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アナザールート その23 人身売買

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「ぁ…あがぁ…はぁ、はっ、は…は…ぁ…」

耐えられない快感で体内の酸素を限界まで消費しつくし、酸素を求めて喘ぐように呼吸する僕。

黒い仮面の男が、そんな僕を嘲笑して見下ろしていた。

「ははは…、鞭だけでイった気分はどうだい、時雨ちゃん。」

そう言うと僕を正面から抱き締め、背中に回した男の指先が…血が滲んた鞭の後をなぞる。

「ひっ!」

触れるか触れないか…繊細なタッチで傷痕を走る指先の感覚は、剥き出しの快感神経に直接触れられているようで堪らなかった。

男の指先が傷痕を抉るたび、身体が痛みを勝手に快感に変換し、それが身体の中心に響いてジンジンとした疼きを生む。

そして僕の子供みたいに小さなペニスは硬く勃起し続けて、感じていることを隠すことさえできなかった。

「はぁ……っ、んぁ…ぅ……っ、ぁ、ぁっ……もう、嫌ぁ…」

「君は最高だよ、決めた。君を店から買い取ってやろう。」

「…ぅああ•••ぁん?…何を言って…!!」

一瞬、何を言われているのか分からなかった。
だけど、その言葉の意味をワンテンポ遅れて理解すると、背筋に氷柱を差し込まれたようにゾッとした…この男に…買われる?

大金を積めば、店で働かされている気に入った男の娘を買い取れる、お店にそういった裏制度があると噂だけは聞いたことがあった。

その金額は、最低でも店に売られた金額の10倍以上、もし希望者が複数いた場合はその金額からオークションになって競り落とされるとか…

当然のことだけれど、違法な人身売買であって法的拘束力なんてあるはずがない。
だけど、店のバックに控えている裏社会がその売買に強制力を与えている。
売られた男の娘が逃げだせば、裏社会のネットワークで草の根分けても探し出され、暴力という制裁を受け闇に葬られる。

どんな仕打ちをされても、今夜一晩耐えれば終わる筈だった。
朝まで生きてさえいれば、夕立と一緒に家に帰れる筈だった。
なのに•••

コノオトコニ、ボクハ、カワレル?
コノオトコノ、ドレイニサレル?
ソンナノ•••シンダホウガマシダ•••
目の前が絶望で黒く塗りつぶされ、心が冷えて麻痺してゆく。

なのに、心が絶望すればするほど、肉体は縋りつくように被虐の快感に救いを求め続ける。

肌が泡立って、愛撫を、痛みを、鞭さえも•••あらゆる刺激を貪るように受け入れる。

そして、僕の子供みたいなペニスは硬く勃起して、その全ての凌辱をマゾヒスティックな快感として感じていることを隠すことができない。

僕が、僕の意思とは無関係に作り替えられてゆく、自分自身の身体が何より怖かった。
高熱を出したように震える手足がガクガク痙攣を続け、焦点の合わない瞳から涙が溢れていた。

黒い仮面の男は僕の背中の傷痕を抉る指を止めると、僕を後ろから抱きしめ直した。

そしてその手が…鞭で打たれ、イかされ、ショックで過呼吸を起こして激しく上下する胸から、収縮と膨張を繰り返す下腹部に滑ってゆく。

「•••ひぁあ•••んぅう!•••ん!!」

ただそれだけのことで、僕の身体は快感に縋りつくことで恐怖から目を反らし、そして甘さの混じった吐息を吐き出す。

男の手は更に下に滑り…僕のペニスを人差し指と中指の二本で挟み、そのごつごつとした指で上下に擦られる。

「もういやあ!!•••!んあ!••••••、はぅっ!、ぁあん!」

腰を引いて逃げようとしても、お尻を男の腰に擦りつけるばかりで逃げ場なんてどこにもなかった。
僕は左右に首を振りたくり、背中を丸め、また背筋を反らせ、悶え続けることしかできない無力な存在だった。

「そうだな•••この可愛らしいクリペニスを手術で切り取ってから、女性ホルモンをたっぷりと注射して、本物の女の子の身体に作り替えてから、俺専用の雌奴隷としてウチの地下室で飼ってやるよ。」

「お•••女の子がいいいならぁ•••ぁああっ!•••最初から女の子を•••!!、やっ…だあっ、もう•••触らない•••でェえええっ!!、おかしくなるぅ!、狂っちゃうぅううう!!!」

媚薬付けのペニスは、敏感な快感器官の集合体だった。

男の指が上下に動くたび、高圧電流のような快感で背筋に火花が散り、前立腺に弾けるような刺激が伝わり、処理しきれない快感が拷問となり、僕の正気を追い詰めてゆく。

「時雨ちゃん、それはちがうよ。身体も心も…ゼロから俺好みに作り替えた女を俺のものにしてみたかったのさ。
時雨ちゃんの身体は最高の女の子になれる素材だよ…心も最高の雌奴隷になる素質があるマゾっ娘さ、保証するよ。」

この黒い仮面の男は頭がおかしい、心底そう思った、そして怖かった。

「や…だ…ぁ、そんなの嫌ぁああ!!!」

ただ、逃げ出したくて、男の腕の中から逃れようと必死で暴れた。
手首を拘束する鎖をガチャガチャと鳴らし、陸に打ち上げられた魚のように身体をくねらせた。

「ひぁあっ!」

男に耳たぶを甘噛みされる。
脳に近い性感帯を嬲られる、それだけで頭の中が真っ白になり身体から力が抜け、仰け反って男に身を任せる。
そして、真っ白になって思考力を失った意識の中に、男が…悪魔が囁く。

「なら、降参するかい?君の代わりに夕立ちゃんを差し出すかい?
あの娘でもいいよなぁ、身体も心も徹底的に壊してから俺好みの雌犬にしてやるよ」

それだけは、夕立だけは…無事に帰して…弟に合わせてあげたい。それだけは…

「……だ…めぇ……、ゆう…だ…ちだけは…やめて…ぇ、それならぁ!、ぁああ、僕を…ぼっくをぁああぅあっ!、ひ、あ、がぁ!ん!…んひぃん!!、いあああああ!!!」

「ははは、時雨ちゃんは強情だなぁ…ま、俺としては壊すのは時雨ちゃんの方が面白いよ。せいぜい意地を張って楽しませてくれよ。」

黒い仮面の男が僕を抱き締める手を放した。
そして…涙で歪む視界の中で、男がゆっくりと、見せつけるように鞭を振り上げてゆくのが見える。

「助け…て…もう許してぇ…!!!、んっ、ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ゆ゛るじ…でぇ!!!!!!」

僕は、ガタガタと震えながら、激しく首を振って…涙と涎と吹きこぼした鼻水までも、周囲にまき散らしてただ男に哀れみを乞う、それだけが僕にできることだった。

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