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限界勝負
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赤い輝き。それからは、闘気と妖力の全てを使い切る覚悟が見える。
「今回の勝負のルール上、リソースを使い切るような動きは弱いが……それでもやるべきだと判断したのか」
そして、恐らくその判断は間違ってないだろう。
「おぉおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」
御日に思い切り飛び込んでいく吾川。その場から飛び退いて御日が回避すると、そこに吾川の拳がめり込み、地面に亀裂が走って大きく窪んだ。
「っりゃぁあああああああッ!!」
「ッ!」
一瞬で御日まで距離を詰め、振るわれる拳。御日はそれを紙一重で避け、黒い花弁で吾川を攻撃する。
「無駄やぁああああああッ!!」
しかし、黒い花弁は吾川の肌を切り裂いていくだけで貫くことは出来ず、裂けた皮膚も一瞬で再生する。
「どうやぁあああッ!!」
猛烈な勢いで責め立てる吾川。御日はそれを花弁と刃、そして身のこなしで凌いでいく。その攻防だけで舞台の地面は崩壊していく。
「天日流」
吾川の攻撃を躱しながら飛び上がる御日。吾川もそれを見上げ、直ぐに飛び上がる。
「日華」
「ぬぅうううッ!?」
吾川が飛び上がりながら突き上げる拳。御日はそれを回転するような動きで避けながら、黄金の刃でその腕を斬り落とした。
「だ、がぁああああッ!!」
「ッ!?」
空中で刃を振るって無防備となった御日に吾川は残った片腕を振りかぶる。
「守って!」
「っりゃあああッ!!」
花弁が御日の前で四枚集まって重なり、巨大化する。そこに吾川の拳が叩きこまれ、花弁の壁にめり込んで御日を殴りつける。
「ぐッ!?」
御日は凄まじい衝撃によって地面に叩き付けられるも、血を吐きながら直ぐに起き上がる。
「天日流、陽炎」
「むぅッ!」
空中から振り下ろされる拳。それが触れる寸前で御日の体が陽炎のように消え、拳がすり抜ける。
「ッ、時間はかけられんな!」
背後から振るわれた刃を回避した吾川は額から汗を垂らし、後ろに跳び退く。
「ほんなら……」
刀を構えて警戒する御日を前に、吾川は思い切り屈み、跳躍した。
「これで、終いぜよぉおおおおおおおおおおおッッ!!!」
飛び上がる吾川が空中でその拳を大きく振りかぶる。
「『赤天無双拳』」
その拳から、闘気と妖力によって象られた巨大な拳が放たれる。赤色に輝くそれは、この舞台の中で回避することは不可能だ。
「ッ、天日流……」
御日は緩慢に迫るそれを見上げ、刀を鞘に納めて片膝を突いた。
「――――奥義、天陽閃」
踏み出した御日。鞘から抜き放たれる刃は火を噴き、紅蓮に染まっている。
「ッッ!!!」
闘気と神力が宿る真紅の刃が巨大な闘気の拳に直撃し、赤い光が弾けて地下空間を余さず照らす。
「おぉ!」
隣で瓢が声を上げる。巨大な闘気の拳に一筋の線が走り、紅蓮の炎と共に崩壊した。
「嘘やろ……ッ!?」
吾川が驚愕の表情と共に舞台に降り立った。闘気と妖力の全てを使い切った吾川は、立っているのがやっとと言った様子で何とか拳を構える。
「はぁ、はぁ……」
対する御日も闘気を殆ど使い切り、慣れない天照の力を使ったことで消耗し、荒く息を吐いている。
「……最後の、勝負や」
吾川の言葉に、御日は無言で頷く。
「行く、ぜよ……ッ!」
限界の体を酷使し、走り出した吾川。
「おぉおおおおおおおおおおおおッッ!!!!」
「天日、流……ッ!」
赤い髪が最後の輝きを放ち、吾川は拳を振り上げる。御日は鞘に納めた刀に手を当て、迫る吾川を睨みつける。
「おらの、勝――――」
「――――日脚」
拳を掻い潜るように駆け抜けた御日。黄金色の刃が吾川の足を切り裂き、倒れる吾川の胸と頭を黒い花弁が貫いていった。
「ち、ぁ……」
驚愕の表情でバタリと倒れる吾川。その後方で、御日は何とか膝を突かずに立っていた。
「ッ、御日が勝ったぞ」
隣で声を上げる霧生。お互い力を失った状態での勝負ならば、技のある御日が勝つのは自明だったな。
「うぅむ、またそちらの勝ちじゃな! しかし、見事じゃった!」
楽しそうに手を叩く玉藻。その後ろから直ぐに白沢が飛び出し、舞台の上に飛び乗った。
「しかし、舞台の地面はもう少し強くしておく必要があるの……」
半分以上崩壊している舞台を見て、玉藻は唸り声を上げた。
「玉藻」
「む、何じゃ?」
俺は玉藻を呼び、舞台の上で荒く息を吐いている御日を指差した。
「御日は棄権だ」
「ふーむ、そうじゃな。確かにアレ以上は戦えぬか……良かろう」
四人抜きだ。十分過ぎる成果だろう。態々この状態から戦わせる必要も無い。
「さて、次は誰じゃ?」
玉藻の問いに、メイアが席を立った。
「それでは、行って参ります。主様」
「あぁ、頑張れよ」
メイアは優雅な動きで舞台へと歩いていく。そして、入れ替わるように御日がこちらに駆けてくる。
「良かった?」
短く尋ねた御日に、俺と霧生は頷いた。
「四人抜きだぞ? 良かったに決まってる」
「うむ、この舞台の上で良く力を出し切れたな」
確かに、この衆人環視の状況で年頃の少女であれば気負いもしそうなものだが……御日は、あまりそういうのでパフォーマンスが下がるタイプじゃないな。
「……良かった」
御日は嬉しそうに微笑み、霧生の隣の空いた席に座った。
「今回の勝負のルール上、リソースを使い切るような動きは弱いが……それでもやるべきだと判断したのか」
そして、恐らくその判断は間違ってないだろう。
「おぉおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」
御日に思い切り飛び込んでいく吾川。その場から飛び退いて御日が回避すると、そこに吾川の拳がめり込み、地面に亀裂が走って大きく窪んだ。
「っりゃぁあああああああッ!!」
「ッ!」
一瞬で御日まで距離を詰め、振るわれる拳。御日はそれを紙一重で避け、黒い花弁で吾川を攻撃する。
「無駄やぁああああああッ!!」
しかし、黒い花弁は吾川の肌を切り裂いていくだけで貫くことは出来ず、裂けた皮膚も一瞬で再生する。
「どうやぁあああッ!!」
猛烈な勢いで責め立てる吾川。御日はそれを花弁と刃、そして身のこなしで凌いでいく。その攻防だけで舞台の地面は崩壊していく。
「天日流」
吾川の攻撃を躱しながら飛び上がる御日。吾川もそれを見上げ、直ぐに飛び上がる。
「日華」
「ぬぅうううッ!?」
吾川が飛び上がりながら突き上げる拳。御日はそれを回転するような動きで避けながら、黄金の刃でその腕を斬り落とした。
「だ、がぁああああッ!!」
「ッ!?」
空中で刃を振るって無防備となった御日に吾川は残った片腕を振りかぶる。
「守って!」
「っりゃあああッ!!」
花弁が御日の前で四枚集まって重なり、巨大化する。そこに吾川の拳が叩きこまれ、花弁の壁にめり込んで御日を殴りつける。
「ぐッ!?」
御日は凄まじい衝撃によって地面に叩き付けられるも、血を吐きながら直ぐに起き上がる。
「天日流、陽炎」
「むぅッ!」
空中から振り下ろされる拳。それが触れる寸前で御日の体が陽炎のように消え、拳がすり抜ける。
「ッ、時間はかけられんな!」
背後から振るわれた刃を回避した吾川は額から汗を垂らし、後ろに跳び退く。
「ほんなら……」
刀を構えて警戒する御日を前に、吾川は思い切り屈み、跳躍した。
「これで、終いぜよぉおおおおおおおおおおおッッ!!!」
飛び上がる吾川が空中でその拳を大きく振りかぶる。
「『赤天無双拳』」
その拳から、闘気と妖力によって象られた巨大な拳が放たれる。赤色に輝くそれは、この舞台の中で回避することは不可能だ。
「ッ、天日流……」
御日は緩慢に迫るそれを見上げ、刀を鞘に納めて片膝を突いた。
「――――奥義、天陽閃」
踏み出した御日。鞘から抜き放たれる刃は火を噴き、紅蓮に染まっている。
「ッッ!!!」
闘気と神力が宿る真紅の刃が巨大な闘気の拳に直撃し、赤い光が弾けて地下空間を余さず照らす。
「おぉ!」
隣で瓢が声を上げる。巨大な闘気の拳に一筋の線が走り、紅蓮の炎と共に崩壊した。
「嘘やろ……ッ!?」
吾川が驚愕の表情と共に舞台に降り立った。闘気と妖力の全てを使い切った吾川は、立っているのがやっとと言った様子で何とか拳を構える。
「はぁ、はぁ……」
対する御日も闘気を殆ど使い切り、慣れない天照の力を使ったことで消耗し、荒く息を吐いている。
「……最後の、勝負や」
吾川の言葉に、御日は無言で頷く。
「行く、ぜよ……ッ!」
限界の体を酷使し、走り出した吾川。
「おぉおおおおおおおおおおおおッッ!!!!」
「天日、流……ッ!」
赤い髪が最後の輝きを放ち、吾川は拳を振り上げる。御日は鞘に納めた刀に手を当て、迫る吾川を睨みつける。
「おらの、勝――――」
「――――日脚」
拳を掻い潜るように駆け抜けた御日。黄金色の刃が吾川の足を切り裂き、倒れる吾川の胸と頭を黒い花弁が貫いていった。
「ち、ぁ……」
驚愕の表情でバタリと倒れる吾川。その後方で、御日は何とか膝を突かずに立っていた。
「ッ、御日が勝ったぞ」
隣で声を上げる霧生。お互い力を失った状態での勝負ならば、技のある御日が勝つのは自明だったな。
「うぅむ、またそちらの勝ちじゃな! しかし、見事じゃった!」
楽しそうに手を叩く玉藻。その後ろから直ぐに白沢が飛び出し、舞台の上に飛び乗った。
「しかし、舞台の地面はもう少し強くしておく必要があるの……」
半分以上崩壊している舞台を見て、玉藻は唸り声を上げた。
「玉藻」
「む、何じゃ?」
俺は玉藻を呼び、舞台の上で荒く息を吐いている御日を指差した。
「御日は棄権だ」
「ふーむ、そうじゃな。確かにアレ以上は戦えぬか……良かろう」
四人抜きだ。十分過ぎる成果だろう。態々この状態から戦わせる必要も無い。
「さて、次は誰じゃ?」
玉藻の問いに、メイアが席を立った。
「それでは、行って参ります。主様」
「あぁ、頑張れよ」
メイアは優雅な動きで舞台へと歩いていく。そして、入れ替わるように御日がこちらに駆けてくる。
「良かった?」
短く尋ねた御日に、俺と霧生は頷いた。
「四人抜きだぞ? 良かったに決まってる」
「うむ、この舞台の上で良く力を出し切れたな」
確かに、この衆人環視の状況で年頃の少女であれば気負いもしそうなものだが……御日は、あまりそういうのでパフォーマンスが下がるタイプじゃないな。
「……良かった」
御日は嬉しそうに微笑み、霧生の隣の空いた席に座った。
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