【R18】悪役令嬢の夢渡り

クロキ芽愛

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番外編

IFアーベルト編【後編】

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ティアーヌが現状を理解した時には、すでにティアーヌは逃げられない状態だった。
アーベルトがティアーヌを後ろから抱きしめるようにくっついている。
ティアーヌは真顔で呟く。

「どうしてこんなことに……」
「それはーこれが人目を気にせずティアーヌと密着できる合法的な方法だから?」

耳元で囁かれてむずがゆくなる。けれど、下手に動くこともできない。なぜならば、

「だからってなんでいきなり馬なのよ! というかあなたが馬に乗れることにもびっくりよ!」

そう、今二人は馬に乗っているのだ。ティアーヌを前に乗せ、アーベルトは後ろから手綱を握っている。意外にも馴れた手つきだ。

「あー、なんかねー。昔からなぜか俺って動物になつかれやすくてさー。実は家の目を盗んで何度も馬に乗ってたんだよね。俺だけだったらこんなのなくても乗れるんだけど……今日はティアーヌも一緒だから一応ね」

情報過多によりティアーヌは深く考えることを放棄した。そういえば、上背があるアーベルトが小動物達に囲まれている姿は尊い……だとかなんとか騒いでいる女子達がいたなと思い出す。まさか、馬にも好かれるとは。

「はぁ……なるほどねー」

なんとなく納得できたようなそうでないような。とにかく、動物に好かれるというのは……ちょっと羨ましいかもしれないなとティアーヌが考えている間にもアーベルトは馬を走らせる。
次第に人気が無くなり、緑が多い場所へと……森の中へと入っていく。

ある程度まで入ると馬は足を止めた。小動物達がいたが、不思議なことに逃げ出す様子はない。

――――これもアーベルトの体質のおかげかしら。

マイナスイオンが漂っていそうな自然に囲まれた空間。ティアーヌは深呼吸をした。
澄んだ空気が身体に入っていき、自ずと肩の力が抜けていく。

「ここ、息抜きしたくなった時によくくるんだー。いいでしょ」
「ええ、そうね。すごく素敵な場所だわ」

馬は二人が降りるとどこかへ行ってしまった。ティアーヌは驚いて馬を追いかけようとしたが、アーベルトから手を引かれ止めた。

「大丈夫。彼女もここには慣れてるから。俺達が帰る頃になったら、ひょっこり戻ってくるよ」
「そう」

アーベルトが大丈夫というなら大丈夫なのだろう。アーベルトから手を引かれて散策を始める。

さわさわと木々が揺れる音と小動物達の鳴き声。非日常的空間。ティアーヌはこのひと時を心の底から楽しんでいた。

「ティアーヌ。この先は俺の一番のお気に入りの場所なんだよ。ここを知っているのは俺と……ティアーヌだけ。他の人には秘密だからね」
「う、うん。わかった」

けもの道を抜けた先にあったのは、小さな湖だった。ここに通じる道は普通の人間なら道だと判断できないような道だった。しかも、湖の周りには目隠しのように木々が密集している。アーベルトが言った通り、に他の人間はこの場所をしらないかもしれない。

暖かな日差しが降り注ぎ、動物たちが戯れている様子はまるで一枚の絵画を見ているようだ。

――――ここにいるだけで心が洗われそう。

ここまで連れてきてくれたアーベルトにお礼をしようと顔を向けると、こちらを愛おしそうに見つめる目とあった。ドキリと胸が高鳴る。その鼓動に自分でも驚き、そしてようやく腑に落ちた。

――――ああ、そうか。私は自分が思っているより傷ついていたんだ。アーベルトから避けられていたことが……。

同時に自分の気持ちを自覚する。

「私、アーベルトのこと好きみたいだわ」

自分の鈍さ加減がなんだか面白くて笑いながらアーベルトに言った。今日の天気を告げるくらいの軽い口調だったせいかアーベルトはきょとんとした顔をして、次の瞬間顔を真っ赤に染め上げた。
その変化が面白くてさらにティアーヌは笑い声を上げる。
アーベルトは普段の余裕を無くし、真っ赤な顔でティアーヌを睨みつけた。

「なんで先に言うのさ! せっかく俺がここでビシッと伝えようと思っていたのに! でも、俺の方がティアーヌのこと好きなんだからね!」

ふん、と拗ねたように言うアーベルトに愛しさが込み上げてきて勢いに任せて抱きついて見上げる。普段なら絶対しない行動だが、今は誰も見ていないのだからいいだろう。

「ふふふ、それはどうかしらね」
「あーもうなんなの……ティアーヌが可愛いすぎてツライ」
「ふふふってまって……うぐっ、アーベルト力が強っん!」

抱きしめ返してきたアーベルトの力が強すぎて抗議しようと顔を上げれば噛みつくような口づけが降ってきた。
苦しくてヨロヨロと後ろに下がれば背中が木に当たり、押し付けられるようにして深い口づけをされる。
ちょっとまって欲しいと腕を叩いてみたが、止まる気配はいっさいない。
このままだと酸欠で倒れる……という頃、やっと離れた。
息も絶え絶えにアーベルトを見れば、そこにはティアーヌへの欲情を隠しもせずにギラギラとした視線を向ける男がいた。

「え?! ま、まさかここで何かするつもりじゃないわよね」
「俺ずっと我慢してた。だからもう我慢出来ないっ」
「そ、それはあのっんぐっ」

言うが早いかアーベルトはティアーヌの唇を奪った。悔しいがアーベルトの技巧はやはりすごい。処女のティアーヌが太刀打ちできるわけもない。

アーベルトとの口づけで翻弄されている間に、上の服ははだけられティアーヌの柔肌にアーベルトの手が伸びる。

やわやわと胸を揉まれ、繊細なタッチで立ち上がってきた胸の先っぽを弄られる。もどかしい、けれど適度に与えられる快感にティアーヌは子宮が疼き始めていることに気づいた。

胸の突起に吸い付いてくる頭を抱え、ティアーヌは声を押し殺そうと必死に絶える。この場には動物達しかいないとはいえ、外でこんなことをすることが信じられない。
けれど、それに興奮してしまっているのも事実。

「んっう!」

ゆっくりとアーベルトが口を離す。思わずその動作につられてみてしまった。
自分の乳首がねっとりとしつこく繰り返される愛撫によって、ぷっくりと立ち上がり、アーベルトの唾液によってテカテカと光っているのを。
あまりの卑猥な光景にティアーヌは視線をそらし目を閉じようとする。

「あっ!」

けれど、それを許さないとでも言うように今度は強烈な快感が下半身を襲い涙を浮かべた。木にもたれかかっているティアーヌは今にも倒れそうだ。
実際、アーベルトがソコにいなければ崩れ落ちていたことだろう。
アーベルトの器用な指先は膣内のイイところを責め、秘芽を吸い上げながらときおり熱い舌先クリクリといたぶる。ポタポタと愛液がアーベルトの顔を汚すがそんなこと構わないとばかりに夢中になっている。
ティアーヌの足はすでに限界を迎えガクガクと揺れていた。

「もう許して、また、イッちゃうのっ!」

小さな悲鳴を上げながら、ティアーヌはアーベルトの頭に押し付けるようにして達した。肩で息をするティアーヌを支えながらその身をひっくり返し、今度は両手を木について身体を支えるように誘導した。
それがどういう意味なのかとティアーヌが気がついた瞬間、後ろから熱い塊が最奥を貫いた。息が詰まる。ハクハクと口を動かすティアーヌの耳元でアーベルトが囁く。

「くっ。ティアーヌの中最高。ティアーヌも気持ちいみたいだね。よかった。ここ、すごいキュンキュン締め付けてきてる」

反論しようとした瞬間、律動が始まる。パンパンと激しい音とティアーヌの嬌声が混じり合う。なんとか声を抑えようとすると、アーベルトの手が秘芽に伸び強烈な刺激を与える。しかも、中のいいところを的確に抉ってくる。圧倒的な経験値の差を前にしてティアーヌが耐えられるわけもなかった。

「あうっあっあー!」
「すげー。俺ら相性バッチリだねー。ああ、このままずっとこうしていたいなー。……うん。やっぱり早めに式は挙げたほうがよさそうだね」

なでなでとティアーヌの下腹部を撫でる。それだけでティアーヌの身体がビクリと揺れた。
アーベルトはうっとりとした表情を浮かべ、ティアーヌの身体を抱きしめると奥へと己の肉棒を突き入れた。熱いモノが先っぽから奥を目指して飛び出していく。それを手助けするかのようにアーベルトは腰をグリグリとティアーヌに押し付けた。

「っ?! 熱いのがっいっぱいっ」

よっぽど溜めていたのか……元々多いのかわからないが、すごい量がドクドクとティアーヌの中に注がれていく。熱い飛沫を受けて喜ぶティアーヌの身体。
しばらくして、アーベルトは再び動き出した。今までの経験を活かしてティアーヌを翻弄する。

――――ティアーヌの身体……もう俺に馴染んできている。嬉しいな。もっと俺に染まって欲しい。ああ、俺の腕の中で鳴いているティアーヌをずっと見ていたい。

それから、数ヶ月後。学生という身でありながらティアーヌは式をあげることになる。理由は言わずもがなだ。

「男の子かなー女の子かなー? 楽しみだなー。ティアーヌに似た子だといいなー」
「そう? 私はアーベルトに似た子がいいけど」

きっと才能にあふれた子になるだろう。そう言えばアーベルトは照れくさそうに微笑んだ。

「ティアーヌが望むならそれもいいね。でも、やっぱり俺はティアーヌに似た子も欲しいから……頑張ろうね!」

満面の笑みで言われ、ティアーヌは頬を引く付かせながらも頷いた。
有言実行……。ティアーヌ・ユリクスとアーベルト・ユリクスは子宝に恵まれ生涯幸せな日々を送ったという。
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