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9・良いも悪いも全部
しおりを挟む「はぅ……?」
良い匂いがする。
布団からのそりと起き上がり、部屋がオレンジ色に染まっていて、夕暮れ時だと知る。
『……ジュンイチロー』
「……モモ」
『その、昼間は本当に悪かった。ジュンイチローがあんなにも人前での性交渉を嫌がっていたとは思わなくて……酷い事をした。もうしないから、頼む……嫌いにならないでくれ……』
しょぼくれまくって、めちゃくちゃ反省している。
プルプル震えてるし、なんだか意地を張るのも可哀想になってきた。
「……モモ、あのさ」
『な、なんだろうか!』
「俺も、言い過ぎた。ごめん」
『!』
「嫌いって言ったけど、勢いで言っちゃっただけだ。モモの事はちゃんと好きだ。ごめんな」
床でプルプルしているモモを両手で抱き上げて子供をあやすように抱き締める。
「周りの目なんて気にしないで野外セックスが常識の魔物と人間の羞恥に塗れたセックスとじゃ感覚が違うのも当然だよな。勘違いさせるぐらい、俺は節操無かったし、快楽にだってもう抵抗を感じない。俺も、改めるべき部分はある……全部モモが悪いわけじゃないって、なんか今気付いた」
『……もう怒ってないか?』
「怒ってない。仲直りしよう」
『なかなおり?』
喧嘩も仲直りも初めての様子のモモ。
「夕飯、作ってくれたんだろ? 一緒に食べよう」
『ああ、わかった』
モモが魔法の炎で煮込んでいた鍋を覗くと……驚いた事に、シチューが出来上がっていた。
もっと単純な煮込み料理かと思ったら、しっかり料理されていた。
「こ……これ、モモが作ったのか?」
『家にあるものを鑑定して組み合わせてみたんだ』
「鑑定スキルすげぇ……パンと一緒に食べよう」
シチューなんて、こっちの世界じゃ店で食べるものと思っていた。手作りレシピも知らないし。
シチューを器によそって、パンをお皿に乗せてテーブルに運ぶ。
「いただきます」
『イタダキマス』
スプーンですくって口に含むと、優しい味が広がった。懐かしい家庭の味だ。
「美味い。すごい……ホッとする」
『口に合って良かった』
モモの知られざる才能の片鱗を垣間見ながら、夕食を楽しんだ。
食器を洗って、残りは明日に回して……さて。
「モモ、セックスしよう」
『は!?』
「忘れたのか? 俺達がシてた理由は気配遮断のスキルの為だ。 気を取り直して、取り掛かろう」
『あ……ああ、そうだったな』
複雑そうな反応をするモモを抱っこしてベッドへ移動し、仰向けに寝っ転がる。
『…………』
「……気分が乗らないなら、別の日にするか?」
『い、いや。そうじゃない。また、ジュンイチローの嫌な事をしてしまうかもしれない……それが、とても怖い』
なんでも知ってた博識なモモが自分の無知を恐れている。
鑑定スキルだけでは見えてこない部分に触れて、失敗して、怖気付いている。
本当にモモは優しい魔物だ。
「なら、良いところも嫌なところも、ゆっくり教えてやる。嫌いになったりしないから、大丈夫だ。安心しろ」
不安がっているモモを慰めるように撫でる。
意を結したように、小さなサイズのまま、触手を伸ばしてまたも服の中へ潜り込ませる。
「んっ……」
やはり、擽ったい。ぞわぞわするけど、嫌じゃない。
「ふぁ、あっ……」
胸元まで辿り着くと、乳首を捏ねくり回され、弾かれる。
一つ一つの刺激を律儀に拾う身体は、すぐに火照り出す。
「うぅ……ん、はあ……はぅ……ッ」
『ココも気持ちいいのか?』
「きもちぃ、けど、そこだけじゃなくて……下も触って欲しい」
『わかった』
腰が勝手に揺れる。モモは優しく、焦らすように、俺の後ろに触れる。
『ジュンイチローは、ここが一番好きなのか』
「すき……モモの奥まで入るから、腹いっぱいになる感じが、すごく……あ、あッ!」
話してる途中なのに、ナカに入ってきた。
いつもより張り詰めて硬い……それに、大きい。
「モモ、なんか、今日、おっきくなってないか?」
『……興奮している』
「はは……モモは正直者だな」
モモは嘘をつかない。だから、その言葉は真実だろう。
放置した罪滅ぼしでは無いけれど、モモにも気持ち良くなってもらいたい。
動きやすいように脚を広げて、モモを受け入れる。着衣のままだと違和感あるけど、俺もなんか興奮してる。
「モモ、動いて……もっと、奥にきて……?」
『……ああ』
ゴチュっと深く奥まで突き刺さって、息が詰まる。
「ひぐ……っ」
『すまない、苦しかったか?』
「だい、じょぶ……続けて」
星が視界でチカチカと点滅している気がする。いつもよりなんだか気持ちがフワフワする。
「んっ、あ、あん!」
『くっ、狭いな……』
「モモのが、おっきいんだよ……ぁ、ン、おくぅ……い、いやぁっ」
『!』
急にモモが動きを止めて、俺を見つめてきた。
『嫌か?』
「ぁ……違、う。いやじゃない……止めないで、お願い」
『……わかった』
止まっていたモモが再び動き出して、俺は口に手を当てて声を抑える。
それでも漏れてしまう自分の喘ぎが口内で反響する。
「ン……んんぅ! は、あ……ん、んァッ!」
モモの触手が、俺の性器に絡み付いてくる。先走りで濡れた先端を擦られ、後ろの刺激と相まって一気に射精感が高まる。
「いっしょ、だめぇ……でちゃ、でちゃう……ああっ、イく……イッ……!!」
『私も……出すぞ』
「おく、おくに……だして……んあああッ」
一番深いところに熱いものが注がれていく。ドクンドクンと脈打つ度に、快感と幸福感に満たされる。
グジュリとズボンの中で水音が響いて、下着が汚れてしまったのを感じる。
着衣のまま、モモの触手に犯される。
どんな体勢でも逃げられない。ベッド横の鏡には、一人で腰を振って乱れているように映っていた。
「ん、ん……はぁ、は……ぁ」
『ジュンイチロー……』
「ぁ、ああっ……イったばっか、なのにぃ、どっちもそんなッ、激しぃ!」
達した後も俺を責め立てる。俺が嫌がって無いってわかったからだ。実際嫌じゃない。
「ッッ……も、もも、出ちゃ」
『出していいぞ』
「違ッ、なんか違うのが……あ、ああぁっ」
プシャアッと勢いよく何かが吹き出しズボンに大きく滲みを作って、ポタポタとシーツに雫を落とした。
漏らしたかと思ったが、匂いが一切しない。
「これ、何?」
『潮、だったか……絶頂の一種のはずだ』
「へえ……」
潮吹きって、男でも出るんだな。知らなかった。
『トチュ! ドチュン!』
「ひ、ぁあぁ……止ま、止まんなぃ」
一回身体が覚えるとモモが動く度、断続的に透明な液体を吹き出してしまう。両手でぐしょ濡れのズボン越し押さえても指の隙間からピュクピュク溢れて滴る潮が、視覚的にだいぶ恥ずかしい。
身体が悦んでいる証拠だが、後処理が大変だった。
名:ハラノ ジュンイチロー
LV:17
HP:120(+12401)
MP:0(+5483)
ATK:15(+3200)
EDF:15(+3200)
スキル:搾精超強化Lv3、肉体性感度(高)
∟搾精スキル抽出
∟魅了Lv1、鑑定Lv1、気配遮断
モモの精から気配遮断スキルだけではなく、鑑定スキルも手に入れた。
「鑑定ってどうするんだ?」
『相手を目視して意識すれば出来る』
「なるほど」
モモを見つめて、意識してみたら俺のステータス画面と同じようなウィンドウがモモの頭上に現れた。
名:モモ
種:ウシガイ
Lv:22
……それだけ。ステータス値は出ない。スキルも見えない。
『レベルを3まで上げなければ詳細な事は見えないぞ』
「マジか……けど、楽しいなコレ!」
次の日、散歩がてらそこら中の雑草や店にある果物、道行く人々片っ端から鑑定した。
「(すごい! コレがあれば顔と名前が一致しない場面でもカンニングが出来る!)」
鑑定って素晴らしいな。モモ様々だ。
地球とは見た目の違う食べ物があって、それが何の種類なのかも一目でわかる。コレなら料理の幅が広がるかも。なんて考えながら街を散策した。
すると急に見え方が変わった。
「(あれ?)」
『鑑定レベルが上がったな』
名:モモ
種:ウシガイ
Lv:22
HP:1300
MP:1000
ATK:350
EDF:250
モモの言った通り鑑定のレベルが上がって値が見えるようになったらしい。
これならすぐにでもスキルまで見られるようになる。
「(そう言えば、モモの“ウシガイ”って種族はどういった種なんだ?)」
不意に疑問に思ったら、ピロっとウィンドウが目の前に展開された。
ウシガイ:陸に住む貝の魔物だが貝殻を持たず、柔らかな軟体を持つ。雑食性でその身に生えた触手で狩りをする。また、肉質がとても柔らかく、草食で育てると食用に向いているとされ、繁殖力を活かし家畜化された個体も存在する。
ウシガイについての説明が書かれてあった。
へぇ……モモって美味しいんだ。
流石に口に出すにはタブー過ぎる気がして、モモには言えない。
人間視点の鑑定になるようだよ。
「(よく出来てるな……)」
俺でもコレは博識になれそうだ。
鑑定スキルと気配遮断スキルを得た俺のステータス値ももうそろそろ目標値に到達する。
戯言であった魔王討伐が目前に迫ってきた。
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