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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
Karma-因果応報-/19
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ラジュの瞳は再びニコニコのまぶたに隠された。
「それでは、私からあなたに質問です。彼の言葉を聞いて、どのような感想を抱きましたか~?」
天使というよりは、教師のような存在に思えた、今のラジュは。崇剛の中には様々なデータが流れ出し、ほんの0.5秒で答えを弾き出し、冷静な水色の瞳はついっと細められた。
「正直な方――みたいです」
「うふふふふっ」
含み笑いをすると、何の別れの言葉も告げず、ラジュも崇剛からすうっと遠くへ行ってしまった。
瑠璃もラジュもいなくなったひとりきりの診療室。最後だったかもしれないのに、あっけない去り際――
神経質な手が慣れた感じで、ターコイズブルーのリボンを抜き取る。とけてしまった髪を首を横へ振って、さっきまで近くにいた天使の金髪と同じように、背中の後ろへ長く流した。
水色の瞳は冷静という色をなくし、誘迷という名がふさわしいものに取って代わった。
何を考えているのかわからない、ニコニコの笑顔になり、少し女性的な可愛げがあり、凛とした澄んだおどけた声で言った。
「そうですね~? このまま、ラジュ天使には消滅していただきましょうか~?」
天使の真似をしながら、ラジュのいく末を、崇剛は暗示する。
「うふふふっ……というのは冗談です~。神にまた叱られてしまいますからね」
春風が神経質な頬のそばで、くすくす笑っているように吹き抜けてゆく。崇剛は足をエレガントに組み替えた。
「ラジュ天使には特異体質があります。そちらを使って――おや? 間違ってしまいました~。本人が知らないうちに、女性を気絶させる。知らない女性が勝手についてくる。知らない女性から贈り物を突然もらったりするそうです、ラジュ天使は」
ラジュマジック――。その言葉がふさわしいと思う。崇剛はニコニコと微笑みながら、髪をサラサラとかき上げた。
「ですから、どのような状況に陥っても、女性の手を借りて戻ってきますよ~?」
水色の瞳は冷静さを取り戻したが、崇剛は手の甲を口へ当てて、くすくす笑い出した。
「ラジュ天使も策略家です。ですから、先ほどの言動は、ほどんどが嘘であるという可能性が99.99%――」
そこまで言うと、崇剛は何も言えなくなり、肩を小刻みに振るわせて、彼なりの大爆笑を始めた。
長い時を生きている天使は、人間である崇剛の笑いのツボにもれずにハマるよう、前振りという罠を仕掛けて、涼しい顔をしたまま去っていったのだった。
レースのカーテンが何度か揺れ、鳥のさえずりがくるくると輪舞曲を踊ると、ようやく崇剛の笑いは収まってきた。
女性的な雰囲気に変わってしまった彼は、胸へ落ちてきてしまった紺の髪を、神経質な手で背中へ払いのけ、優雅で遊線が螺旋を描くような声で、自分らしさを取り戻した。
「こちらのような感じでしょうか? ラジュ天使の真似はやはり難しいですね。ラジュ天使は嘘をつくという傾向があるため、情報が正しく入ってきませんからね。言葉遣いに違和感はないのですが……」
国立の真似をした夜が色濃く蘇る。あの言い回しは、かなり無理があったと、自分自身にダメ出しをして、優雅に微笑んだ。
そうして結局、心霊事件は真の解決を迎えられず、シュトライツ王国の崩壊への序曲が何に関係するのかも明らかにならないまま、半年近くの月日が過ぎてゆくのだった――
「それでは、私からあなたに質問です。彼の言葉を聞いて、どのような感想を抱きましたか~?」
天使というよりは、教師のような存在に思えた、今のラジュは。崇剛の中には様々なデータが流れ出し、ほんの0.5秒で答えを弾き出し、冷静な水色の瞳はついっと細められた。
「正直な方――みたいです」
「うふふふふっ」
含み笑いをすると、何の別れの言葉も告げず、ラジュも崇剛からすうっと遠くへ行ってしまった。
瑠璃もラジュもいなくなったひとりきりの診療室。最後だったかもしれないのに、あっけない去り際――
神経質な手が慣れた感じで、ターコイズブルーのリボンを抜き取る。とけてしまった髪を首を横へ振って、さっきまで近くにいた天使の金髪と同じように、背中の後ろへ長く流した。
水色の瞳は冷静という色をなくし、誘迷という名がふさわしいものに取って代わった。
何を考えているのかわからない、ニコニコの笑顔になり、少し女性的な可愛げがあり、凛とした澄んだおどけた声で言った。
「そうですね~? このまま、ラジュ天使には消滅していただきましょうか~?」
天使の真似をしながら、ラジュのいく末を、崇剛は暗示する。
「うふふふっ……というのは冗談です~。神にまた叱られてしまいますからね」
春風が神経質な頬のそばで、くすくす笑っているように吹き抜けてゆく。崇剛は足をエレガントに組み替えた。
「ラジュ天使には特異体質があります。そちらを使って――おや? 間違ってしまいました~。本人が知らないうちに、女性を気絶させる。知らない女性が勝手についてくる。知らない女性から贈り物を突然もらったりするそうです、ラジュ天使は」
ラジュマジック――。その言葉がふさわしいと思う。崇剛はニコニコと微笑みながら、髪をサラサラとかき上げた。
「ですから、どのような状況に陥っても、女性の手を借りて戻ってきますよ~?」
水色の瞳は冷静さを取り戻したが、崇剛は手の甲を口へ当てて、くすくす笑い出した。
「ラジュ天使も策略家です。ですから、先ほどの言動は、ほどんどが嘘であるという可能性が99.99%――」
そこまで言うと、崇剛は何も言えなくなり、肩を小刻みに振るわせて、彼なりの大爆笑を始めた。
長い時を生きている天使は、人間である崇剛の笑いのツボにもれずにハマるよう、前振りという罠を仕掛けて、涼しい顔をしたまま去っていったのだった。
レースのカーテンが何度か揺れ、鳥のさえずりがくるくると輪舞曲を踊ると、ようやく崇剛の笑いは収まってきた。
女性的な雰囲気に変わってしまった彼は、胸へ落ちてきてしまった紺の髪を、神経質な手で背中へ払いのけ、優雅で遊線が螺旋を描くような声で、自分らしさを取り戻した。
「こちらのような感じでしょうか? ラジュ天使の真似はやはり難しいですね。ラジュ天使は嘘をつくという傾向があるため、情報が正しく入ってきませんからね。言葉遣いに違和感はないのですが……」
国立の真似をした夜が色濃く蘇る。あの言い回しは、かなり無理があったと、自分自身にダメ出しをして、優雅に微笑んだ。
そうして結局、心霊事件は真の解決を迎えられず、シュトライツ王国の崩壊への序曲が何に関係するのかも明らかにならないまま、半年近くの月日が過ぎてゆくのだった――
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