【R18】乾き潤いワッハッハ!【BL】

7ズ

文字の大きさ
上 下
11 / 48

第九話・踏み込んだ一歩 (2022/11/07 挿絵追加)

しおりを挟む
 俺の会社は繁忙期を終えた年末年始は連休となっているので、のんびり自分の時間に使っていた。
 大晦日のお笑い番組を録画しつつ歌番組をリアタイしていた。蕎麦を食って、そろそろ年明け。一年が終わる。

『ピンポン』
「(ん? こんな時間に??)」
『ピンポン』
「(酔っ払いが部屋間違えてんのか?)」
『ピンポンピンポン』
「(……仕方ねえ)」

 訝しみながら、ドアホンのカメラを確認した。

「あ?」

 見知った人物が……八手さんが俺の部屋の前にロングコートを着た背広姿で立っていた。
 スーツ姿は一度だけ見たことあった……髪型もキチッと整えられてる。鞄も……仕事場から直行したみたいな格好だ。
 急いで玄関まで行ってドアを開けた。

「八手さん! こんな時間にどうしたんでッ……」

 急に言葉が遮られた。物理的に。口を塞がれた。一瞬で離れたが、すぐにキスをされたと理解はできたが、何故されたのかは理解できない。

「八手さん?」
「はぁ……ごめん……」

 いつも余裕の表情で、朗らかな笑顔を浮かべている八手さんが……

「ヤりたい……ッ」

 欲に濡れた瞳と荒い息遣いで、切羽詰まった状態で俺を求めている。

「八手さん、明日は?」
「休み……三日間……んっ!」

 なら遠慮はいらないだろう。今すぐこの可愛い人の欲求に応えたくて仕方がない。キスをしながらドアを閉めて、鍵をかけた手で、八手さんの腰を抱き寄せ、密着する。

「あッ」
「……はっ、勃ってる……このまま来たんですか?」
「我慢、出来なくて……」

 悩ましげに眉を顰めて、恥じらっているのか顔を反らされた。

「準備は……してきたから……」

 はぁぁ……胸が満たされすぎて張り裂けんばかりだ……苦しい。
 口がニヤける……小躍りしたいような多幸感……久しぶりの八手さんだ。

 溶け合いそうな程に深く濃厚なキスを交わしながら、俺は我慢出来ずに玄関で八手さんを押し倒した。眼下の光景に、俺は後頭部を殴られたような衝撃を受ける。

「ぁ……あ、えだな、しくん……ここ……切ない……」



 蕩けた表情の八手さんがスルリとシャツ越しに下腹部を押さえて、内腿を落ち着きなく擦り合わせながら、腰を妖艶に揺らめかせている。
 いつも笑い混じりに喘ぐ余裕綽々で楽しそうな八手さんしか知らなかった……こんな……こんな、欲に振り回されている姿なんて見た事ない。しかも、相手は俺!
 マジかよ……めちゃくちゃ嬉しくて仕方ねえんだけど!!!!

「んぐッ……あ、マジか……ッ!」

 興奮し過ぎた俺は、そんな八手さんを抱き締めてイった。謂わば暴発だ。感情の興奮でイくなんてあるんだな……

「……十君……」
「?」
「俺の、中に……出して」


※※※

 ゴムもローションも玄関に置いてるわけがない。暴発分をローションにして玄関で初の生SEX……嘘みたいに気持ちいい。それは相手も同じようだ。

「あっ…ああ、ん! えぁ、なしくん……十君!」
「八手さん……中、気持ちいい……やばい」
「ひ、ぅ! あっ、ぁああっ」

 初めて聞く八手さんの乱れまくった甘い声が俺をより高ぶらせる。
 対面座位の体位で繋がったまま八手さんは自分から積極的に腰を揺すったり押し付けたりして快楽を追い求めていた。
 それに応じて俺も動きが激しくなっていく。互いの限界も近くなる中で八手さんが首の後ろに手を回して抱き着いて、耳に吐息を吹き込むように懇願してきた。

「十、君のッ……中、欲しいッ……」
「ッッ!!」

 俺は無我夢中で八手さんの奥を突き上げた。
 最奥に熱を解き放つと同時に、声にならない嬌声を上げた八手さんはビクビクと身体を震わせて果てたが、まだ足りないと強請られる。
 どれほどの時間、致していたのか定かではない。




『ガコン』





 年賀状の投函された音で目が覚めた。
 二人して玄関で寝落ちしていたようだ。

「……さっむ!!」
「死ぬ死ぬ死ぬ!」

 夜の熱が嘘のように冷えきっており、急いで二人でシャワーを浴びて追い焚きをした湯船に浸かった。

「死ぬかと思った」
「うん……」

 何度SEXで死にかけてるんだ俺達は!
 流石に笑えなくなってきたぞ。
 今回の原因は、季節に伴い汁でぐちゃぐちゃに濡れたのも影響したんだろうな。
 湯の暖かさで頭が働くようになったので、気になった事を聞いてみた。

「八手さん」
「ん?」
「なんで、俺のとこに来たんですか? 連絡も無く来るなんて……」
「あ、ごめん……いや、最近会えてないし、シてないから……君が、十君が欲しくて、我慢できなくなっちゃった」

 忘れられないのは、八手さんもだった。
 まぁ、八手さんの場合は俺と言うより俺とのSEXが目的だったんだろうけど。
 それでも、わざわざ会いに来てくれた事実が本当に嬉しい。

「八手さん……盃さんってお呼びしても?」
「お! じゃあ俺も竹葉君って呼ぶね!」

 互いの名を呼び合った口を触れ合わせる。
 ああ……最高だ。

「んっんん……」
「(可愛い)」

 ダメだ……もう後戻りできそうにない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

エデンの住処

社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。 それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。 ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。 『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。 「兄さん、僕のオメガになって」 由利とYURI、義兄と義弟。 重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は―― 執着系義弟α×不憫系義兄α 義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか? ◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·

いつかコントローラーを投げ出して

せんぷう
BL
 オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。  世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。  バランサー。  アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。  これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。  裏社会のトップにして最強のアルファ攻め  ×  最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け ※オメガバース特殊設定、追加性別有り .

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】地獄行きは確定、に加え ~地獄の王に溺愛されています~

墨尽(ぼくじん)
BL
地獄の長である獄主に、何故か溺愛されてしまった34歳おっさんのお話 死んで地獄に行きついた霧谷聡一朗(34)は、地獄の長である獄主の花嫁候補に選ばれてしまう 候補に選ばれる条件は一つ「罪深いこと」 候補者10人全員が極悪人の中、聡一朗だけは罪の匂いがしないと獄主から見放されてしまう 見放されたことを良いことに、聡一朗は滅多に味わえない地獄ライフを満喫 しかし世話役の鬼たちと楽しく過ごす中、獄主の態度が変わっていく 突然の友達宣言から、あれよあれよと聡一朗は囲い込まれていく 冷酷無表情の美形×34歳お人好し天然オジサン 笑ったことのない程の冷酷な獄主が、無自覚お人良しの聡一朗をあの手この手で溺愛するストーリーです。 コメディ要素多めですが、シリアスも有り ※完結しました 続編は【続】地獄行きは~ です

イケメン幼馴染に執着されるSub

ひな
BL
normalだと思ってた俺がまさかの… 支配されたくない 俺がSubなんかじゃない 逃げたい 愛されたくない  こんなの俺じゃない。 (作品名が長いのでイケしゅーって略していただいてOKです。)

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

ナイトプールが出会いの場だと知らずに友達に連れてこられた地味な大学生がド派手な美しい男にナンパされて口説かれる話

ゆなな
BL
高級ホテルのナイトプールが出会いの場だと知らずに大学の友達に連れて来れられた平凡な大学生海斗。 海斗はその場で自分が浮いていることに気が付き帰ろうとしたが、見たことがないくらい美しい男に声を掛けられる。 夏の夜のプールで甘くかき口説かれた海斗は、これが美しい男の一夜の気まぐれだとわかっていても夢中にならずにはいられなかった。 ホテルに宿泊していた男に流れるように部屋に連れ込まれた海斗。 翌朝逃げるようにホテルの部屋を出た海斗はようやく男の驚くべき正体に気が付き、目を瞠った……

生贄になる娘の身代わりに父が神様に嫁撃をかました結果 ──神様! 俺で妥協してくれ!

7ズ
BL
 時は明治、山の麓の村は日照りや嵐で不作により人死寸前の飢饉に陥っていた。  そこで豊穣の神である山神様へ、花嫁を嫁がせる因習を行う事となった。  自分の娘に白羽の矢が立ったコノハは、娘の代わりに山神様へ嫁ぐ強硬手段へ出た。  娘の為、村の為、山や畑の実りを安定させる為にコノハは奮闘しながらも、しっかり嫁として役目を果たしていく。 ーーーーーーーーーーーー ※があるものが性的描写有り。

処理中です...