僕に翼があったなら

まりの

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全てを一つに

心も身体も一つに

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「えっと、その……お手柔らかにお願いします」
 一応、ベッドで正座してお辞儀してみたけど、なんか違うかな?
 ぷっ。思いきりふき出したね、ユシュアさん。
「何、それ」
「うーん、こういうのって儀式的な何かな気がして」
「やっぱり見た目違っても中味は晶だな」
 むう、そういう言い方は自分こそ匠君そのものだよ。
 ぎしってベッドが鳴って、ユシュアさんが近づいて来た。胸がドキドキする。今までみたいに怖くは無いけど、すごく緊張してるよ。
「こちらこそ、未熟者ですがよろしくお願いします」
 真っ赤な髪を揺らして、ぺこってするユシュアさんは付き合いがいい。
 顔が近づいてくる。うう、片っぽづつ違う色の目がうるうるしてる。
「いい匂い」
「お風呂でピカピカにして、お姫様にもらった香油つけた」
「そうじゃなくて、君のニオイ。甘い匂い」
 ユシュアさんもいい匂い。男っぽい匂いだけど好き。お風呂上りたての上半身裸。つやつやしてて綺麗。
 唇が触れ合った。軽い啄ばむ様なキス。
「折角お風呂に入って何でがっちり服着てるの?」
「だって、恥ずかしいもん……」
「まあいいけどね。一枚ずつ脱がすのも楽しいし」
 にやって笑ったね。何だかちょっとエロいよ。
 えーとね、今から初エッチです!
 別に精神的に愛し合っていればいいわけで、体まで繋がる必要はないんだけど、でもこう、やっぱ……ねぇ。
 夕方の事を思い出すと笑える。
『こ、今晩……そのっ……い、いい?』
 噛み噛みで真っ赤になって誘ったくせに何か違うよ?
 誰にも触らせないっていう約束は守れなかったけど、ギリギリのところで悉くルイドに阻止され、誰も僕と完全に繋がった人はいない。だからはじめては絶対にこの人にあげたいと思ってた。
 何だか周囲も押せ押せムードで、ユシュアさんを焚き付けたみたいで。
 まあ大体想像がつくけどね。お姫様やリンドさんあたりが別れ際に「がんばって」とか言ってたし。宿もわざわざ別の所取ったし。僕も双子に色々教えてもらってすっかり耳年増。
 とんでもなくいけない家族ですね~。
 今日はルイドはジンデさんに捕まってるから邪魔しない。
「灯り消そうよ」
「駄目。隅々まで見たいから。可愛い顔が見えなくなる」
「もうっ、ユシュアさんのえっちぃ~」
 がしって強く抱きしめられて胸がどきっとした。
 今度は深く唇を重ねて中までゆっくりと互いに貪りあう。
 うわぁ、ユシュアさんの舌……そう思うだけでくらくらしちゃう。
 キスする口は離さないまま、ユシュアさんの手が僕の服の紐を解く。するっと手が入って来てゆっくりと撫でられ、ぞくぞくする。
 いいよ、全部全部あげる。だからちょうだいね、僕にも。


 フィランさんは傷付けてしまったルミナをもう一度引き取ると約束してくれた。お姫様達の介抱で何とか命だけは助かって、主と忠誠を誓った王子に殺されそうになって、心身共に傷ついている。最後に別れた近くの村で看護されてるんだそうだ。
 色々フィランさんと約束をして、僕達はキノアのお城を離れた。
 先の事を考えなきゃ。
「私達はトトイに帰るわ。あなた達も一緒に来れば? お父様もシスに会いたがっているし、ユシュア君は剣の腕も立つのだから仕事だってあるわよ」
 お姫様が言ってくれたけど、すぐには決められなかった。
「オレは少し落ちついたらまた旅に出ようと思ってる」
 ユシュアさんが思いがけない事を言い出した。
「え? でも……じゃあシスはどうするの? 離れ離れ?」
「僕も一緒に行く!」
 ユシュアさんが答える前に僕が言った。だってもう離れないって決めたんだもの。
「勿論一緒だよ。もう離しはしないよ」
 嬉しいな。すごくすごく。
「えー、シスも? じゃあ会えなくなっちゃうじゃない」
 皆が口を揃えた。あ、そうか。一緒に行くって事はそういう事か。
「すぐにじゃない。色々準備もあるしね。だからしばらくはトトイにお世話になることになりそうだよ。それに、帰って来る所が無いといけないだろう? シスはトトイで育ったのだから」
「トトイが実家ってことね」
「私達は家族ですからね」
 大翼鳥と同じ。帰る所があるから旅が出来る。
 僕には帰る所があるんだ。待っててくれる家族もいっぱいいるんだ。そう思うと嬉しかった。
「色々旅をして来て、沢山の人に出会った。もう一度どうなったか見届けて、いずれは向こうの大陸にも行きたいと思う」
「向こうの大陸……シスの本当の生まれ故郷ね」
「もうシネイの末の王子、イラエルは死んだことになっているから、今更名乗り出る事は出来無いけど、どんな所なのか見るのはいいと思う」
 まだまだ先の事だけど、とっても楽しみ。
 とりあえず皆と一緒にトトイに帰る。陰で助けてくれたらしい王様にもお礼を言わなきゃいけないし、もう一度会いたい。それに、ユシュアさんは僕が育った崖を見たいって言った。その時に一度ルイドと一緒にお母さんにも挨拶しに行きたいし、旅に出るにはお金も貯めなきゃいけないらしいし。
 大変な事もいっぱいあるけど、でもきっと楽しい生活が待ってると思うんだ。お気楽だねって言われるけど、僕は自分のそこが唯一いいところなんじゃないかと思うんだ……違う?


「ん……あっ……」
「可愛い声……」
 とっても弱い耳を攻められて、優しい優しい手に胸を弄られて、早くもひーひー言わされてますっ! 何だよっ、めちゃくちゃ手馴れてるこのカンジ? 上の服はもう前肌けて肩出ちゃってる。ほんの少しまだ傷跡が残ってるけど、そこさえも口付けされると熱っぽく感じる。
「ふわふわ……柔らかくて溶けそう」
 吸い付く唇の、触れる少し固めの赤い髪の感触に身悶えする。
 溶かして。身も心も全部。
 ゆっくりゆっくり触りっこして、すっかり元気になってきた。
 ちょっと前が窮屈になってきたので互いに下を脱がしあう。無言だけど時々目が合うとにこって笑ってくれるのも嬉しくて、ズボンの紐を解くのでさえとってもわくわくする。僕はトロいので、上も下もすぽーんと脱がされちゃってぽいされたけど、ユシュアさんの腰の紐がなかなか解けない。やっとの思いで脱がすと、待ってましたとばかりに飛び出した息子さん。
 はじめまして……。
 ご立派にお育ちのモノにおもわず心でお辞儀をしてしまいました。
 ごくっ。ええっとぉ、うん、比べてはいけないと思うんだけど、王様ほどでは無い。あれは別格。でも確実にフィランさんのよりは太い。
 こんなの入る? ぎゃー痛そう。
「お、おっきいねぇ」
「そうかな? そう知らないけど普通こんなもんじゃないのかな?」
 そうですか。僕が普通より小さいんだね~。ふ、ふん。成長途中だもんっ。僕だってそのうちっ!
「もう君を見てるだけでイっちゃいそう」
「ぺろぺろする?」
「可愛い声でそんなエッチな事言っちゃう口は塞いでやる」
 がばっと抱き竦められてまたキス。そのままベッドに倒れこむ。
 しばらく口を塞がれてて、やっと離れた顔が上で微笑んでる。
「夢みたいだ。こんな風に触れるなんて。想像してたより綺麗」
 どんな想像されてたんだろう……やん、はずかしい~。
 もうその後は頭に霞がかかったみたいに夢中でよくわかんない。
 とりあえず気持ちよく一回ずつイっちゃって、ものすごく時間をかけて丁寧に準備されて、その間もひいひい言わされたけど、好きで好きで大好きで、もう怖いより気持ちいいが先にたって。で、いよいよ……。
「くぁ……!」
「ほら力抜いて息ちゃんとして」
 お医者さんかっ! そうツッコミたくなるのを堪えなくても、勿論言葉になんかならない。指とは全然違う大きさにやっぱりキツイよぉ。ぬるぬるに油も塗って柔らかくなるまで解されたから切れるみたいな痛みは無いけど、やっぱりすっごい違和感と鈍い痛みに息が詰まる。
「キツ……」
「やっ、あ……」
「やっぱり止める?」
 何を仰いますっ! がんばるっ、がんばるからっ! やめないで。
 声も出ないのでとりあえず首をふるふるしてみた。
 ずずっと奥に進んでくるのを感じる。ゆっくりゆっくり。
「は、入った?」
「うん。全部。今、オレ達繋がってるよ」
 かんどー。苦しいけど一つになれたんだね。
「動いていい?」
 うんって言う前に動いてるじゃない。
 ああ……段々キツイだけじゃなくて気持ち良くなってきたかも。
「あっ、あっ、あ……」
「ん……すごいよ中……すごく気持ちいい……」
 少し汗ばんだ顔がすごく色っぽくて……。
 散々揺すぶられて、声が枯れるまで喘がされて、いっぱい出して出されて、途中で僕は意識を失ってしまったみたい。
 これで心も身体も一つになれた。
 すっごく気持ちよかったけど……疲れた。
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