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六
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朝からサラの部屋には入れ代わり立ち代わりメイド達が出入りしていた。部屋の主であるサラは身支度を終え、無表情で椅子に座っている。
――――お母様には言えないけど……正直もう疲れた。
まだ出かけてもいないのに準備だけで疲労感がすごい。どうして貴族っていうのはこんなに外見を繕わないといけないのだろうか。サラとて公爵家の令嬢。そういうものだと理解はしている。が、どうしても前世の記憶が蘇ってきて邪魔をする。軽装かつ実用性のある服を着たい。
鏡に映った自分を見つめる。サラの好みが反映されたコーディネートだ。触り心地の良い上質な淡いブルーの生地、リボンやフリルといった装飾は一切つけずに緻密な刺繍だけをあしらった大人っぽい……歳不相応なデザイン。本当はもっと身体のラインが出るデザインにしたかったが、カリンから許可が下りなかった。
残念ながら、この国では未婚女性が露出の激しいものや身体のラインがでるものを着ると下品な女というレッテルを貼られてしまう。特に貴族社会では。
――――『クイーン』というとんでも設定を作ったのなら貞操観念なんて無くせばよかったのに。そうしたら『クイーン』はもっと……
ふと、前任者の顔が頭に浮かんだ。
—―――ヒロインは私よりも年上だけどとても可愛らしい人だった。ピンクが似合う、ふわふわした雰囲気の……まさにヒロインにぴったりな方。直接話す機会はなかったけど、原作通りならおそらく中身も可愛いらしい人だったのだろう。純真で無垢な性格のヒロイン。そんな彼女が快楽に溺れる様は見ごたえがあったけれど、それはあくまでフィクションの中だけの話。もし、本当にそうだったのなら……辛かっただろうな。矛盾だらけのこの世界で『クイーン』として生きるのは。
男爵家で『クイーン』だなんて高位貴族からしてみれば恰好の的だ。私が知っている虐めは原作に載っていたものだけ。おそらく、それだけではなかったはず。実際はもっとたくさんあっただろう。もしかしたら、中には表現するのもおぞましい虐めもあったかもしれない。
サラは息苦しさを覚えた。次の『クイーン』となったサラには他人事ではない。
幸い、サラは公爵家だ。表立って何かをしてくるような輩はいないと思うが……ゼロとはいいきれない。弱気になっている場合ではない。自分の身は自分で守るようにしないと……ヒロインと違ってサラには守ってくれるナイトすらいないのだから。
一瞬、ファビオの顔が浮かんだが、サラはフルフルと首を横に振った。
「サラ、行くぞ」
「はい」
ニーノにエスコートしてもらい、馬車に乗り込む。さすがのニーノも今日は正装に身を包んでいた。ネイビーを基調に、サラにあわせたのか淡いブルーの小物をところどころ取り入れている。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
見惚れていたとは言い辛い。攻略対象だけあってニーノもこうして見ると綺麗な顔立ちをしている。
――――うーん。品のある大人の男性って感じ。中身はただの変人だけど。
サラが視線を外すとニーノはどこからか紙の束を取り出し睨めっこを始めた。
◇
驚いた。やっと王城に到着したと思えば、なぜかアルベルトが待ち構えていた。思わずニーノに視線を向けるが、ニーノは素知らぬ顔だ。
「こっちだ」
アルベルト直々の案内に戸惑いながら後をついていく。通された部屋に入り、サラは顔を顰めた。どういうことかとアルベルトに視線を向ける。部屋の中にはたくさんの絵画が飾られていた。どうみても応接室ではない。言うなれば展示室だろう。まさか絵画自慢でも始まるのだろうか。
アルベルトはとある絵の前で足を止めた。今代の国王陛下の肖像画だ。おもむろに手を伸ばし、絵画の額縁の角を押した。ガガガと鈍い音を立て、隠し通路が現れる。
サラは息をのんだ。王城に隠し通路があるということは知っていた。でも、実際に見るのは初めてだ。なんだかワクワクしてくる。
ただ、それはサラだけだったようで、アルベルトはもちろんのことニーノもなんの反応も示さなかった。
「ついてこい」
「は、はい」
慌ててアルベルトの後を追う。薄暗い通路を進んでいくと、開けた場所に出た。
秘密の花園がそこにはあった。呆気に取られているとアルベルトが話しかけてきた。
「ここを知っているのは王族と限られた者達だけだ」
「そうなんですね」
「代々の『クイーン』達はここをよく利用していた。サラ嬢も好きに使うといい」
「……」
今の一言で美しく見えていた秘密の花園が色褪せた。
「陛下」
「!」
アルベルトが声をかけた先には国王陛下がいた。
慌ててカーテシーをしようとするが、国王陛下から止められた。
「ここではそういうのは必要ない。無礼講の場だ。それよりもさあ、座りなさい」
「はい」
円テーブルの上にはアフタヌーンティーが用意されていた。
緊張しながら椅子に腰掛ける。サラの両隣にアルベルトとニーノが座った。
国王陛下の視線がサラに注がれる。人好きしそうな笑顔を浮かべているが、サラを値踏みしているのがわかる。
「彼女が次の『クイーン』か」
視線はサラを捉えたまま、質問はニーノに向けられた。
「ええ」
ニーノの答えを聞いて、国王陛下は「そうか」と頷いた。
「ニーノがそう言うのなら間違いないだろう。近日中に『クイーン』の交代を発表することにしよう。なに、心配することはない。準備は全てこちらに任せてくれればいい。君を立派な『クイーン』にするのも私達の役目だからね」
そう言って微笑む国王陛下にサラは同じように微笑み返した。
「確か君はアルベルトと同じ学園に通っていたね?」
「はい、そうです」
ふむ、と国王陛下は髭を撫でた。
「ならば、前任同様生徒会に入るといい」
「生徒会にですか?」
「生徒会の特典は『クイーン』にとっても利点が多い。授業の免除、生徒会室の利用。なにより、生徒会メンバーは皆『クイーン』について詳しい。……前任は可哀相なことになってしまったが……幸いなことに君は公爵令嬢だ。前任のようなことにはなりはしないだろう。なあ、アルベルト」
「もちろんです」
硬い声でアルベルトが応えた。満足げに国王陛下が頷く。そして、サラを見た。
「安心して生徒会に入るといい」
サラは開こうとした口を一度閉じた。今口を開けば暴言を吐いてしまいそうだ。一度目を閉じて気持ちを落ち着かせる。国王陛下がこうなのだ。他はもっとだろう。これくらいで動揺していたらキリがない。それに、これはお願いではなく実質命令だ。ここでわざわざ背くメリットがない。
「わかりました。そうします」
サラの返答に国王陛下は満足げに微笑んだ。テーブルの下で握っている拳に力が入る。皮膚に爪が食い込んだ。
「では、私はもう行こう。ニーノ、話があるので付き合ってくれ。サラ嬢はその間アルベルトから生徒会の説明を受けるといい」
「はい」
国王陛下がニーノを連れて出て行く。サラはニーノの背中に『早く帰ってきてね』と念を飛ばし見送った。
残された二人の間には沈黙が訪れる。サラはアルベルトが口を開くのを待った。
「生徒会に入る手続きは私がしておく」
「よろしくお願いします」
「それとサラ嬢」
「なんでしょう」
「学園では私の傍からできるだけ離れないようにしてくれ」
「……なぜですか?」
「近いうちに私の婚約破棄が発表されるからだ」
「え?」
何でもないことのように告げるので聞き逃しそうになった。
サラの困惑はアルベルトにも伝わったらしい。
「ミレーナ嬢を虐めていた筆頭が婚約者だった」
「それで婚約破棄に?」
「……いや。あくまで『ラウラ嬢は未来の王妃の器ではない』と国王陛下が判断されたことが理由だ」
「それはつまり……今回のミレーナ嬢の件とは関係がないと?」
「そういうことだ」
「……まさか、うやむやにして終わらせるつもりですか?」
「……」
沈黙は肯定だろう。
「なぜ? 原因を追究するのではなかったのですか?」
アルベルトの眉間に皺が寄る。深く聞いてはいけないことだとわかっていながら口が止まらない。
「人が一人、しかも『クイーン』が死んだのに?」
「ラウラ嬢が直接の原因とは限らない」
「それはそうですが一因ではあるのでは? ミレーナ嬢を虐めていたことは確かなのでしょう?」
「ああ。だが、ラウラ嬢にとって婚約破棄は充分な罰になるはずだ。聡い者達は気付くだろうし、牽制にもなる」
言いたいことはわかるが、納得はできない。ミレーナ嬢のことを思うとやるせない気持ちになる。
「それで……それで、どうして私がアルベルト様のお傍にいないといけないのですか?」
「今回の件でわかったのだが……ラウラ嬢は少々苛烈な性格をしている。私の隣に自分以外が並ぶのを良しとしない。警告をしてはいるがサラ嬢にも何かしてくる可能性がある」
そんなことは知っていると眉根を寄せた。女性の間では有名な話だ。知らぬは男ばかり。
「それなら、むしろアルベルト様と関わらない方がいいのでは?」
「生徒会にいてそれは無理だ。しかも、私も君も婚約者がいない」
「それは確かに……ですが私はアルベルト様を『ナイト』に選ぶつもりはありませんし、婚約するつもりもありませんよ」
『ナイト』はファビオだけで充分だ。万が一の時には二―ノに頼るかもしれないけど。ヒロインのお下がりをもらうつもりはない。ここははっきりと意思表示をしておかねば。
『クイーン』の性質上、サラが婚約者に選ばれる可能性は限りなく低い。なれても側室止まりだ。アルベルトを『番』に選べばまた話は変わってくるが、サラにその気は全くない。
「ラウラ嬢にその考えが通用すると思うか?」
「……」
確かにそれならそもそもヒロインを虐めないか。
「せめて一人にならないでくれ。なにかあってからでは遅い。もう二度とあのようなことは起きて欲しくないのだ。わかってくれ」
じっとアルベルトに見つめられ、サラは頷き返すしかできなかった。
――――お母様には言えないけど……正直もう疲れた。
まだ出かけてもいないのに準備だけで疲労感がすごい。どうして貴族っていうのはこんなに外見を繕わないといけないのだろうか。サラとて公爵家の令嬢。そういうものだと理解はしている。が、どうしても前世の記憶が蘇ってきて邪魔をする。軽装かつ実用性のある服を着たい。
鏡に映った自分を見つめる。サラの好みが反映されたコーディネートだ。触り心地の良い上質な淡いブルーの生地、リボンやフリルといった装飾は一切つけずに緻密な刺繍だけをあしらった大人っぽい……歳不相応なデザイン。本当はもっと身体のラインが出るデザインにしたかったが、カリンから許可が下りなかった。
残念ながら、この国では未婚女性が露出の激しいものや身体のラインがでるものを着ると下品な女というレッテルを貼られてしまう。特に貴族社会では。
――――『クイーン』というとんでも設定を作ったのなら貞操観念なんて無くせばよかったのに。そうしたら『クイーン』はもっと……
ふと、前任者の顔が頭に浮かんだ。
—―――ヒロインは私よりも年上だけどとても可愛らしい人だった。ピンクが似合う、ふわふわした雰囲気の……まさにヒロインにぴったりな方。直接話す機会はなかったけど、原作通りならおそらく中身も可愛いらしい人だったのだろう。純真で無垢な性格のヒロイン。そんな彼女が快楽に溺れる様は見ごたえがあったけれど、それはあくまでフィクションの中だけの話。もし、本当にそうだったのなら……辛かっただろうな。矛盾だらけのこの世界で『クイーン』として生きるのは。
男爵家で『クイーン』だなんて高位貴族からしてみれば恰好の的だ。私が知っている虐めは原作に載っていたものだけ。おそらく、それだけではなかったはず。実際はもっとたくさんあっただろう。もしかしたら、中には表現するのもおぞましい虐めもあったかもしれない。
サラは息苦しさを覚えた。次の『クイーン』となったサラには他人事ではない。
幸い、サラは公爵家だ。表立って何かをしてくるような輩はいないと思うが……ゼロとはいいきれない。弱気になっている場合ではない。自分の身は自分で守るようにしないと……ヒロインと違ってサラには守ってくれるナイトすらいないのだから。
一瞬、ファビオの顔が浮かんだが、サラはフルフルと首を横に振った。
「サラ、行くぞ」
「はい」
ニーノにエスコートしてもらい、馬車に乗り込む。さすがのニーノも今日は正装に身を包んでいた。ネイビーを基調に、サラにあわせたのか淡いブルーの小物をところどころ取り入れている。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
見惚れていたとは言い辛い。攻略対象だけあってニーノもこうして見ると綺麗な顔立ちをしている。
――――うーん。品のある大人の男性って感じ。中身はただの変人だけど。
サラが視線を外すとニーノはどこからか紙の束を取り出し睨めっこを始めた。
◇
驚いた。やっと王城に到着したと思えば、なぜかアルベルトが待ち構えていた。思わずニーノに視線を向けるが、ニーノは素知らぬ顔だ。
「こっちだ」
アルベルト直々の案内に戸惑いながら後をついていく。通された部屋に入り、サラは顔を顰めた。どういうことかとアルベルトに視線を向ける。部屋の中にはたくさんの絵画が飾られていた。どうみても応接室ではない。言うなれば展示室だろう。まさか絵画自慢でも始まるのだろうか。
アルベルトはとある絵の前で足を止めた。今代の国王陛下の肖像画だ。おもむろに手を伸ばし、絵画の額縁の角を押した。ガガガと鈍い音を立て、隠し通路が現れる。
サラは息をのんだ。王城に隠し通路があるということは知っていた。でも、実際に見るのは初めてだ。なんだかワクワクしてくる。
ただ、それはサラだけだったようで、アルベルトはもちろんのことニーノもなんの反応も示さなかった。
「ついてこい」
「は、はい」
慌ててアルベルトの後を追う。薄暗い通路を進んでいくと、開けた場所に出た。
秘密の花園がそこにはあった。呆気に取られているとアルベルトが話しかけてきた。
「ここを知っているのは王族と限られた者達だけだ」
「そうなんですね」
「代々の『クイーン』達はここをよく利用していた。サラ嬢も好きに使うといい」
「……」
今の一言で美しく見えていた秘密の花園が色褪せた。
「陛下」
「!」
アルベルトが声をかけた先には国王陛下がいた。
慌ててカーテシーをしようとするが、国王陛下から止められた。
「ここではそういうのは必要ない。無礼講の場だ。それよりもさあ、座りなさい」
「はい」
円テーブルの上にはアフタヌーンティーが用意されていた。
緊張しながら椅子に腰掛ける。サラの両隣にアルベルトとニーノが座った。
国王陛下の視線がサラに注がれる。人好きしそうな笑顔を浮かべているが、サラを値踏みしているのがわかる。
「彼女が次の『クイーン』か」
視線はサラを捉えたまま、質問はニーノに向けられた。
「ええ」
ニーノの答えを聞いて、国王陛下は「そうか」と頷いた。
「ニーノがそう言うのなら間違いないだろう。近日中に『クイーン』の交代を発表することにしよう。なに、心配することはない。準備は全てこちらに任せてくれればいい。君を立派な『クイーン』にするのも私達の役目だからね」
そう言って微笑む国王陛下にサラは同じように微笑み返した。
「確か君はアルベルトと同じ学園に通っていたね?」
「はい、そうです」
ふむ、と国王陛下は髭を撫でた。
「ならば、前任同様生徒会に入るといい」
「生徒会にですか?」
「生徒会の特典は『クイーン』にとっても利点が多い。授業の免除、生徒会室の利用。なにより、生徒会メンバーは皆『クイーン』について詳しい。……前任は可哀相なことになってしまったが……幸いなことに君は公爵令嬢だ。前任のようなことにはなりはしないだろう。なあ、アルベルト」
「もちろんです」
硬い声でアルベルトが応えた。満足げに国王陛下が頷く。そして、サラを見た。
「安心して生徒会に入るといい」
サラは開こうとした口を一度閉じた。今口を開けば暴言を吐いてしまいそうだ。一度目を閉じて気持ちを落ち着かせる。国王陛下がこうなのだ。他はもっとだろう。これくらいで動揺していたらキリがない。それに、これはお願いではなく実質命令だ。ここでわざわざ背くメリットがない。
「わかりました。そうします」
サラの返答に国王陛下は満足げに微笑んだ。テーブルの下で握っている拳に力が入る。皮膚に爪が食い込んだ。
「では、私はもう行こう。ニーノ、話があるので付き合ってくれ。サラ嬢はその間アルベルトから生徒会の説明を受けるといい」
「はい」
国王陛下がニーノを連れて出て行く。サラはニーノの背中に『早く帰ってきてね』と念を飛ばし見送った。
残された二人の間には沈黙が訪れる。サラはアルベルトが口を開くのを待った。
「生徒会に入る手続きは私がしておく」
「よろしくお願いします」
「それとサラ嬢」
「なんでしょう」
「学園では私の傍からできるだけ離れないようにしてくれ」
「……なぜですか?」
「近いうちに私の婚約破棄が発表されるからだ」
「え?」
何でもないことのように告げるので聞き逃しそうになった。
サラの困惑はアルベルトにも伝わったらしい。
「ミレーナ嬢を虐めていた筆頭が婚約者だった」
「それで婚約破棄に?」
「……いや。あくまで『ラウラ嬢は未来の王妃の器ではない』と国王陛下が判断されたことが理由だ」
「それはつまり……今回のミレーナ嬢の件とは関係がないと?」
「そういうことだ」
「……まさか、うやむやにして終わらせるつもりですか?」
「……」
沈黙は肯定だろう。
「なぜ? 原因を追究するのではなかったのですか?」
アルベルトの眉間に皺が寄る。深く聞いてはいけないことだとわかっていながら口が止まらない。
「人が一人、しかも『クイーン』が死んだのに?」
「ラウラ嬢が直接の原因とは限らない」
「それはそうですが一因ではあるのでは? ミレーナ嬢を虐めていたことは確かなのでしょう?」
「ああ。だが、ラウラ嬢にとって婚約破棄は充分な罰になるはずだ。聡い者達は気付くだろうし、牽制にもなる」
言いたいことはわかるが、納得はできない。ミレーナ嬢のことを思うとやるせない気持ちになる。
「それで……それで、どうして私がアルベルト様のお傍にいないといけないのですか?」
「今回の件でわかったのだが……ラウラ嬢は少々苛烈な性格をしている。私の隣に自分以外が並ぶのを良しとしない。警告をしてはいるがサラ嬢にも何かしてくる可能性がある」
そんなことは知っていると眉根を寄せた。女性の間では有名な話だ。知らぬは男ばかり。
「それなら、むしろアルベルト様と関わらない方がいいのでは?」
「生徒会にいてそれは無理だ。しかも、私も君も婚約者がいない」
「それは確かに……ですが私はアルベルト様を『ナイト』に選ぶつもりはありませんし、婚約するつもりもありませんよ」
『ナイト』はファビオだけで充分だ。万が一の時には二―ノに頼るかもしれないけど。ヒロインのお下がりをもらうつもりはない。ここははっきりと意思表示をしておかねば。
『クイーン』の性質上、サラが婚約者に選ばれる可能性は限りなく低い。なれても側室止まりだ。アルベルトを『番』に選べばまた話は変わってくるが、サラにその気は全くない。
「ラウラ嬢にその考えが通用すると思うか?」
「……」
確かにそれならそもそもヒロインを虐めないか。
「せめて一人にならないでくれ。なにかあってからでは遅い。もう二度とあのようなことは起きて欲しくないのだ。わかってくれ」
じっとアルベルトに見つめられ、サラは頷き返すしかできなかった。
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