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アナザールート その56 幸せな音

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今回、エロはございません…

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「ん・・・・・・ぁ・・・」

小さく声を上げながら目を開けた時、窓を覆うカーテンの端から光が差し込んでいた。

気を失う程に激しく織田さんに愛された後、僕はそのまま眠ってしまっていた様だった。

絶頂のはてに垂れ流した体液や汗なんかでベトベトだったはずの僕の身体はいつの間にか綺麗に拭われ、生まれたままの姿で洗いたてのシーツ清潔なものに包まれていた。

織田さんが、気を失った僕の面倒を見てくれたのだろう。

ダブルベットの隣では織田さんの穏やかな寝息が聞こえる。
その寝息の方に寝返りを打って、身体をピタリと密着させても、織田さんは熟睡したまま目覚める気配がない。

「疲れているんだよね・・・迷惑かけてごめんなさい」

疲れていないはずがないんだ。

大勢の大人達に寄ってたかってボロボロにされた僕の面倒をみて・・・
僕に強要されるようにして激しく僕を愛して・・・
勝手に気を失って寝てしまった僕の世話まで焼いて・・・

心の中で織田さんに向かって頭を下げる。

最低だ・・・僕には織田さんに、色々なものをもらってばかりで何も返せるものがない。

だけど、今だけは、この束の間の休暇の間だけは、もう少しだけ織田さんの優しさに甘えていたい。

「ごめんなさい・・・」

もう一度小さな謝罪の言葉を口にしながら、僕は織田さんの胸に小さな頭を乗せる。

とくん、とくん、とくん・・・

織田さんの心臓の鼓動が聞こえる。

そっと目を閉じると、僕の耳は部屋の外で洗濯機が回っている音を感じ取った。

汚れたシーツやパジャマを洗濯してくれたのだろう。

その音で、かつて僕が風邪を引いて学校を休んだ時のことを思い出す。

それは、お母さんが掃除機をかけたり、洗濯機を回したりする音を聞き、誰がが側にいてくれる安心感を感じながら眠った幸せな記憶だった。

そんな穏やかで幸せな音と、僕を愛してくれる織田さんの心音と、そして織田さんの温もりに包まれながら、僕はもう一度眠りに落ちていった。

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