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アナザールート その63 生きろ
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今回もエロはございません・・・
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ハルカに別れを告げた後、僕はスマホも取り上げられ、お兄さんが運転する車の助手席に座ってお店に向かっていた。
2人とも無言だった。
途中、お兄さんがコンビニでコーヒーを2つ買って、1つを僕にくれた。
車の中では、ラジオから交通情報が小さい音で流れている。
僕は、お兄さんがコーヒーを口に含んだ時、ふと話しかけた。
「お兄さん、ハルカを・・・夕立を抱いたんですか?」
ぶほっ!
おお、お兄さんが盛大にコーヒーを吹き出した。
「お前・・・なんでそう思うんだ?」
お兄さんが手の甲で口元を拭いながら聞き返してくる。
「2人の距離感が、近かったんですよ。
僕と織田さんの距離感みたいだった。」
「・・・、まだ抱いてねえよ・・・」
ぶっきらぼうな口調なのは、明らに照れ隠しだなぁ。
薄暗い車の中でも顔が赤くなっているのがわかる。
僕は、ちょっとだけ楽しくなって言葉を続ける。
「"まだ”ってことは"もうすぐ”抱くってことですよね。そんなきっかけがあったんですか?」
お兄さんは黙ってコーヒーの残りを飲み干しながら、ポツリポツリと話してくれた。
身も心もボロボロにされた僕ら2人が可哀想で見ていられなくて、ついつい世話を焼いたこと。
そうしたら、ハルカ・・・夕立が物凄く懐いてきて、ぐいぐいと距離を詰めてくるようになったこと。
そこらの女の子より余程可愛い夕立が、お兄さん、お兄さんと甘えてきて、身体を密着させてスキンシップを繰り返すようになったこと。
最初は弟分だと思っていて可愛がっていたはずの夕立への親しさが、異性へ向ける感情にいつのまにかすり替わっていること。
などなど。
「俺は・・・ホモじゃないんだがなぁ・・・。
でもなぁ、夕立くらい可愛かったらもういいかと思い始めたよ・・・ったく。」
お兄さんが、ガリガリと頭を掻き、愚痴ともぼやきとも取れる言葉を漏らす。
強面のお兄さんがとても可愛らしく見えて、僕は背中を丸めて下を向いて笑いを噛み殺すと共に、少しだけ安心して心が軽くなってゆく。
そして、ひとしきり笑いを堪え続け、真顔が作れるようになってから、僕はお兄さんに頭を下げた。
「お願いです、ハルカを・・・夕立をよろしくお願いします。
僕は夕立の明るさや、優しさに救われました。
本当にいい子なんです。
だから・・・お願いですから・・・」
そこまで言い掛けた時、下げた頭に、ぽん・・・とお兄さんの大きな左手が置かれた。
「いいから頭上げろよ。」
驚いて頭を上げると、お兄さんは苦笑を浮かべていた。
「まったく・・・ヒトのことばかり心配しやがって。
夕立の事は俺に任せておけ、あいつは俺のオンナ・・・にする予定だからな、俺が守るさ。
お前は少しは自分の心配をしろよ。」
お兄さんは、そのまま僕の頭を撫でながら言葉を続ける。
「お前はド変態のオッサンに買われて
きっと酷いめに遭わされるんだろうな。
だけど、多分あの夜程には酷いことにはならない・・・と思う。
誰だって自分の所有物を好き好んでぶっ壊そうとは思わない。
特に金持ちほどそんな損得の算盤はしっかりしているもんだ。
ちゃんと飯は食わせて貰えるだろうし、病気になれば医者に見せて貰えるさ。
恥ずかしい目に遭わされても、プライドを踏み躙られても・・・生き残れ。
18歳になれば自由になれるんだよ、それまで地べたを這っでも生きろ、いいな時雨よ、はやまるなよ。」
お兄さんが僕の頭を撫で続ける。
それは、織田さんのような愛おしむようなものではなく、大型犬の頭を撫でるようなグリグリとした荒っぽい撫で方。
だけど今はそれが心地よかった。
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ハルカに別れを告げた後、僕はスマホも取り上げられ、お兄さんが運転する車の助手席に座ってお店に向かっていた。
2人とも無言だった。
途中、お兄さんがコンビニでコーヒーを2つ買って、1つを僕にくれた。
車の中では、ラジオから交通情報が小さい音で流れている。
僕は、お兄さんがコーヒーを口に含んだ時、ふと話しかけた。
「お兄さん、ハルカを・・・夕立を抱いたんですか?」
ぶほっ!
おお、お兄さんが盛大にコーヒーを吹き出した。
「お前・・・なんでそう思うんだ?」
お兄さんが手の甲で口元を拭いながら聞き返してくる。
「2人の距離感が、近かったんですよ。
僕と織田さんの距離感みたいだった。」
「・・・、まだ抱いてねえよ・・・」
ぶっきらぼうな口調なのは、明らに照れ隠しだなぁ。
薄暗い車の中でも顔が赤くなっているのがわかる。
僕は、ちょっとだけ楽しくなって言葉を続ける。
「"まだ”ってことは"もうすぐ”抱くってことですよね。そんなきっかけがあったんですか?」
お兄さんは黙ってコーヒーの残りを飲み干しながら、ポツリポツリと話してくれた。
身も心もボロボロにされた僕ら2人が可哀想で見ていられなくて、ついつい世話を焼いたこと。
そうしたら、ハルカ・・・夕立が物凄く懐いてきて、ぐいぐいと距離を詰めてくるようになったこと。
そこらの女の子より余程可愛い夕立が、お兄さん、お兄さんと甘えてきて、身体を密着させてスキンシップを繰り返すようになったこと。
最初は弟分だと思っていて可愛がっていたはずの夕立への親しさが、異性へ向ける感情にいつのまにかすり替わっていること。
などなど。
「俺は・・・ホモじゃないんだがなぁ・・・。
でもなぁ、夕立くらい可愛かったらもういいかと思い始めたよ・・・ったく。」
お兄さんが、ガリガリと頭を掻き、愚痴ともぼやきとも取れる言葉を漏らす。
強面のお兄さんがとても可愛らしく見えて、僕は背中を丸めて下を向いて笑いを噛み殺すと共に、少しだけ安心して心が軽くなってゆく。
そして、ひとしきり笑いを堪え続け、真顔が作れるようになってから、僕はお兄さんに頭を下げた。
「お願いです、ハルカを・・・夕立をよろしくお願いします。
僕は夕立の明るさや、優しさに救われました。
本当にいい子なんです。
だから・・・お願いですから・・・」
そこまで言い掛けた時、下げた頭に、ぽん・・・とお兄さんの大きな左手が置かれた。
「いいから頭上げろよ。」
驚いて頭を上げると、お兄さんは苦笑を浮かべていた。
「まったく・・・ヒトのことばかり心配しやがって。
夕立の事は俺に任せておけ、あいつは俺のオンナ・・・にする予定だからな、俺が守るさ。
お前は少しは自分の心配をしろよ。」
お兄さんは、そのまま僕の頭を撫でながら言葉を続ける。
「お前はド変態のオッサンに買われて
きっと酷いめに遭わされるんだろうな。
だけど、多分あの夜程には酷いことにはならない・・・と思う。
誰だって自分の所有物を好き好んでぶっ壊そうとは思わない。
特に金持ちほどそんな損得の算盤はしっかりしているもんだ。
ちゃんと飯は食わせて貰えるだろうし、病気になれば医者に見せて貰えるさ。
恥ずかしい目に遭わされても、プライドを踏み躙られても・・・生き残れ。
18歳になれば自由になれるんだよ、それまで地べたを這っでも生きろ、いいな時雨よ、はやまるなよ。」
お兄さんが僕の頭を撫で続ける。
それは、織田さんのような愛おしむようなものではなく、大型犬の頭を撫でるようなグリグリとした荒っぽい撫で方。
だけど今はそれが心地よかった。
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