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番外編

IFホルン編【後編】

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そういえば、と気がついたことがある。
ホルンは今日一度も、ティアーヌに触れてこない。 
普段は隙あらばどこかしら触れてくるのに今日はそれがない。二人きりなのだからそんな隙はいくらでも生れるだろうに、そんな気配すらない。

そのことに気づいてしまえば、何故か気になってたまらなくなった。
――――もう、私には興味がないのかしら。
こうしてデートはしているのだからそんなことはないのだろうけど、『何故触れてくれないのか』気になり、不安になってくる。
そんなことを思う自分すら理解できずティアーヌの表情は次第に曇っていった。
  
ホルンはティアーヌの表情の変化にすぐに気づいた。けれど、その原因に心当たりはない。デート自体は楽しんでいるようだし、何故そんなに思いつめた表情を浮かべているのか。
考えても分からないのならばと、直情型のホルンは直接ティアーヌに尋ねることにした。

「何かあったか?」
「え?! な、何が?」

あからさまな反応にホルンは眉を寄せて立ち止まる。ティアーヌも合わせて立ち止まりホルンを見上げた。ホルンは溜息を吐き、ティアーヌを真っすぐに見つめる。

「おまえ、今自分がどんな顔してんのかわかってないのか? 俺にもわかるくらい『不安』だって顔に書いてるぞ。……俺には言えねーのかよ。そんなに俺は頼りないか?」

どことなく悲しそうなホルンの眼差しにティアーヌは言葉に詰まる。迷った末、口を開いた。

「……何で、触れないの?」
「は?」
「だ、だから……何で今日は私に触れないの? 普段はベタベタ触ってくるくせに! 今日は一度も触れてこないじゃない!」
やけくそ気味に言い放ったティアーヌ。ホルンはティアーヌの言葉を飲み込むのにしばらく時間がかかった。ようやく理解し、信じられないものを見るような目をティアーヌに向けて逆に問いかけた。

「おまえは嫌じゃねぇのかよ? 俺はバカだからよ。きっと、一度触ったら手を出しちまう。誰も止めるやつがいねえ中、二人でいて、おまえに触れて抑えきれる自信がねえ……。きっとおまえが嫌がっても止められない……。だから、我慢、してたんだよ」

ティアーヌは、ホルンの言い分を聞いてしばらくの間ホルンをジッと見つめていた。ホルンの瞳が希望と不安がないまぜになって揺れている。そんなホルンがなんだか可愛くて、ティアーヌはわざと仕方ないなーという風に息を吐いて笑った。

「馬鹿ね。脳筋馬鹿」
「は、はぁ!?」
「脳筋馬鹿のくせにいろいろ考えすぎなのよ」

ホルンのらしくない気遣いになぜか目頭が熱くなったが、そんなことはおくびにも出さずに微笑んで、ティアーヌは自分からホルンの胸に抱きついた。
ホルンは予想外のことに硬直する。ティアーヌはそんなホルンを愛しく思い、ホルンの胸に額を押し当てて目を閉じたまま呟いた。

「でも……私はそんなホルンが好きみたいだわ」
「!? お、おおおおおおおお!」
「ちょ、うるさいわよ!」

いきなり雄叫びをあげたホルンからティアーヌは慌てて離れる。
ホルンはカッと目を開き、ティアーヌを抱きかかえると走り出した。
ティアーヌは抗議しようと口を開いたが、あまりの速さに舌を噛みそうだと判断し、すぐにまた閉じた。

ホルンはティアーヌを抱えて恋人同士が訪れる宿屋に突撃した。
ティアーヌがそういう宿だと認識するより速くホルンは部屋に入るとベッドにティアーヌを押し倒した。気づいた時にはもう逃げられない早業だ。

――――て、展開が早すぎない?!

どれだけ我慢してたんだこの男とティアーヌは頬をひくつかせた。ホルンはティアーヌの様子を気にもせず顔を近づけ、鋭い視線でティアーヌを捕らえて言う。

「手に入ったのなら遠慮はしねえ。おまえは、ティア俺のもんだ」

ティアーヌの言葉を待たずしてホルンは唇を重ねた。  

「んうっ!」
「ああ、本物のティアだ。んっ。もっとだ。もっと味わわせろ」
「ふあっ。んん!ぅん、っ!」

本物の男を知らない筈の身体だが、夢渡りの影響で快感を覚えているようだ。この先を期待して身体がピクンピクンと動く。堪らずホルンは剥ぎ取るようにティアーヌの服を脱がした。

素肌に空気が触れたと思った瞬間、乳首が食べられるようにホルンの口の中へと消える。
まさにむしゃぶりつくと言う表現が相応しいくらいの激しさで責められる。

「あ! そんないきなり吸っちゃ!? ああっ!」
「はっ、もうすげービンビンじゃんっ」

ホルンの唾液でテラテラに光った乳首は赤く色づき立ち上がっている。舌先でいたぶりつつ、先程から擦り合わせている足を手で押し開く。
下着の上から濡れている場所をなぞった。

くちゅり

水音が耳に届き、羞恥心からティアーヌは顔を真っ赤に染めた。ホルンが興奮して熱い息を吐く。

「コレで処女とかたまんねえな。……本当にいいのか? 今なら、俺はなんとか耐えられるぞ。この先は止まらねえからな。俺のものに何がなんでもするぞ」

最終宣告のつもりだったのだが、ティアーヌは間髪入れずに肯定の意を返した。

「ホルンが、いい。……でも、出来るだけお手柔らかにお願いしますっ。て、っんぁ!」

ティアーヌの言葉を聞いた瞬間、ホルンはニヤリと笑い、下着をずらして指で直接秘部に触れた。秘芽と秘裂を指先で擦るように激しく動かす。腰が揺れる。次第に緩んできた入口に指を挿し入れた。処女なだけあってキツいが、しっかりと濡れている。

「処女なら、出来るだけほぐさねえとな」

そう言ってホルンはティアーヌに口付けすると、身体が緩んだ隙を狙ってティアーヌの中をかき回しイイところを探った。とはいえ、すでに夢渡りでティアーヌの弱点はある程度予習済みだ。
案の定、ある箇所を擦ればティアーヌの身体が大きく跳ねた。

「んあ! やだ、そこ! ダメっ! ダメっな、の!」
「大丈夫だから一回イッとけ! こんなにぐちょぐちょのくせにっ我慢せずにイケっ!」

イイ所を執拗に擦られ、秘芽も摘まれ、同時に刺激を受けたティアーヌの身体は我慢できずに達した。身体をびくつかせながらもティアーヌは酸素を求めて呼吸を繰り返す。
ようやく落ち着いてきた、と思った瞬間、指とは比べ物にならない大きさのモノがティアーヌの中に入ってきた。
痛みが走り、ティアーヌは叫びにならない叫び声をあげる。


「くっ……わりっ、一気のほうがいいかと思って……大丈夫か?」

ホルンは動かずにティアーヌの様子を伺う。

「ぅーっ。痛いわよ馬鹿っ。でも、……痛いけど、なんか嬉しいかも。それより、ホルンもキツそうだけどっ大、丈夫?」
「おまっ。可愛すぎだろ。俺は、大丈夫だ。ただ、おまえの中、すげえ狭くて……すぐ持っていかれちまいそうだっ。ぐっ」

顔を顰めながら必死で耐えている様子のホルンに、ティアーヌの胸はキュンと締め付けられる。――――我慢苦手な癖に……。
まだ痛みは引いていないが、なんだか気持ちよさも押し寄せてきた。無意識にさらなる快感を求めて腰が揺れ始める。

「うぐぐっ。おま、それ反則」
「え……ふふ、ホルン?」
「な、んだよ」
「いいよ。好きなように動いて」

ティアーヌは上半身だけを起こしてホルンに口づける。おあずけを解除されたホルンは「くそっ」と悪態つくとティアーヌの腰を持って打ち付け始めた。

「ひゃあっ!」
「煽ったこと、後悔すんなよっ! たっぷり付き合ってもらうから、なっ!」

そう言いつつも、ティアーヌにできるだけ痛みを与えないようにとホルンは口や手を使って乳首や秘芽もいじる。
初めてだというのにティアーヌは激しい快楽の波に責められ、何度も達した。
それでも、ホルンの責めは止まない。激しい水音と荒々しい吐息が部屋に響き続ける。

ホルンはようやくやってきた限界を前に、ティアーヌの身体を抱きしめると最奥を目指して己の肉棒を突き入れ、ブルリと身体を震わせて中に熱いものを噴出した。中に出されることは予想していなかったティアーヌは驚きと中に出された刺激とで目を見開きのけ反って達した。ティアーヌの膣内がホルンの肉棒から子種を搾り取るように蠢く。達したばかりで敏感になっているホルンは小さく唸り声を上げる。

乱れた呼吸が多少落ち着いてくるとティアーヌはホルンの胸を押して睨みつける。

「何、考えてるのよっ。はぁっ、んっ、中、に出すなんてっ」
「わりいな。抜けなかった。はぁっ。でも、もし出来ても俺はかまわねえよ」

満足気に微笑み、己の肉棒を抜くどころかいれたままティアーヌを抱きしめ足を絡める。ティアーヌはどうにか抜こうとしていたモノを再び入れられ、不意打ちの刺激に達したばかりの身体をびくつかせた。
そんなティアーヌの反応にホルンはニヤリと笑う。

「ティアのガキならぜってぇ可愛いぜ。楽しみだな」

再び硬さを取り戻したホルンの肉棒はすでに準備万端のようだ。え、と固まるティアーヌをよそにホルンは律動を始めた。二回目とは思えない、激しく濃厚な交わり。

「も、くる、し! っも、うや、らあ! また、熱いのキタァっ! イッちゃうっ! んんん!」
「ああ、何度もイケッ! ここにいっぱい注いでやるから!」

結局、ティアーヌは、気を失うまでホルンに付き合わされた。

不可抗力でお泊りとなり、朝を迎えたティアーヌは呆然自失となっていた。
恐る恐る帰宅した家の前には亡霊のように目の前に隈をこさえたノアークが立っていた。

二人の顔を見た瞬間に理解したノアークはブチギレ、ホルンに飛びかかり、好戦的なホルンもその戦いを受け入れた。激しい戦いに家令達も出てきて大惨事だ。
堪忍の緒が切れたティアーヌは般若の形相で二人を怒鳴りつけ、さすがの二人とも静かになった。

ようやく落ち着いたと安堵の息を吐いたティアーヌだったが、この時はまさかこれが毎週の恒例行事になるとは思っていなかった。ティアーヌとホルンの結婚が決まり、子供ができるまで続くとは全く予想していなかったのであった。
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