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おまけ
おまけ・小話3つ
しおりを挟むセフレルームシェアの休日
昼間からセックスを嗜んで、はだけたまま三人で布団の上でゴロゴロ。
『ピリリリ……ピリリリ……』
「青斗、携帯鳴ってる」
「……」
『ピリリリ……ピリリリ……』
「出ないのか?」
「どうせ母親だ」
「心配してかけてくれてるんでしょ? 良い親じゃん。大事にしないと」
時幸に言われては、青斗はぐうの音も出ない。
渋々と言った表情でスマホに手を伸ばして、通話ボタンを押した。
「……もしもし」
『もしもし肉親です』
「肉親が自分の事肉親なんて詐欺でも言わねえんだよ母さん」
『ツッコんでくれるの青ちゃんだけよ』
「ボケ過ぎなんだよ。親父も兄貴も祥子もツッコミ疲れでほぼ無になってるし……」
予想通りでいつも通りの母親の声に、溜息を吐くと同時に少し懐かしさが込み上げてくる。
『大ボケは拾ってくれるわよ? あ、そうそう。西木君と音村君は元気?』
「溌剌としてる」
『よかった。来週のお盆は帰って来れそう?』
「まぁ、うん」
『姪っ子も会いたがってるから、ちゃんと来てね。あ、仕送り送ったからみんなで食べて』
実家から仕送りがあると言う会話を最後に通話が終わった。
スマホを置くと横になる時幸と目が合った。
「面白い親じゃん」
「……まぁな」
「いいなぁ」
「…………一緒に来るか?」
「いいの!?」
時幸は、大学卒業以降親と会っていない。居場所も知らない。前はお盆だろうと仕事をしていたし、退職後一年は寂しさを気にする余裕も無かった。
今年は、数日は一人になると思っていたようで、青斗の誘いに目を輝かせる。
「いいじゃん。俺んとこより青斗の方が賑やかだしさ」
「焔も帰省か。大丈夫?」
「妹と弟と孫のおかげで、風当たりがだいぶ弱くなってるし、まぁ大丈夫だよ」
厳しい教育ママの元で育った焔は、帰省を嫌がっていた時期もあった。
しかし、長女と次男が結婚と子宝で教育ママは丸くなり、長男である焔への行き過ぎた期待は薄れていった。
「じゃあ青斗、俺も行っていい?」
キラキラと目を輝かせながら、ワクワクした顔で時幸が青斗に聞いた。
そんな時幸にフッと笑い、時幸の頭を撫でた。それはまるで犬を可愛がるときにする仕草に見えてしまった。
「いいぞ。母さんも親父も歓迎してくれるさ」
「やったぁ」
家族愛をよく知らない時幸は、家族団欒と言うものに触れられる事を甚く喜んでいた。
「実家じゃセックス出来ない分、いっぱいしとかないとな」
「え?」
無邪気に綻んだ時幸の顔に影を落とすように覆い被さる青斗。
「い、今?」
「嫌か?」
低い声で囁き、唇に吐息を吹きかける青斗に思わず顔を赤くする時幸。
そのまま、唇を奪われる。抵抗無く、受け入れる姿勢を示した。嫌ではないとの意思表示だ。
「(ああーこりゃ当分、セックス頻度が跳ね上がるな)」
元々高かったセックス頻度がお盆の帰省に向けて倍増した事は言うまでもないな。
END
※※※
焔は、年齢の割に腹回りがスッキリしていた。細過ぎず、太過ぎず。
顔は中の中だが、本人が思っているよりプロポーションは良い。
「音村さん、スラッとしてるよね」
「運動してるって聞いた」
「うそぉ、いが~い」
紳士的で尚且つ清潔さもあり、仕事も出来る方の焔は女性社員からの評価はそこそこ高かった。
「あれで彼女無しの独身って、絶対何か爆弾抱えてるよね」
「うんうん。もしかしたら、ゲイなのかも」
「ええー!」
「コラコラ、君達。仕事しなさい」
「「はーい」」
上司が雑談をする女性社員を咎めた。
そんな事があるとはつゆ知らず、こちらを気にせず黙々とパソコンの液晶画面を見据え、キーボードを打ち込む焔の姿は真面目そのものだ。
退勤時間、焔はタイムカードを押してから階段をボーッと降りていた。
すれ違う他部署の社員に挨拶をしながら階段の曲がり角にさしかかった時……。
階段を昇っていた自分の部署の上司と至近距離で対面してしまった。
焔は避けようと咄嗟に足の方向転換を試みたが、距離感を間違えて段を踏み外してしまった。
「うわっ!」
「おお、おっと!」
上司へ倒れ込むようにバランスを崩したが、至近距離で勢いも無かった為、なんとか支えてもらえた。
「音村、大丈夫か?」
「すみ、すみませんでし──」
『スリ』
「あッ」
上司の支えてくれた手が胸を包み、焔の敏感な突起を擦った。
上司は、思わず漏れた焔の色っぽい声と反応に驚く。
焔はバッと真っ赤になって口を手で押さえたがもう遅い。
「……すみません、でした」
「ぃ、いや、大事なければいい。お疲れ様」
「お疲れ様でした」
社会人としてのスルースキルを活かして、双方足速にその場を後にする。
焔は帰り道で、上司に包まれた胸の感触が抜けず顔を真っ赤にし、自分の乳首を弄りたくて仕方がない気持ちにさせられた。
「(早く帰って、セックスしたい……)」
一方上司は、焔の胸に触れた手を眺めていた。耳に残ってしまった声も勝手に脳で反復されている。
「(コレは……セクハラになるのか?)」
勃ちかける己の物を精神力で抑え込みながら、上司は少し遅れて帰路に着いた。
END
※※※
三人がルームシェアしているマンションにも、同じように友人とルームシェアをしている大学生達が居た。
部屋が事故物件の為、他の部屋より安くなっているおかげで、個室付きで広々と暮らしていた。
男にとっても個室というのかがかなり重要だ。
《あッ、ああッ、コレ……ヤバい、んんん!》
「はぁ……はぁ……」
自家発電のプライベート空間の確保は若い彼らには必須条件だ。
ルームメイト達は各々でひっそりと己の熱を発散している。
その中の一人のルームメイトが、スマホ画面に映し出される肌色の多い映像を食い入るように見ている。
アダルト動画の投稿サイトだった。年齢認証をクリアすれば基本閲覧無料の世界的なエロ動画サイト。
そこに投稿された動画の中で、彼は日本人男性の玩具を使ったアナルオナニーでよがっている姿に激しく興奮した。
《あっあああっ! イくッ、イくイく、イッ~~ーー!!》
「くっ! うう!」
ディルドを奥まで咥え込みながら、ビクンと大きく跳ねる男を見て、彼もまた果てる。
荒い息をお互い漏らしながら、画面の向こうでは、ディルドを引き抜いても、後孔が閉じ切らずヒクヒクと媚肉が痙攣している映像が流れ続ける。
彼は少し射精の余韻で虚ながらも、続きを眺めている。
《はぁ……はぁ……ぁ、ああッ》
イヤホンから聞こえる男の声に集中しながら、またも硬度を持ち始めた自身を握る。
《くぁ、あ……ん、んんッ! んんん~~!》
ビクビクと跳ねる身体と、卑猥に揺れ動く腰が性欲を刺激する。
メスイキのフラッシュバックまでも収めた映像に、手の動きが速くなった。絶妙なタイミングで動画が終わった。
彼は続けて同じ男の動画を再生する。短めのものだ。
《ふぅ……お尻、気持ちっ……好き》
男の低い声。決して可愛らしいわけではないのに、腹の底にある欲を騒めかせるその声。それは先程の投稿映像から何度も耳に残っている。
《はぁ、あっあっ、また、イッちゃう……お尻でイッちゃ、う》
投稿動画の中で、一番喋り言葉の多い為、日本人である事を感謝せざるおえないオカズ動画だ。
「うっ!」
『ビュル』
「……はっ……はっ……」
二発続けた余韻でぼうっとした頭でティッシュを掴み取り、数枚手に取ると自身や掌についた精液を拭いた。
映像は終わり、投稿者の名が浮かび上がる。
『ザクトリ』
現在、彼のオカズはザクトリに絞られている。
同性愛者では無いのだけれど、ただ、この男の快楽に溺れて、他者に見せつけるような極めて淫乱な自慰行為に惹かれているのだ。
最新動画に高評価ボタンを押して、スマホを閉じて換気を行う。
「(ご馳走様でした)」
次の日の朝、彼は一限のあるルームメイトを見送ってから、ゆったりとゴミ出しへ行った。
「あ、おはよ~」
「! おはようございます」
マンションの住人に会う事も必然的に起こる事だが、エレベーターの中で一緒になった住人を見て、彼の中に緊張が走る。
寝癖のついた長髪で髭の中年相手に胸をドキドキさせていた。
「今日はお休み?」
「いえ、二限からです」
「そっかぁ」
特別な会話では無い。けれど、住人が喋れば喋るだけ、彼の股間を刺激していた。
声がそっくりなのだ。『ザクトリ』と。
ザクトリの声に性的興奮を刷り込まれた彼はなんとか気を紛らわせるように目線を泳がせてどうでも良い事を考えた。
「ああ……もう着きそー」
《ああ……もうイきそ》
「ッ!?」
チンっと小気味よい音を立て、目的階に着いたエレベーター。
隣の住人に動揺はバレる事は無かったが、脳内再生された声色が完全一致してしまい、彼は勃起してしまった。
股間を隠すようにゴミ袋を抱えて、共にエレベーターを降りる。
「(いやいやいやいや、前々から声似てるって思ってたけど、こんな事になっちまうなんて)」
「俺もルームシェアしてるけど、やっぱ男三人だとゴミ多いよね」
「オオイデス」
ゴミ捨て場にポイッと袋を置いて烏避けのネットをかける。
「じゃあ、また。今度はもっとお話ししようね~」
手をひらりと振った住人はゴミ捨て場を後にしていくが、股間を隠したままネットの隅でしゃがんでいる彼には気がつかない。
男子大学生の脳内では、彼が淫らな姿を晒して、淫らに自慰行為をしている妄想が繰り広げられていた。
普通その気が無いのに、男の知人で妄想など萎えるはずだが、幾分顔が良い所為でザクトリの映像に落とし込んでもしっくりきてしまう。
「(はぁぁぁぁ~~……俺はなんて、愚かなんだ……関係ない西木さんをエロ動画に重ね合わせて……二人に失礼だ……ああーーーー! なんでこんなチンコがイライラするんだ! 別人なのに!)」
同一人物である。
後日、ルームメイトの男二人と仲良く連れ添い歩く場面を目撃し、妄想が爆発して自家発電に新たな風が巻き起こったのは、また別の話。
END
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