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アナザールート その57 素顔の僕で
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今回も、エロはございません…
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トロトロとまどろむような短い2度寝の後、再び目が覚める。
織田さんはまだ穏やかな寝息を立てて眠っている。
ちょっと名残惜しかったけれど、僕は織田さんの胸から頭を持ち上げて上半身を起こし、織田さんの寝顔を覗き込みながら、昨夜の自分の痴態を思い出す。
今さらながらに羞恥心が込み上げて来て、織田さんの寝顔でさえ正視出来ずに、耳まで真っ赤になって俯いた。
そんな恥ずかしさを誤魔化すようにして、朝ごはんを作ろうかと思いつく。
冷蔵庫に何も無くとも、白おにぎりとお味噌汁くらいは作れるだろう。
目が覚めた時、温かい朝ごはんが出来ていたら、織田さんはきっと喜んでくれるに違いない。
織田さんを起こさないようにそおっとベッドから降りて、キッチンの方に歩き出そうとしたその時、
ぐらり
世界が傾き、僕は床に崩れ落ちた。
「っあ!?」
フローリングの硬い床にたたきつけられた衝撃で、小な悲鳴を漏らす。
「あれ・・・立て・・・な・・・い?」
あの地獄のような夜、大人達にボロボロにされたダメージが癒えないうちに、昨夜も織田さんに意識を失う程激しく虐められた。
その結果、今の僕は腰が抜けて立つことさえ難しい状態になっていたのだ。
朝日が差し込んで明るくなった部屋の中、素裸で倒れている自分自身の身体を改めて確認してみると、あの夜の事を忘れる事は赦さない・・・と言わんばかりに鞭打ちの痕が治りきらずに全身に刻み込まれたままだった。
特にお尻は、昨夜織田さんにベルトで打れたせいで、生々しい傷痕が縦横無尽にはしり、真っ赤に腫れ上がっている。
こんな無惨な肌を、特に大人達に汚された証を刻まれた傷跡を織田さんに晒したくない。
それに、織田さんの前だけでは男の子のカオルではなく、可愛い男の娘の時雨でいたかった。
「せめて・・・服を・・・」
僕はみっともなく床を這いずりながら服を探す、昨日織田さんが買ってくれた服があった筈だ。
「時雨どの・・・どうしました!」
その時、後ろから織田さんの焦ったような声が響いた。
振り返ると、目を覚ました織田さんがわたわたと起き上がり、僕に近づこうとしている
「織田さん・・・来ないで!!。」
僕は叫び声を上げて織田さんを静止する。
昨夜さんざんに泣き叫んで痛めつけられた喉から出るその声は掠れている。
「近づか・・・ないで下さい・・・。お願いですからこんなみっともない僕を見ないで下さい・・・」
両手で自分の裸を抱き締めるようにして、少しでも身体を隠そうとする。
だけど、自分自身を庇う両腕さえも鞭でつけられた傷痕や、両手首を縛られて出来たアザだらけだ。
だけど、織田さんは止まってはくれない。
構わずに立ち上がり、早足でこちらに近づいてくる。
「むこう・・・向いてよ・・・見ないでよ・・・」
こんな僕を見て醜いと思われないだろうか、幻滅されるんじゃないだろうか。
不安で、織田さんの顔をマトモに見られない。
僕は織田さんから顔を背け、震える声で懇願する。
「ひっ・・・!」
織田さんの手が僕に触れた瞬間、ビクリと震えて小さく悲鳴を上げる。
直後に、大きな手が背中と膝裏に回されて・・・僕はお姫様抱っこで優しく抱き上げられていた。
「やっ!、あっ・・・ぁ・・・?」
両手を織田さんの胸に突っ張って、抱擁から逃れようと暴れ、涙目で織田さんの顔を見上げると・・・大きくて気性の穏やかな草食動物のような優しい目と笑顔があった。
その柔らかな笑顔に絆されるように、急激に身体の力が抜けてゆく。
織田さんは壊れものの美術品でも運ぶように歩くと、そおっと僕をベッドに下ろし、毛布をかけて傷だらけの身体を隠してくれた。
「時雨殿はみっともなくなどありません、地上に降りた大天使です。
なに、そんな傷など若いのですから直ぐに治ります。
それにですな・・・拙者にとっては、例え傷だらけであっても生きていてくれている時雨殿を抱き締められることが何より嬉しいのです。
下手をすれば、冷たくなった時雨殿を弔うことにもなりかねなかったのですから・・・」
その温かな手で僕の頭を撫でながら言った。
う、なんかズルい。
そんな言い方をされたら、何も言えなくなるじゃないですか・・・。
顔が熱い、僕の顔はきっと耳まで真っ赤になっているんだろう。
そんな顔を見られるのも、また恥ずかしくて・・・毛布を目元まで引き上げて顔を隠して目線を泳がせる。
その時、頭をゆっくりと撫でていた手が止まり、僕の・・・厳密にはウィッグの三つ編みサイドポニーの毛先を触り始める。
「時雨殿、このカツラは外しましょう。
とても似合っていて可愛いですけれど、こんなものを付けていたら寝にくいでしょう?」
そう言って、有無を言わさずにウイッグを取り上げられた!
「あ・・・!?」
突然のことに何も反応出来なかった。
頭が軽くなると同時に、ウイッグで抑えつけられたていた髪が解放され、枕の上に広がる。
ウイッグ無しでも時雨でいられるようにと伸ばし始めていた僕の髪は、かろうじて肩に触れるくらいの長さで、まだサイドで三つ編みに結える長さではなかった。
呆然として、カオルとして生まれたままの素顔を晒し、数秒の間織田さんと無言で見つめあった。
その間にも、織田さんの手が、指が、僕の本当の髪に触れ、ゆっくりと頭を撫で、髪をすく。
その温かくて優しい感触がウイッグ越しでなく直接伝わると、まるで髪にまで神経が通っているみたいで気持ちいい。
「ん・・・ぅ・・・・・・」
髪から伝わる感触に、小さな声を漏らしてしまった。
ウィッグ無しの僕は時雨じゃない。
だけどそ、僕の髪の上を丁寧に滑ってゆく大きい手が、太い指が、温もりが、そんな事は些細なことだと、どんな言葉より雄弁に語りかけてくれている。
僕はその手をそっと両手で掴み、その手の甲に口づけして、ゆっくりと頬ずりを繰り返した。
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トロトロとまどろむような短い2度寝の後、再び目が覚める。
織田さんはまだ穏やかな寝息を立てて眠っている。
ちょっと名残惜しかったけれど、僕は織田さんの胸から頭を持ち上げて上半身を起こし、織田さんの寝顔を覗き込みながら、昨夜の自分の痴態を思い出す。
今さらながらに羞恥心が込み上げて来て、織田さんの寝顔でさえ正視出来ずに、耳まで真っ赤になって俯いた。
そんな恥ずかしさを誤魔化すようにして、朝ごはんを作ろうかと思いつく。
冷蔵庫に何も無くとも、白おにぎりとお味噌汁くらいは作れるだろう。
目が覚めた時、温かい朝ごはんが出来ていたら、織田さんはきっと喜んでくれるに違いない。
織田さんを起こさないようにそおっとベッドから降りて、キッチンの方に歩き出そうとしたその時、
ぐらり
世界が傾き、僕は床に崩れ落ちた。
「っあ!?」
フローリングの硬い床にたたきつけられた衝撃で、小な悲鳴を漏らす。
「あれ・・・立て・・・な・・・い?」
あの地獄のような夜、大人達にボロボロにされたダメージが癒えないうちに、昨夜も織田さんに意識を失う程激しく虐められた。
その結果、今の僕は腰が抜けて立つことさえ難しい状態になっていたのだ。
朝日が差し込んで明るくなった部屋の中、素裸で倒れている自分自身の身体を改めて確認してみると、あの夜の事を忘れる事は赦さない・・・と言わんばかりに鞭打ちの痕が治りきらずに全身に刻み込まれたままだった。
特にお尻は、昨夜織田さんにベルトで打れたせいで、生々しい傷痕が縦横無尽にはしり、真っ赤に腫れ上がっている。
こんな無惨な肌を、特に大人達に汚された証を刻まれた傷跡を織田さんに晒したくない。
それに、織田さんの前だけでは男の子のカオルではなく、可愛い男の娘の時雨でいたかった。
「せめて・・・服を・・・」
僕はみっともなく床を這いずりながら服を探す、昨日織田さんが買ってくれた服があった筈だ。
「時雨どの・・・どうしました!」
その時、後ろから織田さんの焦ったような声が響いた。
振り返ると、目を覚ました織田さんがわたわたと起き上がり、僕に近づこうとしている
「織田さん・・・来ないで!!。」
僕は叫び声を上げて織田さんを静止する。
昨夜さんざんに泣き叫んで痛めつけられた喉から出るその声は掠れている。
「近づか・・・ないで下さい・・・。お願いですからこんなみっともない僕を見ないで下さい・・・」
両手で自分の裸を抱き締めるようにして、少しでも身体を隠そうとする。
だけど、自分自身を庇う両腕さえも鞭でつけられた傷痕や、両手首を縛られて出来たアザだらけだ。
だけど、織田さんは止まってはくれない。
構わずに立ち上がり、早足でこちらに近づいてくる。
「むこう・・・向いてよ・・・見ないでよ・・・」
こんな僕を見て醜いと思われないだろうか、幻滅されるんじゃないだろうか。
不安で、織田さんの顔をマトモに見られない。
僕は織田さんから顔を背け、震える声で懇願する。
「ひっ・・・!」
織田さんの手が僕に触れた瞬間、ビクリと震えて小さく悲鳴を上げる。
直後に、大きな手が背中と膝裏に回されて・・・僕はお姫様抱っこで優しく抱き上げられていた。
「やっ!、あっ・・・ぁ・・・?」
両手を織田さんの胸に突っ張って、抱擁から逃れようと暴れ、涙目で織田さんの顔を見上げると・・・大きくて気性の穏やかな草食動物のような優しい目と笑顔があった。
その柔らかな笑顔に絆されるように、急激に身体の力が抜けてゆく。
織田さんは壊れものの美術品でも運ぶように歩くと、そおっと僕をベッドに下ろし、毛布をかけて傷だらけの身体を隠してくれた。
「時雨殿はみっともなくなどありません、地上に降りた大天使です。
なに、そんな傷など若いのですから直ぐに治ります。
それにですな・・・拙者にとっては、例え傷だらけであっても生きていてくれている時雨殿を抱き締められることが何より嬉しいのです。
下手をすれば、冷たくなった時雨殿を弔うことにもなりかねなかったのですから・・・」
その温かな手で僕の頭を撫でながら言った。
う、なんかズルい。
そんな言い方をされたら、何も言えなくなるじゃないですか・・・。
顔が熱い、僕の顔はきっと耳まで真っ赤になっているんだろう。
そんな顔を見られるのも、また恥ずかしくて・・・毛布を目元まで引き上げて顔を隠して目線を泳がせる。
その時、頭をゆっくりと撫でていた手が止まり、僕の・・・厳密にはウィッグの三つ編みサイドポニーの毛先を触り始める。
「時雨殿、このカツラは外しましょう。
とても似合っていて可愛いですけれど、こんなものを付けていたら寝にくいでしょう?」
そう言って、有無を言わさずにウイッグを取り上げられた!
「あ・・・!?」
突然のことに何も反応出来なかった。
頭が軽くなると同時に、ウイッグで抑えつけられたていた髪が解放され、枕の上に広がる。
ウイッグ無しでも時雨でいられるようにと伸ばし始めていた僕の髪は、かろうじて肩に触れるくらいの長さで、まだサイドで三つ編みに結える長さではなかった。
呆然として、カオルとして生まれたままの素顔を晒し、数秒の間織田さんと無言で見つめあった。
その間にも、織田さんの手が、指が、僕の本当の髪に触れ、ゆっくりと頭を撫で、髪をすく。
その温かくて優しい感触がウイッグ越しでなく直接伝わると、まるで髪にまで神経が通っているみたいで気持ちいい。
「ん・・・ぅ・・・・・・」
髪から伝わる感触に、小さな声を漏らしてしまった。
ウィッグ無しの僕は時雨じゃない。
だけどそ、僕の髪の上を丁寧に滑ってゆく大きい手が、太い指が、温もりが、そんな事は些細なことだと、どんな言葉より雄弁に語りかけてくれている。
僕はその手をそっと両手で掴み、その手の甲に口づけして、ゆっくりと頬ずりを繰り返した。
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