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突撃
しおりを挟むとうとう限界が来てギルフォード殿下に「触らないで下さい」と言ってしまって一週間が過ぎた。そのおかげでこの一週間は彼からのスキンシップがだいぶ減って少し息がしやすくなった気がする。
まだ少し触れられると払いのけそうになったり、震えそうになったり、こわばったりするが、回数が減ったことが一番だった。
彼には申し訳ないが、言ってよかった、理解してくれてよかったと思った。
しかし、ここ二、三日また彼からのスキンシップが増えてきたような気がした。
あれ?
そんな時だった。彼が仕事で出かけて、わたしがいつものように部屋で読書をしている時だった。
「お客様がお見えです」
と使用人が告げた。
誰だろうと思った。この世界に知り合いはいない。わたしを訪ねてくるなんて一体誰だろうと思いながら応接間へと足を運んだ。
するととても綺麗な女性がいた。そして開口一番に告げた。
「あなたが、殿下の番ですか?」
「えっとあの?あの方とはギルフォード殿下のことでしょうか?それなら、はい、そうみたいですね」
この人一体誰なんだろ?
「そうみたいですねですって。あなた番の自覚がないんですの?それにあなた恐れ多くも殿下を拒んでいるそうじゃないですか?聞きましたよ。あなたに触れるなって言われて落ち込んでいたそうじゃない?全く何様なの?殿下の番なら喜んで体を差し出しなさいな」
「……」
「全くありがたくも殿下の番になったならなんでもすべきでしょう。それなのにいうに事を欠いて触らないでほしいだなんてなんで傲慢なのかしら。そんなことで殿下の気を引こうなんて浅ましい。番に触れられて嬉しくない番なんていないのだからあなたの浅はかな考えなどお見通しですのよ。だから殿下のご友人たちはあなたが触らないでと言ったのは気を引きたいだけって教えてあげたのよ。照れているから本心は触れて欲しいんだって」
「……」
キヲヒキタイ?ゴウマン?アサマシイ?
「まともに話す事も出来ないんですの?あの方たちはあなた如きに気を遣って言わないみたいだから私はあの方たちに変わって親切にもあなたに教えて差し上げにきたの。あなたの浅はかな企みなどばれていると。だから素直にあの方に尽くしなさい」
「……」
そう言うだけ言って自己紹介も挨拶もなく去っていった。
後にはただ呆然とするわたしが残っていた。
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