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おまけ
おまけ②神通力※
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コノハが想いを告げた後、夜の営みにだいぶ積極的になっていた。
ミドリの上に跨り、自分で動いて快楽を求める姿は、今までの情事ではあまり見られなかったもの。
「ふあっ、ん……ぁ、きもち……みどり、さま」
「はぁ……コノハ、僕も気持ちいい」
動きが緩慢なためか決定的な刺激にはなっていないようだが、快感は得られているようで恍惚の表情を浮かべていた。
「ぁんっ、まだ……奥で、イキたい、です」
「ああ」
ミドリの腰の上にペタンと座り込んで全てを収めて、奥をぐりぐりと押し上げる。
『ドチュ』
「ああっ」
突かれた衝撃に仰け反るコノハ。その首筋にはくっきりと歯形がつけられていた。
「ーー~~ッ、ぁ、ああッ……みどり、さま……んぁ!」
「ぅ、く……」
やがて二人同時に達して脱力する。
ミドリは愛おしそうにコノハの頭を撫でて労うが、それに反してコノハの目はギラギラと熱を帯びている。
「もう、おしまいですか?」
「……まだ足りない?」
「……はい」
「素直でよろしい。次は僕が愛でよう」
「ふぁい」
甘えた声でミドリを求めるコノハ。
今までにない素直で貪欲な一面が表立ってきた。
ワカとの際は、それがより顕著に出ている。
「ほら、コノハ……気持ちいいか?」
「はぃ、きもちぃい、です。ワカ様ので、もっと奥まで、突ぃ……ふぁぁあっ!」
「中が蠢いてるな。もっと欲しいのか?」
「ほひ、ほしいれす! ワカ様っ」
既に何度か白濁を注ぎ込まれたコノハの後孔は白く泡立っていて、臀部の輪郭を伝いぽとぽと滴り落ちて下敷きにシミを作っていた。
「ここもこんなになって……愛い奴め」
ぷくりと膨れ上がった胸の飾りを指で挟んでくりくりと転がすと、コノハの中がまた収縮して肉棒に絡みつく。
その快感に歯を食いしばって耐えるワカだったが、「もっと」とせがむコノハは絶えず腰を動かして結合部を擦り付けてくる。
汗で張り付いた髪をかき上げて額に口付けを落とすと、うっとりと微笑むコノハ。
「焦らなくてもたくさん愛してやるから、あまり暴れるな」
「しゅみません、がまん、できないです」
「ならば気を遣りすぎるなよ?」
「ひゃっ!」
忠告する同時に、ワカがより激しい律動を始めた。
「んぁっ、あはっ……はぁ、んんッ!」
『グチョグチュン、グポ』
出し入れする度に中から溢れ出てくる白濁。
「ぁあん、はげしっ……もぅ、またイくッ!」
「いいぞ。俺もここに注いでやるからな」
『ブチュッ』
結腸を責めるとコノハが仰け反り、互いの腹筋を派手に汚した。
「~~~~ッ!!!」
そのまま痙攣してビクビクと快感に打ち震えるコノハを、ワカは構わず責め立てる。
「っあ! あうっ、ああ」
「ふっ……ぅ、くっ……」
「ぁぁあ、出て、る……ワカ様の、んん」
「はっ……ちゃんと零さず受け止めて偉いぞ」
頭を撫でて褒めるが、コノハにはそれどころではないようだ。
「ふぁっ……ぁ、とまんないぃ」
蕩けた顔で零した言葉の通り、ワカに与えられた快感により上り詰めた体が制御出来ず、タラタラと勢いのない射精が続いてしまっている。
その淫靡な様に、ワカは目を細める。
「煽り過ぎだ。もっと酷くしてしまうぞ」
「ぇ、もっと……激しく、してくださるの、ですか?」
「……お前どこでそんな煽り方覚えてくるんだ?」
「?」
求められる事が喜びとなっているコノハは、ワカの真っ直ぐで本能に忠実な愛欲を全て受け入れたいのだ。
「今夜は寝れないから、覚悟しとけ』
ギラつく雄の本能が宿る瞳に射抜かれて、歓喜で身震いしたコノハは脚を広げて微笑んだ。
「たくさん愛して、ください……」
こうなると、本当に二人の行為は明け方まで続き、サンガクが来るまで止まらない。
コノハの身体が人間のそれとは違う為、体力はすぐに回復する。
一夜漬けをしても朝食以外の家事に影響は出ない。
『くいくい』
「サンガク様……」
「……何故、私の時はしおらしいのだ」
就寝前、サンガクの袖を引き、控えめに誘うコノハは恥ずかしそうに目線を泳がせている。
「ごめんなさい。お二人の時は……なんだか、元気になりすぎちゃって」
「全く……」
サンガクが腰を抱いて寝室に招き入れると、待っていましたと言わんばかりに、コノハは前のめりに抱きついてキスをした。
「ん、んん……っぁ、ふ」
「ん……本当に、お主は接吻が好きよな」
互いの舌を求め合うような口付けが続き、やっとで唇を離す頃には透明な糸が引かれた。
頰を紅潮させてサンガクを見上げる黒い瞳には欲情の色が浮かんでいる。
「……随分と色事に慣れたものよ。二人に可愛がられて、さぞ気持ち良かったであろう」
「はい……」
キスだけで昂った身体を持て余して、サンガクの胸元に顔を押し当てて息を荒らげているコノハ。
その様子を見てサンガクは眉間に皺を寄せた。
独占欲が頭をもたげる。
「(やはり、二人きりの時間はもっと持つべきだったな)」
コノハが口付けだけで我慢できなくなったのは最近の事だ。
それまでは戯れに触れ合うだけでもニヤけ面を隠そうと恥ずかしげに身をよじっていたり、控えめな愛撫を楽しむ節があったのだ。
余裕なく、繋がりを求めて腰を揺らす様は、サンガクも正直そそられる。
「……さ、んがく様……」
「……」
「なでてくださぃ」
甘える声で擦り寄って要求してくるコノハを寝台に押し倒し、頭と頬をわしゃわしゃと撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めた。
「……二人には激しくされるのが好きなようだが、私には優しくされたいのか?」
「……俺は……その、御三方にそれぞれ、自由に愛されたくて……ごにょごにょ」
頰を赤く染めて口籠るコノハに、サンガクは一瞬目を丸くするが、すぐに笑みを浮かべて深く口付けた。
各々から全力で愛でられ、愛されたい。
愛でる形が三者三様であるが故に、態度の違いがよく目についてしまうだけ。
「ふぁっ、ん……んんっ」
舌を絡ませながら寝間着を脱がせてゆき、現れた乳首を優しく摘む。
その刺激で軽く仰け反った首筋を舐め、鎖骨へと辿り着く。
「あっ」
もどかしい快感に震え出したコノハがサンガクの頭に手を添えて撫でた。
サンガクは顔を上げると胸元に吸い付き、反対側は指先でクリクリと転がした。
「ふぁっ、あっ」
「気持ち良いか?」
「きもちぃです……」
頭を胸に預けて続きをねだるコノハ。
サンガクは胸への愛撫を続けながら、下に手を伸ばした。既に昂っていたそれを手で包んで上下に扱く。
先走りが垂れ落ちる程に濡れたそれは、ニチュッニチュッと淫猥な水音を鳴らした。
「んんっ、ぁ……んぁ」
「もっと腰を浮かせてくれんか」
「はい……」
素直に反応するコノハは健気だ。
そんな愛しい者に苦痛を与えまいと、サンガクはドロドロに蕩けてしまいそうな程に後ろを入念にほぐす。
「さ、んがくさま……もう、ほしぃ……」
焦れたコノハが涙声で訴えるが、サンガクは譲らない。
「まだだ」
指を三本に増やしてナカを広げるように掻き回す。
『グリュ』と前立腺を押し上げると腰が跳ねた。
「あぁっ!?」
「ココが気持ちいいか?」
「すごく、きもちいいですっ……もぅ、いいからぁ」
頰を紅潮させて求めてくるコノハに加虐心が疼く。指を引き抜きながら問いかけた。
「私に愛されたいのなら、今は私だけのものになってくれ」
「はぃ……今のおれは、さんがくさまだけのものです」
サンガクの願いに幸せそうに微笑むコノハ。
その表情を見るとサンガクも幸福感で満たされた。
私以外を愛するな……とはさすがに言えないが、自分だけのものだと言ってくれた事が嬉しい。
「いくぞ」
「きて、ください……ぁあっ!」
昂りを挿入して一気に貫く。熱く畝るコノハの中は、待ちわびた刺激を逃すまいとぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「くっ……コノハ、力を抜け」
「む、むりぃ……です、意識が、飛びそうで……」
「(いつもよりすごいな)」
この調子では、コノハが気絶してしまうかもしれない。そう危惧したサンガクは、ゆっくり腰を動かした。
「はぁ、ん……ぁあっん」
奥を何度もゆるゆると穿つと甘い声を上げるコノハ。
「サンガク様、好き、好きです……ずっと側にいてください」
「あぁ、私もだ……愛している、コノハ」
何度も口付けを交わしながら揺さぶる。やがてサンガクにも限界が迫ってきた。
「ぁあっん、んんっ!」
「くっ……」
絶頂して痙攣するコノハの中に白濁を注ぎ込み、余韻に浸るように暫く動くのを止める。
「ぁ……ふぁ……」
ヒクヒクと余韻に震えるコノハから自身を引き抜こうとした時、脚がサンガクの腰に絡みついた。
『ガシ』
「っと……コノハ?」
「……まだ」
「?」
「まだ、繋がってたいです」
コノハが恥ずかしげに目を伏せて呟いた。そのあまりにも可愛らしいお強請りに、サンガクの鼓動も早くなる。
「お主というやつは……」
「……んっ」
思いとどまったサンガクはコノハの体を抱え込むと、横向きの姿勢で腕の中に収める。
「暫くこのままで……」
そう言って抱きしめている腕を緩めて頭を撫でると、コノハが上気させた顔を綻ばせた。
その表情を見ると再び燃え上がりそうな欲を必死に抑え、サンガクはもう一度口付けを落とした。
そんな夜の営みで愛と精を注ぎ込まれていた所為か……コノハはより神の道への繋がりを深めていた。
「コノハー降りられそうかー」
「無理です! 自分ではどうにも、うわ!」
「あーー……まさか神通力が外で開眼するとは思わなかった」
「呑気にしている場合ではない! 屋内ならまだしも、外で浮遊してしまったのだぞ! 木々よりも高くなってしまったら、風に流されてしまう!」
神通力の一つである『浮遊』を外で開眼させてしまったコノハが、木に引っかかりながらなんとか上昇に耐えていた。
サンガク達は跳躍でコノハの元まで行き着き、腕を引いて地上へ降ろすが、掴んでいなければ、再び上昇してしまう。
「普通、浮遊の神通力が開眼しても初期頃は上昇値は低いはずなんだけど……」
「コノハに俺らの力が移っちまって、神通力の威力バカ上がりしたんだろ」
「……制御を覚えるまで当分お預けだ」
「え……」
「「ええーー」」
コノハ以外にもワカとミドリからも不安の声が上がった。
「我々は山神。実りの神通力に精通しているが、浮遊の神通力は持っていない。コノハが空の彼方に行ってしまってはどうしようもない。危険な行為になりうる事は控えるべきであろう」
「……はい」
コノハが地に足を付けて、神通力を制御出来るまで、縄に繋がれ神域内で行動していた。
『ゴン』
「いった!」
「大丈夫?」
気を抜くと天井に頭をぶつけているコノハと、気付けば誰かが引き下ろす。
そんな日々が続いた。
「……コノハ」
「サンガク様、御慈悲を……」
「接吻だけで済まないだろ」
「ううぅ……俺どうやったら浮かなくなるんですか? 神通力の制御ってどうやるんですか?」
「……こう、グッと」
生まれ付きの神々からしたら、当たり前過ぎて説明するのが難しい。
「すまん」
「……いえ、俺の方こそすみません。ご迷惑をおかけして……家事も上手く出来なくて」
「心配はしているが、迷惑などと思ってはおらぬ。ゆっくりでいい。焦らず、私達の元へ降りてこれば良いのだ」
「っ……はい」
三人の隣に立っていたい。
その思いが重りになったのか、コノハの神通力が安定してきた。
『フワッ』
「おっと!」
『ボスン』
「おお、制御出来てんじゃん」
「まだ少し浮いてしまいますが、だいぶマシになりました」
ワカの腕の中に飛び込むように着地したコノハが、ぎゅっとワカの背に腕を回した。
「ワカ様……どうでしょうか? もう、大丈夫ですよね?」
「ぁ、あーー……そうかもな……」
コノハの体温を察して、ワカは安直にコノハの顎を掬って口付けた。
そして、着物越しに尻を鷲掴んだ。
「もう少し安定するまでは控えるべきだと言っただろう?」
「んぐっ……わるい。つい魔が差して」
「…………」
二人が事に及びかけているのを見つけたサンガクが釘を刺しに来た。
ワカは素直にコノハから離れるが、コノハはツンと唇を尖らせて不服を訴えていた。
「コノハ、制御出来るようになったら、三人で一日中愛でてやろう。体力を維持しておいたほうが身の為だと忠告しておこう」
「!」
「お預けをくらっているのは我々も同じ事なのだ」
「頑張れコノハ!」
極めて不純なご褒美は、制御の向上心を高めて一月を待たずして完璧な浮遊コントロールを身に付けた。
「身体が軽いです」
「うむ。応用まで出来ているな。これならもう、大丈夫だろう」
「やったぁ」
対空時間の長い跳躍と化した浮遊で、サンガクの胸に飛び込んだコノハ。
「頑張ったねコノハ」
「ミドリ様、いつも引き下ろしていただいてありがとうございました」
「上でジタバタしてるコノハも可愛かった」
「わ、忘れてください」
拗ねたコノハに睨まれても、ミドリは楽しそうに笑うばかり。
そんな二人に嫉妬したサンガクが口を開く。
「さて……コノハ、頑張った褒美をやろう」
「!」
サンガクの言葉にコノハの顔が一瞬で赤くなって、ごくりと唾液を嚥下した。
「はい、ご褒美をください。旦那様」
ミドリの上に跨り、自分で動いて快楽を求める姿は、今までの情事ではあまり見られなかったもの。
「ふあっ、ん……ぁ、きもち……みどり、さま」
「はぁ……コノハ、僕も気持ちいい」
動きが緩慢なためか決定的な刺激にはなっていないようだが、快感は得られているようで恍惚の表情を浮かべていた。
「ぁんっ、まだ……奥で、イキたい、です」
「ああ」
ミドリの腰の上にペタンと座り込んで全てを収めて、奥をぐりぐりと押し上げる。
『ドチュ』
「ああっ」
突かれた衝撃に仰け反るコノハ。その首筋にはくっきりと歯形がつけられていた。
「ーー~~ッ、ぁ、ああッ……みどり、さま……んぁ!」
「ぅ、く……」
やがて二人同時に達して脱力する。
ミドリは愛おしそうにコノハの頭を撫でて労うが、それに反してコノハの目はギラギラと熱を帯びている。
「もう、おしまいですか?」
「……まだ足りない?」
「……はい」
「素直でよろしい。次は僕が愛でよう」
「ふぁい」
甘えた声でミドリを求めるコノハ。
今までにない素直で貪欲な一面が表立ってきた。
ワカとの際は、それがより顕著に出ている。
「ほら、コノハ……気持ちいいか?」
「はぃ、きもちぃい、です。ワカ様ので、もっと奥まで、突ぃ……ふぁぁあっ!」
「中が蠢いてるな。もっと欲しいのか?」
「ほひ、ほしいれす! ワカ様っ」
既に何度か白濁を注ぎ込まれたコノハの後孔は白く泡立っていて、臀部の輪郭を伝いぽとぽと滴り落ちて下敷きにシミを作っていた。
「ここもこんなになって……愛い奴め」
ぷくりと膨れ上がった胸の飾りを指で挟んでくりくりと転がすと、コノハの中がまた収縮して肉棒に絡みつく。
その快感に歯を食いしばって耐えるワカだったが、「もっと」とせがむコノハは絶えず腰を動かして結合部を擦り付けてくる。
汗で張り付いた髪をかき上げて額に口付けを落とすと、うっとりと微笑むコノハ。
「焦らなくてもたくさん愛してやるから、あまり暴れるな」
「しゅみません、がまん、できないです」
「ならば気を遣りすぎるなよ?」
「ひゃっ!」
忠告する同時に、ワカがより激しい律動を始めた。
「んぁっ、あはっ……はぁ、んんッ!」
『グチョグチュン、グポ』
出し入れする度に中から溢れ出てくる白濁。
「ぁあん、はげしっ……もぅ、またイくッ!」
「いいぞ。俺もここに注いでやるからな」
『ブチュッ』
結腸を責めるとコノハが仰け反り、互いの腹筋を派手に汚した。
「~~~~ッ!!!」
そのまま痙攣してビクビクと快感に打ち震えるコノハを、ワカは構わず責め立てる。
「っあ! あうっ、ああ」
「ふっ……ぅ、くっ……」
「ぁぁあ、出て、る……ワカ様の、んん」
「はっ……ちゃんと零さず受け止めて偉いぞ」
頭を撫でて褒めるが、コノハにはそれどころではないようだ。
「ふぁっ……ぁ、とまんないぃ」
蕩けた顔で零した言葉の通り、ワカに与えられた快感により上り詰めた体が制御出来ず、タラタラと勢いのない射精が続いてしまっている。
その淫靡な様に、ワカは目を細める。
「煽り過ぎだ。もっと酷くしてしまうぞ」
「ぇ、もっと……激しく、してくださるの、ですか?」
「……お前どこでそんな煽り方覚えてくるんだ?」
「?」
求められる事が喜びとなっているコノハは、ワカの真っ直ぐで本能に忠実な愛欲を全て受け入れたいのだ。
「今夜は寝れないから、覚悟しとけ』
ギラつく雄の本能が宿る瞳に射抜かれて、歓喜で身震いしたコノハは脚を広げて微笑んだ。
「たくさん愛して、ください……」
こうなると、本当に二人の行為は明け方まで続き、サンガクが来るまで止まらない。
コノハの身体が人間のそれとは違う為、体力はすぐに回復する。
一夜漬けをしても朝食以外の家事に影響は出ない。
『くいくい』
「サンガク様……」
「……何故、私の時はしおらしいのだ」
就寝前、サンガクの袖を引き、控えめに誘うコノハは恥ずかしそうに目線を泳がせている。
「ごめんなさい。お二人の時は……なんだか、元気になりすぎちゃって」
「全く……」
サンガクが腰を抱いて寝室に招き入れると、待っていましたと言わんばかりに、コノハは前のめりに抱きついてキスをした。
「ん、んん……っぁ、ふ」
「ん……本当に、お主は接吻が好きよな」
互いの舌を求め合うような口付けが続き、やっとで唇を離す頃には透明な糸が引かれた。
頰を紅潮させてサンガクを見上げる黒い瞳には欲情の色が浮かんでいる。
「……随分と色事に慣れたものよ。二人に可愛がられて、さぞ気持ち良かったであろう」
「はい……」
キスだけで昂った身体を持て余して、サンガクの胸元に顔を押し当てて息を荒らげているコノハ。
その様子を見てサンガクは眉間に皺を寄せた。
独占欲が頭をもたげる。
「(やはり、二人きりの時間はもっと持つべきだったな)」
コノハが口付けだけで我慢できなくなったのは最近の事だ。
それまでは戯れに触れ合うだけでもニヤけ面を隠そうと恥ずかしげに身をよじっていたり、控えめな愛撫を楽しむ節があったのだ。
余裕なく、繋がりを求めて腰を揺らす様は、サンガクも正直そそられる。
「……さ、んがく様……」
「……」
「なでてくださぃ」
甘える声で擦り寄って要求してくるコノハを寝台に押し倒し、頭と頬をわしゃわしゃと撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めた。
「……二人には激しくされるのが好きなようだが、私には優しくされたいのか?」
「……俺は……その、御三方にそれぞれ、自由に愛されたくて……ごにょごにょ」
頰を赤く染めて口籠るコノハに、サンガクは一瞬目を丸くするが、すぐに笑みを浮かべて深く口付けた。
各々から全力で愛でられ、愛されたい。
愛でる形が三者三様であるが故に、態度の違いがよく目についてしまうだけ。
「ふぁっ、ん……んんっ」
舌を絡ませながら寝間着を脱がせてゆき、現れた乳首を優しく摘む。
その刺激で軽く仰け反った首筋を舐め、鎖骨へと辿り着く。
「あっ」
もどかしい快感に震え出したコノハがサンガクの頭に手を添えて撫でた。
サンガクは顔を上げると胸元に吸い付き、反対側は指先でクリクリと転がした。
「ふぁっ、あっ」
「気持ち良いか?」
「きもちぃです……」
頭を胸に預けて続きをねだるコノハ。
サンガクは胸への愛撫を続けながら、下に手を伸ばした。既に昂っていたそれを手で包んで上下に扱く。
先走りが垂れ落ちる程に濡れたそれは、ニチュッニチュッと淫猥な水音を鳴らした。
「んんっ、ぁ……んぁ」
「もっと腰を浮かせてくれんか」
「はい……」
素直に反応するコノハは健気だ。
そんな愛しい者に苦痛を与えまいと、サンガクはドロドロに蕩けてしまいそうな程に後ろを入念にほぐす。
「さ、んがくさま……もう、ほしぃ……」
焦れたコノハが涙声で訴えるが、サンガクは譲らない。
「まだだ」
指を三本に増やしてナカを広げるように掻き回す。
『グリュ』と前立腺を押し上げると腰が跳ねた。
「あぁっ!?」
「ココが気持ちいいか?」
「すごく、きもちいいですっ……もぅ、いいからぁ」
頰を紅潮させて求めてくるコノハに加虐心が疼く。指を引き抜きながら問いかけた。
「私に愛されたいのなら、今は私だけのものになってくれ」
「はぃ……今のおれは、さんがくさまだけのものです」
サンガクの願いに幸せそうに微笑むコノハ。
その表情を見るとサンガクも幸福感で満たされた。
私以外を愛するな……とはさすがに言えないが、自分だけのものだと言ってくれた事が嬉しい。
「いくぞ」
「きて、ください……ぁあっ!」
昂りを挿入して一気に貫く。熱く畝るコノハの中は、待ちわびた刺激を逃すまいとぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「くっ……コノハ、力を抜け」
「む、むりぃ……です、意識が、飛びそうで……」
「(いつもよりすごいな)」
この調子では、コノハが気絶してしまうかもしれない。そう危惧したサンガクは、ゆっくり腰を動かした。
「はぁ、ん……ぁあっん」
奥を何度もゆるゆると穿つと甘い声を上げるコノハ。
「サンガク様、好き、好きです……ずっと側にいてください」
「あぁ、私もだ……愛している、コノハ」
何度も口付けを交わしながら揺さぶる。やがてサンガクにも限界が迫ってきた。
「ぁあっん、んんっ!」
「くっ……」
絶頂して痙攣するコノハの中に白濁を注ぎ込み、余韻に浸るように暫く動くのを止める。
「ぁ……ふぁ……」
ヒクヒクと余韻に震えるコノハから自身を引き抜こうとした時、脚がサンガクの腰に絡みついた。
『ガシ』
「っと……コノハ?」
「……まだ」
「?」
「まだ、繋がってたいです」
コノハが恥ずかしげに目を伏せて呟いた。そのあまりにも可愛らしいお強請りに、サンガクの鼓動も早くなる。
「お主というやつは……」
「……んっ」
思いとどまったサンガクはコノハの体を抱え込むと、横向きの姿勢で腕の中に収める。
「暫くこのままで……」
そう言って抱きしめている腕を緩めて頭を撫でると、コノハが上気させた顔を綻ばせた。
その表情を見ると再び燃え上がりそうな欲を必死に抑え、サンガクはもう一度口付けを落とした。
そんな夜の営みで愛と精を注ぎ込まれていた所為か……コノハはより神の道への繋がりを深めていた。
「コノハー降りられそうかー」
「無理です! 自分ではどうにも、うわ!」
「あーー……まさか神通力が外で開眼するとは思わなかった」
「呑気にしている場合ではない! 屋内ならまだしも、外で浮遊してしまったのだぞ! 木々よりも高くなってしまったら、風に流されてしまう!」
神通力の一つである『浮遊』を外で開眼させてしまったコノハが、木に引っかかりながらなんとか上昇に耐えていた。
サンガク達は跳躍でコノハの元まで行き着き、腕を引いて地上へ降ろすが、掴んでいなければ、再び上昇してしまう。
「普通、浮遊の神通力が開眼しても初期頃は上昇値は低いはずなんだけど……」
「コノハに俺らの力が移っちまって、神通力の威力バカ上がりしたんだろ」
「……制御を覚えるまで当分お預けだ」
「え……」
「「ええーー」」
コノハ以外にもワカとミドリからも不安の声が上がった。
「我々は山神。実りの神通力に精通しているが、浮遊の神通力は持っていない。コノハが空の彼方に行ってしまってはどうしようもない。危険な行為になりうる事は控えるべきであろう」
「……はい」
コノハが地に足を付けて、神通力を制御出来るまで、縄に繋がれ神域内で行動していた。
『ゴン』
「いった!」
「大丈夫?」
気を抜くと天井に頭をぶつけているコノハと、気付けば誰かが引き下ろす。
そんな日々が続いた。
「……コノハ」
「サンガク様、御慈悲を……」
「接吻だけで済まないだろ」
「ううぅ……俺どうやったら浮かなくなるんですか? 神通力の制御ってどうやるんですか?」
「……こう、グッと」
生まれ付きの神々からしたら、当たり前過ぎて説明するのが難しい。
「すまん」
「……いえ、俺の方こそすみません。ご迷惑をおかけして……家事も上手く出来なくて」
「心配はしているが、迷惑などと思ってはおらぬ。ゆっくりでいい。焦らず、私達の元へ降りてこれば良いのだ」
「っ……はい」
三人の隣に立っていたい。
その思いが重りになったのか、コノハの神通力が安定してきた。
『フワッ』
「おっと!」
『ボスン』
「おお、制御出来てんじゃん」
「まだ少し浮いてしまいますが、だいぶマシになりました」
ワカの腕の中に飛び込むように着地したコノハが、ぎゅっとワカの背に腕を回した。
「ワカ様……どうでしょうか? もう、大丈夫ですよね?」
「ぁ、あーー……そうかもな……」
コノハの体温を察して、ワカは安直にコノハの顎を掬って口付けた。
そして、着物越しに尻を鷲掴んだ。
「もう少し安定するまでは控えるべきだと言っただろう?」
「んぐっ……わるい。つい魔が差して」
「…………」
二人が事に及びかけているのを見つけたサンガクが釘を刺しに来た。
ワカは素直にコノハから離れるが、コノハはツンと唇を尖らせて不服を訴えていた。
「コノハ、制御出来るようになったら、三人で一日中愛でてやろう。体力を維持しておいたほうが身の為だと忠告しておこう」
「!」
「お預けをくらっているのは我々も同じ事なのだ」
「頑張れコノハ!」
極めて不純なご褒美は、制御の向上心を高めて一月を待たずして完璧な浮遊コントロールを身に付けた。
「身体が軽いです」
「うむ。応用まで出来ているな。これならもう、大丈夫だろう」
「やったぁ」
対空時間の長い跳躍と化した浮遊で、サンガクの胸に飛び込んだコノハ。
「頑張ったねコノハ」
「ミドリ様、いつも引き下ろしていただいてありがとうございました」
「上でジタバタしてるコノハも可愛かった」
「わ、忘れてください」
拗ねたコノハに睨まれても、ミドリは楽しそうに笑うばかり。
そんな二人に嫉妬したサンガクが口を開く。
「さて……コノハ、頑張った褒美をやろう」
「!」
サンガクの言葉にコノハの顔が一瞬で赤くなって、ごくりと唾液を嚥下した。
「はい、ご褒美をください。旦那様」
応援ありがとうございます!
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