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おまけ
16:懐妊術式の実演
しおりを挟むメルデンディア王国──ベルエム邸
「見つかったようだな」
「お蔭様で」
ゼガエルを連れて対価の支払いへ出向いたシャバルナ。
「……やっぱり悪魔って、顔が良いんですね」
「?」
居合わせたスレーブがお茶出しをして、ゼガエルの顔面に対して素直に感想を述べる。
「スレーブ、スレーブスレーブ! 俺の前で俺以外の悪魔を褒めるな!」
「あ、悪い」
「あれ? ベルエムさん、そういうキャラでしたっけ?」
前に対面した時は品の良い悪魔然とした態度だったが、現在はスレーブに対して感情剥き出しの人間臭い悪魔となっていた。
「契約したよしみで教えてやろう」
『グイ』
「おわっ!」
「「!!」」
スレーブの腕を掴んで二人の前へ突き出した。スレーブの薬指には銀色のリングが嵌められている。
「え? スレーブ、結婚したのかよ。水臭いなーもっと早く言ってくれれば手土産奮発したのに。おめでとう」
「ありがとうございます。ですが、まだ書類が集まらず婚約止まりで」
「人間の形式に嵌めずともいい。もう俺達は家族だからな」
「……お前がそこまで入れ込む程の人間か」
指輪を見たゼガエルが意外そうにベルエムを見つめれば、フッと余裕たっぷりに笑い返される。
「そうだとも」
「ふむ。魂の欠片で繋がりを……そういう使い方もあるのか」
「え? これ、ただの指輪ではないんですか?」
「んーー?? まぁ、ただの指輪じゃねえけど、悪いもんでもねえな。人工物っぽいけど、創造魔法で型取られた指輪だ」
「コレはな。俺の魂の一部だ。俺の中にある魔力を結晶化させて作った」
初耳のスレーブは目を見開いて自分に嵌められている指輪を凝視する。
「魂の、一部。ベルエム、すまない。そんな重要な物とは知らず、私は何も返せていない。送るつもりの指輪も普通のもので……」
「恐縮するな。コレから沢山貰う事になる。気にしなくて良い」
『スリ』
腹部を撫でられて、カッと顔を赤くするスレーブ。
「……めっちゃナチュラルにイチャつかれてるな。僕らもいるんですけどー」
「ハッ! すみません!」
「とりあえず、今回の支払いです」
『ジャラ』
麻袋を机に置いて、さて帰ろうと腰を浮かせたシャバルナの肩を掴んで無理矢理着席させるゼガエル。
『ボスン』
「おい、どした?」
「ベルエム。お前……懐妊術式まで扱えるのか」
「俺は優秀だからな。よければ、教えてやろうか?」
「是非とも」
「かいにん……?」
頭上で結ばれる協力関係に嫌な予感がして堪らないシャバルナが、助けを求めるようにスレーブを見るとキョトンと首を傾げていた。
予感は的中した。
応対室で向かい合うように人間を足の間に座らせて抱き込む真剣な悪魔達。
「べ、ベルエム……何する気だ?」
「おいおいおい」
「実践が一番わかりやすいからな」
「シャバルナすまない。どうしても知りたい」
子犬のような目で懇願されてシャバルナは何も言い返せなくなってしまった。
何をする気なのか察してしまっても強く突き放せないシャバルナと大困惑で動きが鈍いスレーブ。
「スレーブ、これは尊い事だ。恥ずかしい事ではない」
「?」
「ゼガエルに懐妊術式を実技で教えたい。協力してくれ」
「それって……え? 二人の前で?」
「俺だけを見ていればいい」
漸く事態を理解したスレーブがボッと火が出そうな程顔を真っ赤にする。
ショートしているスレーブが我に帰って抵抗する前にベルエムが動く。
後ろから抱き込んで足の間に座らせているスレーブの衣服の中に手を滑り込ませて、スレーブの弱い部分を知り尽くしているベルエムは的確にスレーブの性感帯を刺激して抵抗を封じる。
「うっ、あ! まっ、待て!」
「待たない」
「んっ~~!」
開発済みの胸の突起を愛撫され、足をモジモジと擦り合わせて快感に身悶えるスレーブ。その様子を向かいで見ているシャバルナは顔を赤らめながらゴクリと唾を呑み込んだ。
「俺達も進めよう」
「ぇ、あっ」
ゼガエルもスルスルとシャバルナの服の中に手を忍ばせて、肌を直に撫でる。
「んぅ……ふ」
ゼガエルの指が胸の突起を擦ったり摘んだり。身体を小刻みに震わせ、快感に耐え凌ぐ。
二人のもどかしい吐息混じりの喘ぎに触発され、ゼガエルは指を滑らせてシャバルナの下腹部へ手を伸ばし、既に勃ち上がっているそれを優しく握り込んだ。
「い、やだ……はずか、しぃ」
「恥ずかしがる方が、相手を辱めるぞ」
シャバルナがそっと前を向けば、スレーブもベルエムに股座を扱かれ、シャバルナ以上に顔を赤くし、羞恥心に耐えながら愛撫を受け入れていた。
自分と同じような状況でも相手を許している姿勢に驚いてしまった。力ならば、絶対にベルエムよりもスレーブの方が強い。
真面目で紳士的なスレーブが、色事に積極性を出している姿に胸の中に不思議なざわめきを覚える。
『クチュ』
「んっ……マジか」
「あ、あ……」
前に触れていた手が後ろの穴に触れる。相手を幾度となく包み込んできたそこは、柔らなまま。教え込まれた快感を逃がすように二人して頭を振る。
「べるえむ、ほんき……?」
「本気だ。この魔法は失敗したら臓器不全になる。確実に成功させるには実技が一番だからな」
「そ、そう、なのか」
選択肢はコレしかないと聞かされて、スレーブは素直に納得した。
安全第一。懐妊術式がどういうモノかわかっているスレーブは、ぎゅっと目を瞑って力を抜く。
「ぜが、ゼガエル、かいにんって、なに」
「ザックリと言えば、小作りの為の魔法だ」
「!!?」
小作り……懐妊術式の意味を理解したシャバルナがビクッと身体を跳ねさせる。
「シャバルナ……」
「ひぁ……そんな、魔法……あるわけ」
指が奥へと侵入し、優しく肉壁を撫でながら解していく。
掃討人にまで登り詰めた魔法士であるだけあり、魔法については誰よりも詳しいシャバルナだが懐妊術式なる魔法は聞いた事がない。
「一部の悪魔しか使えない魔法だ。知らなくても無理はない」
「あっ……ぁ、ほん、きで……言ってん、のか?」
『ギシ』
椅子から降ろされ、机に手を付いて腰を掴まれる。眼前のスレーブも同じく後背位の姿勢に移されていた。臀部が露出する感覚に嫌でも期待感が膨らんでしまう。
悪魔二人がズボンの前を寛げて、ピトっと尻の谷間に擦り付ける。
「懐妊術式は契約からなる魔法だ。相手が願えば男だろうと懐妊術式を施せる」
「んん……」
「相手が、願えば……」
「……スレーブ、俺の子を産んでくれないか?」
いつしかのやり取りを再現しようとベルエムがスレーブに問い掛ける。問いの意味も考えも理解出来ているが、人前で口にするにはあまりにも恥ずかしい。
こちらをドキドキした様子で見つめてくるシャバルナから顔を逸らした。
「ぁ……う……」
「スレーブ……」
ベルエムの優しい呼びかけが腰に響く。
見られながら、小作りの懇願をしなければならない。とんだ羞恥プレイだ。けれども、この状況でもスレーブの身体は異様な興奮を覚えて今にも射精してしまいそうな程にビクビクと反応し、張り詰めていた。
「………………ほしぃ」
「何が?」
「ベルエムの……」
「俺の? はっきり懇願して欲しい」
「…………ベルエムとの、赤ちゃんが欲しい……奥に注いで、私を孕ませて、くれ」
何とか言い終えたスレーブの火照る身体にご要望に応じてベルエムのモノが子作りの為に挿入される。
「スレーブ、動くぞ?」
「あ……っ、ん」
『パチュ』
ゆっくりとした抽送に甘い声が漏れる。
スレーブとベルエムの小作りセックスが眼前で始まってしまったシャバルナは、浅い呼吸を繰り返し、下腹部に熱がどんどん溜まっていく感覚にカクカクと腰が揺れ始めた。
「あ、ぁ……ん」
「…………」
「シャバルナも、俺を願ってくれるから?」
「はぇ……?」
ゼガエルが耳元で囁いた甘い誘惑に脳が溶かされる。
ベルエムのモノを呑み込んで、快感に打ち震えるスレーブを見て、自分もあんな風にされたいと思ってしまう。
ただの愛あるセックスではない。子作りという本来ならば叶わないはずの夢だ。
シャバルナはそもそも考えすらしていなかった。
「……子供……」
子供は親を選べないと聞くが、自分達の元へ来てくれたのならば決して不幸になどさせない。何が何でも幸福な人生へ送り出す覚悟はある。悪魔探しで他人と親密に関わろうとしてこなかった軽薄な自分がそんな事を思うなんて。でも、この身体と心の熱は嘘じゃない。
「ぜが、える……」
「なんだ?」
「欲しい…………お、お願いだ……僕、君の赤ちゃんが……欲しい」
ゼガエルのモノを後ろ手に握り、ヒクヒクと強請る後孔へ誘導する。スレーブと同じくらい甘い声で強請った。
そんなシャバルナを見てゼガエルは嬉しそうに笑ってからゼガエルの両手が尻たぶを広げ、堪能するようにゆっくりと挿入する。
『クププ……』
「ん……ぁ」
『グチュ、クプ』
「あっあ、あぁ……」
シャバルナ達も緩慢な動きで小作りセックスへと突入したのを見計らって、ベルエムが次の工程を説明する。
「次は術式を身体に刻み付ける為に魔力を腹の中で練る。この時は相手を孕ませる事意外考えるな」
「ん……こう、か?」
「!」
シャバルナが後ろを伺うと、ゼガエルの魔力が腹部で渦巻き色を変えていた。魔力が見えるシャバルナは、その魔力の注がれ先を敏感に察した。
「練り込んだ魔力を……精と共に注ぐ。一番、奥だ」
『グプ』
「ひぁうっ! あ、あっ」
ベルエムがスレーブの腰を掴んで、最も深い場所まで侵入する。シャバルナも最奥を突かれた時の感覚がじんわりと腹の中で蘇る。
『ズチュッ』
「あ……あぅう」
「っ、はぁ……スレーブ」
『パチュ』
ゆっくりとした抽送が徐々に速くなっていく。スレーブはベルエムのモノをきゅうきゅう締め付け、子種を求めて離さないと肉襞が絡み付く。
「あ……っ、ん、ベルエム」
「スレーブ、出すぞ」
『グイ』
「へあ!?」
膝裏を抱え上げられ、結合部が丸見えになる。シャバルナとゼガエルも思わずそこへ視線を奪われる。
「あ、あっ! ベルエム、これ、はずかし! 見えてるぅ!」
「スレーブ……っ、実技は見せないと、意味がない、だろ」
「(すげぇ……あんな拡がって、咥えてるのか。孔がきゅうきゅう食んでるの、全部見える……)」
「シャバルナさん、みないれ、くだしゃっ、ああ! あん、見ないれ!」
視線に反応してピコピコ跳ねるスレーブの男根にシャバルナがドキッと図星のような冷や汗が背に滲む。
今、猛烈に恥ずかしいのに、気持ちいいのだ。見られているのに興奮が抑えられない。スレーブの赤裸々な反応は、自分と全く同じものだ。
「奥に……出すぞ」
『ドプッ!』
「あぐ! イッく、イく……んんん!」
最奥に熱い子種を注がれたスレーブは、身体をビクビクと痙攣させて派手に精を自分の胸や腹にぶちまけて絶頂した。
シャバルナもスレーブの羞恥の醜態にゼガエルのモノを締め付けながら軽く達する。
「んっぅ……~~ッッ!」
「……シャバルナ、彼の姿に興奮してイった?」
「はっ、はぁ、ちが……今のは」
「それとも、自分もやって欲しい?」
「!?」
『グイ』
返事を聞く前に、スレーブと同じ姿勢へ変えられてしまう。
「ゼガエル……!?」
「俺は、こっちの方が動きやすい」
「ひっ!」
『グリュ』
最奥へモノが捩じ込まれる。そのまま結腸口を重点的に犯される。
「あがっ! あ、あっ!」
『グプッ!』
「んぐ、ぅ……あ、ああ……奥」
「そう。ココに注いでやる」
ゼガエルの熱に浮かされた甘い声にシャバルナを絶頂へと押し上げた。
『ドプッ!』
「あっあぅうう! あ゛~~ッ!!」
『ビュルル!』
スレーブに負けず劣らず盛大に達しながら、ゼガエルの精を最奥で受け止める。
「はぁ……はぁ……ん、んんぅ!」
下腹部にゾワゾワとした違和感を覚えたシャバルナが、気になった部分を手で摩る。
「……あ」
子宮を模した紋様がジワリと皮膚に浮かびあがってきた。
「スレーブ、付き合わせて悪かったな。よく頑張ってくれた。偉いぞ」
「ん、ぁ……褒める前に、抜いて、くれ……下ろして」
「……」
「ベルエム?」
「はぁ……はぁ……ゼガエル、もう、脚離せって……術式付与終わったなら、早く……下ろしてくれ」
「……」
「ゼガエル?」
『ガッ』
「「!?」」
二人を抱えていた悪魔達が椅子から腰を上げて、再び机に手を付く姿勢へ持って行った。
もうヤる必要はないというのに、埋め込まれたモノは一向に萎える気配がない。
スレーブとシャバルナは嫌な予感をソコからひしひしと感じていた。
「えっと、ベルエム?」
「ゼガエル、もう終わったんだろ?」
「終われない」
「すまん。もうちょっと付き合ってくれ」
『ズンッ』
「「ああっ」」
結局、その日は羞恥心を気にする必要が無くなる程に、二人はお互いに痴態を全て晒し上げられた。
その日から当分、悪魔達は口を聞いてもらえなくなったのは言うまでも無い。
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