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22:友との進展②※

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「やら"っ、まっで、イッてう! いっへる!」
「ッ……はァ」

 快楽から逃れようと暴れるデジィをシーツに押し付けて中を抉るように腰を押し付ける。

「出る、出ちゃうから、セリアスぅ!」
「存分に出してくれ」
「違、漏れッ──~~……!?」
『プシャ』

 その刺激に声にならない悲鳴を上げたデジィが潮を吹き、達していた。セリアスは中の締め付けに逆らうように奥へ奥へと自身のものを収めていく。

「くっ……ぅ、デジィ……私も出る」
「んっんっ、出して……セリアスの」

 セリアスの首に腕を回し、腰に脚を絡めてホールドする。そのまま腰が揺れれば中に熱いものが注がれていくのを感じ取りながら何度目かの絶頂を迎えた。

『ビュク……ビュルル』
「っ~~~~」
「んッ……!」

 奥に塗り込むように射精しながら亀頭で結腸を嬲り、確実に孕ませる意思を持った腰付きで種付していく。デジィは激しく身体を痙攣させながらそれを受け止めた。涙で歪んだ視界の中、意識を遠くへ飛ばされそうな程の快楽に包まれる。

「あっ……ぁぐ…………んん……き、もちぃ」
「……はぁ……デジィ」
「んっ……ゆっくり、してくれ」

 そのまま、デジィを抱き締めてゆっくり腰を動かす。結腸に入り込まない程度に、抽送を繰り返して出し入れの快楽を味わっていく。

「デジィ……痛くはないか?」
「ん……気持ち良い」
「そうか、よかった……」

 耳元で囁くように言葉をかけながら何度もキスをする。すっかり理性が飛んだ二人は心地良さに目を細め、身体を重ね続ける。

『カチ……ガチガチ』
「んぁ、ふ……ぁ……ン」
『ミシミシ……ギギ、ミチ』
「がっ、ぅう」

 歯をぶつけ合う激しいキスと皮膚に爪が食い込む野生味の強い抱擁。
 喉に篭る唸り声が混じる喘ぎ。龍人同士の性行為は常人の想像を絶する程に激しい。シーツに互いの血痕が滲むまで求め合い、一時の休息を得てはまた勢いを増していく。

『ズルルル……』
「はっ……はっ……」
「ぐぅ、ぎ……ア……せ……りぁす……?」
「もう少しだけ……付き合ってくれないか」
「……いくらでも……この先ずっと、付き合うぞ」

 愛が無ければ暴力と言っていい凄烈な行為に、デジィは充足感を感じていた。
 日の出の時間に、二人の行為は漸く区切りが付けられた。
 互いに傷付いた身体を引き摺りながら水を浴びる。デジィは意識を飛ばしかける程激しい絶頂の中、セリアスをずっと受け入れていた為、身体はすっかり限界だった。微熱を伴う倦怠感に襲われていたが、それはそれで心地良く、特に気にならなかった。
 
「デジィ……」
「なんだ? 擽ったい」
「身体は大丈夫か?」
「ああ、まだ中に入っている感じがするが……それに」

 デジィは気恥ずかしそうに目を泳がせながら自分の腹を撫でる。その仕草にセリアスは柔らかい微笑みを浮かべた。

※※※

 初めての夜を過ごしたセリアスとデジィは、すやすやと寝息を立てていたが……デジィは、ムクリと徐に起き上がった。

「(腹が……ぐるぐるする……下したにしては、なんとも……変な感覚だ)」

 違和感を覚えた腹部を撫でて、上着を羽織る。

『カツカツ』
「!」

 カーテンの前で立ち止まる聞き慣れた足音達。
 こちらを気遣ってか、入室を戸惑っている雰囲気を感じる。
 デジィはよろよろとカーテンから顔を覗かせる。

「うわ! デジィ、起こしちまったか?」
「早朝訓練は、気にしなくていいから。今日はゆっくりして」
「……わざわざそれを言いに来たのか。すまんな……ラージャ殿の言う事を聞ッ」
『キュル……』
「デジィ?」

 カーテンから覗くデジィの表情が強張り、握られたカーテン生地の皺が深くなる。

「いや……なんでも、ない」
「本当か? 顔色が優れないようだけど」

 気の知れた優しい同族達に自分の異変を知られては、内容を深掘りされてセリアスへの心象が下がってしまう。
 腹の中で蠢くモノを、歯を食いしばって抑えながら平静を装った。

「平気だ……訓練に行ってくっ……!?」
『ギュプン』

 突然脚から力が抜け、前のめりに倒れかける寸前で踏ん張り、状態を晒すように床へ倒れる事は免れた。
 中から出て来ようとする何か。普通なら激痛を伴うはずの勢いだが、強い快感が波のように襲ってくる。
 
「(まさか……これが、出産か? 早いとは知っていたが、こんな早く……会話を切り上げなければ、このままじゃ)」
「デジィ、セリアスさんに酷い事されたんじゃないか?」
「違っ、ただ……その……」

 否定するにも嘘の付けない素直なデジィはその場凌ぎの言い訳さえ出来ない。
 酷い事をされたわけではないが真実を伝えるにはデジィの羞恥心が邪魔をする。

「セリアスは……酷い事なんて」
『ズッ……ヌプ』
「し、してない……我が強請っただけ、だから、大丈夫だ」
『プッ、ビュル!』
「ッーー……」

 後孔から触手が顔を出してしまった。受け止めようと手で抑えるが、上手く支えられない。
 仲間の眼前で触手を出産しているという状況にデジィはあまりの羞恥に涙を浮かべてしまった。

「デジィ! くそ、セリアスさんに文句言ってやる!」
「待て、待って、くれ……」
『ズリュン』
「あっ」

 一匹が溢れ落ちてしまう。慌てて押さえ直そうと手を伸ばすも、間に合わない。

『パシ』
『ガバッ』
「!?」
「諸君、すまない。デジィは昨日私と張り切ってしまって、腰を痛めてしまったんだ」

 セリアスが床に落ちる前に触手を拾い上げて、デジィを引き寄せ口を手で塞ぐ。変わりにセリアスがカーテンの向こうに顔を出した。

「……そうですか。うちのデジィが可愛いからってあまり酷使させないでください」
「すまない。気を付ける」
「絶対ですよ!」

 プンプンと怒っているが、合意の上で行った行為だった為、口頭注意で済んだ。
 皆が訓練へ向かうのを見送り、デジィの口を解放する。

「ぷはっ……すまん……助か、ぁああ……セリアスっ、一体目の子は……」
「無事だとも……綺麗な触手だ……ふふ、私達の鱗の部分が多い所為で蛇のようだ。今は出し切る事に集中してくれ」
『グプ……ブビュ』
「ひっ……」

 セリアスはデジィを抱き締めて、布の上に触手を産み落とすのをサポートする。

「皆の前で出産して……恥ずかしかったろ? 気付かず悪かった」
「ん、んんんぅ……」
『プニュル……ゴポポ』

 五匹の触手を産み落とし、デジィは疲労感と出産の絶頂で腰を震わせている。産み落とされた命は全て丁寧に布に巻かれて、デジィの腕の中で甘えるように身を寄せてくる。

「セリアス……この子達も、我とお前を混ぜた姿に擬態するのか?」
「ああ」
「……そう、か」

 青と黒の鱗を纏った触手を抱きしめて、デジィは複雑な面持ちで黙り込む。

「何か不満か?」
「……我は、この子達を我が子として、愛せればいいと思っている……でも」
「デジィ?」
「お前達のような良い親になれる気がしない……セリアス、我はどうしたらいい?」

 信念の為に、一部の魔族の為にと貫いた人間不殺により、見殺しにしてきた魔族達がいる。
 自分達のしている事が正しいかわからないが、後ろめたく思った事など無かった。
 だが、誰かの愛しい子ども達を自らの選択で殺した事実がのしかかる。
 自分の細胞と命を分け合った触手の感覚が、その重さをさらに増幅させた。

「デジィ、お前は良い親になれるよ」
「……そんなわけが」
「あるさ。お前が何を考えてるか知らないが、不安になるのはこの子達と向き合っているからだ。誰よりもこの子達にとって良い親になろうとしてる」
「誰よりもって……この子達の親は我々しかいない」
「そう。この子達の親は私達だけだ。他の家族と比べる必要はない」

 セリアスはデジィが何かを背負い込んでいるのかを察して言葉を続ける。

「デジィ、過去と他人は比べるものではない。もし、デジィが抱えている悩みの答えが出ないようなら私を頼れ」
「……セリアス、ありがとう……少しだけ……肩を借りてもいいか?」
「勿論だ」

 セリアスが両手を広げるとデジィは腕の中で布ごと触手を抱き締めて身を寄せてくる。
 小刻みに震える背中を撫でながら寄り添う。

「幸せは……もっと暖かいものだと思っていた。微温湯の中で、針の筵に座っているような心地だ」
「……つくづく面倒臭いな。お前は。まぁいいさ。その針を一本一本一生かけて抜いてやる」
「はは……そんな手間のかかる事を、してくれようとしているのか」
「当然だろ。私はデジィが幸せになるまで離れるつもりなんてない」

 デジィの額に唇を寄せて、二人でもう一眠りすることにした。
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