当て馬悪役令息に転生したはずが何故か俺がヒロインに狙われています

ちか

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 急いでタクシーを拾って、乗ってる間にスマホで検索をした。すると昨日の出来事がSNSでつぶやかれていた。それにいわゆる特定班によって、氏名、年齢、住所、勤めている会社が晒されていた。

 そしてさらにどうやって調べたのか、俺が施設であることまで突き止められ、幼少期の事件まで晒されていた。
 呆然とスマホを見つめていたら、タクシーの運転手にお客さん着きましたよと声をかけられてハッとした。お釣りはいりませんと言って料金を支払い、急いで自宅に入った。

 それから近所の法律事務所を中心に調べ、片っ端から電話をかけて昨日の出来事を説明し、冤罪を晴らして欲しいと頼んだが、どこの事務所も断られた。話を信じてもらえなかったり、お金にならない弁護は引き受けないと言われた。

 そして何時間経ったのか、何十件、電話をかけたか分からないなかようやく、実際に会って話しをしたいと言ってくれる事務所があった。すぐにでも大丈夫と言われたので、俺は急いでその事務所を訪ねることにした。

 そうして会った弁護士の先生は実際に俺と会って話したことで真剣さが伝わった様で信じてくれた。そして親身になって話を聞いてくれた。それで今後の対策を立てていきましょうということになり、今日はとりあえず、帰ることになった。

 弁護士の先生に相談できた事もあり、ようやく少し心の余裕が出来て、弁護士事務所からの帰り際、彼女にメッセージを入れた。俺はやっていないら、どうか俺を信じて欲しいと。

 自宅に帰ると、『変態』、『犯罪者』、『出て行け』など貼り紙や落書きがされていた。それを見た瞬間、怒りや悲しさが込み上げて来た。このままではいられないので黙々と貼り紙を剥がし、落書きを、消しているとなんだか虚しくなって来た。

 そこへ同じアパートに住む大家さんに「こういうことは困るんですよ。今後もこんな事が続く様であれば、出て行ってもらいますよ」と言われた。そして立ち去りながらぼそっと「やっぱり施設出身者なんて入居させなきゃよかった」と聞こえて来た。

 俺がここに住むきっかけは施設の人からの紹介でだった。だから大家さんも俺が施設出身だと知っていた。入居した当時は、あんなに親身になってくれて、その後も何かと気にかけてくれていたのにと思った。

 どうしてこんなことになったのか……。

 
 そんな思いを抱えながら夜が更けていった。

 
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