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一章・冒険者・ナナ
疾風迅雷
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斥候からの報せでは敵国の敗残兵は村の集会施設に陣取り、村の入り口を固め住民の出入りを阻んでいるらしい。
敗残兵が襲撃してきた際、たまたま村を留守にしていた若者が今回の事件を知らせてくれたようだ。
村は背の高い柵で囲まれており、短時間で村の入り口以外からの出入りは難しいらしく、この入り口を押さえることができれば敵兵の退路は簡単に断てるそうだ。
よって作戦は至極単純に、正面突破。
見張りの隙をつき弓を射掛け、それを合図になだれ込む。
住民を人質に取られてはやりづらいので、一気に集会施設まで乗り込み殲滅、という運びになった。
私達合同隊は王都を起ち、数時間の行軍の後、目的のメルン地方のヘルナ村に着いた。
先行していた斥候隊と合流し、突撃の機を伺っているる状態だ。
幸いこのヘルナ村は浅い森の奥にある為、かなり近くまで気付かれる事なく接近できた。
距離は村の入り口まで約30メートル。
一瞬で詰められる距離だけど、ここは黙って指示を待ってた方がいいと思い、ただじっと息を殺していた。
そしてその時は突然訪れた。
見張りの敵兵2人は交代の時間なのか少しお互い言葉を交わした後に村の方へ踵を返したのだ。
その瞬間、味方の王国兵4人が一斉に弓を射た。
「今だ!かかれ!集会施設を制圧せよ!」
ディアス隊長の檄の下皆が一斉に茂みから飛び出した。
私は誰より早く飛び出し誰より早く弓を射かけられた敵兵に追いついた。
弓を受けよろめく2人に対してほんの刹那私は逡巡してしまったが、迷いを振り切り首を落とした。
絵的には惨いけど、苦しませない為にはこれが1番いい。
私は人よりも数段生命力が強い野生や、魔獣を相手にする中で学んでいた。
この作戦はとにかくスピードが命。
私は村の中央にある集会施設めがけ走った。
後になって足並みを揃えるべきだったかと少し考えたけど、この時の私はただ必死でそんな余裕はなかった。
他の民家の扉よりも一際大きな構えの扉を斬り開き私は施設内に躍り出た。
「な、なんだ!?敵か!?」
「見張りは!?王国兵か!?」
敵は17人。
軍議でも開いていたのかおあつらえ向きに一堂に会していた。
私の突然の乱入に場は大混乱に陥っているようであとはやり易かった。
入り口側にいた3人の首を素早く斬ると残りが全員抜剣しだした。
しかし抜剣して立ち上がる頃にはもう2人を斬り伏せており、次の相手に斬りかかる。
剣で防御の構えを取っていたが、私には関係ない。
私の剣速があれば、剣だって斬れる。
構えられた剣を真っ二つに斬り、その持ち主も同時に斬り伏せた。
残った敵を全て斬り終え、一呼吸入れた頃に他の隊員達が突入してきたのだが、皆一様に固まっていた。
ようやく気持ちが落ち着いてきた私も、一体なんと切り出したらいいのか分からず固まってしまった。
敗残兵が襲撃してきた際、たまたま村を留守にしていた若者が今回の事件を知らせてくれたようだ。
村は背の高い柵で囲まれており、短時間で村の入り口以外からの出入りは難しいらしく、この入り口を押さえることができれば敵兵の退路は簡単に断てるそうだ。
よって作戦は至極単純に、正面突破。
見張りの隙をつき弓を射掛け、それを合図になだれ込む。
住民を人質に取られてはやりづらいので、一気に集会施設まで乗り込み殲滅、という運びになった。
私達合同隊は王都を起ち、数時間の行軍の後、目的のメルン地方のヘルナ村に着いた。
先行していた斥候隊と合流し、突撃の機を伺っているる状態だ。
幸いこのヘルナ村は浅い森の奥にある為、かなり近くまで気付かれる事なく接近できた。
距離は村の入り口まで約30メートル。
一瞬で詰められる距離だけど、ここは黙って指示を待ってた方がいいと思い、ただじっと息を殺していた。
そしてその時は突然訪れた。
見張りの敵兵2人は交代の時間なのか少しお互い言葉を交わした後に村の方へ踵を返したのだ。
その瞬間、味方の王国兵4人が一斉に弓を射た。
「今だ!かかれ!集会施設を制圧せよ!」
ディアス隊長の檄の下皆が一斉に茂みから飛び出した。
私は誰より早く飛び出し誰より早く弓を射かけられた敵兵に追いついた。
弓を受けよろめく2人に対してほんの刹那私は逡巡してしまったが、迷いを振り切り首を落とした。
絵的には惨いけど、苦しませない為にはこれが1番いい。
私は人よりも数段生命力が強い野生や、魔獣を相手にする中で学んでいた。
この作戦はとにかくスピードが命。
私は村の中央にある集会施設めがけ走った。
後になって足並みを揃えるべきだったかと少し考えたけど、この時の私はただ必死でそんな余裕はなかった。
他の民家の扉よりも一際大きな構えの扉を斬り開き私は施設内に躍り出た。
「な、なんだ!?敵か!?」
「見張りは!?王国兵か!?」
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私の突然の乱入に場は大混乱に陥っているようであとはやり易かった。
入り口側にいた3人の首を素早く斬ると残りが全員抜剣しだした。
しかし抜剣して立ち上がる頃にはもう2人を斬り伏せており、次の相手に斬りかかる。
剣で防御の構えを取っていたが、私には関係ない。
私の剣速があれば、剣だって斬れる。
構えられた剣を真っ二つに斬り、その持ち主も同時に斬り伏せた。
残った敵を全て斬り終え、一呼吸入れた頃に他の隊員達が突入してきたのだが、皆一様に固まっていた。
ようやく気持ちが落ち着いてきた私も、一体なんと切り出したらいいのか分からず固まってしまった。
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