つがいなんて冗談じゃない

ちか

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郷愁

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 ギルフォード殿下が退出し、静寂が再び訪れた。

 布団にうずくまり、先ほど感じていた眠気はどこに行ったのか。つらつら考え事をした。


 そっか結婚したってことはわたし、あの人としなきゃいけないんだ……

 嫌だな……

 耐えられるかな……

 それまでにわたしも彼を好きになれるかな……ならなきゃいけないよね……

 わたしにも番がわかればよかったのに……そうしたら何も考えずに受け入れられたのに、きっと。スキンシップもそういうことも。

 こんなことになるなんて……

 知らないところで知らない人と結婚して、神子様なんて言われて畏まられて……


 何もしなくていいなんて……


 怖い


 お父さん、お母さん、お兄ちゃん……会いたいよ。突然会えなくなるなんて思ってなかった。

 こんなことならお母さんにあんなこと言わなきゃよかった。お母さんのご飯食べたい。

 グスッ……

 お父さんにももっと優しくしてあげればよかった。洗濯物一緒に洗ってもいいよ。

 グスッ……

 お兄ちゃんともっと遊びたかったな。負けて悔しくて泣いたりもしたっけ。

 グスッ……

 なんでこんなことになっちゃったのかな……

 さまざまな思い出が蘇っては消えていく。

 いつかは泣かずに眠れる日が来るのかな……


 どんなに願っても彼らにはもう頼ることも助けてもらうことも出来ない。ならいっそもう思い出さない方が……

 

 お父さん、お母さん、お兄ちゃん……


 会いたい


 アエナイ


 ニドト
 

 わたしの中の何がまたピシリと音と立てた。けれどわたしはそれに気づかかなった。


 


 この世界できっとわたしにも何かやれることがあるはずだ。


 まずはこの世界のことを知ることから始めた方がいいかな?勉強といえば図書館だよね。この近くに図書館ってあるのかな?明日教えてもらおう。

 そんなことを考えながらようやく眠りについた。
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