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アナザールート その14 生贄の羊達2
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今回もエロはございません…
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「もう首でも吊ろうかな・・・」
僕は、ふらふらと歩き出したハルカの手首を掴むと、ハルカの身体を無理矢理引き寄せて抱き締しめた。
「ハルカ、ヤケになっちゃ駄目だよ・・・。冷静になって良く考えて、あいつらの目的は僕達を殺す事じゃないんだ。要するに僕達を苛めて楽しみたいだけさ。」
「今夜一晩、一晩だけなんだよ。何をされても大袈裟に嫌がって、泣き叫んで見せれば満足するよ。」
「カ・・・オル君」
「みっともなくたっていいんだ。惨めでもいいんだ。生きてさえいれば僕らの勝ちだよ。」
「今夜を無事に過ごせたらハルカの弟に会いに行こうよ。ハルカの弟なら僕の弟と同じだ、焼肉食べ放題でも、ホテルのビュッフェでも、美味しい物をお腹いっぱい食べさせてあげようよ・・・」
僕は、ちょっと中二病に入っていた時に、サバイバル・・・1人でジャングルの奥地に取り残されたり、無人島に流れ着いたりして生き延びることを夢想して、そういった時の対処マニュアルを読み漁った事があった。
その時、どんな本を読んでも共通して書いてある事は「人は希望を失った者から死ぬ」という事だった。
僕がこの世界に落とされた時、僕が持っていなくて、ハルカが持っていたモノ、とっても眩しくて僕まで救ってくれたモノ。
どんな些細なことでもいいんだ。それがなくちゃ生きていけない。
だから、抱き締める両腕に力を込めて、ハルカにそして自分自身に言い聞かせるように言葉を紡いだ。
震えていたハルカの両腕が、ゆっくりと僕の背中に回され、僕の言葉に答えてくれるように力がこもる。
「カオル君・・・、そうだよ・・・ね?。そうだよね・・・、弟に会いたいよ。」
ハルカの目に光が戻った。
僕が力を緩めると、ハルカは僕の両腕の中から抜け出して言った。
「ごめんね。ちょっととり乱しちゃって・・・先輩なのにみっともないね。」
と舌を出しておどけて見せる。例え仮染めでもさっきよりはずっといい。
そう、生きてさえいればなんとかなるさ。
「よし!・・・そろそろ準備しようか。先にシャワー使うね。」
僕は、パジャマ替わりのTシャツを脱ぎ捨ててシャワールームに入る。
シャワールームに入り1人になった途端、僕は床にへたり込んだ。
本当は僕だって泣きたかった、逃げ出したかった。
でもハルカに先に取り乱されてしまって、かえって冷静になれた。
きっとハルカも1人になって、恐怖感と闘っているんだろう。
ハルカにああは言ったけれど、彼は今夜受ける暴虐に耐えられるんだろうか・・・
僕にはミカさんから“調教”と称して徹底的に虐められた経験があった。
一方ハルカはといえば、前に聞いてみた感じでは、お店のルールに守られ、比較的いいお客さんにも恵まれた事もあって、それほどハードな行為は体験していない。
僕だって少なくともあの時はミカさんに愛し、愛されていると信じていた。だからあんな酷い事にも耐えられた。
だけどハルカは・・・見ず知らずの人に寄ってたかってあんな経験を強要されたら・・・きっと耐えられない、壊されてしまうだろう。
震える膝を叱咤して立ち上がり、熱いシャワーを全身に浴びる。
そして、迷いや恐怖を熱いお湯で洗い流すように浴びて覚悟を決めた。
僕がハルカを守ろうと。
大人達の歪んだそして残酷な欲望は出来る限り僕が引き受ける。僕ならなんとか耐えられる。そうしてハルカの負担はなるべく少なくする。
そして2人で無事にここに帰るんだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お待たせ、次使って~」
シャワールームから、出来る限り明るい声でハルカに声をかけた。
「おっけー、ちゃちゃっと入っちゃうね。」
ハルカがシャワーを浴びている間に、スキンケアを済まし、いつもの黒い半袖セーラー服に袖を通し念入りにメイクをする。
いつもであれば、変に目立ちたくなくて、地味めのメイクで仕上げる。
だけど、大人達はきっと可愛い方に群がり、ハゲタカのように食いものにするのだろう。
だから・・・今日の時雨は、今日だけは夕立-ハルカ-より可愛くならなければいけない。
だから本気の僕を大人達に見せつけよう。
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「もう首でも吊ろうかな・・・」
僕は、ふらふらと歩き出したハルカの手首を掴むと、ハルカの身体を無理矢理引き寄せて抱き締しめた。
「ハルカ、ヤケになっちゃ駄目だよ・・・。冷静になって良く考えて、あいつらの目的は僕達を殺す事じゃないんだ。要するに僕達を苛めて楽しみたいだけさ。」
「今夜一晩、一晩だけなんだよ。何をされても大袈裟に嫌がって、泣き叫んで見せれば満足するよ。」
「カ・・・オル君」
「みっともなくたっていいんだ。惨めでもいいんだ。生きてさえいれば僕らの勝ちだよ。」
「今夜を無事に過ごせたらハルカの弟に会いに行こうよ。ハルカの弟なら僕の弟と同じだ、焼肉食べ放題でも、ホテルのビュッフェでも、美味しい物をお腹いっぱい食べさせてあげようよ・・・」
僕は、ちょっと中二病に入っていた時に、サバイバル・・・1人でジャングルの奥地に取り残されたり、無人島に流れ着いたりして生き延びることを夢想して、そういった時の対処マニュアルを読み漁った事があった。
その時、どんな本を読んでも共通して書いてある事は「人は希望を失った者から死ぬ」という事だった。
僕がこの世界に落とされた時、僕が持っていなくて、ハルカが持っていたモノ、とっても眩しくて僕まで救ってくれたモノ。
どんな些細なことでもいいんだ。それがなくちゃ生きていけない。
だから、抱き締める両腕に力を込めて、ハルカにそして自分自身に言い聞かせるように言葉を紡いだ。
震えていたハルカの両腕が、ゆっくりと僕の背中に回され、僕の言葉に答えてくれるように力がこもる。
「カオル君・・・、そうだよ・・・ね?。そうだよね・・・、弟に会いたいよ。」
ハルカの目に光が戻った。
僕が力を緩めると、ハルカは僕の両腕の中から抜け出して言った。
「ごめんね。ちょっととり乱しちゃって・・・先輩なのにみっともないね。」
と舌を出しておどけて見せる。例え仮染めでもさっきよりはずっといい。
そう、生きてさえいればなんとかなるさ。
「よし!・・・そろそろ準備しようか。先にシャワー使うね。」
僕は、パジャマ替わりのTシャツを脱ぎ捨ててシャワールームに入る。
シャワールームに入り1人になった途端、僕は床にへたり込んだ。
本当は僕だって泣きたかった、逃げ出したかった。
でもハルカに先に取り乱されてしまって、かえって冷静になれた。
きっとハルカも1人になって、恐怖感と闘っているんだろう。
ハルカにああは言ったけれど、彼は今夜受ける暴虐に耐えられるんだろうか・・・
僕にはミカさんから“調教”と称して徹底的に虐められた経験があった。
一方ハルカはといえば、前に聞いてみた感じでは、お店のルールに守られ、比較的いいお客さんにも恵まれた事もあって、それほどハードな行為は体験していない。
僕だって少なくともあの時はミカさんに愛し、愛されていると信じていた。だからあんな酷い事にも耐えられた。
だけどハルカは・・・見ず知らずの人に寄ってたかってあんな経験を強要されたら・・・きっと耐えられない、壊されてしまうだろう。
震える膝を叱咤して立ち上がり、熱いシャワーを全身に浴びる。
そして、迷いや恐怖を熱いお湯で洗い流すように浴びて覚悟を決めた。
僕がハルカを守ろうと。
大人達の歪んだそして残酷な欲望は出来る限り僕が引き受ける。僕ならなんとか耐えられる。そうしてハルカの負担はなるべく少なくする。
そして2人で無事にここに帰るんだ。
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「お待たせ、次使って~」
シャワールームから、出来る限り明るい声でハルカに声をかけた。
「おっけー、ちゃちゃっと入っちゃうね。」
ハルカがシャワーを浴びている間に、スキンケアを済まし、いつもの黒い半袖セーラー服に袖を通し念入りにメイクをする。
いつもであれば、変に目立ちたくなくて、地味めのメイクで仕上げる。
だけど、大人達はきっと可愛い方に群がり、ハゲタカのように食いものにするのだろう。
だから・・・今日の時雨は、今日だけは夕立-ハルカ-より可愛くならなければいけない。
だから本気の僕を大人達に見せつけよう。
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