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アナザールート その9 友達
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今回エロも無しです。
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このお店で働かされて、ひとつだけいいことがあった。
それは友達が出来た事。
訳も分からずお店に連れてこられて、怖い大人達に脅された。
怖くて、不安で、子供みたいに泣いていた僕の面倒を見てくれた、長い金髪のウィッグと、僕とお揃いの半袖セーラー服を身に付けた、びっくりするほど可愛い男の娘。
(後で知ったことだけれど、このお店でナンバー1の売れっ子だった)
その娘は、泣きじゃくっている僕を抱きしめてくれて、耳元で囁いた。
「そのコス、“軍これ”の時雨ちゃんだよね。私も“軍これ”の“夕立”だよ。同じ軍これのレイヤー同士仲良くしてくれると嬉しいな。」
そして、夕立は僕を抱きしめたまま、手のひらでゆっくりと僕の背中を叩く。
ぽん、ぽん、ぽん
穏やかなリズムと、手のひらの暖かさが背中から心に染み込んでくる。
「怖かったね。でも怖いのは最初だけだから。言われた通り真面目に働いてればみんな優しいから。」
ぽん、ぽん、ぽん
「私もここに売られて来たんだ。やっぱり最初はいっぱい泣かされたよ」
ぽん、ぽん、ぽん
「心配しないで、ここで暮らす為に必要な事は全部私が教えてあげる。時雨ちゃんはとっても可愛いから直ぐに売れっ子になれるよ。」
「うっ・・・ぁ・・・ああ・・・」
夕立の優しい声と、暖かな温もりが僕を包んでくれる。
ぽん、ぽん、ぽん
穏やかなリズムが背中から染み込んでゆく。
「あ、あああ・・・ぅあああああああっ!」
母に見捨てられた。
ミカさんには騙された挙句に、男の娘風俗に売られた。
独りぼっちで、怖くて、不安で、泣くことしか出来なかった僕を夕立は抱きしめてくれた。
そんな、夕立の温もりと優しさが嬉しくて、そんな夕立に甘えたくて、縋りついて大声で泣いていた。
「今はいっぱい泣いていいんだよ。だけど泣き終わったら・・・ここで生きてゆくために頑張ろう、ね?」
ぽん、ぽん、ぽん
胸の中で泣き続ける僕の背中を、夕立はいつまでも優しく叩き続けてくれた。
そして、僕はお店に当てがわれた寮・・・夕立が住んでいる部屋で暮らし始めた。
そこはワンルームマンションに無理矢理二段ベットを置いた狭い部屋だった。
一人部屋として使えていたのに、僕のせいで相部屋にさせられたというのに、
「ず~っと一人で寂しかったんだよ、嬉しいな!!」
と、嫌な顔一つせずに受け入れてくれた。そして僕らは友達になった。
夕立がお店で働く為の決まりや、接客の基本を僕に教えてくれた。
僕はといえば、夕立が苦手な料理を担当してご飯を作ってあげている。
仕事が終われば、二人とも男の娘じゃなくて、ただの男の子に戻ってゲームをしたり、バカな話が出来る友達。そんな友達とこのお店で出会う事が出来た。
毎日、知らない人に抱かれる仕事は、時には辛かったり、気持ち悪かったり、怖い思いをすることだってある。
だけど、夕立という大切な友達が出来た事だけは、それだけは、幸せなことだと思う。
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このお店で働かされて、ひとつだけいいことがあった。
それは友達が出来た事。
訳も分からずお店に連れてこられて、怖い大人達に脅された。
怖くて、不安で、子供みたいに泣いていた僕の面倒を見てくれた、長い金髪のウィッグと、僕とお揃いの半袖セーラー服を身に付けた、びっくりするほど可愛い男の娘。
(後で知ったことだけれど、このお店でナンバー1の売れっ子だった)
その娘は、泣きじゃくっている僕を抱きしめてくれて、耳元で囁いた。
「そのコス、“軍これ”の時雨ちゃんだよね。私も“軍これ”の“夕立”だよ。同じ軍これのレイヤー同士仲良くしてくれると嬉しいな。」
そして、夕立は僕を抱きしめたまま、手のひらでゆっくりと僕の背中を叩く。
ぽん、ぽん、ぽん
穏やかなリズムと、手のひらの暖かさが背中から心に染み込んでくる。
「怖かったね。でも怖いのは最初だけだから。言われた通り真面目に働いてればみんな優しいから。」
ぽん、ぽん、ぽん
「私もここに売られて来たんだ。やっぱり最初はいっぱい泣かされたよ」
ぽん、ぽん、ぽん
「心配しないで、ここで暮らす為に必要な事は全部私が教えてあげる。時雨ちゃんはとっても可愛いから直ぐに売れっ子になれるよ。」
「うっ・・・ぁ・・・ああ・・・」
夕立の優しい声と、暖かな温もりが僕を包んでくれる。
ぽん、ぽん、ぽん
穏やかなリズムが背中から染み込んでゆく。
「あ、あああ・・・ぅあああああああっ!」
母に見捨てられた。
ミカさんには騙された挙句に、男の娘風俗に売られた。
独りぼっちで、怖くて、不安で、泣くことしか出来なかった僕を夕立は抱きしめてくれた。
そんな、夕立の温もりと優しさが嬉しくて、そんな夕立に甘えたくて、縋りついて大声で泣いていた。
「今はいっぱい泣いていいんだよ。だけど泣き終わったら・・・ここで生きてゆくために頑張ろう、ね?」
ぽん、ぽん、ぽん
胸の中で泣き続ける僕の背中を、夕立はいつまでも優しく叩き続けてくれた。
そして、僕はお店に当てがわれた寮・・・夕立が住んでいる部屋で暮らし始めた。
そこはワンルームマンションに無理矢理二段ベットを置いた狭い部屋だった。
一人部屋として使えていたのに、僕のせいで相部屋にさせられたというのに、
「ず~っと一人で寂しかったんだよ、嬉しいな!!」
と、嫌な顔一つせずに受け入れてくれた。そして僕らは友達になった。
夕立がお店で働く為の決まりや、接客の基本を僕に教えてくれた。
僕はといえば、夕立が苦手な料理を担当してご飯を作ってあげている。
仕事が終われば、二人とも男の娘じゃなくて、ただの男の子に戻ってゲームをしたり、バカな話が出来る友達。そんな友達とこのお店で出会う事が出来た。
毎日、知らない人に抱かれる仕事は、時には辛かったり、気持ち悪かったり、怖い思いをすることだってある。
だけど、夕立という大切な友達が出来た事だけは、それだけは、幸せなことだと思う。
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