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最後の恋は神さまとでした
天才軍師の結婚/1
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明智家分家、ある日の夕方。
「全員、集まりなさい」
明智の家長がこの家にやってくるのは珍しいことだった。しかも、集まった配偶者は全員畳の上に正座させられた。そして、
「これ以上結婚するのは控えなさい――」
家長に反対する権限などなく、全員がうなだれ従うしかなかった。確かにバカ騒ぎがすぎたのだ。
そんな様子を魂を飛ばして見ていたおまけの倫礼は、妙な納得声を地球で上げた。
「そりゃそうだよね。だって、半年もたたないうちに、配偶者が十二人になってしまうんだから、さすがに結婚しすぎでしょ」
まだ叶わぬ想いを抱いている配偶者たちがいたが、愛は実らないまま、時が過ぎていきそうになっていた。
*
ひとまず、結婚式は十二月二十八日が最後になる。明引呼とその妻と子供たちが新しく増える。その方向でみんな落ち着いた。
結婚してからも倒れることが多い光命だったが、いつも様子を見ていた焉貴が言った。
「俺も光と似てるところがあるって思うけどね。あまり頭で押さえ込まないほうがいいみたい」
「そうですか」
我慢をしているからおかしくなるようだった。おまけの倫礼はそばで聞いて、にっこり微笑む。
「光さん、こんな結婚をしたからこそ、貴重な意見が聞けましたね。これで気絶しない方向に進むといいですね」
「えぇ、みなさんと神に感謝しなければいけませんね」
光命は幸せだと本当に思った。たくさんの愛が神によってもたらされて、感謝しても仕切れない毎日なのだ。
頭の中で電球がピカンとついたようにひらめいた、おまけが話し出した。
「あとは、今ふと思いついた方法なんですけど……」
「どのようなことですか?」
「光さんと気の流れが似ていて、同じような考え方をする孔明さんという人がいます。知ってますか?」
「いいえ」
光命の紺の長い髪が横へ揺れた。どうか気絶をせずに、普通の生活が送れるようにと、おまけの倫礼は強く願う。
「その人、私塾をやってるんですよ。だから、習いに行けば、考え方がわかって、気絶する回数が減るかもしれないです」
「調べてみましょうか」
光命は携帯電話を取り出して、冷静な水色の瞳にしばらく映していた。
「どうでした?」
「申し込はしたのですが、十二月の第二週にならないと空きがありませんでした」
昔、コウから聞いていた私塾の話。その時も盛況だったが、十四年経った今も相変わらずという、神界の永遠という法則が倫礼に突きつけられた。
「やっぱり人気なんですね。それまでは、気をつけながら過ごしましょう」
「えぇ、そうですね」
こうして、光命が孔明の生徒になる日が近づいていき、大先生のノウハウを受け継ぐと約束されていたはずだった。
*
真紅の絨毯が真っ直ぐ伸びた、謁見の間。皇帝陛下は今日も人々の話を聞くために、玉座に堂々たる態度で座っている。予約制で訪れることができる場だが、今日は陛下から直々に呼ばれた、漆黒の長い髪を持つ男が跪いていた。
孔明の瑠璃紺色の瞳に映るのは真紅の絨毯ばかり。皇帝陛下の威厳のある声が響いた。
「孔明、そなたに命令を下す」
「はい」
「その考え方を世に広めよ。この次元にある遠くの宇宙まで講義に行け」
「はい」
「ただし、一緒に連れていける者は家族だけとする。以上だ」
最後の言葉がやけに浮き彫りになった。孔明はいつも可能性で導き出しているのだから、驚くことは起きない。しかし、結婚を促すような話で、陛下のお考えがわかりかねるのだった。
しかし、ここは帝国。陛下の命令は絶対で、逆らうわけにはいかない。そのまま命令を受けて謁見の間を後にした。
「全員、集まりなさい」
明智の家長がこの家にやってくるのは珍しいことだった。しかも、集まった配偶者は全員畳の上に正座させられた。そして、
「これ以上結婚するのは控えなさい――」
家長に反対する権限などなく、全員がうなだれ従うしかなかった。確かにバカ騒ぎがすぎたのだ。
そんな様子を魂を飛ばして見ていたおまけの倫礼は、妙な納得声を地球で上げた。
「そりゃそうだよね。だって、半年もたたないうちに、配偶者が十二人になってしまうんだから、さすがに結婚しすぎでしょ」
まだ叶わぬ想いを抱いている配偶者たちがいたが、愛は実らないまま、時が過ぎていきそうになっていた。
*
ひとまず、結婚式は十二月二十八日が最後になる。明引呼とその妻と子供たちが新しく増える。その方向でみんな落ち着いた。
結婚してからも倒れることが多い光命だったが、いつも様子を見ていた焉貴が言った。
「俺も光と似てるところがあるって思うけどね。あまり頭で押さえ込まないほうがいいみたい」
「そうですか」
我慢をしているからおかしくなるようだった。おまけの倫礼はそばで聞いて、にっこり微笑む。
「光さん、こんな結婚をしたからこそ、貴重な意見が聞けましたね。これで気絶しない方向に進むといいですね」
「えぇ、みなさんと神に感謝しなければいけませんね」
光命は幸せだと本当に思った。たくさんの愛が神によってもたらされて、感謝しても仕切れない毎日なのだ。
頭の中で電球がピカンとついたようにひらめいた、おまけが話し出した。
「あとは、今ふと思いついた方法なんですけど……」
「どのようなことですか?」
「光さんと気の流れが似ていて、同じような考え方をする孔明さんという人がいます。知ってますか?」
「いいえ」
光命の紺の長い髪が横へ揺れた。どうか気絶をせずに、普通の生活が送れるようにと、おまけの倫礼は強く願う。
「その人、私塾をやってるんですよ。だから、習いに行けば、考え方がわかって、気絶する回数が減るかもしれないです」
「調べてみましょうか」
光命は携帯電話を取り出して、冷静な水色の瞳にしばらく映していた。
「どうでした?」
「申し込はしたのですが、十二月の第二週にならないと空きがありませんでした」
昔、コウから聞いていた私塾の話。その時も盛況だったが、十四年経った今も相変わらずという、神界の永遠という法則が倫礼に突きつけられた。
「やっぱり人気なんですね。それまでは、気をつけながら過ごしましょう」
「えぇ、そうですね」
こうして、光命が孔明の生徒になる日が近づいていき、大先生のノウハウを受け継ぐと約束されていたはずだった。
*
真紅の絨毯が真っ直ぐ伸びた、謁見の間。皇帝陛下は今日も人々の話を聞くために、玉座に堂々たる態度で座っている。予約制で訪れることができる場だが、今日は陛下から直々に呼ばれた、漆黒の長い髪を持つ男が跪いていた。
孔明の瑠璃紺色の瞳に映るのは真紅の絨毯ばかり。皇帝陛下の威厳のある声が響いた。
「孔明、そなたに命令を下す」
「はい」
「その考え方を世に広めよ。この次元にある遠くの宇宙まで講義に行け」
「はい」
「ただし、一緒に連れていける者は家族だけとする。以上だ」
最後の言葉がやけに浮き彫りになった。孔明はいつも可能性で導き出しているのだから、驚くことは起きない。しかし、結婚を促すような話で、陛下のお考えがわかりかねるのだった。
しかし、ここは帝国。陛下の命令は絶対で、逆らうわけにはいかない。そのまま命令を受けて謁見の間を後にした。
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