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鈴鹿山
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鈴鹿山。陰陽師達がその麓へと辿り着いた時、そこから大量の鬼達が溢れ出してきた。鬼だけではなく他の妖怪も居るが、その数は鬼の半分以下だ。
「よぉ、人間ども……」
そして、その先頭を歩く大柄な鬼が声を出した。その鬼からは凄まじい妖力と闘気、そしてその手に持った二本の刀からは神力が溢れている。
「俺様ァ、天下無双の大悪鬼。大嶽丸様よォ」
それは、黒い鬼。頭から二本の角を生やし、恐ろしいその容姿から放たれる圧倒的なプレッシャー。しかし、陰陽師達に膝を突く者は居なかった。
「そうか。吾は玉藻前……九尾の狐と言えば分かるかの?」
「あぁ? 知らねえな」
突き返すように言う大嶽丸。だが、実際に大嶽丸は玉藻のことを知らない。
「だが……テメェが相当強いってことは分かる。俺様と同じくらいにはな」
「お主は、このまま人里を襲うつもりなんじゃな?」
玉藻の問いに、大嶽丸はニヤリと笑った。
「あたりめぇだろ。俺ァ、死ぬまで自由に生きると決めてんだよ。他の奴の言葉になんて耳は貸さねえ。気遣うこともねェ」
「ふん、正に傍若無人じゃな」
余り人のことは言えない玉藻だが、大嶽丸に対してはそう吐き捨てた。
「話はこれくらいで良いよなァ? もう、始めようぜ」
話を打ち切ろうとする大嶽丸の前に、一人の男が立つ。天明だ。
「あー、良いか? 俺は陰陽師なんだが……戦いの決まりみたいなのは無いのか?」
「あァ? 決まりだと? んなもんはねェよ。目の前の敵を殺す。全員死ぬまで……それだけだァ」
天明は頷き、一歩後ろに下がった。すると今度は、年老いた男が前に出る。
「儂は賀茂行道だ。少し話をさせてくれ」
「……面倒くせえなァ」
大嶽丸が煩わしそうに刀を行道に向けた瞬間、大嶽丸の体に無数の鎖や紙、蔦などが纏わりついた。
「――――天照の光を食らえッ!!」
何重にも絡み付いた鎖を一瞬で引きちぎる大嶽丸の胸に行道が飛び込み、影の杭が打ち込まれる。動きを止められ、無防備となった大嶽丸に天明が小さな鏡より放った天照の光が浴びせられ……
「……あァ」
大嶽丸は、鬱陶しそうに瞼を開いた。
「まさか、これがやりたかったのかァ?」
大嶽丸の後ろに居る鬼や妖怪達は軒並み消滅しているところを見ると、光の威力が足りなかった訳では無い。
「……三明の剣、か」
大嶽丸が天照の光を浴びても無傷で居られる理由、それは大嶽丸の所持する三つの刀によるものだ。
「大通連、小通連、顕明連。流石に神剣は伊達では無いな」
神の力に対抗するのもまた神の力だ。大嶽丸は光によって仲間が焼き殺されたのを気にする素振りも無く、笑みを浮かべて陰陽師達を見る。
「さて……全員ぶっ殺してやるかァ」
両手に構えるは二メートル程もある巨大な太刀と、一メートル程度の刀だ。天明と行道は警戒するように後ろに下がり、代わりに玉藻が前に出た。
「お主の相手は吾じゃ。かかってこい」
「あァ」
大嶽丸がゆっくりと太刀を持ち上げ、玉藻に向ける。
「さァ、合戦の始まりだ」
その言葉と同時に無数の術が放たれ、妖怪の群れが動き出した。
「よぉ、人間ども……」
そして、その先頭を歩く大柄な鬼が声を出した。その鬼からは凄まじい妖力と闘気、そしてその手に持った二本の刀からは神力が溢れている。
「俺様ァ、天下無双の大悪鬼。大嶽丸様よォ」
それは、黒い鬼。頭から二本の角を生やし、恐ろしいその容姿から放たれる圧倒的なプレッシャー。しかし、陰陽師達に膝を突く者は居なかった。
「そうか。吾は玉藻前……九尾の狐と言えば分かるかの?」
「あぁ? 知らねえな」
突き返すように言う大嶽丸。だが、実際に大嶽丸は玉藻のことを知らない。
「だが……テメェが相当強いってことは分かる。俺様と同じくらいにはな」
「お主は、このまま人里を襲うつもりなんじゃな?」
玉藻の問いに、大嶽丸はニヤリと笑った。
「あたりめぇだろ。俺ァ、死ぬまで自由に生きると決めてんだよ。他の奴の言葉になんて耳は貸さねえ。気遣うこともねェ」
「ふん、正に傍若無人じゃな」
余り人のことは言えない玉藻だが、大嶽丸に対してはそう吐き捨てた。
「話はこれくらいで良いよなァ? もう、始めようぜ」
話を打ち切ろうとする大嶽丸の前に、一人の男が立つ。天明だ。
「あー、良いか? 俺は陰陽師なんだが……戦いの決まりみたいなのは無いのか?」
「あァ? 決まりだと? んなもんはねェよ。目の前の敵を殺す。全員死ぬまで……それだけだァ」
天明は頷き、一歩後ろに下がった。すると今度は、年老いた男が前に出る。
「儂は賀茂行道だ。少し話をさせてくれ」
「……面倒くせえなァ」
大嶽丸が煩わしそうに刀を行道に向けた瞬間、大嶽丸の体に無数の鎖や紙、蔦などが纏わりついた。
「――――天照の光を食らえッ!!」
何重にも絡み付いた鎖を一瞬で引きちぎる大嶽丸の胸に行道が飛び込み、影の杭が打ち込まれる。動きを止められ、無防備となった大嶽丸に天明が小さな鏡より放った天照の光が浴びせられ……
「……あァ」
大嶽丸は、鬱陶しそうに瞼を開いた。
「まさか、これがやりたかったのかァ?」
大嶽丸の後ろに居る鬼や妖怪達は軒並み消滅しているところを見ると、光の威力が足りなかった訳では無い。
「……三明の剣、か」
大嶽丸が天照の光を浴びても無傷で居られる理由、それは大嶽丸の所持する三つの刀によるものだ。
「大通連、小通連、顕明連。流石に神剣は伊達では無いな」
神の力に対抗するのもまた神の力だ。大嶽丸は光によって仲間が焼き殺されたのを気にする素振りも無く、笑みを浮かべて陰陽師達を見る。
「さて……全員ぶっ殺してやるかァ」
両手に構えるは二メートル程もある巨大な太刀と、一メートル程度の刀だ。天明と行道は警戒するように後ろに下がり、代わりに玉藻が前に出た。
「お主の相手は吾じゃ。かかってこい」
「あァ」
大嶽丸がゆっくりと太刀を持ち上げ、玉藻に向ける。
「さァ、合戦の始まりだ」
その言葉と同時に無数の術が放たれ、妖怪の群れが動き出した。
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