26 / 38
25:念願※
しおりを挟む「…………」
「…………早くないか?」
「こ、ここ、これにはいろいろわけが……」
想いを通い合わせた次の日……ストールから問題無しと送り出されたヘルクラスが夜着に身を包んだ状態でセリアスの前にちょこんと座っていた。
「娘は……グラスは一人で大丈夫なのか?」
「はい。ああ見えてもう一人で寝られる歳なので」
「そうなのか……」
「…………よろ、よろしくお願いします」
何故、こんなにも早く事前準備が終わったのか、なんとなく解っているが口に出す程デリカシーの無い男になりたくはなかった。
「愛し合おう、ヘル」
「ッ!!」
「警備隊の皆が、お前をそう呼んでいたのを聞いて羨ましくなってな」
「ぁ、う……くっ」
「……おい、まさか」
ヘルクラスは、愛称を呼ばれて前屈みになり下腹部を押さえ込んだ。
「…………申し訳ございません」
名を呼ばれただけで、瞬間沸騰でイってしまったようだ。
セリアスは驚きながらも、思っていた以上にヘルクラスが自分を好いている事がわかった。
セリアスもしっかり心の準備を整えて、ヘルクラスに対する恋心を携えていたが、ここまでくると心配になるレベルだ。
「……大丈夫か? 私に抱かれたら、死んでしまわないか?」
「が、頑張ります……けど、出来ればゆっくり」
「ああ。焦らずいこう」
ヘルクラスの頬に触れて、ゆっくり慎重に唇を寄せた。
触れるだけのキスは、徐々に重なりを深め、緩慢な動きで長く続いた。
「ん……んぅ」
ヘルクラスも応えるように、セリアスの唇を味わい続ける。だが、僅かに翻弄されているようで必死さが伺える。
呼吸の合間を縫って、角度を変えながら貪るようなキスを交わし、舌を引くとヘルクラスは放心状態で口端から涎を垂らしていた。
「は、ぁ……魔王様」
息も絶え絶えで、熱に浮かされながらセリアスの身体に腕を伸ばした。
「ヘル、脱がすぞ」
「はい」
互いに撫で擦り、ゆっくりと服を剥いでいく。露わとなったセリアスの肉体美にヘルクラスの全身に鳥肌が立ち、腹の底から熱い欲望がせり上がってくる。
「俺と……全然違う」
「そうだな。けれど、エルフの中では、鍛え抜かれた身体をしているヘルも美しい」
「興奮、しますか?」
「勿論。愛しい人の身体だ。しないわけがない」
「ぁ……」
仰向けに倒されて、首から耳まで舐め上げられる。くすぐったさに肩が跳ねるもセリアスに抱き締められて逃げられない。
足を割り開かれて股を密着させられる。グリと押し当てられ、動かない分しっかりとした存在感に、どれだけ興奮しているか伝わってきて尚のこと興奮してしまう。
「はっ……はっ……はぁっ……」
「ヘル、すまない。刺激が強過ぎたか」
「まぉさっ、魔王様……」
カクンカクンと腰を自ずと振ってしまい、気不味そうにセリアスを伺う。
「いやじゃ……ないですか? こんなっ……はしたない、俺で」
「嫌なわけがない。淫乱なヘルも魅力的だ」
揺れる腰を鷲掴み、スルリと下を脱がす。白濁が絡み付いたヘルクラスのモノは血管を浮かせて硬くそそり勃っていた。
『クチュ』
「んぅ!」
直に撫でられて、甘い痺れが腰に走る。ヘルクラスもセリアスの腹筋に指を滑らせつつ、下へと手を這わせた。
「魔王様も……」
「ん?」
「……欲情して下さってるのですね。もう、こんなに」
「……ふぅ……んッ」
押し付けられているモノの大きさに感嘆しつつ、そっと揉み上げるとセリアスが熱い吐息を漏らす。
「(魔王様の……想像よりずっとおっきくて、硬い……熱い)」
火傷の痛みは今でも悪夢として繰り返し見ているが、セリアスになら神経を焼き切られたって構わない。
ヘルクラスがそんな事を考えてるなどつゆ知らず、セリアスはトロトロと流れ出てくる先走りを手に絡めてヌチヌチと音を立てて上下に扱いていく。
「んっ……んん、ぁ……まおーさま、んッ! イ、って、しまいます」
「あぁ、もうイキそうか?」
「魔王様……ぁ! あ!」
セリアスの手の中に勢いよく放たれた白濁。
『ペロ』
「……エルフの精液はほんのり甘いのだな」
「舐めないで、くらはい」
食生活の違いか、エルフの精には果実の蜜が混入しているようにほんのり甘い。
「(タスクやホープのも知りたいな……)」
大分危うい好奇心を抱きながら、指に絡ませた精液を潤滑油に後ろへあてがう。
『クプン』
「ぁああ……入って、くる……魔王様の、指が」
「すごく、柔らかいな……弾力が心地良い」
「もう、少し……奥に……」
ヘルクラスに乞われれば、断る理由は無い。
ゆっくりだが、根元まで埋めることが出来た。
「……すぐに挿れれそうだ」
「はぅ、あ゛ぁぁ!」
『ピュル!』
押し出されるように少量の白濁を飛ばすヘルクラス。どうやら想像だけで達してしまったようだ。後ろが期待感でキュンキュン疼いてしまう。
「ヘル……本当に大丈夫か?」
「……はぃ」
「少し休憩しよう」
指を抜いて、ヘルクラスが落ち着くまで優しい抱き締めておく。
「まおーさま……」
「?」
ヘルクラスの腕が首に回り、引き寄せられて唇が押し当てられる。
触れるだけのキスを終えた頃には熱に浮かされてトロリとした瞳になっていたものの、意識がハッキリとしてきたようだ。
呼吸も整っている。
「もう大丈夫です……魔王様にも気持ちよくなってもらいたいので」
「…………ヘル、執拗に焦らすが意地悪ではないからな」
「はい」
もう一度指を挿れて、ゆっくりと中を解していく。ヘルクラスの反応を見て、媚薬は少量に留めた。
『ジュプ……グチュ……ヌチ』
「ふぅっあ……んんッ……」
早く中に欲しいが故に、物欲しげに内壁を畝らせ指を締め付ける。
元々自慰行為でそこを使っていただけあり、充分柔らかい。
『ヌプ……グッ』
「んぁ!」
「少しづつだ」
セリアスのモノが解れた孔に先端をあてがわれる。
「魔王様、ぁ、あっ……あつぃ」
『グププ……』
圧迫感はあるが痛みは無い。ゆっくりゆっくり押し広げられる感覚に身を震わせながら深く繋がり合う。
「はっ……まぉ、さまッ!」
「ぁ……ヘル」
根元まで、完全に埋まったところで互いに息を切らして見つめ合う。
「魔王様と繋がって……」
「……こんな些細な事で泣くな。これから先、持たないぞ」
「はぃ」
大粒の涙を零すヘルクラスの目元に口付けながら優しく諭すセリアス。
内壁が収縮して中を押し広げる圧迫感の存在を確かめるような動きに変わっていく。もっと動いてくれと言うかのように不規則にキュンキュン締め付けられて、セリアスが眉を顰める。
「(ゆっくり……優しく……慎重に)」
『ズ、ル』
「ぁあ」
抜ける寸前まで腰を引き、中に戻る。傷付ける心配が無い程柔らかくなっているので抽挿はスムーズだ。
『ジュプ……ヌチ』
「ぁ、あっ……あっく」
出入りする度にビクビクと身体が震えてしまう。自分の喘ぎ声がうるさくて恥ずかしくて口を閉ざそうとするが、ヘルクラスの弱い部分を探すように抉り、押し潰すセリアスの逞しい男根に翻弄されて声を漏らしてしまう。
「んっ、んん゛ッ、まお、さま……」
「はっ……はぁ……」
余裕が無いのか、セリアスも呼吸が早くなって汗が頰を伝ってヘルクラスの胸に落ちる。
緩やかな快楽の熱に浮かされながら、ヘルクラスは腰に絡ませた足をそのまま引き寄せて背中に腕を回して結合を深める。
「んぁ!? ヘル?」
「まぉ……さまッ……おれでっ、もっと気持ちよく、なってくださぃ」
「ッ……頼む、煽らないでくれ」
「もぉ、だいじょぅぶなので……はぁ、んっ! おれの……ことぐちゃぐちゃに、して、くらさい……っ」
「ーーーーッッ」
『………………ズパン!』
奥まで叩き付ける。セリアスの動きから遠慮が消え去り、腰が砕けそうな程の快楽に浸り脳が蕩けていく。
『ジュプ! ジュッパン』
「んあ゛ッアっあっぐ……ぁあああぁあ゛あ゛あ゛!?」
理性が半壊し、セリアスが顔を歪める。早くなる律動に快楽から濁った喘ぎ声を零してながら、ヘルクラスが必死にしがみつく。
下品な水音に肌がぶつかり合う音が重なって部屋に響き出す。
「あっあっ、あぁ゛!! 魔王様……い、くっ……もうッ、あぁあ!!」
「私も、う!」
「イッ、イクっイっぁぁあ゛」
全身を駆け巡る射精感に仰け反り絶頂を迎える。その締め付けにセリアスも奥歯を食いしばって吐精した。
「ンッ……あ、ぁ……まぉさま……うれしぃ、です……俺の、中に」
『グチュ』
「ひぐ!」
「……休憩を挟むか」
「ぃ、いえ、このまま……もっと魔王様を感じさせてください」
繋がったまま、抜かずに抱き締め合って軽くキスをする。
熱に浮かされる。だが、その激しさが逆に冷静さを取り戻す良い抑制剤になる。ヘルクラスの精神と身体を労りながらゆるゆると交わった。
「(これほど乱れても美しさが損なわれないのは贔屓目か、それとも美貌の成せるものなのか……)」
汗だくのヘルクラスも美しくて見惚れていると、不意に頰を舐められた。
「!」
「ふふ、魔王様……すごい、汗ですね」
「お前の方こそ」
貼りついた髪を払うように頬へ手を滑らせ、ヘルクラスの唇を塞ぐ。
「……魔王様」
「ん?」
「俺…………幸せです」
「ああ、私もだ」
セリアスは日付けを跨ぐ前にヘルクラスを抱えて水浴びを済まし、床につくことが出来た。
夜通しでは、ヘルクラスの精神が持たないからだ。
「魔王様と同じ寝床……」
「お前の暮らす小屋でも構わないぞ?」
「……出産があるのでしょう? 家では出来ませんから」
子どもに出産の光景を見られたら生きていけないと青い顔をするヘルクラスの背を摩ってやりながら、居た堪れないよなと同調して頷くセリアス。
「魔王様を独り占め……贅沢過ぎてバチが当たりそうです」
「今まで苦労してきたのだから、この程度でバチなど当たらないさ」
「魔王様はご自分の価値を低く見積もり過ぎておられるように思います」
「お前が卑屈すぎるんだ」
額を擦り合わせて笑い合うと、不意に欠伸がでた。
「もう寝よう。明日は早いぞ」
「……はい。おやすみなさいませ、魔王様……また、明日……」
「ああ、おやすみヘル。また明日な」
軽く口付けを交わし合ってから眠りについた二人。
仲睦まじく、寄り添う二人の間に生まれる命は一際特別な遺伝子を持っていた。
6
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
神官、触手育成の神託を受ける
彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。
(誤字脱字報告不要)
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる