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四
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両親が部屋に突入してくることは予測していた。でも、まさかこんな……
「サラ! 大丈夫?!」
こんなに必死な形相で来るとは思っていなかった、とサラは頬を引きつかせた。
母のカリンは部屋に入ってくるなり、サラの元に駆け寄り、サラの顔を両手で包んだ。そして、右へ左へと半ば強引に向け、じろじろと観察した。
されるがままのサラの顔色が徐々に青ざめていく。
首は痛いし、頭はぐわんぐわんするし、なんだか気持ち悪くなってきた。
「お、お母様、そろそろ放していただけると」
助かります。と言う前にカリンが声を上げた。
「まあ! 健康が取り柄のサラがこんなにやつれるなんてっ」
次いで、地獄の使者のような低い声がカリンの後ろから聞こえてくる。確認するまでもない。父のフランだ。
「あの青二才。次に会ったらただじゃおかない」
サラは慌てて目の前のカリンを押しのけた。
「お父様、誤解です! ファビオは何も悪くありません。私が巻き込んでしまったのが悪いのです。ですからっ」
フランの表情がみるみる変化していく。真顔から泣くのを耐えるような顔になり、怒りを我慢しているような険しいものへと。
あ、コレ逆効果だったかも。とサラが思った時にはフランは踵を返していた。
「ちょっと用事が出来たので出てくる。いや、大丈夫だ。半殺しまでに留めておくからね」
「ぜ、全然大丈夫じゃありません! お母様早くお父様を止めてください!」
「あらあらまあまあ。フラン待ってちょうだい」
カリンの声掛けにフランの足がピタリと止まった。むっとした顔で振り向く。
「いくら君の頼みだって私は止められないぞ。なぜなら私はサラの父だからな」
カリンはフフッと笑うとフランの鼻先を軽く指で押した。そして、軽く睨む。
「サラの気持ちを無視して何が父親ですか」
「ぐっ」
「サラはあなたと私の子ですよ? サラがここまで言うということはそういうことなのでしょう。よかったではないですか。相手が他でもないファビオ君で」
カリンの言葉にフランが悔しげに表情を歪める。
「それは……そうかもしれないが」
「ですから、釘を刺す程度にしておいてくださいね」
叱られた大型犬のようにしょんぼりしているフランにカリンが聖母のような微笑みを見せる。フランは数回目を瞬かせると、真顔に戻り心得たとでもいうように頷き返した。
「では、行ってくる」
「はい。行ってらっしゃいませ」
仲睦まじげな両親のやりとりを見ながら、サラは心の中でファビオに謝罪していた。
フランが出ていくと、カリンはメイドを全員下がらせた。そして、サラの隣に座り溜息を吐く。
「まさか、あなたが『クイーン』になるなんてね」
「……ごめんなさい」
俯くサラの頭をカリンはそっと撫でた。驚いて、ゆっくりと顔を上げる。
「謝る必要はないわ」
「でも……お母様は『クイーン』を嫌っているでしょう?」
直接カリンの口から聞いたわけではない。でも、サラは知っていた。
目を丸くし、息を呑むカリン。
「気づいていたのね」
コクリと頷く。
おそらく気づいているのは私とお父様くらいだろう。
カリンは困ったような表情で微笑むと、意を決したように口を開いた。
「私は……『クイーン』を嫌っているわけではないわ。いえ、『クイーン』の体質そのものに対して嫌悪感を抱いているという意味では間違いないかもしれない。ただ、私が最も嫌悪感を抱いている対象は、『クイーン』ではなく、『クイーン』の恩恵を受けることを当然と考えていながらも、『クイーン』を蔑む人達に対してなの」
そう吐き捨てたお母様はいつもの朗らかな雰囲気とは違い、とても怖い顔をしていた。
でも、その考え方はサラも共感できる。サラが頷き返したのを見たカリンはホッとしたように表情を緩めた。
「昔ね……『偽クイーン』と陰口を叩かれていた時があったのよ」
「『偽クイーン』? お母様が?」
「そう。フランって恰好いいでしょう?」
突然の惚気(?)に戸惑いながらも頷き返す。
「今も充分かっこいいけれど、昔はもっとかっこよかったのよ。今でこそ文官として働いているけれど、結婚するまでは騎士団に所属していたの。しかも、三番隊の副団長」
「え?! 三番隊のですか?!」
「そう。フランは黒歴史だと思っているから知らないフリをしてあげてね」
コクコクと頷く。お父様が……意外だ。
三番隊といえば、貴族の子息のみで構成されている部隊。貴族至上主義の貴族達の為に起ち上げられた部隊で、扱いが難しい部隊でもある。あの部隊で役職につくのはある意味とても難しい。副隊長であの容姿……当時はかなりモテていたんだろうな。いや、今も充分モテているけど。
一方、お母様は娘の目から見ても平凡な見た目をしている。いや、決して不細工なわけではない。むしろ、よくみれば整った顔立ちをしているし、お母様の優しげで儚い雰囲気は男性ウケがいいと思う。
しかも、お母様はギャップもすごいのだ。そのギャップにハマッてしまう人がいたとしてもおかしくない。……お父様のように。
でも、他の女性達は面白くないだろうな……というのは安易に想像できる。
「だから、『偽クイーン』」
くだらないと吐き捨てる。そんなのただの嫉妬じゃないか。
カリンはサラの反応を見て嬉しそうに微笑んだ。
「やっぱり親子ねえ。フランも同じような顔をしていたわ」
懐かしいと笑うカリンはもう気にしてはいないように見える。でも、『クイーン』に対する反応を見るに、わだかまりは根深いのだろう。いや、というよりも、
「もしかして、私のことを心配して……?」
サラの呟きにカリンが眉を上げて反応を示した。
「当たり前でしょう?! 愛する娘があんな理不尽な嫉妬に晒されるのをわかっていて嬉しいなんて思えるわけないわ! サラが『クイーン』になりたがっていたならともかくっ」
サラは勢いよく首を横に振った。
『クイーン』になりたいなんて思ったことは一度もない。変わってほしい人がいるのなら今からでも変わってあげたいくらいだ。
「そうよね。サラは今まで一度も、恋愛にも結婚にも興味を示したことがなかったし。でも、『クイーン』になってしまったのならそうも言ってはいられない……それはサラもわかっているわね?」
「はい」
カリンが安心したような悲しいような複雑な表情を浮かべる。そっとサラの頬に片手を伸ばした。労わるように撫でる。
「でも……『クイーン』だからといって全部受け入れる必要はないからね。私達にとって一番大切なのは娘のサラよ。あなたが望むのなら王家にだって歯向かうつもりだから」
「ちょ、お、お母様!」
慌ててカリンの口を塞ぐ。家の中とはいえ、今の発言はマズイ。
「大丈夫よ」
サラの手を外しにっこりと笑うカリン。何が大丈夫なのかわからないが、母のこの笑顔を見るたびに本当に大丈夫な気がしてくるのだから不思議だ。サラは苦笑を浮かべた。
◇
ニーノが帰ってきたのは夜が更けた頃だった。知らせを受けて安堵する。
サラはカリンと話した後、いつ起きるかもわからないヒートに備え、ずっと自室に引きこもっていた。
原作の知識だと、確か一日一回の頻度でヒートは起きるはず。いくら『クイーン』になったからといって、誰にでも肌を許そうとは思えない。もし、ニーノが帰ってこなかったら……そう考えただけで心臓が冷えた。
そんなサラの心境を加味していたかのように、タイミングよくその時がきた。
下腹部が疼き、熱が広がっていく。
はやく、義兄のところに行かないと。まだ理性が残っているうちに。
そして、この身体を調べてもらって……。
「っはぁ……」
途切れそうな理性を繋ぎ留めながら、ふらふらとした足取りで廊下を進んでいく。
なんとか辿り着いた研究室。
はやる気持ちを抑えて灯りが灯っている研究部屋をノックをした。
「誰だ?」
「義兄、私」
無言。不安が募る。追い返されたらどうしよう。
しばらくして声が返ってきた。
「入っていいぞ」
「失礼、します」
震える手で扉を開ける。
そして、部屋の中に入り、目の前にいる人物を見て驚いた。
「ファビオ?」
「サラ! 大丈夫?!」
こんなに必死な形相で来るとは思っていなかった、とサラは頬を引きつかせた。
母のカリンは部屋に入ってくるなり、サラの元に駆け寄り、サラの顔を両手で包んだ。そして、右へ左へと半ば強引に向け、じろじろと観察した。
されるがままのサラの顔色が徐々に青ざめていく。
首は痛いし、頭はぐわんぐわんするし、なんだか気持ち悪くなってきた。
「お、お母様、そろそろ放していただけると」
助かります。と言う前にカリンが声を上げた。
「まあ! 健康が取り柄のサラがこんなにやつれるなんてっ」
次いで、地獄の使者のような低い声がカリンの後ろから聞こえてくる。確認するまでもない。父のフランだ。
「あの青二才。次に会ったらただじゃおかない」
サラは慌てて目の前のカリンを押しのけた。
「お父様、誤解です! ファビオは何も悪くありません。私が巻き込んでしまったのが悪いのです。ですからっ」
フランの表情がみるみる変化していく。真顔から泣くのを耐えるような顔になり、怒りを我慢しているような険しいものへと。
あ、コレ逆効果だったかも。とサラが思った時にはフランは踵を返していた。
「ちょっと用事が出来たので出てくる。いや、大丈夫だ。半殺しまでに留めておくからね」
「ぜ、全然大丈夫じゃありません! お母様早くお父様を止めてください!」
「あらあらまあまあ。フラン待ってちょうだい」
カリンの声掛けにフランの足がピタリと止まった。むっとした顔で振り向く。
「いくら君の頼みだって私は止められないぞ。なぜなら私はサラの父だからな」
カリンはフフッと笑うとフランの鼻先を軽く指で押した。そして、軽く睨む。
「サラの気持ちを無視して何が父親ですか」
「ぐっ」
「サラはあなたと私の子ですよ? サラがここまで言うということはそういうことなのでしょう。よかったではないですか。相手が他でもないファビオ君で」
カリンの言葉にフランが悔しげに表情を歪める。
「それは……そうかもしれないが」
「ですから、釘を刺す程度にしておいてくださいね」
叱られた大型犬のようにしょんぼりしているフランにカリンが聖母のような微笑みを見せる。フランは数回目を瞬かせると、真顔に戻り心得たとでもいうように頷き返した。
「では、行ってくる」
「はい。行ってらっしゃいませ」
仲睦まじげな両親のやりとりを見ながら、サラは心の中でファビオに謝罪していた。
フランが出ていくと、カリンはメイドを全員下がらせた。そして、サラの隣に座り溜息を吐く。
「まさか、あなたが『クイーン』になるなんてね」
「……ごめんなさい」
俯くサラの頭をカリンはそっと撫でた。驚いて、ゆっくりと顔を上げる。
「謝る必要はないわ」
「でも……お母様は『クイーン』を嫌っているでしょう?」
直接カリンの口から聞いたわけではない。でも、サラは知っていた。
目を丸くし、息を呑むカリン。
「気づいていたのね」
コクリと頷く。
おそらく気づいているのは私とお父様くらいだろう。
カリンは困ったような表情で微笑むと、意を決したように口を開いた。
「私は……『クイーン』を嫌っているわけではないわ。いえ、『クイーン』の体質そのものに対して嫌悪感を抱いているという意味では間違いないかもしれない。ただ、私が最も嫌悪感を抱いている対象は、『クイーン』ではなく、『クイーン』の恩恵を受けることを当然と考えていながらも、『クイーン』を蔑む人達に対してなの」
そう吐き捨てたお母様はいつもの朗らかな雰囲気とは違い、とても怖い顔をしていた。
でも、その考え方はサラも共感できる。サラが頷き返したのを見たカリンはホッとしたように表情を緩めた。
「昔ね……『偽クイーン』と陰口を叩かれていた時があったのよ」
「『偽クイーン』? お母様が?」
「そう。フランって恰好いいでしょう?」
突然の惚気(?)に戸惑いながらも頷き返す。
「今も充分かっこいいけれど、昔はもっとかっこよかったのよ。今でこそ文官として働いているけれど、結婚するまでは騎士団に所属していたの。しかも、三番隊の副団長」
「え?! 三番隊のですか?!」
「そう。フランは黒歴史だと思っているから知らないフリをしてあげてね」
コクコクと頷く。お父様が……意外だ。
三番隊といえば、貴族の子息のみで構成されている部隊。貴族至上主義の貴族達の為に起ち上げられた部隊で、扱いが難しい部隊でもある。あの部隊で役職につくのはある意味とても難しい。副隊長であの容姿……当時はかなりモテていたんだろうな。いや、今も充分モテているけど。
一方、お母様は娘の目から見ても平凡な見た目をしている。いや、決して不細工なわけではない。むしろ、よくみれば整った顔立ちをしているし、お母様の優しげで儚い雰囲気は男性ウケがいいと思う。
しかも、お母様はギャップもすごいのだ。そのギャップにハマッてしまう人がいたとしてもおかしくない。……お父様のように。
でも、他の女性達は面白くないだろうな……というのは安易に想像できる。
「だから、『偽クイーン』」
くだらないと吐き捨てる。そんなのただの嫉妬じゃないか。
カリンはサラの反応を見て嬉しそうに微笑んだ。
「やっぱり親子ねえ。フランも同じような顔をしていたわ」
懐かしいと笑うカリンはもう気にしてはいないように見える。でも、『クイーン』に対する反応を見るに、わだかまりは根深いのだろう。いや、というよりも、
「もしかして、私のことを心配して……?」
サラの呟きにカリンが眉を上げて反応を示した。
「当たり前でしょう?! 愛する娘があんな理不尽な嫉妬に晒されるのをわかっていて嬉しいなんて思えるわけないわ! サラが『クイーン』になりたがっていたならともかくっ」
サラは勢いよく首を横に振った。
『クイーン』になりたいなんて思ったことは一度もない。変わってほしい人がいるのなら今からでも変わってあげたいくらいだ。
「そうよね。サラは今まで一度も、恋愛にも結婚にも興味を示したことがなかったし。でも、『クイーン』になってしまったのならそうも言ってはいられない……それはサラもわかっているわね?」
「はい」
カリンが安心したような悲しいような複雑な表情を浮かべる。そっとサラの頬に片手を伸ばした。労わるように撫でる。
「でも……『クイーン』だからといって全部受け入れる必要はないからね。私達にとって一番大切なのは娘のサラよ。あなたが望むのなら王家にだって歯向かうつもりだから」
「ちょ、お、お母様!」
慌ててカリンの口を塞ぐ。家の中とはいえ、今の発言はマズイ。
「大丈夫よ」
サラの手を外しにっこりと笑うカリン。何が大丈夫なのかわからないが、母のこの笑顔を見るたびに本当に大丈夫な気がしてくるのだから不思議だ。サラは苦笑を浮かべた。
◇
ニーノが帰ってきたのは夜が更けた頃だった。知らせを受けて安堵する。
サラはカリンと話した後、いつ起きるかもわからないヒートに備え、ずっと自室に引きこもっていた。
原作の知識だと、確か一日一回の頻度でヒートは起きるはず。いくら『クイーン』になったからといって、誰にでも肌を許そうとは思えない。もし、ニーノが帰ってこなかったら……そう考えただけで心臓が冷えた。
そんなサラの心境を加味していたかのように、タイミングよくその時がきた。
下腹部が疼き、熱が広がっていく。
はやく、義兄のところに行かないと。まだ理性が残っているうちに。
そして、この身体を調べてもらって……。
「っはぁ……」
途切れそうな理性を繋ぎ留めながら、ふらふらとした足取りで廊下を進んでいく。
なんとか辿り着いた研究室。
はやる気持ちを抑えて灯りが灯っている研究部屋をノックをした。
「誰だ?」
「義兄、私」
無言。不安が募る。追い返されたらどうしよう。
しばらくして声が返ってきた。
「入っていいぞ」
「失礼、します」
震える手で扉を開ける。
そして、部屋の中に入り、目の前にいる人物を見て驚いた。
「ファビオ?」
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