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リアナは自分の優しさが嫌に思ってしまう
二十二話
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ネルブの店でエドガーとミーナが話している頃。
「あ、あの~つまり、もしかして体の関係とかは無かったと言う事でありますか……? ただ自分の体を拭いて、ベッドに寝かせてくれただけで……」
「んー……」
時間の経過と共に落ち着いてきたアレクは今、自分の上にやる気のない顔で倒れ込むリアナからその様な答えを聞く事が出来た。
少し前まで、再び身体の関係になると思い騒いでいたアレクであったが、全く動きを見せずやる気の無い顔でダラーっと寝転がるリアナを見て。
(何だ、この人は……)
と感じると共に。
(自分は勘違いしているのかもしれない……)
と言う可能性が脳裏を過ぎる。
そこからは簡単だった。
アレクはリアナに。
「今、面倒臭く思っているでありますか?」
「そ、その……。 自分に対して、いやらしい事をしたい欲求は持っているでありますか?」
等の質問を行い、リアナもそれに対し、その通りならなら「んー……」と少し高めの声で、違うなら「むー……」っと少し低めの声で答えていく。
そして質問の答えから徐々に答えに近づいていき、いくつもの質問を超え、やっと今答えに辿り着いたという訳だ。
だが、その答えに辿り着いた事で(あぁ、女性であるリアナさんに何と失礼な事を……)という罪悪感を感じたアレクは、その責任を取ろうとする意思からこうリアナに宣言した。
「リアナさん、自分の想像から失礼な事を言ってしまったであります! なので、責任を取る為になんでもやるであります! 何でも言って欲しいであります」
それはネルブにとって実に嬉しい申し出ではあったが、やる気のないリアナは具体的に指示を口にする事すらめんどくさくなっている。
だからリアナは。
「全部……」
っとだけ呟くのである。
「分かったであります!」
そこから動き出したアレクの行動は優秀だった。
自分の上に倒れるリアナをなるべく動かさない様に抜け出すと、頑張ってリアナをお姫様抱っこし、まっすぐベッドに寝かせた後、布団をかける。
その後は、洗面所に干されていた湿り気残る自分の服を着ると、掃除、洗濯、料理をし始めるのであった。
元々アレクは、エドガーに褒めてもらいたいが為に、色々な努力をしていた。
エドガーを色々とサポート出来る様に、家事全般、語学、演奏技術等を……。
だからこそアレクは今、それらをテキパキこなしているのだ。
…………。
「リアナさん、料理が出来ました!」
「んー……」
そしてそれは夕方になる頃にはやる事はほぼ終わってしまい、アレクは唯一やり終えていない料理を完了させようとしていた。
リアナの頭部の横には椅子に座るアレクの姿、そのアレクの隣の並べた二つの椅子の上には、野菜中心の料理が乗った白のトレイ、そしてストローが刺され、青い花がお茶の上に浮かぶガラスのコップがそれぞれに置かれている
「はい、あーん!」
「あ~……」
アレクは野菜をフォークの上に乗せ、ナイフで軽く抑え、リアナの口へ料理を運んでいく。
そんなアレクの言葉に合わせる様に口を開けたリアナは料理が口の中に入った瞬間モグモグ噛み締める。
(美味いな……)
味付けはリアナの好みだったらしい。
モグモグ噛んだ後、飲み込み終えたリアナは。
「あっ……」
口を開け、また口に料理を運ぶ様に催促する。
「分かりました!」
そして再び、アレクはリアナの口に料理を運んでいく。
その繰り返しの中で、料理は徐々に徐々に減っていき、遂にはトレイの上はソースが残るだけとなった。
「アレク、来い……」
「は、はぁ……」
「いい子だ……」
「あっ……」
そんな中で、やる気が僅かに回復したリアナは、そう言って手招きする。
リアナに情が湧いていた。
それは罪悪感からとは言え、自分の為に頑張ろうとするアレクの姿に好感を覚えたからである。
だから優しい笑みを浮かべたリアナは、アレクを自分の抱き寄せると、頭をゆっくり撫でながらアレクにこう囁いた。
「なぁアレク、お前はホントにいい子だ……。 一生懸命、私の世話をしてくれて……。 ありがとう……」
それは、遠回しに重度のブラコンから卒業して、好きになった異性を守れる様になるべきだとリアナは言ったつもりだったが、アレクにその想いは伝わらなかった。
(あぁ、身体が気持ち良さで包まれる様で幸せであります……)
それはアレクが今まで兄以外から得る事がなかった愛情だった。
それもアレクが貰えなかった、母の愛の様な優しいモノ……。
だから今、感じたことのない心地よい感覚に至高の幸福を感じている。
幸せそうな顔をリアナの柔肌に埋めながら……。
「リアナさん……」
「…………」(大人にはなりきれないみたいだな、まだまだ……)
…………。
「ネルブさん、何かラブラブではないですか……?」
「あぁミーナ、これはいつ結婚してもおかしくない位、ラブラブだね……」
「しかし、急に何故こんな事に……」
「うーん、謎だねぇ……」
その頃、隣にあるランダーク家の二階では、ミーナとネルブが、顔を見合わせながら壁に耳を当て始めていた所であった。
そして、二人の仲睦まじそうな声を聞き、悩み込むのである。
それは先程襲われて、抵抗していたアレクが(実際は襲われていないのだが……)今はリアナに甘えている様子だからである。
だがここで、ミーナの脳裏に一つの可能性が浮かぶとともに、顔を青ざめさせた。
「はっ!? も、もしや……まさか……」
「どうしたんだい、リアナ?」
「もしかしたらリアナは、アレク君の事が気に入り過ぎて、アレク君を魔法で洗脳し、自身に従う忠実な下僕にしてしまったのではないですか!?」
「アンタ、何言ってんだい……?」
しかしながら、その可能性を口にした時、ネルブは呆れ気味な表情を浮かべてしまった。
と言うのも、ネルブからすれば魔法で洗脳だなんて魔王が出る物語での話。
(まーたこの子のおかしな事を言うクセが始まったのかねぇ……。 まぁ大抵の事は言えば理解してくれるから良いんだけど……)
だからネルブはそう思いながらも。
「はぁ……。 ミーナ、そう思う理由を聞いてあげるから言ってみな」
とりあえず、話だけは聞いてあげようと、頭をポリポリ掻きながら、ため息混じりにそうミーナに告げたのである。
「だって、リアナは騎士団長……」
「ん? どうしたんだい、ミーナ?」
「あの~……その~……」
その瞬間、ミーナの口は止まり、目線が右へと逃げていった。
(まずいです……。 もし「騎士団長で……」等と言ってしまえば、ネルブさんに「何で騎士団長だって何で知ってるんだ?」なんて問い詰められるかもしれません……)
そしてミーナは代わりの言い訳を考え始める。
しかし、根本的にミーナの思う様な事態は起こり得ないと言えるだろう。
まず、ネルブはリアナが騎士団長である事を知っている。
それは以前、リアナが自信を連れ戻しに来たとミーナが思った時、ネルブはリアナ自身からそう聞いている。
そして、部屋に入ってきた時「盗み聞きしてたら……」っと盗み聞きを自白している。
その為、ネルブがそう問い詰める訳がないのだ。
しかし、その事実に気づかないリアナは結果的に。
「だってリアナは騎士団長に追われてる……みたいな噂を聞きまして……」
目線を逸らし、冷や汗を垂らしながらそんな嘘をついた。
「な、何か顔に付いてますか、ネルブさん!? あ、あと、何も隠してないですよ、私!?」
「…………」(この子、嘘ついてる事が分かりやす過ぎないかい……)
だがその嘘はあっさり見破られ、大きな声で必死に訴えるミーナは、ネルブに呆れ顔で見つめられてしまう訳で……。
「あ、あの~つまり、もしかして体の関係とかは無かったと言う事でありますか……? ただ自分の体を拭いて、ベッドに寝かせてくれただけで……」
「んー……」
時間の経過と共に落ち着いてきたアレクは今、自分の上にやる気のない顔で倒れ込むリアナからその様な答えを聞く事が出来た。
少し前まで、再び身体の関係になると思い騒いでいたアレクであったが、全く動きを見せずやる気の無い顔でダラーっと寝転がるリアナを見て。
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と感じると共に。
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アレクはリアナに。
「今、面倒臭く思っているでありますか?」
「そ、その……。 自分に対して、いやらしい事をしたい欲求は持っているでありますか?」
等の質問を行い、リアナもそれに対し、その通りならなら「んー……」と少し高めの声で、違うなら「むー……」っと少し低めの声で答えていく。
そして質問の答えから徐々に答えに近づいていき、いくつもの質問を超え、やっと今答えに辿り着いたという訳だ。
だが、その答えに辿り着いた事で(あぁ、女性であるリアナさんに何と失礼な事を……)という罪悪感を感じたアレクは、その責任を取ろうとする意思からこうリアナに宣言した。
「リアナさん、自分の想像から失礼な事を言ってしまったであります! なので、責任を取る為になんでもやるであります! 何でも言って欲しいであります」
それはネルブにとって実に嬉しい申し出ではあったが、やる気のないリアナは具体的に指示を口にする事すらめんどくさくなっている。
だからリアナは。
「全部……」
っとだけ呟くのである。
「分かったであります!」
そこから動き出したアレクの行動は優秀だった。
自分の上に倒れるリアナをなるべく動かさない様に抜け出すと、頑張ってリアナをお姫様抱っこし、まっすぐベッドに寝かせた後、布団をかける。
その後は、洗面所に干されていた湿り気残る自分の服を着ると、掃除、洗濯、料理をし始めるのであった。
元々アレクは、エドガーに褒めてもらいたいが為に、色々な努力をしていた。
エドガーを色々とサポート出来る様に、家事全般、語学、演奏技術等を……。
だからこそアレクは今、それらをテキパキこなしているのだ。
…………。
「リアナさん、料理が出来ました!」
「んー……」
そしてそれは夕方になる頃にはやる事はほぼ終わってしまい、アレクは唯一やり終えていない料理を完了させようとしていた。
リアナの頭部の横には椅子に座るアレクの姿、そのアレクの隣の並べた二つの椅子の上には、野菜中心の料理が乗った白のトレイ、そしてストローが刺され、青い花がお茶の上に浮かぶガラスのコップがそれぞれに置かれている
「はい、あーん!」
「あ~……」
アレクは野菜をフォークの上に乗せ、ナイフで軽く抑え、リアナの口へ料理を運んでいく。
そんなアレクの言葉に合わせる様に口を開けたリアナは料理が口の中に入った瞬間モグモグ噛み締める。
(美味いな……)
味付けはリアナの好みだったらしい。
モグモグ噛んだ後、飲み込み終えたリアナは。
「あっ……」
口を開け、また口に料理を運ぶ様に催促する。
「分かりました!」
そして再び、アレクはリアナの口に料理を運んでいく。
その繰り返しの中で、料理は徐々に徐々に減っていき、遂にはトレイの上はソースが残るだけとなった。
「アレク、来い……」
「は、はぁ……」
「いい子だ……」
「あっ……」
そんな中で、やる気が僅かに回復したリアナは、そう言って手招きする。
リアナに情が湧いていた。
それは罪悪感からとは言え、自分の為に頑張ろうとするアレクの姿に好感を覚えたからである。
だから優しい笑みを浮かべたリアナは、アレクを自分の抱き寄せると、頭をゆっくり撫でながらアレクにこう囁いた。
「なぁアレク、お前はホントにいい子だ……。 一生懸命、私の世話をしてくれて……。 ありがとう……」
それは、遠回しに重度のブラコンから卒業して、好きになった異性を守れる様になるべきだとリアナは言ったつもりだったが、アレクにその想いは伝わらなかった。
(あぁ、身体が気持ち良さで包まれる様で幸せであります……)
それはアレクが今まで兄以外から得る事がなかった愛情だった。
それもアレクが貰えなかった、母の愛の様な優しいモノ……。
だから今、感じたことのない心地よい感覚に至高の幸福を感じている。
幸せそうな顔をリアナの柔肌に埋めながら……。
「リアナさん……」
「…………」(大人にはなりきれないみたいだな、まだまだ……)
…………。
「ネルブさん、何かラブラブではないですか……?」
「あぁミーナ、これはいつ結婚してもおかしくない位、ラブラブだね……」
「しかし、急に何故こんな事に……」
「うーん、謎だねぇ……」
その頃、隣にあるランダーク家の二階では、ミーナとネルブが、顔を見合わせながら壁に耳を当て始めていた所であった。
そして、二人の仲睦まじそうな声を聞き、悩み込むのである。
それは先程襲われて、抵抗していたアレクが(実際は襲われていないのだが……)今はリアナに甘えている様子だからである。
だがここで、ミーナの脳裏に一つの可能性が浮かぶとともに、顔を青ざめさせた。
「はっ!? も、もしや……まさか……」
「どうしたんだい、リアナ?」
「もしかしたらリアナは、アレク君の事が気に入り過ぎて、アレク君を魔法で洗脳し、自身に従う忠実な下僕にしてしまったのではないですか!?」
「アンタ、何言ってんだい……?」
しかしながら、その可能性を口にした時、ネルブは呆れ気味な表情を浮かべてしまった。
と言うのも、ネルブからすれば魔法で洗脳だなんて魔王が出る物語での話。
(まーたこの子のおかしな事を言うクセが始まったのかねぇ……。 まぁ大抵の事は言えば理解してくれるから良いんだけど……)
だからネルブはそう思いながらも。
「はぁ……。 ミーナ、そう思う理由を聞いてあげるから言ってみな」
とりあえず、話だけは聞いてあげようと、頭をポリポリ掻きながら、ため息混じりにそうミーナに告げたのである。
「だって、リアナは騎士団長……」
「ん? どうしたんだい、ミーナ?」
「あの~……その~……」
その瞬間、ミーナの口は止まり、目線が右へと逃げていった。
(まずいです……。 もし「騎士団長で……」等と言ってしまえば、ネルブさんに「何で騎士団長だって何で知ってるんだ?」なんて問い詰められるかもしれません……)
そしてミーナは代わりの言い訳を考え始める。
しかし、根本的にミーナの思う様な事態は起こり得ないと言えるだろう。
まず、ネルブはリアナが騎士団長である事を知っている。
それは以前、リアナが自信を連れ戻しに来たとミーナが思った時、ネルブはリアナ自身からそう聞いている。
そして、部屋に入ってきた時「盗み聞きしてたら……」っと盗み聞きを自白している。
その為、ネルブがそう問い詰める訳がないのだ。
しかし、その事実に気づかないリアナは結果的に。
「だってリアナは騎士団長に追われてる……みたいな噂を聞きまして……」
目線を逸らし、冷や汗を垂らしながらそんな嘘をついた。
「な、何か顔に付いてますか、ネルブさん!? あ、あと、何も隠してないですよ、私!?」
「…………」(この子、嘘ついてる事が分かりやす過ぎないかい……)
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