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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 05-06
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『Roger Kunai Etherealize』
幾度目かになる跳躍の最中、辰巳は生成したクナイをキクロプスへ向けて連続投擲。上空から飛来する霊力の刃に、しかしキクロプスは回避の構えを取る事すらしない。
「WOOOOOOOOッ!」
「SHAAAAAッ!」
事実クナイは体表に全て弾き返され、あるいは牙の弾幕を浴びせられて撃墜される。
だがそれでいい。辰巳が狙ったのはクナイによるダメージではなく、牙の射線が逸れる一瞬だったのだから。
「セット! ジャンプ! 並びにパイル!」
『Roger Rebounder PileBunker Etherealize』
着地もそこそこにリバウンダーを再生成した辰巳は、噴出口を地面と水平に向けて点火。スケーターのような姿勢でバランスをとるオウガは、爆発的な突撃で間合いを詰めつつ、キクロプスへ向けて右膝を振りかぶる。跳び膝蹴りである。
それもただの膝蹴りではない。膝頭にあるEマテリアルが輝きを発し、螺旋状の円錐を形成したのだ。これこそ至近戦用の術式、パイルバンカーである。
「WOOOOOOッ!?」
驚愕を叫びこそすれ、キクロプスは一歩たりとも動く気配を見せない。
正確には、動けないのだ。足を動かす霊力を、牙の弾丸と体表の硬化に回した為に。
予想通りの霊力調達方法に、辰巳は大した感慨も見せず、代わりに裂帛の気合を吐き出す。
「疾ィッ!」
かくして放たれるのは、オウガの重量に突撃の速度を上乗せし、更にパイルバンカーを伴った必殺の膝蹴り。
単純な打撃だけでは済まないこの一撃は、無防備なキクロプスの胴体をやすやすと穿ち、杭による追撃で大穴を開ける、はずだった。
「何ッ!?」
確かに膝蹴りは命中し、爆音が轟き、霊力の杭が大穴を穿った。
だが、それはキクロプスにではない。右腕の竜にでもない。
「GI、GI……」
突如としてオウガとキクロプスの間に割り込んだ、巨大な骸骨に穿たれたのだ。
まるで、キクロプスを庇うかのように。
卵の殻のようにやすやすと砕け散り、霊力の残滓となって吹き散っていく骸骨の欠片。その光を辰巳は目で追う。
「あれは、まさか」
「実験棟の骨格標本……こんな立派になって……」
「いや違うから。正気に戻るんだ霧宮さん」
幾度目かになる跳躍の最中、辰巳は生成したクナイをキクロプスへ向けて連続投擲。上空から飛来する霊力の刃に、しかしキクロプスは回避の構えを取る事すらしない。
「WOOOOOOOOッ!」
「SHAAAAAッ!」
事実クナイは体表に全て弾き返され、あるいは牙の弾幕を浴びせられて撃墜される。
だがそれでいい。辰巳が狙ったのはクナイによるダメージではなく、牙の射線が逸れる一瞬だったのだから。
「セット! ジャンプ! 並びにパイル!」
『Roger Rebounder PileBunker Etherealize』
着地もそこそこにリバウンダーを再生成した辰巳は、噴出口を地面と水平に向けて点火。スケーターのような姿勢でバランスをとるオウガは、爆発的な突撃で間合いを詰めつつ、キクロプスへ向けて右膝を振りかぶる。跳び膝蹴りである。
それもただの膝蹴りではない。膝頭にあるEマテリアルが輝きを発し、螺旋状の円錐を形成したのだ。これこそ至近戦用の術式、パイルバンカーである。
「WOOOOOOッ!?」
驚愕を叫びこそすれ、キクロプスは一歩たりとも動く気配を見せない。
正確には、動けないのだ。足を動かす霊力を、牙の弾丸と体表の硬化に回した為に。
予想通りの霊力調達方法に、辰巳は大した感慨も見せず、代わりに裂帛の気合を吐き出す。
「疾ィッ!」
かくして放たれるのは、オウガの重量に突撃の速度を上乗せし、更にパイルバンカーを伴った必殺の膝蹴り。
単純な打撃だけでは済まないこの一撃は、無防備なキクロプスの胴体をやすやすと穿ち、杭による追撃で大穴を開ける、はずだった。
「何ッ!?」
確かに膝蹴りは命中し、爆音が轟き、霊力の杭が大穴を穿った。
だが、それはキクロプスにではない。右腕の竜にでもない。
「GI、GI……」
突如としてオウガとキクロプスの間に割り込んだ、巨大な骸骨に穿たれたのだ。
まるで、キクロプスを庇うかのように。
卵の殻のようにやすやすと砕け散り、霊力の残滓となって吹き散っていく骸骨の欠片。その光を辰巳は目で追う。
「あれは、まさか」
「実験棟の骨格標本……こんな立派になって……」
「いや違うから。正気に戻るんだ霧宮さん」
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