僕に翼があったなら

まりの

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籠の鳥

我輩は王である(フェドル王Side)

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 全く、どいつもこいつもワシの事を馬鹿にしおって。
 ワシは国王だぞ? 王たる者の名を聖域より頂いた、正統なるトトイの王であるぞ?
「余所の女に子を作ったりしたらソレ、切り落としますよ」
 王妃よ、そういうなら世継ぎの男児を一人でも産んで欲しかったぞ。六人も次々産んだ割に、全員女では無いか。まあ、女王も前例が無くはない。婿養子の王というのもアリだがな。
 ノンビリ者の長女に始まり、気立ては良いが器量に恵まれなんだ次女、三女も既に嫁に出した。残りは三人。王妃そっくりの怖い四女、五女に任せたら独裁者になりかねん。
 一番容姿も王に必須の魔力も頭の回転も良い、末のフレネイアに跡を継がせる気でおったのに、どこで覚えたのか男を侍らせて遊び呆けておったとは。
 ……え? ワシの影響? うむ、王妃に指摘されるまでも無くワシに似たのだな、下の事情は。顔といい、性格といいワシ似だからなあの娘は。
 とにかくだ。天下の宝刀を切り落とされては困るし、もう女には懲り懲り。子を産まぬ若い男にハマったワシだが……良いな、男は。うむ、一度味わったら止められんわ。
 フレネイアが、大翼鳥と共に連れ帰った少年。
 中庭で初めて見た時、爽風が吹き、目の前に光が差したような気がしたぞ。あれは普通の人間では無い、遠目に見てもわかった。美しすぎる。
 事情を聞くとこの世の奇跡としか言いようの無い生い立ち。鳥に育てられてよくもここまで大きくなれたものじゃ。言葉も話せると言うし、ちゃんと二本足で歩ける。フレネイアもリンドもその点を不思議には思わなんだのか? まああの麗しい見た目じゃ。他の事など気にもならぬだろうな。
 少々荒っぽく、気の毒な目に遭わせてしまったことをすぐに謝りに行きたかったのじゃ。なのに誰もワシをあの子に会わせてはくれぬ。同じ城におるのにだぞ? 馬鹿にするのも大概にして欲しい。
「まだ作法も何も知りませんので、粗相があっては……」
 リンドはそう言いおった。
「どこの馬の骨ともわからぬ野生児です。お父様のお目汚しですわ」
 フレネイアはそう言った。
「王様の御前に出すには少々難が……」
 姫のお気に入りの双子は口を揃えた。
 お前達、裏は見え見えじゃ。ワシに会わせとう無いというのがな。
 よし、強行手段じゃ。こちらから会いに行ってくれるわ!
 ……というわけで、五日目の今日は朝からちらちらと様子を伺っておったのだ。あの大翼鳥にもそろそろ懐いて欲しかったしな。
 生憎、朝からフレネイアの所の双子が街に連れ出したという。くそっ、我娘ながら魔女じゃ。ワシの動向を知っておったのか? それともリンドの仕業だろうか。近衛兵の責任者としてワシの近くにおるからの。あいつはフレネイアと幼馴染で忠臣ではあるが、時々よくわからぬしな。あの綺麗な双子だって紹介しろと言ったら、他の者なら……と自分の愛人を差し出しおったくらいじゃ。いやいや、話がそれたわ。
 これもきっと聖者様の思し召し。計らずとも夕刻、ワシはあの少年に出会う事が出来た。
 鳥の小屋に差し込む夕日に浮かんだ姿に息をのんだ。白い美しい大翼鳥と一緒におるところは、地上の者とは思えなんだ。しかも泣いておったのか、何ともいえぬ表情で。
「王様、お願いがあるのですが」
 シスと名乗った少年は、ワシに大翼鳥を放せという。思ったより懐かぬし、この子の兄弟のようなものだ。それも仕方あるまいと思った。ワシはもう鳥よりこの少年の方が欲しいと思った。
「そなたが、ワシのものになるというのなら」
「わかりました」
 おおう? 案外あっさり? 多少良心が痛まなくも無いが、嬉しそうにしておるし。いい?
 それはもう踊る気持ちで部屋に帰ったぞ。夕食には黄翼竜マミラカの尻尾の先と石火虫の足も食べた。風呂で何時もの二倍磨いて、最近おじさん臭いなどと言われておるので、一番良い香油もたっぶり全身に塗らせた。ふむ、万全! そしてシスが来た。
 脱がせてくれと言わんばかりの簡素な薄着に、少し緊張したような顔。おおお、なんと初々しくて可愛らしい! おじさん、いきなり襲い掛かりそうになったが、ここはホレ、ぐっと我慢じゃ。余裕ある大人な所を見せねばの。
まずは会話をしよう、会話を。
 飲み物でもと持たせたものが、まさか酒とは思わんかった。多分気を利かせたつもりであろうが、ワシが酔わせて襲うとでも思うておったのか?
 だが、この少し酒精が回ったか、白い頬を赤く染めた色香がもう……たまらず頬に吸い付いた。。
「まるで果物の様に柔らかくて美味しそうだ」
「王様も男の子をご馳走様しちゃう人ですか?」
 面白い事を言いおるが『も』って何だ。よもや、あいつら既にこの子を手篭めにしおったのではあるまいな。ありえる、ありえるぞ!
 だが、以外にも誰も手を出してはおらぬようだ。は・つ・も・の。
 俄然張り切った。
「ここに来たという事は覚悟は出来ておるのだな?」
 目に涙を溜めて怯えておるようだが、初めてなら仕方あるまいな。酒の力もあってか、ベッドに運んでも逃げはしなかった。
 白絹の様な肌のなんと滑らかな事。よし、ゆっくり、と思っていたら、
「も、もういいですか?」
「何が?」
「……あじみっ」
 味見? ま、まあ味見と言えばそうじゃが……。
「お、王様……いっそ一思いに……お願い」
 や、それは幾らなんでもな。ワシは獣では無いし。


 ――まさかワシが自分を食い殺すと思っておったとはの。おかしくて腹が痛くなるほど大笑いさせてもらったが、その後は逆にやりたい放題じゃ。教えるという名目も出来た事だし、何と初射精を手伝うという楽しい事もさせてもらった。果てる時の顔! た、たまらんわ。
 ワシのモノを見て驚いて、さすがに挿れるのは嫌がった。当然じゃ。自慢では無いがワシは王、ココも王の貫禄なのじゃ。
 冗談で、では口で? などとおじさんな発言をしてしまい、後悔する間も無く始めおったのでこっちが慌てたところ、成程鳥は手が無いから口でというのは頷けた。
 可愛らしい口で舌を見せて、上目使いで奉仕する姿にあっという間に昇らせていただいたが、まさか初めての者の顔面に放つとはワシって酷い男じゃ……。
 だが美しい顔を白濁で汚し、髪も濡れそぼった美少年の妖艶な事。しかも酔いつぶれてしまいおった。薄紅にそまった肌、その潤んだ瞳……。
 ベッドに投げ出された白い体を見ていると、もう理性が飛んでしまった。目の前に今まで見たことも無い様な美味しそうな物があるというのに、おあずけなど、我慢できようはずが無いではないか!
 ひっくり返して膝を曲げさせても抵抗しなかった。半分眠っている。突きき出された白い尻の奥に薄紅の花の蕾が露に見える。
 ごくっと唾を飲む。まだ穢れを知らぬこの色。固く窄んだそこをとき解す事が出来るだろうか。見ているだけでもう一度果てそうになった。
 香油を手にたっぷり取り、秘所に塗りつけると微かにシスが動いた。ぬるみを帯びて滑りの良くなったところで中指をほんの少し差し込むと、体がびくりと震えた。
「つっ!」
 ほんの一関節も入っただけだが痛そうだ。本当に狭い。
「力を抜け」
 指が根元まで入った時にはシスはシーツを握り締めて震えていた。何と吸い付くような柔らかな中。熱い。その感触だけでまた自分のモノが大きくなる。内襞を探るうち、良い所を見つけた。まだ育ってはおらぬが、少しだけ固い場所。体が跳ねた。
「あうっ!」
「ここじゃな?」
 そこを何度か責めると、体を仰け反らせて声を上げる。
「うあっ、あっ……ああっ」
 ぞくぞくする声じゃ。感じておるのだな。指を増やして広げるように掻き混ぜると、ビクビクと体を震わせ、背中まで赤くしてベッドに顔を埋めている。時間を掛けて解すうち、どうも前の方がそろそろ危なげになってきた。ここで出してしまうとまた締まってしまう。
 まだキツそうだが、そろそろ良いかな? ワシももう大変じゃ。
 痛いかな? だがすぐによがらせてやるぞ。優しくするからっと、いざ秘所へと押し入ろうとしたまさにその時。
「いやあああっ!」
 シスの悲鳴。
 ぱりーん! 窓の割れる音。
「くるるるるっ!」
 この声は鳥?
 何が起きたのかわからぬまま、次の瞬間何かに体を突き上げられた。

 ……おい、ワシは何故猛らせたモノを剥き出しで宙を飛んでおるのだ……そう思いつつ床に激突した。

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