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アナザールート その93 鼓動
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今回、エロはございません・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
永遠のような、一瞬だったような、時間の感覚さえも失うほどの苛烈にご主人様に愛され続けた。
その全てが終わった後、僕は気絶するように眠ってしまった。
そして・・・夢も見ないほどの深く眠った夜が明ける。
人が動く気配にふと目を覚まし、上半身を起こして眠い目を擦りながら気配の方に目をやると、ベッドから起き上がって着替えをしているご主人様の姿が見えた。
・・・その光景を頭が認識した瞬間、僕は大失態を自覚し、顔からサーッと血の気が引いてゆく。
“寝過ごしたぁ!!”
僕は、本当ならメイドとしてご主人様より早く起きて、身支度を綺麗に整え、朝食を準備してから、余裕を持ってご主人様を起こさなければならないはずだった。
やらかしてしまった。
言い訳をさせてもらえば、僕の部屋にはちゃんと目覚まし時計があって、今頃はけたたましいアラームを鳴らしているはずだ。誰も止める人のいないアラームを。
だけど、僕が昨夜ご主人様に気絶するほど愛されて、そのまま眠ってしまったこの地下室にはそんなモノはない訳で・・・
「ご、ごめんなさい!、今朝食を・・・」
わちゃわちゃと慌てながら、ベッドから起きあがろうとしたら、
「あ・・・れ・・・?」
世界が傾いた。
いや、僕が傾いたのだ。
昨夜、死を意識するほど激しく愛されたダメージが身体に残っていて、足に力が入らない。
どうしよう。
寝過ごした挙げ句ろくに、メイドの仕事が果たせない、ご主人様の奴隷失格だ・・・。
目にじわりと涙が浮かんだ。
僕は素裸のまま地下室の床に倒れ、無様に這いつくばりながらご主人様に詫びる。
「あ・・・ごめんなさい。今起きますから、ちゃんと仕事をしますから・・・」
だから、呆れないで、嫌わないで、捨てないで。
震える膝に力を込めて立ち上がろうとし、また床に崩れ落ちる。
軽くパニックを起こしながら床でもがく僕にご主人様が穏やかに声をかけてくれた。
「落ち着けよ、時雨。無理しなくていいんだ。」
そして、僕をそっと抱き上げてベッドに座らせながら言った。
「時雨、しばらく寝ていろ。朝食なんてそこらのコンビニで買えばいいんだから。」
優しくて、穏やかな声だった。
だけど、その優しさに甘えたくはなかった。
僕は愛するご主人様のメイドとして、愛奴としてちゃんとお仕えしたかった、それだけが今の僕の存在意義なのだから。
「いえ、僕はちゃんと働けます、お役に立ちますから・・・」
だけど、そこに厳しい叱責の声が浴びせられる。
「命令だ!」
不意打ちの叱責に、僕の身体は硬直し、首をすくめて両目をぎゅうっとつぶる。
その直音だった。
ご主人様が僕をふわりと抱き締め、優しく唇を重ねる。
「ん、!?」
突然の口づけに一瞬、頭の中からが真っ白になり、そして僕は脱力してご主人様に唇を捧げ、身を任せた。
時間にして10秒に満たないフレンチキスだった。
短くて軽くキスの後、ご主人様は僕を抱き締めた両腕を離し、そしてそおっと僕の頭を撫でて、優しく話す。
「いいから休んでいろ。これは命令だからな・・・
村松には俺から話しておくから、お前は気にせず身体を休めろ。」
僕が立てないほど疲弊しているなんて連絡されたら、村松さん・・・あの優しいメイド長さんが、真っ青になって僕の様子を見に来るだろうなぁ
余計な心配をかけたくない・・・。
そんな風にも思ったけれど、ご主人様の命令なら否応なしだ。
諦めてベッドに横になろうとしたその時、ご主人様が僕をお姫様抱っこの姿勢で抱き上げ、歩き出す。
「え、ご主人様!!・・・なに、を?」
素裸のままいきなり抱き上げられ、僕はご主人様に抱き上げられたまま慌てふためく。
「このままお前の部屋に運んでやるよ。
この部屋とか・・・このベッドじゃあ、時雨も休まらないだろう?」
「あ・・・は、い・・・」
僕を拘束して虐めるための設備や道具だらけの窓の無い、拷問室めいた地下室。
それに、僕とご主人様の汗や精液や・・・いろんな体液まみれのベッド。
確かにここでこのまま休むのは正直ごめん被りたかった。
仮にここで休むとして、あの優しいメイド長さんが様子を見に来たら卒倒してしまいそうだ。
本当はご主人様の手を煩わせず、自分の足で歩きたかったけれど、まだ足に力が入らない。
ここはご主人様のご厚意に甘えるしか無いみたいだ。
だから、あえて素直に重心をご主人様に預け、僕を運びやすいような姿勢を取った。
「僕・・・重くないですか?」
ふと、上目遣いでご主人様に問いかけてみた。
「んー軽い軽い。筋トレにもならないぞ。」
僕を抱きながら歩いても小揺るぎもせず、呼吸も乱さないでスタスタと歩くご主人様の様子を見て、本当に大人の男の人だな、と思った。
その厚みのある胸板に耳を当てると、心臓の鼓動が聞こえる。
その音はゆっくりと力強く響いていて、僕を抱えて歩くくらい本当に運動にもなっていないみたいだった。
ああ、これが僕の愛しい人が生きている証の音だ。
僕を支配してくれて、虐めてくれて、愛してくれる人がここに存在してくれている証だ。
僕はそっと目を閉じて、その鼓動を感じながら目を閉じる。
僕を愛してくれる人に包み込まれるような幸せを感じながら。
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永遠のような、一瞬だったような、時間の感覚さえも失うほどの苛烈にご主人様に愛され続けた。
その全てが終わった後、僕は気絶するように眠ってしまった。
そして・・・夢も見ないほどの深く眠った夜が明ける。
人が動く気配にふと目を覚まし、上半身を起こして眠い目を擦りながら気配の方に目をやると、ベッドから起き上がって着替えをしているご主人様の姿が見えた。
・・・その光景を頭が認識した瞬間、僕は大失態を自覚し、顔からサーッと血の気が引いてゆく。
“寝過ごしたぁ!!”
僕は、本当ならメイドとしてご主人様より早く起きて、身支度を綺麗に整え、朝食を準備してから、余裕を持ってご主人様を起こさなければならないはずだった。
やらかしてしまった。
言い訳をさせてもらえば、僕の部屋にはちゃんと目覚まし時計があって、今頃はけたたましいアラームを鳴らしているはずだ。誰も止める人のいないアラームを。
だけど、僕が昨夜ご主人様に気絶するほど愛されて、そのまま眠ってしまったこの地下室にはそんなモノはない訳で・・・
「ご、ごめんなさい!、今朝食を・・・」
わちゃわちゃと慌てながら、ベッドから起きあがろうとしたら、
「あ・・・れ・・・?」
世界が傾いた。
いや、僕が傾いたのだ。
昨夜、死を意識するほど激しく愛されたダメージが身体に残っていて、足に力が入らない。
どうしよう。
寝過ごした挙げ句ろくに、メイドの仕事が果たせない、ご主人様の奴隷失格だ・・・。
目にじわりと涙が浮かんだ。
僕は素裸のまま地下室の床に倒れ、無様に這いつくばりながらご主人様に詫びる。
「あ・・・ごめんなさい。今起きますから、ちゃんと仕事をしますから・・・」
だから、呆れないで、嫌わないで、捨てないで。
震える膝に力を込めて立ち上がろうとし、また床に崩れ落ちる。
軽くパニックを起こしながら床でもがく僕にご主人様が穏やかに声をかけてくれた。
「落ち着けよ、時雨。無理しなくていいんだ。」
そして、僕をそっと抱き上げてベッドに座らせながら言った。
「時雨、しばらく寝ていろ。朝食なんてそこらのコンビニで買えばいいんだから。」
優しくて、穏やかな声だった。
だけど、その優しさに甘えたくはなかった。
僕は愛するご主人様のメイドとして、愛奴としてちゃんとお仕えしたかった、それだけが今の僕の存在意義なのだから。
「いえ、僕はちゃんと働けます、お役に立ちますから・・・」
だけど、そこに厳しい叱責の声が浴びせられる。
「命令だ!」
不意打ちの叱責に、僕の身体は硬直し、首をすくめて両目をぎゅうっとつぶる。
その直音だった。
ご主人様が僕をふわりと抱き締め、優しく唇を重ねる。
「ん、!?」
突然の口づけに一瞬、頭の中からが真っ白になり、そして僕は脱力してご主人様に唇を捧げ、身を任せた。
時間にして10秒に満たないフレンチキスだった。
短くて軽くキスの後、ご主人様は僕を抱き締めた両腕を離し、そしてそおっと僕の頭を撫でて、優しく話す。
「いいから休んでいろ。これは命令だからな・・・
村松には俺から話しておくから、お前は気にせず身体を休めろ。」
僕が立てないほど疲弊しているなんて連絡されたら、村松さん・・・あの優しいメイド長さんが、真っ青になって僕の様子を見に来るだろうなぁ
余計な心配をかけたくない・・・。
そんな風にも思ったけれど、ご主人様の命令なら否応なしだ。
諦めてベッドに横になろうとしたその時、ご主人様が僕をお姫様抱っこの姿勢で抱き上げ、歩き出す。
「え、ご主人様!!・・・なに、を?」
素裸のままいきなり抱き上げられ、僕はご主人様に抱き上げられたまま慌てふためく。
「このままお前の部屋に運んでやるよ。
この部屋とか・・・このベッドじゃあ、時雨も休まらないだろう?」
「あ・・・は、い・・・」
僕を拘束して虐めるための設備や道具だらけの窓の無い、拷問室めいた地下室。
それに、僕とご主人様の汗や精液や・・・いろんな体液まみれのベッド。
確かにここでこのまま休むのは正直ごめん被りたかった。
仮にここで休むとして、あの優しいメイド長さんが様子を見に来たら卒倒してしまいそうだ。
本当はご主人様の手を煩わせず、自分の足で歩きたかったけれど、まだ足に力が入らない。
ここはご主人様のご厚意に甘えるしか無いみたいだ。
だから、あえて素直に重心をご主人様に預け、僕を運びやすいような姿勢を取った。
「僕・・・重くないですか?」
ふと、上目遣いでご主人様に問いかけてみた。
「んー軽い軽い。筋トレにもならないぞ。」
僕を抱きながら歩いても小揺るぎもせず、呼吸も乱さないでスタスタと歩くご主人様の様子を見て、本当に大人の男の人だな、と思った。
その厚みのある胸板に耳を当てると、心臓の鼓動が聞こえる。
その音はゆっくりと力強く響いていて、僕を抱えて歩くくらい本当に運動にもなっていないみたいだった。
ああ、これが僕の愛しい人が生きている証の音だ。
僕を支配してくれて、虐めてくれて、愛してくれる人がここに存在してくれている証だ。
僕はそっと目を閉じて、その鼓動を感じながら目を閉じる。
僕を愛してくれる人に包み込まれるような幸せを感じながら。
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