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20:確認※
しおりを挟む「と、言う事で……セリアス。我はお前に恋をしたい」
「私に言われても困る」
「我も困っている。友をどう変換して恋心を抱けばいいのかわからん。だが、ここ数日考えた結果わかった事がある」
「なんだ?」
恋の取っ掛かりになりそうな小さな気付き。
「セリアスに触れられる事に抵抗を感じない」
「そ、うか」
戸惑い気味のセリアスの手を取り、掌を頬に触れさせる。そして滑らせるように、骨格に沿って首、鎖骨、胸、腹筋に触れさせる。
「……嫌か?」
「私も思ったより抵抗が無い。嫌では、ない」
『スリ』
誘導から外れた手で、デジィの腰へ腕を回す。
セリアスの意図を察したデジィがおずおずと両手を広げれば、セリアスとの距離がほぼゼロになる。
抱き締められても、嫌に思う要素が無い。
「なるほど」
「??」
疑問符を浮かべるセリアスの身体を優しく抱き締めて、背を撫でたり頭を撫でたりする。セリアスは照れつつも満更ではなさそうだ。
デジィの胸の底で何かが熱を持つ。
「恋と情欲の違いがわからない」
「……どちらにしろ、確認が必要だ」
「!」
デジィの首筋に鼻を埋めて匂いを嗅ぐセリアス。優しく唇が触れて、うずうずと無意識に期待に震える身体へ手を這わせた。
「っ……」
「ん……デジィ……」
腕の力を強めて、胸を密着させてくるセリアスが吐息混じりに色っぽく名を囁く。唇をゆっくりとくっ付ける。
柔らかな感触がして、次にどちらともなく舌を出して控えめに触れ合わせる。
「ん……ふぅ……」
「……ふ」
顔が熱くなり、抱き締め合う腕に力が入る。お互いに照れつつ、ぎこちなく浅めの口付けを繰り返す。そして顔を離して見つめ合えばデジィは嫌じゃないと言って微笑む。セリアスの胸が不意に高鳴る。
「デジィ……」
「……っ!?」
ゾクゾクッとした何かが腰から背を伝った事に驚いて声を失うデジィの唇を再び塞ぐ。
「ん、んんっ」
「ふ……ぅ……」
息が苦しくなると一度離れて唇を舐め合い、また噛み付くように合わせる。互いに興奮の気配が混ざってくるのがわかる。デジィがセリアスの顔を捕まえて舌で唇に触れた。応えるように口内へ導き入れるセリアスの舌に舌を絡める。その間も身体中を優しく撫でられ続けるデジィは目の前の相手を求める事しか考えられなくなっていく。互いの唾液が混ざり、口元から溢れ落ちても構わずに貪り合う。
『ガチ』
『ガチカチ』
喰らい合うような口付けにヒートアップしていく。鋭い歯がぶつかり、セリアスの歯がデジィの唇の端に当たり、血が滲む。
「っ……」
「……ぁ」
痛みで少し理性を取り戻したのか、口を離して見つめ合う。
「……お前の番になりたい理由がもう一つ出来た」
「え?」
「ずっと、この温もりが欲しい。お前と口付けを交わす時間は……なんとも心地良い。好きだ」
「…………」
友の見た事ない甘えた一面にセリアスは胸の鼓動が抑えられなくなる。
「(友と言う関係を変化させぬまま、突き進んでもいいかもしれない。ただ、私達を繋ぐ事柄が増えるだけ……もう無闇に傷付けられぬよう、一緒に居たい)」
「セリアス?」
「……デジィ、私はお前に秒で恋心を抱けそうだ。お前はどうだ?」
「少し待ってくれ」
切れた口端を舐め取りながら、もう一度キスを強請る。
「もっと確認しなければわからない」
「……ふふ、ああ」
めんどくさいヤツだと思いながら、セリアスは受け入れてまたキスをする。
長引くほど荒くなっていく呼吸に、吐息が掛かる程密着した身体から伝う鼓動を感じながら、欲情し始める肉体を感じる。
首筋に吸い付くとデジィの肩が震えた。
「ん」
「痛かったか?」
「……くすぐったい。ゾクゾクする」
口を離して舌でなぞると皮膚が少し赤くなる程度で跡はつかなかった。
肌に散る黒い鱗が汗に濡れて濃く光り、デジィの色気が増す。
「黒い鱗はこうも艶やかになるものなのか」
「気を遣わなくて良い……」
「いや、心底美しいと思ったんだ。気を遣う余裕もない。黒い鱗と白い肌の境目がそそる」
「っ……恥ずかしい事を軽々しく言うな」
お互いに胸を満たす感情がどういったものなのか、恋と言うにはまだ曖昧な部分が残る。
輪郭をはっきりさせる為に、二人はひたすらに確認作業を継続させた。
※※※
タスクに手解きを願い出たデジィは、数十分後には水浴び場の床に疼くまって凹んでいた。
「……あのぉ、デジィさん。未経験なんですから、そう落ち込まないでください」
「無理です……ぅう、情け無い……」
「最初はキツいですよ。痛くて腰が抜けるなんて、きっと珍しくもないですから」
心の準備と共に、身体の準備も進めているデジィだったが……後を解す段階で躓いた。
異物感と痛みで一本指の第二関節までが限界であった。
タスクとセリアスの行為を目の当たりにしている分、デジィはタスクとホープの偉大さをヒシヒシと感じていた。
「……どうして、二人は……受け入れられたんですか?」
「魔王様は、媚薬を分泌出来るのでそれが半分と……もう半分は、俺達二人共経験が少しあったので」
「経験?」
「人間に捕まってる時に……いろいろと弄ばれまして」
「ッ……すみません」
「もう過ぎ去った事ですから」
辛い記憶を乗り越えて、セリアスに身を預けているという事を知り、ますます自信が無くなっていく。
「とりあえず、今日はこの辺で。こういうのは慣れです。身体に刷り込んでいくしかありません」
「はい……」
道のりは長い。事前準備を入念に行わなければとてもではないがセリアスのモノを受け入れられない。
だが、悠長にしていられなかった。計画云々よりも先に、ただ早くセリアスを受け入れたいと、心が急いていた。
その様子を見ていたストールがよいしょっと頭を上げた。
《私が一肌脱ぎましょう》
「ストール殿?」
《コレでも私は触手の長をしていた歴戦のセックスファイターです。処女開発も何度かした事があります》
「聞き慣れない単語がゴロゴロと……」
「でも、ストールさん。デジィさん、慣らす段階で辛そうですし、そう急がなくてもいいんじゃないですか?」
タスクの気遣いも理解出来るが、ストールは出来る限り早く計画に取り組んで欲しいのだ。
「……やれる事は全てやります。ストール殿、よろしくお願いします」
《はい。そんな難しい事ではありません》
デジィに腰を落としてしゃがむように指示すると、後方へ周りきっちり閉じた孔に身を伸ばす。
『ツト』
「んっ……」
ストールの先端が入り込み、ツンとした痛みに身を強ばらせる。冷や汗が背中を伝い、臀部を撫でていく。
《いきますよ。しっかり呼吸を意識してください》
「は、ぃ」
指示の通り呼吸をしっかり行い、ぐっと力が入らないように努める。
『トプン』
「うわ!?」
『トポポポポ……』
「なん、なんですか!?」
とろみのある液体を流し込まれたデジィが困惑に声を荒げた。
《媚薬です。浸透するまで違和感に耐えてください》
「ぇえ……はい」
ストールが栓の役割をしながら、三分ほどその状態で待機して……デジィの呼吸が若干落ち着いた頃合で身を引く。
《いかがですか?》
「……腹部の奥が痒い……性器の裏側がじんじんします」
《良い傾向です》
「ストールさんの媚薬で感度を上げてるんですか?」
《はい。気持ちいい事を脳に刷り込むのにはうってつけですから》
タスクがデジィの様子を伺うと、ペタリと座り込んで両手で前を隠していた。
「……勃ってる」
「い、言わないでください」
完全に膨張しきったモノは、ヒクヒクと頭を揺らして腹に当たるほど反り返っている。
「腰上げられますか?」
「ん」
四つん這いになり突き出されたデジィの尻を左右に割るようにして、孔を見つめる。
「すごい……柔らかくなってる」
「はあ……っ」
後のタスクが見えないデジィは吐息を漏らして羞恥に耐えた。
媚薬で感度を上げられた孔から、粘度のある媚薬が溢れていて、タスクがクニクニと指圧を与えれば、今にも指先が沈み込みそうだ。
《このまま少し慣らしましょう》
「はい」
『ジュクン』
「ひぅっ!?」
タスクが指一本を差し入れる。
あれほど頑なだった後孔が、楽々と根元まで受け入れた。デジィも痛がる事も無く、呼吸を整える事に集中した。
『クチュクチュ』
「ああぅ」
デジィは内壁を擦る指先に身悶え始めた。奥歯を噛み締めても下半身が蕩けそうな程快感が溢れ出す。
「……っ」
それを見ているタスクもごくりと生唾を飲み込む程に艶かしい光景だった。空いた手で内股を撫でられて切なげに腰が揺れる姿だけでも十分に雄を煽る。
「……デジィさん、魔王様の事好きですか? ココに受け入れるイメージ出来ますか?」
「っ……」
タスクの言葉に、シンプルな胸の内が色付いていく。
「ぅ……す、き」
セリアスが好きだ。それは間違いないと断言出来る程に胸の内が焦げ付く感覚がある。
そして、ずっと触れ合いたいという願望が日に日に強まってきている事にも気付いている。
今ならば、想像出来る。セリアスと繋がる自分を。
「ん、んんんッ……」
「想像して、感じてますね……なるほど。わかりやすい」
「ぁ……」
じんじんと奥底が疼く。デジィの理性は限界だった。
粘液と指に犯され続ける後孔も完全に陥落していた。
『ジュププ』
いつの間にか増えていた三本指が引き抜かれる。どこか名残惜しそうにヒクつく孔にデジィは何を欲しがっているのかを察した。
「ぁ……ぁ、んん」
「今日はこの辺で……出して終わりましょう」
「あっ! 今、触ったら、すぐにッ」
勃起したままの性器を扱かれて、デジィは瞬く間に果てた。
『ビョルルルル』
「(魔王様もだけど、デジィさんも多いな……)」
射精量が多いのは、龍人の特徴だ。
絶頂後の脱力感に見舞われ、デジィはぐったりと突っ伏した。
「こんな短時間で仕上がるなんて……触手の媚薬はすごいですね」
《伊達に快楽で食物連鎖を勝ち抜いてないですから》
放心状態のデジィの身体を清めながら、タスクはストールの媚薬に感心していた。
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