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第7話「実際に鑑定をやってみた!」

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「でも姉さん……兄貴の鑑定ってのは、このまま紙なしでずっと鑑定できないんですかね?出来れば便利ですよね?アニキの鑑定の紙要らずって便利じゃ無いっすか?何処でもすぐに調べる事だって出来るし、専用の紙って実は手間なだけですよね?」

 どうやらロズは僕達が流れであることを気にしてくれている様だ。

 鑑定スクロールを買って、調べては燃やす様な危険をしなくても平気だと考えた様だ。

 ロズは僕のスキルに興味津々の様で、エクシアに色々と質問を浴びせている。

 当然、エクシア自身も相当気になっているらしく、ロズのことを遇らう様子がない。


「鑑定で専用の紙なし鑑定って時点で、あたしゃ生まれてこの方聞いた事が無いんだよ。王都でも行けば違うかもだけど……ロズあんたは噂とか聞いた事があんのかい?」

「姉さんがないのに、俺があるわけないじゃないっすか~。がはははははは」

「聞いたあたしがバカだったわ……」

 ロズのそんなやり取りの中、聞き耳を立てていた事に気がついたエクシアは僕に鑑定の説明をしてくれた。

「取り敢えず今わかる限りだと、あんたの鑑定は普通じゃないよ!この世界で鑑定ってのは「紙に写し出される」のが鑑定なんだ……それも鑑定専用触媒紙にね。唯一薬師の持つスキルだけが薬の素の表記が浮かんで出るんだよ」

 確かに、マッコリーニがさっきやった事がいい例だ。

 エクシアの説明では、鑑定の魔法は専用の紙を触媒にして結果を書き写す『魔法』で、鑑定の術式を触媒紙に焼き付ければ後は魔力を通せば誰でも使える物との事だ。

 もしかしたら、王都や帝都とかで抱えてる鑑定師になら出来るかもしれないが、実際に間近で鑑定する様を初めて見たエクシアは、それ以上は分からないらしい。

 そもそも鑑定魔法って物自体が珍しいらしい。

 エクシアはそう言って更に続ける……

「聞き齧っただけの情報だが、鑑定魔法を使える様になるまで色々手順踏んで修行する必要があるらしくてね、長い時間がかかるんだってさ。それも修業しても誰もが持てるものじゃないんだとさ。」

 ちなみに手に入れた人は勿論、生まれもって与えられたギフトの場合は尚の事、仕事にあぶれる事はないから鑑定神殿で働くらしい。

 ギフトって言うのは、稀に何かしら与えられてこの世界に生まれてきた事を指す言葉らしい。

 大概は鑑定の時に分かり、それの専門分野に進む事が多い。

 それの良い例が、今言ってた『鑑定魔法』の様だ。


「取り敢えずは、無闇矢鱈にその話はするんじゃ無いよ?下手すれば拐われて一生カンヅメで鑑定地獄って事だってあり得るからね」


 エクシアにそう言われた僕は、前の世界より平和じゃ無いと実感した。

 本気で心配してくれているエクシアに頷くと同時に、出来ればこの世界で暮らす基礎が出来る位までは、エクシアのギルドで世話になれないか本気で考えていた。


『街に着いたら皆に提案しよう。この世界をある程度自由に歩ける様になる為に……自分達の世界に帰る方法を探せる様になる為に。エクシアに世話にならないか?って……』


 そう思いながら僕は目新しいキノコを探しながら、常に鑑定魔法を無意識に使ってしまっているのだとすればどうすれば意識して切り替えをする事ができるのか……と考えていた。

 周りを見渡すと人の場合基本的に顔の横辺り、キノコであれば物の真横に簡易詳細が浮かび上がっている。

 これはずっと魔法を使っているとすれば、魔力的なモノが枯渇しないか心配になった。

 ふとした拍子に、見つけた木の根本にキノコであることに気がついた。

 文字列が木に被らないように逆側に移っている。

 そこで手に持ったキノコという対象に対して、鑑定しようと頭の中に一枚の鑑定用紙を適当に想像した。

 すると頭の中の鑑定用紙に見事に鑑定結果が転写され成功した。


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇

『ゴブ茸』

『キノコ類・食用キノコ・食用』

 人間、ゴブリン、オークなどが雑食な生物
が主に食用にするキノコ。

 ゴブリンの討伐時に大概入手出来る事から
人族は名称を「ゴブ茸」とした。

 食用した場合、体力の回復・傷回復の補助
、異常回復の促進補助が可能。

 成分には回復作用があり、成分抽出する事
で塗り薬や、ポーションに転換可能。

   魔法への触媒に使用が可能。

作成可能  塗り薬、ポーション(小)

    回復系魔法触媒に使用可能。
    異常系魔法触媒に使用可能。
    防御系魔法触媒に使用可能。

◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


 結論は、さっきとは比べ物にならない情報量だった。

 なら自分を対象に出来るんだろうか?

 取り敢えず自分の手を見ながら、キノコと同じ要領でやって見ると……


◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇

野口のぐち 洋ひろし (異世界の来訪者)

称号 倉庫番

冒険者ランク 未登録 グループ等級 所属無し

職業 学生  

LV.1

HP.25 MP.30

STR.9 ATK.9 VIT.9

DEF.29 INT.9 REG.30

DEX.10 AGI.10 (+10) LUK.69

武器、素手
盾、なし
兜、なし
鎧、異世界の服(物販限定商品 綿100%)(劣化2)(破損0)※特殊効果(テンションup10%)
籠手、無し
靴、異世界の靴(NIKO製)(劣化10)(破損12)※特殊効果1(移動15%up)※特殊効果2(疲労10%down)
アクセサリー1、

skill

鑑定LV.2 (1up)
錬金術LV.5(4up)
空間魔法LV.2(1up)
#########
#########
#########
#########

所持品
異世界製リュック(不壊)

◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇

 驚く事に、鑑定魔法では無かった。

 そして僕自身は、ステータスはLV1ともあり、何とも言えないほど弱かった

 エクシアの話から結論すると、転写触媒紙は鑑定魔法に反応し触媒紙に発動術式を焼き込む事で鑑定を持たない人が魔力でそれを再現するのではないだろうか?

 僕がする鑑定の場合は、そもそもが魔法では無くスキルで、エクシアの知っている仕組みとも変わっていて、紙を用いなくても出来るのかもしれない。

 もしかしたら触媒紙を使っても同じ事が出来るのかもしれないが、コレは鑑定触媒紙を手に入れて試すしか無いので今すぐ確認できる訳では無い。

 実は他の鑑定魔法も同じで、実際は紙が無くても出来るのだが販売用や携帯用で今の形を採用してるのかもしれない。

 他の人の使う鑑定について調べるのは、万が一の危険を伴うので今は諦めるとしよう。

 万が一僕が鑑定対象に選べた場合はスキルの錬金術が問題になりそうだし、ロズが失われて久しい錬金術と言ってた事が気にかかる。

 目立たないのが一番だ。

 それにチャームにあった『異世界の来訪者』の表記は、僕らだけが認識できる文字なのか、マッコリーニが言っていた『錬金文字扱い』の現地人が読めない文字なのか、はたまた僕の持ち物に対しての鑑定にしか出ない物なのか、見当がつかない。

 僕達はこの文字が読めるだけに、マッコリーニ達が読めない異世界表記に注意して現地の人には悟られないようにするべきだ。

 読めずに流して貰えるのが一番助かるが……

 持っている所持品はリュックに入っていると鑑定されないのは、便利なのか不便なのか判断に迷うけれど、問題は多分そこでは無い。

 何故か持っているリュックは壊れないらしい…理由は分からないが。

 確かに同じ学校の親友は1年の夏休み頃にはボロボロなのだが、僕のリュックは3年になっても壊れるどころか色褪せも無い。

 『不壊』が原因だったのかもしれないが、元の世界には鑑定魔法は無いので調べようが無い。

 母と父には物凄く反対された高校推薦の高い方だったが、ばぁちゃんが高校入学祝いで買ってくれたので大切に使った。その結果に異世界で付いた特殊ステータスなのかも知れない。

 異世界でも役に立つ壊れ無い最高の鞄、買ってくれたばぁちゃんに感謝だ。

 それにしても突然情報量が増えたのには理解が追い付かない。

 異世界のスキルはコレが当たり前なのか。

 不思議に思ったらこの世界の知恵袋に聞くしか無い。

 知恵袋の相手は、おばぁちゃんじゃなく姉御肌だがとても頼りになるエクシアの姉さんだ。

「あの……すみま……」

 言いかけた矢先、ロズとエクシアの交わしてた会話でそれどころでは無くなった。
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