巻き込まれ転移者の特殊スキルはエロいだけではないようです。

7ズ

文字の大きさ
上 下
3 / 48

2・重ね合わせる肌と積み重なる力

しおりを挟む

 恐らく、起きたのは深夜だと思う。

『ギィ……ギシ……ギィ』
「ん……ぁ……んん?」

 何やら軋む音と、妙な振動を感じて、寝ぼけ眼で薄暗い部屋を見渡す。

「あれ……モモ?」

 視界が揺れて焦点が定まらない。
 熱が出てるのか頭がボーッとする。
 部屋の中から聞こえる筈の無い音がする気がする。
 
『グポ、ズプン、ゴプッ』
「……っ、あ、ぁあ!」

 体内に何かが溶け込んでいく。
 よくわからない感覚が全身を駆け巡った。
 自分に何が起きてるのか確認しようと腕を動かすが……後ろから誰かに掴まれて引っ張られていて動かない。
 腰だけを高く上げられていた。

「あ、な、何これ、やめッ」

 下半身の違和感は更に強くなる。何か熱い物が身体の中に入っている。
 棒状の何かが体内に入り込んでいるのだけはわかる。
 痛みは無い。変わりに身震いする程に気持ちいい。まるで性感帯を触られてるみたいで、意識が蕩けるようだ。

「あっ、や、やめろぉ」

 口ではそう言ってる癖に、抵抗できない。
 頭の中では危険を知らせる警鐘が鳴り響いている。それなのに、体が言う事を聞かない。

『グププ……ズルン!』
「ひ! ぁ、ああ……」

 入り込んでいたモノが抜かれて声が抑えられない。
 異物が無くなって物足りなさすら感じてしまった。自分の反応が理解出来ない。

「はぁ……は……」
『シュル……』
「え? モモ? ……ひっ!?」

 脱力する俺の頭を撫でる触手はモモの物だが、デカい。指三本以上の幅の太さはある。
 首を捻って後方を確認すると、巨大化したモモが体から触手を沢山伸ばして俺を犯していた。

「なんで? どうして、こんな、ぅ、あ」
『クポン』
「また、入って……くる」

 疑問を口にするも、また快楽に流されていく。
 アナルなんて、自分でさえ触った事もないし、開発なんて一欠片もしていない。
 なのに、どうして、こんなにも……

『ブチュ、グポ、グチュン!』
「ぅ、く、あ、あ! なんで、ゃあ! きもちぃ」

 モモの触手が腸壁を何度も突かれ擦りあげられて堪らない。イイトコロを執拗に攻め立てられて目の前に火花が散った。
 俺はいつの間にかイっていたようで、シーツの上に精液溜まりが出来上がっていた。もう出るものが残っていないのに色の無い精液を吐き出し、射精は続いてる。

「あ! だめ! ま、待ってくれ! も、無理だから! やめぇ、ぁああ!!」

 絶頂を迎え続けて痙攣している身体を休ませて貰えない。休む暇なく責められ、中に何かを注がれる。

『ドプ、ドクン』
「んぁあ、あ……出て、る……」

 俺の中で脈打つモモのが熱くてたまらない。大量に注がれた物がじわじわと吸収されていくのがわかった。先程感じた身体に暖かい物が溶け込んでいく心地良い感覚は、中出しされた感覚らしい。

「(なんで……こんなに、気持ちいいんだ……)」

 俺が得られるはずもない快楽に混乱しながらも、再び意識が遠のいていった。
 
※※※

『チュンチュン』
「…………ん、んぁー」

 悪夢を見ていた気がするけど、最高に身体の調子がいい。

「はぁぁ~~……むぅ……あれ?」

 気にせず伸びをしていたけど、背中の痛みが一切無い。包帯を巻かれたままだったので魔物に襲われたのは夢じゃない。

『シュルル……』
「え? 治ってる」

 包帯を取って背中を確認すると、背中の傷は完全に塞がり、傷跡さえも薄くなっていた。
 
「そうだ。モモ、モモー」
『ポイン』
「あ、そこにいたのか」

 夢で見た大きな姿ではなく、元の小さなサイズのモモが机の上で果物を食べていた。

「俺も食べよー。ああ~身体が軽い。若返ったみたいだ。傷も治ってるし、一体どうなってるんだろうな」

 オレンジの皮を剥いて、房から口に放り込む。甘い果汁が美味しい。

『スリスリ』
「ん? なんだモモ。俺はもう大丈夫だよ。変な夢見たけど、もう元k『夢じゃない』……ん?」

 誰の声だ?
 この部屋には俺とモモしかいないはずなのに。

『シュルルル』

 モモから伸びる触手が腕に巻き付いて、這い上がり唇に触れる。妙に大人っぽい触れ方にゾクっとする。

『夢じゃない。思い出せ』
「……ま、さ……か。この声……モモ?」
『そうだ』

 いや……え? 声、男の人の……ま、待って待って待って!!

「いや! いろいろ一気に起こりすぎだろ! モモ喋れんの!?」
『念話だ。私に声帯は無い』
「な、なんで初めから話してくれなかったんだ?」
『お前に魔力が無さ過ぎて通じなかった』

 魔力は無いさ。だって地球人だもん。
 けど、今は通じてる。どういうことだ。

『私の精を注いだ。お前のスキルを利用すれば怪我の治癒も念話も可能だからな』
「……夢、じゃ……ない?」

 あの触手プレイが夢じゃない……って、事は、俺はモモにレイプされたわけで……いや、でも気持ち良かったな。凄く気持ち良かった。
 
「…………んあ? 俺のスキル?」
『なんだ。自分のスキルを知らないのか?』
「みんな、俺のスキルの事一切教えてくれなかったから」

 神官も苦い顔して何も言ってくれなかった。

『お前のスキルは搾精超強化さくせいちょうきょうかと言う雄にはまず無いスキルだ』
「さくせいちょーきょうか?」

 聞いた事ない言葉に首を傾げると、モモは触手を伸ばして俺の体を撫で回す。

「んっ、擽ったい」
『性交渉をした相手の精を取り込んで、能力の強化が出来るスキルだ』
「ふぁ!?」

 なんだそのエロ漫画みたいなスキル!!
 雄には無いって事は、雌にはあるのかよ!! まんまエロ漫画じゃんか!!

「お、男とセックスしたら……強くなるスキル?」
『そう思っていいだろう』

 うっわぁぁああ……そりゃ、王も神官もあんな顔するわ! 頭抱えるわ!
 おっさんが性交渉で能力アップするスキル持ってますって言われても、俺に言うのも、スキルを強制するのも酷だと判断してくれたんだ。
 ありがとう王様! 神官様!

「……モモとセックスしたから、傷が治ったのか?」
『そうだ。私の精を受けて、自然治癒力の向上と微量ながら魔力を保有出来ている』
「へぇ……ありがとう、モモ。けど……嫌な事させちゃったな」
『……別に嫌ではない。恩人を救えるなら、なんでもする』

 義理堅く人情深い魔物だ。
 とんでもないスキルを獲得してしまっていたが、おかげで助かった。

『それより、ステータスを確認してみろ』
「え? 確認って……どうすればいいんだ?」
『…………』

 呆れてるのが空気でわかる。
 申し訳ないが、異世界の常識にまだまだ疎い俺にはわからない事が多いのだ。

「……どうやって見るんだ?」
『手を目の前に掲げて、"ステータス"と念じろ』
「……こ、こう?」

 言われるままに手を掲げてみると、突然、空中に画面のようなものが現れた。
 まるでゲームのステータス画面だ。

名:ハラノ ジュンイチロー
LV:15
HP:100(+500)
MP:0(+10)
ATK:5(+10)
EDF:5(+10)
スキル:搾精超強化Lv1、肉体性感度(高)

「性感度って、ほぼ搾精の補助スキルじゃん」
『違う。それは性交渉で発揮される能力補正のスキルだ。乱暴にされても耐えられるようにな』
「え、えー……(いや、補助じゃん)」

 マジでこれ、エロ特化のスキルだな。
 ステータスの数値が高いのか低いのかもわからない。

「レベル15って高いのか?」
『……平均より下。能力値は一桁の子どもと同じぐらいだ』

 くそ! エロいだけじゃんか!

『だが、性交渉を経れば誰よりも強くなれる。レベルの限界を超えて、存分に強くなれるぞ』
「……は、ははは」

 強い雄の精を受ける程、強くなる。
 うわぁ……節操無しになればなるほど強くなるのか。

「けど……俺には強くなる理由もないから、ばかすか男食うとかそんなことにはならないと思うけどな」

 今まで通りの生活がいい。強くなりたいだなんて気も起こらない。俺は勇者になるつもりはない。
 心穏やかに過ごしたい。

『……今回のようになった際、或いは今回以上の怪我があった場合、また私と性交渉をする事になるが、それはいいのか?』
「……う、うーん。そもそも怪我したくない」

 確かに今回は運良く助かったけど、次も無事でいられるとは限らない。
 
『ならばレベルを上げるしか基礎能力を上げる方法は無い。戦いで経験を積む他ないな』

 俺は痛いのも苦しいのも嫌いだし、死ぬのだって怖い。
 平和に暮らしたい。
 
「……嫌だ。戦いたくない」
『そうか。お前がそれを望むなら、そうすればいい』
「…………モモ」
『?』
「名前で呼んで欲しい。お前って言われると、ちょっと怖い」
『わかった』

 モモは触手を伸ばして俺の頭を撫でる。
 こんな風に誰かに甘やかされるのは久しぶりだ。
 その後、モモと今後の話をしながら過ごした。
 モモは魔物だけど、言葉も通じるし、優しいし、頭も良いようだ。かなり物知りで、俺の質問にもスラスラと答えてくれる。
 この世界について、魔物についても教えてくれた。
 魔物もそれなりに魔力があれば魔法が使えるそうだ。
 人間とは敵対関係にはないらしい。
 魔物は群れる事は少ないが、知能の高い奴らは村を作って暮らしているとの事。
 オーガやゴブリンなどだろう。
 俺を襲った森狼フォレストウルフも知能がそこそこあり群れで行動しているらしい。襲って来たのが一匹で良かった。
 あとスキルについては、スキルレベルと言うものがあるらしく、最大になると熟練度が上がりさらに能力が上がるそうだ。
 他にも、スキルはレベルアップすると、派生スキルが発生することもある。
 いろいろあるんだな。

 モモと対話出来るようになった翌日から仕事を再開して、顔馴染みの冒険者達に心配されながらも、何事もなく過ごせた。
 薬草採取や街での手伝いを主に依頼を熟していると、二ヶ月が過ぎた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...