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続・魔界王立幼稚園ひまわり組
閑話:季節はずれの水浴び
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「はーい、ちゃんと並んでねー!」
ぺったぺった。裸足の足音はいつもに比べて大きい。そして子供達はパンツ一丁。下半身人型じゃ無い子はすっぽんぽんですけど。手には如雨露や柄杓。
これからひまわり、バラ、スミレ三組合同で水遊びをします。
年中そう暑くも寒くもないドドイルで、しかもとうに夏も終わり暦はもう既に秋のはずなんですが、三年に一回、この魔王城のある山に住む火の鳥の復活日を挟んで前後三日間はいつもは暗い太陽が活発になり異常に気温が上がるのです。今日はまさにその火の鳥の日。しかも三百年に一回産卵するので、その時はすごく暑くなるそうで、今年がその当たり年なんです。近年四百歳を超えた猫耳執事のギリムさんは三百年前に一度経験した事があるそうですが、魔王様やウリちゃん、マーム先生や職員で年長のメイア先生やレーさんですらはじめての事。
暑い! 本気で暑いです! 日本の真夏で一番暑い日くらいな感じです。
草や木も枯れそうだし、死人が出ないか心配になりますが、何とか魔王様のお力で守られてはいるのでかろうじて無事だそうです。でも氷系、水系や暑さに弱い種族は家族単位で避難しているので昨日から子供も数人お休みでちょっと寂しいですけど。。
その他の子や私達職員も保育の時間中に熱中症が出ないか心配になるほど暑かったので、急遽城のある湖での水浴びとなりました。
暑いときと言えばプールでしょう! でも幼稚園にはプール無いんで真っ赤な湖ですけど。溺れては大変なので大きな網で囲って一番浅い部分でだけ遊びますよ。
「早く、お水っ、お水!」
「ちゃぷちゃぷちよー!」
すでに教室で準備して来た子供達は元気です。いいな、幼児。ぽっこりお腹見せてすっぽんぽんでも恥じらいが無い。
私は水着は下に着てますが上に普通に服着てます。水着はエイジ君とてんちゃんに毎度お馴染みマコちゃん家の洋裁店にお願いしてもらい、職員の分を作ってもらいました。注文して数時間で作ってくれるので有難い存在です。特殊な布で一人ずつにちゃんと似合うように作ってくれたのですが、そこはアイマスクの件でもわかるように色々と変なこだわりが入っているのでデザイン的にちょっとアレですけど……この暑さはもうデザインがどうのなんて言ってられない。
というか、旦那様が「皆が見るので絶対ダメ!」と肌を出すことを許してくれないのですよ。何ですか、それは。水浴びといったら水着でしょう。恥ずかしくないよ、私は。
そういうウリちゃんもびっちしいつもの格好ですけど。下に水着着てる様子はあったんですけどね。水に入る気無いんでしょうか。
「女性も多数おいでですしその……」
いいのに別に。私は他の人に肌見せないでーなんて言いませんよ? 寧ろ見せてあげたい。ひょろひょろに見えるし悔しいくらい白いですが、実は結構いい体してるんですよ。胸筋とか腹筋とか、背中とか引き締まってて……やーん、やっぱり惜しいな、他の人に見せるの。
「ほらほら、早く先生方も用意なさって。子供達が溺れないように頑張らないと」
既になんとも色っぽい赤い水着姿のマーム先生。いいなぁその谷間。分けて欲しいよ。
「そうだよー、ほらウリちゃんも脱ぐ!」
「はーやーくー!」
子供達も待ってるし、強制的に私達夫婦も脱がされました。
私はどういうチョイスなのか地味なスクール水着です。多分にエイジ君の趣味が入っているように思いますがある意味安心スタイルです。てんちゃんはピンクのフリルのついた可愛いワンピーススタイル、スケルトンのレーさん、メイア先生の年長組はクラシカルな袖もズボンもついたシマシマ、猫獣人のピコさんは何でか際どいセパレートです。皆それぞれ似合いますけど。
「……ウリエノイル様、何かものすごく卑猥な気が……」
渋々というか強制的に脱がされたウリちゃんを見てマーム先生が引いている。
「だから嫌だったのですよ。下着より酷い」
白い人が白い水着。しかも何でビキ二ですか。うん、卑猥と言うかエロい。しかも長い髪が濡れないようにアップにしてるんで、何と言うか……似合いすぎるほど似合うけど。ヤバイ、なんか非常にヤバイ!
「パパ……にゃんか……イヤ」
お風呂で見慣れているはずのリノちゃんが逃げている。女の子達がひそひそ言ってますけど。
「テンゼラさん、エイジさん、どういう趣味ですか?」
「えー? すごく似合うと思いますよ。セクシーですけど?」
セクシーって。薄々感じていたがエイジ君の感性はやっぱりズレている。
まあそんな職員(おとな)の都合は放っておいて。子供達は今か今かと待ってますし、暑いし。
「じゃあ準備運動するよ」
「あーい!」
自分は安心のトランクスの海パンの体操のお兄さんエイジ君指導のもと体操します。
「勇者様、なんて悩ましいお姿……! 素敵です!」
てんちゃん、気温が更に上がりそうなんでそのラブラブ光線出すのやめようよ。
「おいっちにーさんしー」
「っちにーしゃんしー!」
私達も一緒に体操しますよ。久しぶりです、泳ぐのなんて。
水が血のように赤くても、もうお風呂で見慣れたし抵抗無い。
まずは水際でみんな如雨露や柄杓で水をすくってかけっこです。
「ちべたーい!」
「気持ちい~い!」
きゃあきゃあと歓声が上がる中、じゃぼんと早くも飛び込んだ音が。慌てて見に行くと水系なのに避難しなかった河童のキュウちゃんでした。
「キュウちゃん、慌てちゃ駄目だよ」
「らいじょぶ。溺れないから~!」
河童はおぼれないだろうけどね。おお、見事な泳ぎっぷり。
「お、オレ水はちょっと……」
いつもやんちゃなさんちゃんは逃げ腰。火の竜だもんね。でもお風呂にも入れるので大丈夫だから、泳がなくても足をつけたり水のかけっこでいいでしょう。他にも駄目な子もいるし。猫ちゃん達も逃げ腰だね。
「はーい、湖に入りたい子は浮き輪もあるから言ってね」
「わーい!」
浮き輪? あるんだそんなのと思ってみたら、わっかになってて中に空気が入ってるまさに浮き輪なんですけどやっぱりなーんか生っぽい感じ。なんか顔ありますけど?
「ぴかぷかワームです。大人しいので大丈夫ですよ」
「虫なんだね……」
魔界は何でも生きてるなぁ。玉いれの玉もダンゴ虫だし。
子供に付き添い、私達職員も若い方から水の中へ。浮き輪を持ったり、子供をぶら下げたりで遊びます。冷たくて気持ちいい!
水に入ってしまえばエロパンツが見えないのがわかったウリちゃんは率先して子供達と泳いでいる。ううっ、浅いので屈んでるのがお風呂に入ってるようでそれはそれでおかしな眺めだ。
泳がない子達は大きなたらいを用意してもらって横で水遊び。メイア先生とレーさんが相手してくれている。
お水で暑さも忘れてみんな涼しくなってきたみたい。きゃあきゃあ言いながら遊んでいると、声につられるように魔王様がおいでになった。
「私も一緒して良いだろうか……」
魔王様もぐったりしておいでです。この太陽燦燦は黒ずくめにはキツイですね。その上、国民や動植物を守るために、昨日から魔力を使いっぱなしですし。
「勿論ですとも。園長も一緒に涼みましょう」
「その……ココナさん、少し肌を出しすぎでは無いだろうか?」
「水着ですし。裸じゃないので恥かしくないです」
「そういうものなのか」
「わーい、まおーたまいっちょー! お服脱いれちゃぷちゃぷー!」
子供達も大歓迎ですよ。
うわ、そういえばタンクトップ止まりで魔王様の裸見た事無い。いや、見てたらそれはそれで問題なのだが。ドキドキわくわく。魔王様はあの細マッチョの体にどんな水着? 皆が興味深々で見ていたが、靴を脱いでズボンの裾を捲り上て足を漬けられただけだった。
「あれ? 泳がないのですか?」
「私は水着をもっておらん」
えー、がっかり。って、私は何を期待していたのだろうか。
「子供達もパンツですし、別に下着でも大丈夫では?」
あの、マーム先生? それどうかと思いますけど……まあ下着より酷い水着の男もいるんでいいかな。なんか恥ずかしいけど。
「うむ、そうだな」
そしてすんなり受け入れちゃうんですね、魔王様も。余程暑いんですね。
「まおーたまー! あやくー!」
「今行くぞ」
相変わらず豪快に服を脱ぎ捨てて、ばーんって仁王立ちされておいでですが、はじめて見た素肌には背中と胸になんか紫色のすごい模様があるんですね。刺青? ウリちゃんほどじゃないが白いので禍々しく目立ちます。
それよりも! 魔王様、下着はふんどしでございましたか! コウモリさん柄の。に、似合いすぎる……!
「ぷっ」
ウリちゃんはふき出してますけど、ふんどしはあんたのそのエロいビキニといい勝負ですよ。
「魔王様、日傘を……」
そして、こちらも暑さに負けてかふらふらとさっちゃんも魔王様の後を追ってやってきた。相変わらずのアイマスクに侍女服ですが、日傘を借りてきたみたい。
「あ、やっ、お召し物をお脱ぎに!?」
あ、さっちゃんが真っ赤になってる。ここ、今裸祭りだし。
「魔王様、子供と一緒に泳ぐって。さっちゃんも入ればいいのに」
「いえ、見ているだけで」
「見てみたいなぁ、スタイルいいから綺麗だろうにね。明日は水着用意してもらうね。どんなのがいいかなぁ」
魔王様の耳がぴくぴくしてるよー。見たいね、見たいよね水着! 私のスクール水着見てもそう反応はされませんでしたのにね。
「ほら、さっちゃん、魔王様ステキだよね」
「はい。ま、魔王様……逞しくて素敵でございます」
さっちゃんに言われて赤くなった魔王様。煽っといてなんですが気温が上がりそうなんでやめてください。そして照れ隠しのように豪快に水に飛び込まれました。浅いんですけど……。
水の冷たさを堪能した頃、
「せんせ、おっきなお魚お口開いてこんにちはしてたよ!」
すいすい潜って泳いでいたきゅうちゃんが、水から顔を出して嬉しそうに報告してくれた。ん? 大きなお魚? そういえばこの湖には……。
「うわっ、イテーッ!」
「きゃー! 勇者様~!」
囲ってある網にもたれていたエイジ君が大慌てで戻って来た。足にすっごい歯型がついてますけど。まあすぐ治るんで大丈夫ですけどね。
「ああ、忘れてました。子供は襲いませんが大人はキミちゃんに齧られない様にご注意ください。あまり網に近づきませんよう」
ウリちゃん、そう言う事は先に言っておこうよ。多分水着の復讐に黙ってたんだろうけど。慌てて全員駆け上がりました。
季節はずれの水浴びはとっても楽しかったです。
ぺったぺった。裸足の足音はいつもに比べて大きい。そして子供達はパンツ一丁。下半身人型じゃ無い子はすっぽんぽんですけど。手には如雨露や柄杓。
これからひまわり、バラ、スミレ三組合同で水遊びをします。
年中そう暑くも寒くもないドドイルで、しかもとうに夏も終わり暦はもう既に秋のはずなんですが、三年に一回、この魔王城のある山に住む火の鳥の復活日を挟んで前後三日間はいつもは暗い太陽が活発になり異常に気温が上がるのです。今日はまさにその火の鳥の日。しかも三百年に一回産卵するので、その時はすごく暑くなるそうで、今年がその当たり年なんです。近年四百歳を超えた猫耳執事のギリムさんは三百年前に一度経験した事があるそうですが、魔王様やウリちゃん、マーム先生や職員で年長のメイア先生やレーさんですらはじめての事。
暑い! 本気で暑いです! 日本の真夏で一番暑い日くらいな感じです。
草や木も枯れそうだし、死人が出ないか心配になりますが、何とか魔王様のお力で守られてはいるのでかろうじて無事だそうです。でも氷系、水系や暑さに弱い種族は家族単位で避難しているので昨日から子供も数人お休みでちょっと寂しいですけど。。
その他の子や私達職員も保育の時間中に熱中症が出ないか心配になるほど暑かったので、急遽城のある湖での水浴びとなりました。
暑いときと言えばプールでしょう! でも幼稚園にはプール無いんで真っ赤な湖ですけど。溺れては大変なので大きな網で囲って一番浅い部分でだけ遊びますよ。
「早く、お水っ、お水!」
「ちゃぷちゃぷちよー!」
すでに教室で準備して来た子供達は元気です。いいな、幼児。ぽっこりお腹見せてすっぽんぽんでも恥じらいが無い。
私は水着は下に着てますが上に普通に服着てます。水着はエイジ君とてんちゃんに毎度お馴染みマコちゃん家の洋裁店にお願いしてもらい、職員の分を作ってもらいました。注文して数時間で作ってくれるので有難い存在です。特殊な布で一人ずつにちゃんと似合うように作ってくれたのですが、そこはアイマスクの件でもわかるように色々と変なこだわりが入っているのでデザイン的にちょっとアレですけど……この暑さはもうデザインがどうのなんて言ってられない。
というか、旦那様が「皆が見るので絶対ダメ!」と肌を出すことを許してくれないのですよ。何ですか、それは。水浴びといったら水着でしょう。恥ずかしくないよ、私は。
そういうウリちゃんもびっちしいつもの格好ですけど。下に水着着てる様子はあったんですけどね。水に入る気無いんでしょうか。
「女性も多数おいでですしその……」
いいのに別に。私は他の人に肌見せないでーなんて言いませんよ? 寧ろ見せてあげたい。ひょろひょろに見えるし悔しいくらい白いですが、実は結構いい体してるんですよ。胸筋とか腹筋とか、背中とか引き締まってて……やーん、やっぱり惜しいな、他の人に見せるの。
「ほらほら、早く先生方も用意なさって。子供達が溺れないように頑張らないと」
既になんとも色っぽい赤い水着姿のマーム先生。いいなぁその谷間。分けて欲しいよ。
「そうだよー、ほらウリちゃんも脱ぐ!」
「はーやーくー!」
子供達も待ってるし、強制的に私達夫婦も脱がされました。
私はどういうチョイスなのか地味なスクール水着です。多分にエイジ君の趣味が入っているように思いますがある意味安心スタイルです。てんちゃんはピンクのフリルのついた可愛いワンピーススタイル、スケルトンのレーさん、メイア先生の年長組はクラシカルな袖もズボンもついたシマシマ、猫獣人のピコさんは何でか際どいセパレートです。皆それぞれ似合いますけど。
「……ウリエノイル様、何かものすごく卑猥な気が……」
渋々というか強制的に脱がされたウリちゃんを見てマーム先生が引いている。
「だから嫌だったのですよ。下着より酷い」
白い人が白い水着。しかも何でビキ二ですか。うん、卑猥と言うかエロい。しかも長い髪が濡れないようにアップにしてるんで、何と言うか……似合いすぎるほど似合うけど。ヤバイ、なんか非常にヤバイ!
「パパ……にゃんか……イヤ」
お風呂で見慣れているはずのリノちゃんが逃げている。女の子達がひそひそ言ってますけど。
「テンゼラさん、エイジさん、どういう趣味ですか?」
「えー? すごく似合うと思いますよ。セクシーですけど?」
セクシーって。薄々感じていたがエイジ君の感性はやっぱりズレている。
まあそんな職員(おとな)の都合は放っておいて。子供達は今か今かと待ってますし、暑いし。
「じゃあ準備運動するよ」
「あーい!」
自分は安心のトランクスの海パンの体操のお兄さんエイジ君指導のもと体操します。
「勇者様、なんて悩ましいお姿……! 素敵です!」
てんちゃん、気温が更に上がりそうなんでそのラブラブ光線出すのやめようよ。
「おいっちにーさんしー」
「っちにーしゃんしー!」
私達も一緒に体操しますよ。久しぶりです、泳ぐのなんて。
水が血のように赤くても、もうお風呂で見慣れたし抵抗無い。
まずは水際でみんな如雨露や柄杓で水をすくってかけっこです。
「ちべたーい!」
「気持ちい~い!」
きゃあきゃあと歓声が上がる中、じゃぼんと早くも飛び込んだ音が。慌てて見に行くと水系なのに避難しなかった河童のキュウちゃんでした。
「キュウちゃん、慌てちゃ駄目だよ」
「らいじょぶ。溺れないから~!」
河童はおぼれないだろうけどね。おお、見事な泳ぎっぷり。
「お、オレ水はちょっと……」
いつもやんちゃなさんちゃんは逃げ腰。火の竜だもんね。でもお風呂にも入れるので大丈夫だから、泳がなくても足をつけたり水のかけっこでいいでしょう。他にも駄目な子もいるし。猫ちゃん達も逃げ腰だね。
「はーい、湖に入りたい子は浮き輪もあるから言ってね」
「わーい!」
浮き輪? あるんだそんなのと思ってみたら、わっかになってて中に空気が入ってるまさに浮き輪なんですけどやっぱりなーんか生っぽい感じ。なんか顔ありますけど?
「ぴかぷかワームです。大人しいので大丈夫ですよ」
「虫なんだね……」
魔界は何でも生きてるなぁ。玉いれの玉もダンゴ虫だし。
子供に付き添い、私達職員も若い方から水の中へ。浮き輪を持ったり、子供をぶら下げたりで遊びます。冷たくて気持ちいい!
水に入ってしまえばエロパンツが見えないのがわかったウリちゃんは率先して子供達と泳いでいる。ううっ、浅いので屈んでるのがお風呂に入ってるようでそれはそれでおかしな眺めだ。
泳がない子達は大きなたらいを用意してもらって横で水遊び。メイア先生とレーさんが相手してくれている。
お水で暑さも忘れてみんな涼しくなってきたみたい。きゃあきゃあ言いながら遊んでいると、声につられるように魔王様がおいでになった。
「私も一緒して良いだろうか……」
魔王様もぐったりしておいでです。この太陽燦燦は黒ずくめにはキツイですね。その上、国民や動植物を守るために、昨日から魔力を使いっぱなしですし。
「勿論ですとも。園長も一緒に涼みましょう」
「その……ココナさん、少し肌を出しすぎでは無いだろうか?」
「水着ですし。裸じゃないので恥かしくないです」
「そういうものなのか」
「わーい、まおーたまいっちょー! お服脱いれちゃぷちゃぷー!」
子供達も大歓迎ですよ。
うわ、そういえばタンクトップ止まりで魔王様の裸見た事無い。いや、見てたらそれはそれで問題なのだが。ドキドキわくわく。魔王様はあの細マッチョの体にどんな水着? 皆が興味深々で見ていたが、靴を脱いでズボンの裾を捲り上て足を漬けられただけだった。
「あれ? 泳がないのですか?」
「私は水着をもっておらん」
えー、がっかり。って、私は何を期待していたのだろうか。
「子供達もパンツですし、別に下着でも大丈夫では?」
あの、マーム先生? それどうかと思いますけど……まあ下着より酷い水着の男もいるんでいいかな。なんか恥ずかしいけど。
「うむ、そうだな」
そしてすんなり受け入れちゃうんですね、魔王様も。余程暑いんですね。
「まおーたまー! あやくー!」
「今行くぞ」
相変わらず豪快に服を脱ぎ捨てて、ばーんって仁王立ちされておいでですが、はじめて見た素肌には背中と胸になんか紫色のすごい模様があるんですね。刺青? ウリちゃんほどじゃないが白いので禍々しく目立ちます。
それよりも! 魔王様、下着はふんどしでございましたか! コウモリさん柄の。に、似合いすぎる……!
「ぷっ」
ウリちゃんはふき出してますけど、ふんどしはあんたのそのエロいビキニといい勝負ですよ。
「魔王様、日傘を……」
そして、こちらも暑さに負けてかふらふらとさっちゃんも魔王様の後を追ってやってきた。相変わらずのアイマスクに侍女服ですが、日傘を借りてきたみたい。
「あ、やっ、お召し物をお脱ぎに!?」
あ、さっちゃんが真っ赤になってる。ここ、今裸祭りだし。
「魔王様、子供と一緒に泳ぐって。さっちゃんも入ればいいのに」
「いえ、見ているだけで」
「見てみたいなぁ、スタイルいいから綺麗だろうにね。明日は水着用意してもらうね。どんなのがいいかなぁ」
魔王様の耳がぴくぴくしてるよー。見たいね、見たいよね水着! 私のスクール水着見てもそう反応はされませんでしたのにね。
「ほら、さっちゃん、魔王様ステキだよね」
「はい。ま、魔王様……逞しくて素敵でございます」
さっちゃんに言われて赤くなった魔王様。煽っといてなんですが気温が上がりそうなんでやめてください。そして照れ隠しのように豪快に水に飛び込まれました。浅いんですけど……。
水の冷たさを堪能した頃、
「せんせ、おっきなお魚お口開いてこんにちはしてたよ!」
すいすい潜って泳いでいたきゅうちゃんが、水から顔を出して嬉しそうに報告してくれた。ん? 大きなお魚? そういえばこの湖には……。
「うわっ、イテーッ!」
「きゃー! 勇者様~!」
囲ってある網にもたれていたエイジ君が大慌てで戻って来た。足にすっごい歯型がついてますけど。まあすぐ治るんで大丈夫ですけどね。
「ああ、忘れてました。子供は襲いませんが大人はキミちゃんに齧られない様にご注意ください。あまり網に近づきませんよう」
ウリちゃん、そう言う事は先に言っておこうよ。多分水着の復讐に黙ってたんだろうけど。慌てて全員駆け上がりました。
季節はずれの水浴びはとっても楽しかったです。
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