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29:エピローグ(END)
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時は流れ、人類の総人口は七分の一にまで減少し、その内訳は魔族化した人間が満たしていた。
「ねぇ、ニンゲンって知ってる?」
「知らない。食べ物?」
「私達のご先祖様らしいよ」
そして、“人間”と言う種族は世界から消え失せ、世代を紡ぎ、“魔人”と言う種族に取って代わられた。
魔人の少女は、空き地のブランコで遊びながら聞き齧った話を兎人の少女へ自慢気に話している。
「世界で一番多かったんだって」
「もう残ってないの?」
「うん。けど、魔人の中にちょーっとだけ残ってるって、パパが言ってた」
「なんで、居なくなっちゃちゃんだろうね」
「それは……わかんない。聞きに行こっか」
「うん!」
魔人の少女と兎人の少女は、ブランコから降りて手を繋いで魔人の少女の家へと向かった。
「パパー」
「おかえり」
「こんにちは、タクトおじさん」
「こんにちは」
兎人に似た特徴を持ちながら、龍人の鱗を持つ男性が娘と兎人の少女を書き物をしながら出迎えた。
「ねぇ、ニンゲンの話しして。なんでニンゲン居なくなったの?」
「いきなりだな」
膝に顎を乗せる娘の頭を撫でながら、タクトはサラッと軽く伝える。
「魔王様が、みんなを守る為に人間を魔人に変えたからだよ」
「そうなんですか? なんで?」
「おじさんのパパも、いろいろ人間に苦労させられたって言ってたよ。仲良くする為に魔王様はそうされたと聞いた」
「そっか。魔王様の奥さんだもんね。おじいちゃんはニンゲン見た事あるの?」
興味津々の二人に苦笑しながら、タクトは律儀に応えていた。
「人間が支配する全盛期の世界で生きてたからよく知ってると思うよ」
「「へぇぇーー」」
「今度会った時、聞いてみるといい」
「わかった!」
再び遊びに出て行くパワフルな子ども達を見送って、仕事に戻るタクト。
この先も、人間と言う単語は聞くだろう。もはや昔話の中でしか存在し得ない生き物の話しを。
「ふふ」
「どうしたタスク」
「魔人の子と兎の子が仲良く遊んでて……感慨深くなりました。本当に平和になりましたね」
「ああ」
窓の外から見える緑の多い町の中で駆け回る子ども達を眺めるタスク。
その横でセリアスは、タスクの肩を抱き寄せてキスを落とした。
「魔王様?」
「……ヘルのおかげで、これから先も良いものが見れるぞ」
「ええ、そうですね」
長い年月を過ごしたタスクは、あの頃とあまり変わらずそこにいた。
獣人の寿命はとっくのとうに過ぎ去っている。
長寿の理由は、肌に散った鱗が物語っていた。
セリアスの魔族化が魔族である牛獣人に影響を及ぼした事を思い出したヘルクラスが、セリアスとの間に授かった子ども達に協力してもらえば、エルフの影響を与えられるのではと考え至った。
ストールの推測のもと、動物実験を行った結果、エルフ程ではないが老いがとても緩やかになる事が判明。
タスクはエルフと龍人の遺伝子を身体に溶かして、セリアスと共に居られる長寿を実現させた。
タスクだけではなく、ホープやラージャも恩恵を受けている。
「セリアス様、デジィさんがまた壁に突っ込んだみたいです!」
「またか……高層建築物の間を飛行するなと何度も言っているのに」
「あっはっは! 笑いに行きましょうか、魔王様」
「ああ。ホープ、ヘルも呼んでくれ。修復費を算出してデジィに請求する」
「はーい。へへへ、デジィさん、平和になったら一気に問題児になりましたね」
「全くだ……針を抜き過ぎた」
問題児の報告を受け、笑い合いながら現場へ向かう。
身勝手な野望を叶えた末の世界を見守る魔王として、セリアスはこの上ない穏やかな時間を謳歌していく。
この先も、ずっと。
END
「ねぇ、ニンゲンって知ってる?」
「知らない。食べ物?」
「私達のご先祖様らしいよ」
そして、“人間”と言う種族は世界から消え失せ、世代を紡ぎ、“魔人”と言う種族に取って代わられた。
魔人の少女は、空き地のブランコで遊びながら聞き齧った話を兎人の少女へ自慢気に話している。
「世界で一番多かったんだって」
「もう残ってないの?」
「うん。けど、魔人の中にちょーっとだけ残ってるって、パパが言ってた」
「なんで、居なくなっちゃちゃんだろうね」
「それは……わかんない。聞きに行こっか」
「うん!」
魔人の少女と兎人の少女は、ブランコから降りて手を繋いで魔人の少女の家へと向かった。
「パパー」
「おかえり」
「こんにちは、タクトおじさん」
「こんにちは」
兎人に似た特徴を持ちながら、龍人の鱗を持つ男性が娘と兎人の少女を書き物をしながら出迎えた。
「ねぇ、ニンゲンの話しして。なんでニンゲン居なくなったの?」
「いきなりだな」
膝に顎を乗せる娘の頭を撫でながら、タクトはサラッと軽く伝える。
「魔王様が、みんなを守る為に人間を魔人に変えたからだよ」
「そうなんですか? なんで?」
「おじさんのパパも、いろいろ人間に苦労させられたって言ってたよ。仲良くする為に魔王様はそうされたと聞いた」
「そっか。魔王様の奥さんだもんね。おじいちゃんはニンゲン見た事あるの?」
興味津々の二人に苦笑しながら、タクトは律儀に応えていた。
「人間が支配する全盛期の世界で生きてたからよく知ってると思うよ」
「「へぇぇーー」」
「今度会った時、聞いてみるといい」
「わかった!」
再び遊びに出て行くパワフルな子ども達を見送って、仕事に戻るタクト。
この先も、人間と言う単語は聞くだろう。もはや昔話の中でしか存在し得ない生き物の話しを。
「ふふ」
「どうしたタスク」
「魔人の子と兎の子が仲良く遊んでて……感慨深くなりました。本当に平和になりましたね」
「ああ」
窓の外から見える緑の多い町の中で駆け回る子ども達を眺めるタスク。
その横でセリアスは、タスクの肩を抱き寄せてキスを落とした。
「魔王様?」
「……ヘルのおかげで、これから先も良いものが見れるぞ」
「ええ、そうですね」
長い年月を過ごしたタスクは、あの頃とあまり変わらずそこにいた。
獣人の寿命はとっくのとうに過ぎ去っている。
長寿の理由は、肌に散った鱗が物語っていた。
セリアスの魔族化が魔族である牛獣人に影響を及ぼした事を思い出したヘルクラスが、セリアスとの間に授かった子ども達に協力してもらえば、エルフの影響を与えられるのではと考え至った。
ストールの推測のもと、動物実験を行った結果、エルフ程ではないが老いがとても緩やかになる事が判明。
タスクはエルフと龍人の遺伝子を身体に溶かして、セリアスと共に居られる長寿を実現させた。
タスクだけではなく、ホープやラージャも恩恵を受けている。
「セリアス様、デジィさんがまた壁に突っ込んだみたいです!」
「またか……高層建築物の間を飛行するなと何度も言っているのに」
「あっはっは! 笑いに行きましょうか、魔王様」
「ああ。ホープ、ヘルも呼んでくれ。修復費を算出してデジィに請求する」
「はーい。へへへ、デジィさん、平和になったら一気に問題児になりましたね」
「全くだ……針を抜き過ぎた」
問題児の報告を受け、笑い合いながら現場へ向かう。
身勝手な野望を叶えた末の世界を見守る魔王として、セリアスはこの上ない穏やかな時間を謳歌していく。
この先も、ずっと。
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