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ベッドに誘って

妻のことを想って

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 子供たちが寝静まり、颯茄が早めに引っ込んだ頃、ダイニングの長テーブルに、旦那たちが好きな酒を手に集まっていた。

 モルトの水割りを飲んでいた貴増参がふと顔を上げ、

「聞きましたか? 颯茄ちゃんが最近スランプだって」
「それはおとといみんなで聞いただろう」

 独健がすかさずツッコミを入れる。

「そうでした。僕としたことがおっとり・・・・してました」
うっかり・・・・だろう」
「僕は考えたんです」
「何を?」

 全員に聞き返されて、貴増参はこほんと咳払いをした。

「こうしてみるのはいかがでしょう?」

 顔を寄せて、貴増参の説明を聞くと、みんな一斉に聞き返した。

「颯茄をベッドに誘う?」
「そうです。彼女は女性です。素敵な誘われ方をしたらときめいて、いい作品も書けちゃうんじゃないかと思うわけです」
「なるほど」
「皆さんで一人ずつやってみませんか?」

 貴増参はみんなの顔を見渡した。孔明が最初に声を上げる。

「ボクはいいよ。ちょうど誘うおうと思ってたから」

 バーボンのロックを飲んでいた明引呼が賛同する。

「オレもいいぜ。最近してねえからよ」

 器用に椅子の背もたれに乗って、椅子を傾けていた焉貴が聞く。

「最後までしちゃっていいの?」

 スーパーエロの光命がすかさず応える。

「そうでなくては意味がありませんよ」

 バイブレアを飲んでいた独健は、胸を軽く押さえた。

「なんかドキドキしてきたな」
「俺っちはどうするっすか?」

 張飛にしてはいつもの元気がなかった。全員が聞き返す。

「どういうことだ?」
「一回しかしたことないっす」
「少なっ!」

 全員本気で驚いた。子供は二百人越えをしているというのに、一度しか経験がないとは、よほどそばによるタイミングを逃したと思われるのだった。 

 言い出しっぺの貴増参が、グラスをカラカラ鳴らした。

「僕はもう色々考えてます」

 一番最後に結婚をして、今まで参戦できなかった雅威が、ちょっと難色を示す。

「改めて言われると、困るな」

 肩肘をテーブルについて、いかにも酔っている風な月命はまだ話していない人の名を呼んだ。

「蓮はどうするんですか~?」
「お前らの好きにしろ」

 いつものセリフを言う連。足を組んでいた燿が、まだ言っていない人を指名する。

「夕霧は、さっきから何も言わないけど?」
「やる」

 武術の達人は答えが簡潔だった。

 そうして、貴増参の口からこんな難題を出される。

「それでは、順番は今話した順番です。孔明から答えを言っていただきましょう」

 それに、帝国一の大先生はサラッと応えてみせた。

「ふふっ、ボク、明引呼、焉貴、光命、独健、張飛、貴増参、雅威、月命、蓮、燿、夕霧命」
「光、これであっていますか?」
「張飛は二回話していますが、初めて話した順番であれば、あっています」

 同じデジタル思考の光命は、もっと細部にまでこだわっていた。貴増参が仕切り直す。

「それでは、こちらはいつものルールです。僕たちは十三人で夫婦。今回のことは全て共有する、です。よろしいですか?」
「わかった」

 通常夫婦は二人。共有しなくても、わかっているのが当たり前。だが、ここは逆ハーレムだ、それぞれ何をどうしたか言わないと、夫夫とは言えない。

 こうして、颯茄をベッドに誘うという夜が始まった。
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