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アナザールート その78 躾 その5 暗闇
しおりを挟む今回も、エロはございません・・・
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「嫌ぁあああああああ!!!!
もうやだっ!もう嫌だぁああああ!!!
助けて・・・許してぇ!!!!!
織田さん、織田さん・・・助けて、助けてぇ!、たすけて、織田サン、織田さん!!」
僕は絶叫した。
叫んでいる間だけはヘッドホンから流れる自分の声を聴かずにすんだ。
そして、ヘッドホンや首輪を外そうとしてめちゃくちゃに暴れ、身体をよじる。
だけど、いつまで叫び続けることなど出来はしないし、どんなに暴れても、首輪も、そこに繋がる鎖も、ヘッドホンもびくともしない・・・
やがて、喉は枯れ、消耗し切った体力は尽き、ただ床に座り込んだ。
今日1日、ご主人様にいいように弄ばれ、疲れ果てた身体は鉛のように重く、回復のための睡眠を求める脳は意識を朦朧とさせてゆく。
ヘッドホンから流れる自分の声はなるべく意識せず、聴かないようにしていた。
「僕はゴミクズです、生まれてきてごめんなさい・・・」
けれど、眠りかけの脳は、そんな精神の防御反応も同時に低下させ、心の抵抗力が弱くなり、自分自分の言葉が僕の精神の深い部分に忍び込んでゆく。
「僕は生まれつきのマゾメスです、ご主人様に虐めてもらうために生まれてきました。」
僕の深層意識に知らず知らずのうちに刷り込まれてゆく。
いつに間にか、意識が遠のいて、うつらうつらと、身体と脳が睡眠という安息に溢れ落ちる。
・・・その直後
グン!
と、首輪が引っ張られるショックで意識を取り戻す。
床に座ったままの身体が、いつの間にか眠りかけたせいで傾いてしまい、首輪とそれを天井に繋いでいる鎖に首吊り状態になりかけていた。
「あ゛・・・っ!・・・げほっ!げほっ・・・」
首輪に気道を圧迫され、咳き込みながら意識を取り戻し、今まさに窒息死しそうになった事にぞっとした。
こんな・・・朝まで何時間あるかわからないけれど、こんなことを朝まで繰り返すのか・・・。
「僕には、生きる価値なんてありません。」
ヘッドホンから自分の声が流れる。
「ははっ・・・あ・・・はははははははははは・・・」
いつの間にか、感情のこもらない、かさかさに乾いた笑いが口から漏れ出していた。
もう、死んでしまおうか。
このまま、はんの少しの間、首に体重を預ければ楽になれる。
もう、それでいいじゃないか・・・
「あはっ、あはははははははは・・・」
笑い声は、最初は小さく・・・やがて狂ったような大声でになってゆく。
「あはははは・・・ぁ・・・」
不意に笑い声が止まり、愛しい人の名を読んだ。
「織田さん・・・」
こんな僕に優しくしてくれた人
こんな僕をお嫁さんにしたいと言ってくれた人。
会いたいよ。
2人だけで過ごした幸せな時間が、今は別世界のことの様に感じられる。
もう一度、会いたいよ・・・
「織田さん・・・、織田さん・・・オダさん・・・おださん・・・」
僕は無意識の内に、完全な暗闇の中で、ただ愛しい人の名を呼び続ける。
それは絶望に満ちた未来にある、僕のたった一つの希望。
それに縋りつき、その名を呼ぶ事でしか、僕は悪意に侵食されてゆく精神を保つことができなかった。
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