泡沫

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潤side

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何度も唇を重ねて

俺は愛結の中に入った。

それが終わると息を整えて…

愛結を抱き締め

「愛結…好きだ」

そう言ったが愛結から応答がない。

寝たのか?不安になって顔をみたら
目をつぶっていた。

はぁ…なにやってんだろ俺。

片手を顔に乗っけて目を閉じる。

快楽に溺れて肝心なことを言ってない。

愛結が起きたら言おう。

そう思って目を閉じる。

暫くして目が覚めると

寝てるはずなのに涙を流している
愛結がいて。

思わず、ぬぐってしまった。

なんで泣いてるんだ…。

そんな愛結を俺はきつく抱き締めた。

「ん…」

「泣いてたから…変な夢でもみた?」

気になって聞く。

「ん…大丈夫」

そう言ってまた、悲しそうな顔をする。

愛結を抱いてしまったがもしかしたら

俺だけが好きで…俺をそんな風には
思ってないかもしれない。

もしかしたら、好きなやつがいるかもしれない。

だとしたら…これは俺だけが満足して
愛結を傷つけてしまっているのか。

ぐるぐると変な思考が止まらなかったが
いつの間にか愛結の小さな寝息が聞こえ
俺も眠りに入っていった。

もぞもぞと、動く感じがして光があたって
目が覚める。


「おはよう…」

まだ、寝ぼけていたが愛結に向かってそう言った。

「おはよう。」

愛結は起き上がる。

それと同時に俺は意を決して

「俺さ…」

と言い、起き上がった。

「ん?」

愛結は俺をみる。

「ちゃんとしてないのに…こんなことしてあれなんだけど…。俺と付き合ってくれる?」

そう言って見つめ返す。

「…。」

無言でうつ向いていて

「あのね…あたし…」

言葉につまりながらぎゅっと唇を噛み締めて話し出した。

「あたし…前にね…付き合ってる人がいて…。あたしの前からいきなりいなくなったの。」

それを聞いて…あぁ。なるほど。
だから、亜季さんが前に難しいぞって言っていたのか。

何を言われるか俺は察したけど黙って愛結の話を聞く。

「だからってわけじゃなくてね…。ホストだったの…。ずっと付き合ってて…一緒にも住んでたのに…あたしの前から…いきなりいなくなった…。ホストを辞めるって言ってて…それはそれであたしは良かったんだけど…だけどね…あたしを連れていってはくれなかったの。半年たったら迎えにくるって言ったのに…来なかった…。」


涙を流しながら話を続けていた。

「ずっと待ってたのに…。あたしだけ…好きだったみたい…。忘れれば良かったんだけどね…ほんとそれが受け入れられなくて…。ただ1人二人ですんだ部屋に残されて…何もかも嫌になって…。だったら…誰も…好きになんてならなきゃいいそう思った…」

そんな…こんなに悲しませたやつが俺は憎くて…悔しくなった。

もっと早くであってたら。

そいつより先に付き合ってたらそんな思いなんてさせなかったのに。

「でもね…そう思って今まできたのに。潤くんと出会って…潤くんのこと…気になって…あたし潤くんが好きなんだって思った…。だけどね…やっぱり…忘れられないのあの時のことが…。いつか潤くんも…って…」


「…俺は違う。そいつと一緒にしないで。」

俺は言いきって愛結の手を握る。


「それでもいいから俺は愛結と一緒にいたい。ずっと側にいるって約束する。信じさせてみるから。」

俺は愛結を抱き締めながら

そんなことを言ったんだ。

ずっと側にいる。

これはほんとで俺からは離れない

それだけは約束できる。

愛結は俺に

「ごめんね…」

と謝った。

「なんであやまるの?付き合わないってこと?」

もう、そんなこと言われたら
俺はどうしたらいいかわからなくなる。

「違うけど…」

「じゃあ謝らないで。」

違うということにほっとして
俺は心が軽くなった。

そして、キスをして

「あのね…好き。潤くんが好きだよ。」

と、愛結が大粒の涙を流してそう言った。

それが聞けただけでももう心は充分で

「俺も好きだよ。大好き。」

そう言って俺は愛結のおでこにおでこをくっつけた。

「あっ、携帯…」

そう言って愛結は携帯を手に取った。

玲奈ちゃんはあまりにでかい声で話してる。

「それより、どこにいるの?家?」

という言葉が聞こえその後に亜季さんのでかい声が聞こえて愛結が俺をみる

これはめんどくさい。

俺は愛結から携帯を取って代わりにでた。

「え?なに?潤さん?」

俺の声がしたのがわかり
驚いて更に声がでかくなる。

「おい、潤!なにしてんだ!」

亜季さんの声が耳に響いた。

うるせぇ。思わず電話を耳から離す。

「いや、何もしてないっすけど笑。いやしたかもしれないけど笑。」

そう言って俺は愛結を見た。

愛結のかおが赤くなるのがわかる。

「はぁ?意味わかんねぇ!」

また、でかい声を出す。

「声がでかいっす笑。あー亜季さん、すみません、もう愛結のことは心配しなくても俺がいるんで大丈夫です。玲奈ちゃんも。」

そう言って笑った。

「はぁーーーーー?」

もううるせぇからきってしまえ。

そう思ってブチって電話を切った。

「出勤したら…しつこいだろうな。」

そう言って俺は苦笑いをした。

「ふふ笑。言ってる側からもうしつこいよ?笑。」

そう言って愛結が玲奈ちゃんからのすぐ送られてきた内容を見せた。

「あっ、ほんとだ俺もだった。」

俺は無造作においてある携帯をみて愛結に見せた。

「ちゃんと説明しろ」

と二人の携帯に入っていた。


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