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アナザールート その80 躾 その7 殺意

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僕は泣き、叫び、暴れ続けた。

だけど両手首を拘束する鎖はビクともしなくて・・・やがて体力が限界を迎えると、僕は両手首から伸びる鎖に体重を預け、宙吊りにされた汗まみれの肢体を晒しながら、荒い呼吸を繰り返す。

「はぁ・・・はぁ・・・は・・・ぁ・・・」

目の前の男は無表情に僕を見下ろしている。

その顔は、怒っているようにも、何かを嘆いているようも見える。

そして、僕のスマホの電源を切って、地下室の隅のサイドテーブルの上に置き、力無く顔を伏せている僕に近づきながら言った。

「時雨、お前は俺のオンナになったんだ・・・もうあんなデブのことなんか忘れてしまえ。」

その声は、ほん少しだけ優しかった。
だけど、僕は俯いたまま、低い声で小さく呻くように答える。

「・・・な・・・い・・・」

一番大切ものを穢され、奪われた怒りと敵意が僕の中に溢れ、視界を真っ赤に染めていた。

「なんだって?」

その敵意の相手が僅かに首を傾げながら、もう一歩僕に近づいた

その瞬間。

僕は自分を拘束している鎖の僅かなたわみ、そして 自分自身の身体の柔軟性も利用して、精一杯に身体を前にずらし、首を伸ばし、目の前の男の首筋に喰らいつき、明確な殺意をもってそこにある太い血管を食い破ろうとした。

だけど、僕の精一杯の逆襲はほんの僅かに届かない・・・

前歯が虚空を噛んでガチリと音を立てると、千切れそうになるまで伸ばし、バランス無視で無理な体勢を取った反動で身体が後ろに引き戻された。

男は、僕の精一杯の、だけ僅かに届かなかった逆襲に一瞬たじろいで、一歩後退りしてゆく・・・

きっと僕には、もう2度目のチャンスはないだろう、僕は千載一遇の機会で失敗したことに歯噛みしながらも、この男を射殺すように睨みつけ、激情のまま言葉を叩きつける。

「許さない・・・僕は絶対にあなたを許さない!
絶対に許すもんか!!」

だけど、それはしょせんは負け犬遠吠えでしかないことを直ぐ思い知らされることになる。

僕の精神を沸騰させた憎悪を叩きつけられた男の顔に浮かんだ表情は、驚愕でも、恐怖でもなく、たまらない愉悦の笑み・・・

「そうだよ・・・そうでなくちゃ面白くないよなぁ、時雨。
俺はあの夜、そんなお前に心を奪われたんだ。
そんなお前の心をへし折って・・・擦り潰して・・・、俺に屈服させて、俺だけの愛奴にしたかったんだよ。」

「ふざけないで・・・、誰が・・・誰があなたなんかに・・・」

「お前の意思なんて訊いていないんだよ・・・」

そう言って、目の前の男はゆっくりと、円を描くように僕の周りを回ると、僕の真後ろに立った。

ぬちゃり

と、冷たく粘性の高いローションがお尻に垂らされる。

そして、男の指がその液体を掬い取るようにしながらヒップラインの丸みをなぞって滑る感触。

「触わる・・・なぁ!
穢らわしい手で・・・さ・・・」

僕のお尻の上で、男の指先がゆっくりと滑り、円を描く。

そして、その円は僕のお尻の穴を中心にして、だんだんと螺旋状に小さくなってゆく。

僕は腰を捻り、拘束された手足をばたつかせて暴れるけれど、男はそんな僕の抵抗さえ楽しむように螺旋の軌道を狭めてゆく。

「やめ・・・ろ・・・」

狙いは明白だった。

また、躾という名の快感拷問で僕を屈服させ
調教と称した性的虐待で僕を壊し、奴隷にしたいのだろう。

嫌だ、いやだ。

僕の最後の希望を奪い、温かな思い出を踏み躙った目の前の大人、殺したいほど憎いこの男の性欲の捌け口にされる嫌悪で鳥肌が立っていた。

ぬぷり

男の指が肛門括約筋をこじ開け、ローションの滑りも利用して僕の中に滑り込み、柔らかな直腸粘膜をもて遊ぶ。

「ひっ!!!」

一瞬身体が震え、抵抗が止まって悲鳴を漏らした。

それをいいことに、男が指を根本まで差し込み、ぐりんと捻り、指先が鍵状に曲がり敏感な粘膜のヒダをかき分けて、探るように蠢く。

「んぁあ゛・・・!!!」

たったそれだけのことなのに、身体を内側から触れらただけで、ミカさんに、義父に、ミカさんの彼氏に、夕立に、織田さんに・・・そして僕の身体をオモチャにした大人達に開発し尽くされた、何かのスイッチが入る。

「んんっ!・・・っ・・・んっ!!!」

武骨で骨の太い指先が、僕のクリペニスの裏側に当たり、そこにある僅かな前立腺の膨らみを探りあて、そこをぐいっと押し込むとゾクゾクとした何かが身体の中をゆっくりと、登り始める。

「んひ・・・ぃいい!!!」

黒く細い首輪で飾られた首がのけ反り、肩まで伸びた髪が宙に舞う。

「ぁ・・・んぁ!・・・や゛っ!!・・・ぁあ!!やめ゛・・・ぇ・・・っんんぁ!ざわるなぁああっ・・・あ゛ぁ・・・ひぁああああ!!」

「触って下さいの間違いじゃないのか?、お前のここは・・・」

そう言って男が空いている手を伸ばした先には、いつの間にか固くなっていた僕の無毛のクリペニス。

「可愛らしく勃起して、“気持ちいい”って言っているぞ。」

そこをローション塗れ2本の指で軽く挟み、リズミカルに上下すると、ゾクゾクとした快感が僕の腰を溶かしてゆく。

その屈辱的な快感から逃れようと無意識に腰を引くと・・・今度は男の指を自分の体内に深く押し込む羽目になった。

「ちが、違うぅうう!・・・、あなたの指なんか・・・んぁあ!!・・・で感じるもんっんぁあ゛ああああっ!!!」

前にも後ろにも逃げられない快感の挟撃に心臓が不正脈を打ち、握り締めた拳が震える。

この男の指でだけは感じたくない!
イかされたくない、なのに・・・なのに・・・

「はぁぁぁん・・・やっ、やっぁあ!
!やっ!!こんなの・・・やっだぁぁぁ!!!!」

一度官能のスイッチが入った身体は、否応無く追い詰められてゆく。

自分の身体なのに、殺したいほど憎い男にコントロールを奪われて、思い通りに鳴き声をあげ、身体をくねらせられる・・・

その屈辱感と悔しさで、目尻にじわりと涙が浮かんだ。

「うう・・・うぅ・・・」

男はひとしきり、指先で僕のお尻とクリペニスを弄ぶと、黒いスラックスを脱ぎ捨て、固く勃起しきった黒光りするペニスを露わにする。

それは、強くて成熟した雄が雌を屈服させ、己の遺伝子を雌に注ぎ込んで孕ませる為の肉の凶器だった。

その凶器がお尻に押し当てられると、真っ赤に焼けた鉄棒を思わせる熱さ、そして硬さに僕は恐怖し、震え上がった。

だ・・・め・・・
あれを入れられたら、また僕は負ける。

雌にされて屈服させられる・・・

それだけは・・・嫌だ。
この男だけには、僕の希望と暖かな思い出を踏み躙ったこの男だけには・・・

なのに、僕のお腹の奥のマゾヒスティックな雌の部分があれを欲しがっている。

あれで虐められて、狂わされて、支配されたいと・・・
叶う事なら孕ませられたいと熱く疼いている。

残酷な肛虐調教で僕を追い詰める大人が、心と身体の二律背反した僕の葛藤を見透かして嘲りの言葉を囁く。

「ほら、どう許さないんだ?、お前のここは・・・」

そう言って僕の肛門に押し当てたそれを、じわりと圧し出す。

「俺を欲しがってるぞ。」

「違う!・・・ぅ・・・そんなことなぃ・・・、入れるなぁあああ!!!」

括約筋を必死で絞めても、大人のベニスの硬さと力強さの前では儚い抵抗だった。

雄の肉槍が・・・僕の締め付けを愉しむようにゆっくりと狭門をこじ開けてゆく。

「ぅ・・・ぁあ゛・・・や・・・ぁ・・・」

僕は喘ぎ声を漏らし、腰をブルブルと震わせながら、お尻の筋肉を精一杯引き締めてその侵入に拒み続ける。

だけど、僕は非力で、弱くて、大人の力には敵う筈はなくて・・・

その穂先にアナルの狭門を押し破られると、もう何一つ抗う術はなかった
 
ずん!

と、灼熱の肉槍が僕のアナルに突き立てられる。

「いぎぃ!!!!!!」

クリペニスの裏側辺りを、がつん!と突かれ、その一突きで押し出されたようにクリペニスが、たらたらとミルクを漏らす。

お漏らし射精と言われる、勢いのない絶頂だった。

そして、肉槍は憎しみさえ感じさせる勢いで僕を一気に串刺しにする。

極太のペニス、その血管が浮き上がった肉胴が僕の前立腺をゴリゴリと押し潰し、擦りあげながら直腸の奥へ奥へと進む。

クリペニスの裏側で快感のマグマが生まれ、お腹の奥から溢れ出て、快感の濁流となって身体の中心を遡ってゆく。

「んああ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛ぁ!!!!!」

僕は万歳の姿勢で拘束された両手を握り締め、Yの字の姿勢で宙吊りにされた身体を仰け反らせ絶叫した。

僕の中のマゾメスの部分が、全ての辱めをどうしようもないほど快楽として受け止めている。

身体の外からの愛撫なら耐えられても、身体の内側の敏感な臓器を責められると抗う術などない。

堕ちてゆく・・・堕とされてゆく・・・

ゆっくりと、確実に・・・僕はこの殺したいほど憎い男に堕とされてゆく自分自身を自覚していた。

悔しい、悔しい、悔しい、悔しい・・・

この男にだけは屈服したくないのに!

いつの間にか僕の両目から悔し涙が溢れていた。

それなのに、快感を堪える為に歯を食いしばった口元から力が抜け、雌の鳴き声が漏れるのを堪えられない。

堕とされてゆく悔しささえも、いつのまにか被虐の快感に変化してゆく、それがまた悔しかった。

「あっ、あ゛ああっ!・・・止め・・・ろ・・・ぉ
ん、ぁ!・・・ひぎぃいいいいいぁあああ!!!!」

ビクビクと慄く僕の細腰を男が両手でがっちりと固定している。

僕を貫く肉槍が軽く引かれ、再び突き込まれるたび、カリ首が前立腺を押し潰し、そして直腸の最奥にある結腸口まで突き上げられると、脳が処理しきれないほどの快感信号で目の裏側で火花が散っていた。

一方で、身体は僕の意志とは無関係の生理現象で、直腸のヒダがペニスを締め付ける、結腸口がカリ首に絡みついて男の快楽に奉仕する。

ばちゅん、ばちゅん

男が肉槍でぼくを串刺しに貫くたび、クリイキ並の快感が背筋を走り抜け、その先にあるメスイキの絶頂に追い立てられてゆく。


「ひっ、ぁぁあ・・・、んぁ!・・・、もうっ、もう・・・あがぁああああ!!」

僕はマゾヒスティックな快感の濁流に呑み込まれ、ガクガクと震えながら鳴きつづけた。

その時だった、僕の腰を両手で固定し犯していた男が、不意にその手を離して言った。

「時雨・・・、さっきお前は本気で俺を殺そうとしたよな?」

そうして、男の両手のひらが僕の細首に押し当てられて・・・その指が首輪のように首周りを囲む。

「ご主人様に反抗した悪い奴隷には罰を与えないとな・・・」

嫌な予感しか無かった。

僕の首を囲んだ男に指に・・・少しづつ、少しずつ、力が込められて僕の首が絞め上げられてゆく。

「あ゛、ぐっ・・・っ!う、ぐぇ・・・えぐぅ・・・止めっ・・・あが・・・あ゛あ!!」

じわじわと圧力を増す指の感触を首筋で感じ、このまま絞め殺される、そう思った。

不思議と息は苦しく無かったけれど、男の指先に力が込められると、だんだんと意識が朦朧とし、悔しさも、怒りも薄れゆく意識の中に霧散していった。

首絞めプレイというものが存在する。

首を絞め呼吸を止めるのではなく、首筋にある頚動脈を圧迫することにより脳への血流を止め、脳に低酸素症を起こさせる。

この状態の脳は意識が混濁し、時には幻覚を見ることもあり、最後には意識を失う。

そして、この状況とセックスの絶頂が重なると脳内麻薬が大量に分泌されて強烈な快感を感じるのだ。

もちろん、一歩間違えば相手を殺してしまう危険なプレイなので、お店のルールでは厳禁とされていた。

だけど、今の僕を守ってくれるルールなんて何処にも存在しない。

それが、信頼し、愛している人・・・例えば織田さんだったら喜んで受け入れる。そのまま殺されたっていい。

だけど、信頼どころか、憎しみさえ感じている相手にそれをされるのは恐怖と嫌悪でしか無い。

そのまま殺されない保証など何処にもないのだから。

「あ・・・ぐっ・・・ぁあ・・・」

身体から力が抜け、瀕死の白鳥のようにビクビクと手足が弱々しく痙攣し始めていた。

それなのに・・・いや、悔しさも怒りも霧散したからこそ、この男に自分の胎内が汚されることへの拒絶感さえ失せて、僕は締め殺されながら被虐の快感に浸りきり、押し流されてゆく。

そして、ずんっ!と、男の野太い剛直が直腸をいっぱいに満し、最奥の結腸口まで抉り熱い精を放った時、お腹の奥に臨界点を超えた快感の塊が爆発した。

僕の許容量を超えた高圧の快感信号が一気全身に流れ、僕の神経を焼き切ってゆく。

「あ゛・・・がぁ・・・っ・・・!!!!!!」

締め上げられた首の奥から掠れたイキ声が漏れ、それが声にならない鳴き声に変わる。

僕は首を絞められながら極大のメスアクメに押し上げられた。

だけど、死にかけの身体は、もうその快感に身悶える力さえ失ってピクピクと微かな痙攣するだけだった。

それなのに、僕のアナルだけは、別の生き物みたいにきゅうきゅうと男のペニスを締めつけ、抱き締める。

ぐるんと裏返り、白目を向いた目はもう何も写さず、ただ脳を掻き混ぜるような快感をチカチカと弾ける光の粒として捉えていた。

「ひっ・・・ひ・・・ぅ、ん・・・ァ・・・」

全身が弛緩し、僕は痙攣さえも止まった身体で、ただ屍のように鎖でぶら下がり。

朦朧とした意識の中で失禁しながら、下半身を生暖かい液体が濡らす感触を僅かに感じ取っていた

そうして、死と隣合わせのメスイキ絶頂の果てに意識を手放した。

殺したいほど憎い男に、涎を垂れ流した浅ましいイキ顔と、オシッコを漏らしたみっともない姿を晒しながら。
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