のショートブーツが石畳を踏んだ。

「ありがとうございます」

 光命が頭を下げながら立ち上がると、甘くスパイシーな香水が春の夜に漂った。長い階段を上がり、神殿のような柱の間にある入り口へ向かってゆく。

 あちこちから、タキシードとドレスを着た人々が集まってくるダンスパーティ会場。本日は月に一度のイベントの日。今日を楽しみにしてきた人々に、光命は混じりながら中へと入った。

 どこかの城の廊下かと勘違いするほど豪華な通路。真紅の絨毯が敷かれ、子供の入場が禁止されている完全な大人の世界。

 そんな華やかな世界に見劣らない絶美な男が優雅に通り過ぎるたび、人々は振り返ってぼうっとする。

 自惚れることなく、ただの事実――データとして頭に仕舞い込み、光命はメインホールへと足早に進んでいた。

「あぁ~! 光~、久しぶり~!」
「元気してた~!」

 若さあふれるキャピキャピとした女の声が背後からかけられた。振り返るとそこには、やり直しをした時のクラスメイトの女子がふたり、ドレスを着て笑顔を見せていた。

 心の闇は隠して、光命は優雅に「えぇ」とうなずいて、最低限の挨拶をした。

「あなたたちも元気そうで何よりです」

 十八歳とはいえ、つい最近生まれたばかりの同級生は、テンションが高めで夢中で話し出す。

「この子さ、今度結婚するんだって」

 人族の男性と、健全たる交際をしていたのが、光命の全てを記憶する頭脳にはきちんと残っていた。

「高校の時から付き合っていた方とですか?」
「そう。やっと仕事も落ち着いてきたからね」

 あれから時はずいぶんと流れ、社会人として生きている同級生たちは順調に人生を乗り切っている。

 それに比べて、仕事は暗礁に乗り上げ、愛してはいけない人を愛し、何度もあきらめようとしては失敗を繰り返す日々。

 足元がぐらぐらと揺れ、真っ暗な底なし沼へ落ちてゆくような感覚に囚われる光命の前で、同級生の女の子たちはまだまだ元気に話を続けている。

「光も結婚し――」
「お嬢さんたち?」

 深みのある低い男の声が、身を包み込むように広がった。

「はい?」

 全員が振り返ると、幅の十分ある廊下はその人でいっぱいになっていた。緑色をしたひげに、銀のウロコで顔も体も覆われている。牙の見える大きなワニのような口が何度か動いた。

「一緒に踊りませんか?」

 光命が以前から親しくさせてもらっている、気品のある龍だった。女の子たちは目を輝かせる。

「龍族の人とダンスなんて、異種族交流で素敵だね?」
「踊っちゃおう!」

 そうして、彼女たちは話していたことも忘れて、光命から遠ざかっていった。彼は近くのドアから使われていない部屋へ入り、薄暗い空間で一人壁に寄りかかる。

 焦点が合ったり合わなかったりを繰り返す瞳で、しっかりと床を見つめる。意識がどこかへ飛んでしまわないようにと。

    *

 数分が過ぎた頃、場の雰囲気を壊さないように、平常を装って、光命はドアから廊下へと出た。

 ダンス曲がちょうど終わるところで、壁際にさりげなく立って、さっきの銀色をした龍がフロアから降りるのを待っていた。

 人の流れを壊さないように、光命のショートブーツは足早に近づき、さっき話をそらしてくれた龍にお礼を言った。

「先ほどはありがとうございました」
「構わんさ」

 バーカウンターでモルトを頼んだ龍は優しく微笑み、弓形の瞳で人間の男をじっと見つめる。

「君の心は優しくできているから、相手のためにその場から逃げないが、時には自身を大切にすることが、相手の幸せにつながることもあるんだよ」
「えぇ、そうかもしれませんね」

 優雅な笑みという仮面を被った光命はうなずいたが、心の中では彼の負けず嫌いの精神がにじみ出ていた。

(私は逃げることはしたくない。いいえ、逃げてはいけない――)

 この人は自身よりもはるかに長い時を生きている。気づいているのかもしれない、光命のうちは許されぬ愛にずぶ濡れになっていることを。

 しかし、これは自分一人の問題ではなく、たくさんの人間が関係することで、そうそうむやみやたらに相談できることではなかった。

 やはり自身で抱え込んで、誰も傷つかない方法を見つけるしかないのだと、光命は改めて思った。

「あら? 光坊や、お久しぶり」

 色っぽい女の声がカウンターの反対側で響き、振り返ると、上品な龍の女性がいた。光命は思う。やはり自身は世の中ではまだまだ若いのだと。

「お久しぶりです」
「ツアーのことは聞いたわよ」
「えぇ」

 あれから顔を見せなくなった、目の前に座っている人間の若い男。何千年も生きている龍の女性は優しく諭したが、内容は少し違っていた。

「長く生きていると、いろんなことが起きるの。はじめの頃はみんな、驚いたり戸惑ったりするのよ。でもね、いつかそれが普通になる時が来るの。いつだってそうだったわ」

 同性愛がそれに当てはまるのか、事実――過去から可能性を導き出す光命は見極められずにいた。

 今度は反対側から、男の龍が声をかける。

「誰かの未来は予測できたとしても自分のことはできない」

 次に誰が何をするのか、小さな子供であったとしても予知できるのがこの世界に生きている人たちだ。

 弟や妹が何を望んでいるのかよくわかる。先回りして、プレゼントを渡したり、何かをしてあげることが、光命は兄として幸せな限りだ。ただ自分よりレベルの高い大人にはこれが通用しないから、世の中は面白いのだ。

 モルトの入ったグラスを傾け、龍の男は人生を語る。

「今起きていることが、何につながっているかは誰もわからない。ただ言えるのは、どんなことでもいい意味があるということさ」

 光命を間に挟んで、龍の女がカクテルグラスを同じように傾けて、少しだけ微笑む。

「そうね。邪神界はなくなったのだから、無意味なことはもう起きないのよ」
「邪神界でさえ意味があったと、僕は思うけどね」
「確かにそうね~?」

 悪を知らない世代の大人。その一人が光命。厳しい世の中を生き抜いてきた先人のふたりに囲まれ、ブランデーグラスを弄ぶようにくるくる回した。

「お気遣い、感謝いたします」

 迷路は誰かの力で抜け出せても、目隠しされたままゴールへとたどり着くのと一緒で、新しい景色は望めないのだろう。だから何としても、光命は自分の力で歩みたがった。
    *

 寝静まった寝室――

 大人の袖口を名残惜しそうに握っていた小さな手の力が抜け、ころんとシーツの上に転がった。その腕をつかんで、毛布の中へ寒くないよう入れる。

 光命は子供たちの掛け布団を直しながら、薄明かりの中で同じようなことをしている男――彼らの父親に質問を投げかけた。

「子供はどのようにして生まれてくるのでしょう?」
「知らん」

 夕霧命の地鳴りのように低い声が、バッサリと切り捨てた。従兄弟が気になっているのは行為の話ではなく、医学的な見地のことだった。昔からそのことをしきりに知りたがっている。

 光命は近くにあった子供用の椅子に腰掛け、あごに手を当て思考のポーズを取る。

「研究はほどんと進んでいないと聞きますが……」
「魂を何が結ぶのかがわからんらしい」

 精子と卵子という言葉が存在しない神界。統治が変わって数年が経過しているが、専門の研究機関があっても、未だに謎に包まれた神秘の世界なのだ。

 子供たちにおねだりされて、よく泊まることになる従兄弟の家。光命とともに来ていた知礼は、可愛らしい寝顔を眺めた。

「童子が四人に、姫が一人。全員で五人。まだ生まれますかね?」

 次々に生まれて子沢山になった母親――覚師かくしはサバサバとした感じで壁に寄りかかった。

「そうさね? 職場で聞くには、ある一定の数で、ピタリと生まれなくなるらしいよ」

 そうでなければ、永遠に増え続けてしまう。しかしなぜ生まれなくなるのかも、まだベールに包まれたままのなのだ。

 レースのカーテンの外に広がる庭のライトに、桜の花が雪のように舞い散るのを眺めていた光命がふと口を開いた。

「ですが、五人で最後とは限りませんよ」

 従兄弟らしい言い回しを聞いて、夕霧命はあきれたため息をついた。

「お前はまた可能性の話だ」

 あごに手を当てたまま振り返った光命の瞳は、氷河期並みに瞬間凍結させるほど冷たかった。

「あなたがそちらの言葉を私に言うのは、これで五十五回目です」

 数字に強い男の頭脳で、きっちりカウントされていた。

 そうして、同じ歳の従兄弟は、あのやり直しをして帰ってきてから、何かにつけてお互いに突っかかるようになっていた。

「お前はあの時もそうだった」
「あなたもそうではありませんか?」
「お前もだ」
「あなたもです」

 どこまでも、男ふたりきりの世界で、仲良くジャレ合っているとしか思えない光命と夕霧命。ふたりにはもう女ふたりは眼中になかった。

 覚師はあきれた顔で、深くため息をつく。

「また始まったよ」
「そうですね」

 子供たちのぬいぐるみを綺麗に並べていた知礼も賛同した。

「お前もだ」
「あなたもです」

 未だにもめている子供っぽい光命と夕霧命。二千年以上生きている女ふたりは、若々しい限りでいいものだと思った。

「いつのどの話してんだい?」
「ふたりだけの暗号かもしれませんよ」

 何の話をしているのかわからない会話。ふたりだけの世界。覚師はドアのところまで行って、気を取り直して知礼に声をかけた。

「放っておいて、ふたりで飲みなおそうか? 子供たちも眠ったことだしさ」
「そうですね。そうしましょう」

 女ふたりは男ふたりを残して、女同士の親睦を深めると理由づけて、ダイニングでまだどんちゃん騒ぎをするのだった。

    *

 ピアノの鍵盤の前に座るが、あんなに旋律が浮かび、順調だった曲作りも、まるで才能が枯れてしまったかのように指先が動かなかった。

 事務所の社長が言ったことは、自身でも合っていると思う。ピアニストはピアノから離れてはいけないと。

 しかし、いざ弾こうとなると、あのツアー初日のように、ぐるぐるとふたりの面影が頭を駆けめぐるのだ。

 深緑の短髪を持ち、はしばみ色をした無感情、無動の瞳。シャープなあごのラインで、男の色香が漂う従兄弟。

(光……)

 自分の名前を呼ぶ低い声がまるで媚薬にように、体の奥からしびれさせて、恍惚こうこつとさせる。

 ドラックみたいな常習生に身を任せないように気をつけつつ、光命はあごに手を当て、冷静な頭脳をフル活動させる。

(夕霧への想いを断ち切ることが成功する可能性の高い方法……?)

 赤茶のくるっとクセのついた髪で、とぼけた瞳。可愛らしい顔立ちの、言葉を聞き間違えるという――大暴投をして、飛び上がってまで驚く女。

(光さん……)

 いつだって、自分に至福の時を与えてくれ、名前を呼ぶ女性らしい声で男性であることを強く感じさせる。

 光命はあごにまだ手を当てたまま、女との出来事を何ひとつ順番も内容も間違えることなく脳裏でなぞる。

(知礼だけを愛せると成功する可能性の高い方法……?)

 細い足を優雅に組み替え、ダンパーペダルにかける足を交代した。

(倒れないようにする可能性の高い方法……? 倒れる原因を見つけ排除しても、やはり倒れてしまう……。どのようにすれば、倒れなくなるのでしょう?)

 どのパターンをたどっても、八十二パーセントを越すことはなく、言動にはっきりと移せる境界線を超えない。ほとんどが二十パーセント代で、逆を言えば失敗する可能性が七十パーセント代ということだ。

「困りましたね……」

 ピアノのふたを閉じて、ため息をついた。先日行ったダンス会場で会った同級生たち。デーパートへと買い物へ行き、人混みの中に混じる親子連れやカップル。

 彼らと比べても仕方がないとわかっている。人それぞれ人生は違うのだから、自分は自分だと思うように心がけてはいても、光命は両肘をピアノのふたについて、額を手で押さえ、黒光りするボディーに元気のない自分の顔を映した。

「私は……。人を愛することも仕事も、何もかもが可能性を見出せず、中途半端。どのようにしたらよいのでしょう?」

 さっきから、ドアの下のほうでトントンとノックが続いていたが、部屋の主は気づかないほど、小数点以下二桁までの数字に捉われたままだった。

 ピアノがある部屋の外で、弟や妹たちが顔を見合わせている。

「お兄様、どうかしたのかな?」
「そうだね」
「本当にどうしたんだろう?」

 ツアーが中止になったとか、人を愛することがどうとか、そんなことはわからない子供たちのそばに、一人の女がやって来た。

 暖かな日差しが差し込む廊下で、弟がその人の名を呼ぶ。

「あ、知礼お姉ちゃん」
「ノックしても返事がないの」

 しょんぼりしている小さい人たちの前で、知礼は静かにうなずいた。

「そう……」

 ピアノの部屋に閉じこもっては、旋律を紡ごうとするが、もつれ立ち止まり、再び弾こうとするが、いきなり行き止まりへと迷い込んだように、進む道がなくて止まってしまう。

 そんなピアノの音が屋敷中に、もがきという名で散らばっている。知礼は呼吸を整えて、ドアをノックした。

「光さん?」
「…………」

 返事は返ってこなかった。耳を近づけても気配さえもせず、知礼はまた倒れたのかと心配になり、さっきより声を張り上げた。

「光さん? 光さん!?」
「知礼だけ入ってきて構いませんよ」

 光命の声色は遊線が螺旋を描いていたが、優雅さや芯の強さはどこにもなかった。小さな人たちはドアの前で、知礼の手のひらにタッチするように触れる。

「お姉ちゃん任せた」
「うん」

 しっかりとうなずき返してドアを開け、中へ入ると、カーテンはきちんとタッセルで止められ、レースのカーテンが午後の穏やかな日差しを招き入れていた。楽譜はきちんと端をそろえて神経質らしく綺麗に整頓されている。

 ゴミという概念がない世界では、ホコリやチリはひとつもなく、黒のグランドピアノは知礼の姿が鏡のように映り込むほどよく磨かれていた。

 ただ、そのふたは硬く閉じられ、白と黒が規則正しく並ぶ鍵盤は顔を見せていなかった。

 光を失ったピアニスト――

 知礼は何としても、この男を救いたいと思った。低いヒールの靴で大理石の上を歩き、椅子の隣へ立つ。

「光さん、私いいこと思いついたんです」

 ガラス細工のように儚くもろい繊細な美しさを持つ光命は、冷静な水色の瞳を知礼へを向けた。

「どのようなことですか?」

 出会った頃の悪戯心満載なピュアな男性ではなく、今は憔悴し切っていて、いい意味での年の重ね方をしていないのは、彼より長く生きている人間には手に取るようにわかった。

 泣いてしまいそうだったが、それでも、少しでも彼の心の傷が癒えるのならと、知礼は願った。

「子供たちにピアノのレッスンをするのはどうですか?」

 誰かのために生きるのが、人は本当に幸せを感じることができる。心はそういうふうにできている。

 なぜなら、邪神界ができる前から、心――魂は存在していたのだから。ただだか五千年ぐらい反対の概念ができても、そうそう変わりようがないのだ。

 休息中のピアニストができることといえば、子供の数が急上昇している彼らに関わることではないだろうか。知礼はその結論にたどり着いた。それが世のため人のため。そうして、愛する男のため。

 光命はそっと立ち上がり、

「知礼……」

 そう言って、彼は彼女を抱きしめた、彼女の視界から自分を隠してしまいたくて。冷静な頭脳という名の盾は、とうとう激情の獣に食い破られ、神経質な頬に涙が一粒落ちていった。

(愛の重複への贖罪しょくざいを果たせないまま、欲望の傀儡くぐつとして囚われ、心に哀傷あいしょうの痛みを深く刻んでゆく……)

 知礼の両腕がピアニストの背中に回され、何も言わずに抱きしめ返した。光命の頬にとめどなく涙は伝って、彼女の背後にある大理石に悲痛の波紋を描いてゆく。

(あなたは私を愛してくれる。ですが、私はあなた一人をきちんと愛せない)

 教会へも何度も行った。神の前で祈った。懺悔ざんげもした。心をしずめるために、目を閉じ神に感謝を捧げ続ける彼は、愛する人の温もりを感じながら、

(私はあなたに何をどのように返せばよいのでしょう?)

 大きな存在に、倫礼――自身を神として、青の王子として憧れてやまない、知りもしない彼女と同じような願いの仕方をした。

(神よ、どうか全ての人々の愛に応えられる術を私にお与えください――)

 こうして、光命は事務所からの宣伝で、自宅でピアノの講師をしながら、回復の機会をうかがうこととなった。

 しかし、これがのちに起きる大きな転機へとつながっているとは、勧めた知礼も、決心した光命も、夕霧命も誰もまだ知るよしはなかった。
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