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リレーするキスのパズルピース
魔法と結婚/9
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だが、独健は心の中で、猛抗議だった。
(いやいや! ノーコメントで、微笑まれだだけじゃわからないんだよな。言葉少なっ! リアクション、超薄っ! だが、これを理解しないといけない。俺もお前のこと……す……好き……なんだからな。それでも、わからないところが今あったから、確認しておくか)
独健はとうとう核心に迫った。
「お前、さっきから、『そうなっていた』の繰り返しなんだが、具体的にそこを教えてくれないか?」
蓮の顔はすっと真顔に戻ったが、すぐにそこは通り過ぎて、超不機嫌になり、怒りという火山を大噴火させて、独健に人差し指を突きつけた。
「……なぜ、俺の気持ちを聞いてくる! それを俺に説明させようとは、お前どういうつもりだっ! 俺がどんな言葉を使おうと、お前には関係ないだろうっっ!」
火がボウボウと燃える。というよりも、大地をグラグラと揺れ動かすような怒り。独健はびっくりして、言葉をつまらせた。
「きゅっ、急に長々と話し出して、お前を理解するのは難しいな」
だが、生きている長さが違う。相手は八年。自分は二千三十六年だ。十分自覚している、自身には優しすぎるところがあると。だから、相手にさっきから黙って合わせてきた。
しかし、ここはきっちり言わなくてはいけない。仏のような気持ちでわざとしていたおどおどを、独健は一気に消し去った。若草色の瞳は真っ直ぐ見つめ返し、少し鼻にかかる声はハキハキと伝える。
「だけど、これだけは言える」
「何をだ?」
今度は独健の怒号が、楽屋の外まで届くようにはじけ飛んだ。
「関係なくないだろうっ! お前と俺の仲なんだから。何のために、お前と苗字が一緒になったと思ってるんだっっ!」
「…………」
蓮は無言。ここは反省中。配偶者に、愛する夫に対する想いを聞かれて、答えないとは、いくら優しい独健でも怒るだろう。しかも、自分と関係ないと言うとは。
独健の話は身振り手振りで、まだまだ熱く語り中。
「明智家ブームに乗って、家名が欲しくて婿養子にきたんじゃないんだ。みんな、本気でお前のところにきたんだろう? ただ、ブームが今起きてるって話だけだろう」
この家系、ここの世界で大ブームが起きていて、養子、嫁、婿養子……とにかく明智一門になれるならと、願い出る人が続出。それでは、誰でもなれるかと言ったらそうではない。その人と、すでに一員となっている全ての人が、今よりも幸せになれると判断した人だけが、招き入れられる。
彼らが結婚したのも、自分の思慕や欲望を満たすためではない。全員が、愛する家族みんなが幸せになると判断して、プロポーズを受けて、式を挙げているのだ。
この世界には、自分の損得で動く人はいない。いや、そういう人もこの世界で存在することは、やはり神に赦されていないのだ。
蓮の鋭利なスミレ色の瞳は独健から外れ、楽屋のドアノブの丸い光を眺めていた。指先で唇に触れて、そしてやはり、この時間がやってきてしまった。
「……………………」
いくら夫になったとしても、意味不明である。アイコンタクトもできない。口も動かない。地球一個分の広さもある多目的大ホールの隅々に届くほど、独健は力の限り叫んだ!
「だから、今度は何の間だっっっ!!!!」
そうして、蓮の奥行きがある少し低めの声がたった一言を告げた。
「帰る」
「だから、ゴーイングマイウェイすぎだろう! 俺の――」
どこに行くのかわからず、独健の大声が楽屋に響き渡っていたが、ふたつの結婚指輪が重なるように手を握られ、瞬間移動で消え去った。
(いやいや! ノーコメントで、微笑まれだだけじゃわからないんだよな。言葉少なっ! リアクション、超薄っ! だが、これを理解しないといけない。俺もお前のこと……す……好き……なんだからな。それでも、わからないところが今あったから、確認しておくか)
独健はとうとう核心に迫った。
「お前、さっきから、『そうなっていた』の繰り返しなんだが、具体的にそこを教えてくれないか?」
蓮の顔はすっと真顔に戻ったが、すぐにそこは通り過ぎて、超不機嫌になり、怒りという火山を大噴火させて、独健に人差し指を突きつけた。
「……なぜ、俺の気持ちを聞いてくる! それを俺に説明させようとは、お前どういうつもりだっ! 俺がどんな言葉を使おうと、お前には関係ないだろうっっ!」
火がボウボウと燃える。というよりも、大地をグラグラと揺れ動かすような怒り。独健はびっくりして、言葉をつまらせた。
「きゅっ、急に長々と話し出して、お前を理解するのは難しいな」
だが、生きている長さが違う。相手は八年。自分は二千三十六年だ。十分自覚している、自身には優しすぎるところがあると。だから、相手にさっきから黙って合わせてきた。
しかし、ここはきっちり言わなくてはいけない。仏のような気持ちでわざとしていたおどおどを、独健は一気に消し去った。若草色の瞳は真っ直ぐ見つめ返し、少し鼻にかかる声はハキハキと伝える。
「だけど、これだけは言える」
「何をだ?」
今度は独健の怒号が、楽屋の外まで届くようにはじけ飛んだ。
「関係なくないだろうっ! お前と俺の仲なんだから。何のために、お前と苗字が一緒になったと思ってるんだっっ!」
「…………」
蓮は無言。ここは反省中。配偶者に、愛する夫に対する想いを聞かれて、答えないとは、いくら優しい独健でも怒るだろう。しかも、自分と関係ないと言うとは。
独健の話は身振り手振りで、まだまだ熱く語り中。
「明智家ブームに乗って、家名が欲しくて婿養子にきたんじゃないんだ。みんな、本気でお前のところにきたんだろう? ただ、ブームが今起きてるって話だけだろう」
この家系、ここの世界で大ブームが起きていて、養子、嫁、婿養子……とにかく明智一門になれるならと、願い出る人が続出。それでは、誰でもなれるかと言ったらそうではない。その人と、すでに一員となっている全ての人が、今よりも幸せになれると判断した人だけが、招き入れられる。
彼らが結婚したのも、自分の思慕や欲望を満たすためではない。全員が、愛する家族みんなが幸せになると判断して、プロポーズを受けて、式を挙げているのだ。
この世界には、自分の損得で動く人はいない。いや、そういう人もこの世界で存在することは、やはり神に赦されていないのだ。
蓮の鋭利なスミレ色の瞳は独健から外れ、楽屋のドアノブの丸い光を眺めていた。指先で唇に触れて、そしてやはり、この時間がやってきてしまった。
「……………………」
いくら夫になったとしても、意味不明である。アイコンタクトもできない。口も動かない。地球一個分の広さもある多目的大ホールの隅々に届くほど、独健は力の限り叫んだ!
「だから、今度は何の間だっっっ!!!!」
そうして、蓮の奥行きがある少し低めの声がたった一言を告げた。
「帰る」
「だから、ゴーイングマイウェイすぎだろう! 俺の――」
どこに行くのかわからず、独健の大声が楽屋に響き渡っていたが、ふたつの結婚指輪が重なるように手を握られ、瞬間移動で消え去った。
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