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まだ
しおりを挟むえっ?なっ何?
「ミオ様、少し話があるのですが入っていいでしょうか?」
話って何?えっもしかしてこの格好って……えっ嘘っ?まさか……
「えっとあの……」
「先ほどお伝え出来なかったことがあるのです。少しだけですので」
「あのっ、扉越しではダメでしょうか?」
「大事な話なので出来れば顔を見て話したいのですが……」
どうしよう……でも会って話さない限り終わらなさそう……仕方ない……取り敢えず、この格好じゃ恥ずかしい……何か羽織る物はと……
わたしは目についたブランケットを羽織り、なるべく体が見えないようにしてから入室の許可を出した。
「わかりました。どうぞ」
ガチャッ
「こんな夜分にすみません。あぁ、そこのソファに座って話しましょう」
「はい……」
二人で横並びにソファに座った。この格好でこの状態、恥ずかしい……
そんなわたしに気付いてないのか、「寒いのですか?大丈夫ですか?」と言いながらわたしの腰を抱き寄せ話を始めた。
「それでミオ様、話とは初夜についてなんですけれど……」
っ!! えっ?! やっぱり?どうしよう?
「えっ!あっ?しょ初夜って?」
「はい、初夜についてなのです。私とミオ様は番の婚姻の儀を行ったので、すでに夫婦という形ではあるのですが、ある意味正式なものではないのです。だから初夜まだ行えないのです。申し訳ございません」
おこなえない?えっ?えっ?なんだぁよかったぁ……ほっ……
「ご存知の通り、本来なら正式に教会で結婚式を挙げ、司祭様の前で宣誓して届を提出してからでないと正式な夫婦とは認められないのです。そうなってから初夜は行うという暗黙のルールがあるのです。誰もが番との結婚を夢見るのですが、そうもいかない場合がほとんどですので、基本はそのようになっています。番同士の場合は、出会って衝動的に婚姻の儀を行ってしまうことがある為、その婚姻の儀をした後に番同士の結婚式を飛び入りで行える教会にて二人だけの簡易的な式を挙げ、司祭様の前で宣誓し、夫婦として認めてもらうのです。特に平民はそれで済みます。
しかし、今回はかなり変則的な状態になってしまい、私が王族であるせいで少し手続きに時間が掛かるのと王弟の番、神子様の結婚を簡易の式では行えないのです。だからまだ貴族的に正式な夫婦ではないため初夜を行うのは慣例に反してしまうため出来ないのです。ミオ様に寂しい思いをさせてしまい大変申し訳ありません。決して私がミオ様に触れたくないわけではないのです。むしろ我慢する方が大変で……」
「えっあっいえ、気にしないで下さい。わたしは大丈夫です」
「そう言っていただけるなんて、ミオ様はお優しいですね。ありがとうございます。お互い辛いですが頑張りましょう。真実の愛で結ばれた私達ならこの試練も乗り越えられるはずです」
そう言ってわたしの手を取り、キスをした。
ゔっ……
「あっあの話はそれだけですか?」
そう問いかけ、そっと手を離した。
「えぇ、そうです。こんな時間にわざわざお時間をいただきありがとうございます。
ではもうお暇いたしますね」
「あっあの、夜寝る時の服なんですけど、わたし寒がりなんで、これからはワンピースタイプの服を用意してもらうようにお願い出来ませんか?今日はひとまず大丈夫なんですが、これからのことを考えると……なのでお願いします」
「あぁこれは大変申し訳ございません。わかりました明日にはそのように用意するように言っておきます。だからそのようにブランケットを羽織っておられたんですね。申し訳ございませんでした。では早くベッドへ入られて下さい」
「はい。おやすみなさい」
「えぇ、良い夢を」
そう言いながら彼は挨拶と共に私の髪をひと束取り、キスをして隣の部屋に帰って行った。
ふぅーっ
まだまだ慣れないなー、スキンシップ……
でもルームウェアのことも言えたし、何より初夜の日まで時間が掛かるみたいでよかったぁ……
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