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※コノハ目線
俺の娘は、とても可愛い。それはもう目に入れても痛くないくらいだ。
生まれたばかりの頃から愛らしい娘だったが、成長すればする程、その可愛さは留まる事を知らない。
親馬鹿なのは重々承知しているが、村一番と言われる娘の美しさに誇らしくなった。妻に似たのだろう。
娘が一つを迎える前に亡くなったてしまった妻の分まで、愛を注いで世話を焼いた。
しかし、娘が成人を迎える今年……飢饉で死者が出始めた。山神様へ花嫁を捧げる話が家長を集めて行われ、俺の娘に白羽の矢が立ちかけた。
居ても立っても居られず、ちょっと待ったと俺は声を上げて、祭事長と村長に自分を嫁入りさせろと願い出た。若くもない中年男性を山神様に捧げるなど失礼だと言われたが、俺は食い下がった。素っ頓狂な狂言であろうと譲らない。
娘は可愛い。ならば親の俺も可愛いのだ。花嫁の素養はある。
恐らく、飢餓状態で頭がおかしくなったと思われたのだろう。簡易的な儀式で済まされ、洞窟に放り込まれた。
俺が死ぬまでの間、少しでも時間稼ぎになれば良いと思っていた。
しかし、山神様は本当にいらっしゃった。
ならば、命の限り自身を売り込み嫁入りを果たすしかない。
娘まで、こんな目に合わないように。娘が飢えで苦しむ事がないように。恥も自尊心も人の道さえ捨て、ただ、山神様へ誠意を示すことだけを考えて行動した。
結果、三人の山神様に嫁げる事となった。三人とも見た目がよく似てらっしゃるが、髪の長さと表情で見分けられる。長髪のサンガク様、一つ結びのワカ様、短髪のミドリ様。
男同士だが、相手は神様。性など、あってないようなものだ。
今日、俺はサンガク様と身体を重ねる。恥じらいよりも、不安の方が大きい。
身を清めて、夜着を纏う。
寝室へ赴けば、同じく夜着姿のサンガク様が布団の上に胡座をかいていた。
「こちらへ」
「はい」
サンガク様の前に腰を下ろせば、解いて肩にかかる俺の髪を一房すくい、そこに口付けをされた。この動作の意味は知っている。夫婦が情を交わす前の仕草だ。
儀式だとわかっていても胸は早鐘のように鼓動を鳴らしている。
「まずは、これを一口飲め。飲み干してはならぬ」
「ん……これぐらいですか?」
「ああ」
光の粒がフヨフヨと漂っている護身水を一口喉を通した。
少し身体が熱くなる。
「……コノハ」
「はい」
「今から、するが……嫌なら言え」
「はい」
サンガク様に抱き寄せられる。優しく触れる程度の口吸いを繰り返されるうちに身体の芯からじわりと熱が広がっていく。
帯が解かれればハラリと布が滑り落ち、肌を隠すものは無くなった。今夜に限って、褌は不要だろうと思い、履いていない。
サンガク様は、最後まで俺の嫁入りに否定的だったが三日前漸く受け入れてくれた。会った時から優しい方だった。きっと、無理強いはできない人だったのだと思う。
だからこそ、今、抱いてもらえる事が奇跡に近い。そう思うと、途端に怖くなった。失敗すれば、今度こそ拒絶されてしまう。二度とこのような機会を与えられないのではないかという恐怖。俺に価値がないと思われてしまうのではないかと焦る気持ち。それらが混じり合って、サンガク様を直視できない。
「……コノハ、どうした」
「…………サンガク様、もっと激しくしても大丈夫ですよ?」
「なにゆえ、そのような事を……」
俺は貴方に好いてもらいたいんです。好かれなければならない。だから、もっと貪欲に俺を求めてほしい。
「俺は頑丈です。多少無茶をしても壊れません」
「そうではない……そういう事ではない」
サンガク様の手つきは拙く、不慣れな事がありありと伝わってくる。
「情交は、子を授かる為の行為である」
「はい」
「故に、己の快楽の為だけに行うのでは無く、子を成すための……愛の行為をするべきだ」
「……」
「そして、お主は男だ。我らの子を孕める訳では無いがだからといって、お主に辛い思いをさせて一方的に快楽を得る行いは情交とは言えぬ」
サンガク様に頬を包まれて目線が合うように持ち上げられた。
「私は、娘の為に身を捧げるお主を立派と思う。だが、その前に人の子なのだ。もう少し、自分の為に生きても良いのだ」
そんな風に考えた事もなかった。ただ、娘の為に必死になって……いつの間にかそれが当然になっていた。
親として、当然の事だ。紛れもないな、俺の本心だ。
「俺は……別に」
「まぁよい。これからは父ではなく、ただのコノハとして生きるのだからな」
「サンガク様」
「なんだ」
「俺の事、好きになりました?」
「……」
「沈黙されると、流石に傷つくのですが」
サンガク様は俺の言葉に苦笑しながら頭を撫でてくれる。その表情にホッとした。
ゆっくりと唇が合わさり、舌を差し込まれ絡まる。
「ふぅっ、ぅん……あ……」
息継ぎのタイミングが掴めない俺は呼吸をしよとする度に、艶っぽい声が出てしまう。接吻で主導権を握られるとこうなるのか。
サンガク様の指先が俺の身体を這い回り、輪郭をなぞるように愛撫される。胸の突起に触れられると身体が大きく跳ね上がった。
「んっ!?」
「……気持ちいいか?」
「な、なん……そんな」
俺の反応に気を良くしたサンガク様は執拗にそこを攻めたてる。
身体を駆け巡るような感覚に、頭を振り回して逃れようとするが無駄な抵抗だ。
初めて味わう強烈な刺激に身体がビクッと痙攣を起こした。衝撃が収まり、身体の力が抜けた瞬間を見計らって押し倒され脚を開かされた。秘部を見られる羞恥は今更湧かず、困惑が勝った。
「俺、こんな、敏感じゃ……」
「そうであろうな。もう一口飲め。先程と同じように」
「ぁ、んく」
小瓶の水を一口含んで飲み下すと、身体の奥で何かがジリジリと焦げ付き、先程とは比べものにならない熱が襲いかかった。
身体が熱い。熱くてたまらない。
早く解放して欲しい。そう思っていれば、サンガク様は香油を取り出して、掌に広げて温めていた。そして、それを俺の後ろの穴に塗りつけた。
それだけで、俺は達してしまいそうになった。
「(なんで……こんな、ところが、気持ちいいんだ……初めてなのに)」
指を挿入されて掻き混ぜられれば、俺はみっともなく腰を揺らし、サンガク様の首に腕を絡めて身体を密着させた。少しでも、熱を逃がそうとした。
「あぅ、い。あつい、腑が、奥が焼ける」
「落ち着け」
「は、はひ」
「ここが良いのだろう?」
「あっ! ……ひっ!」
クニクニと強弱をつけて円を描くように穴を撫でられ、サンガク様の肩口に額を押し付けて快楽に耐える。
指が抜き差しされ、中をかき混ぜるように解される。
不意に耳に口付けられて囁かれた。
「……そろそろ、挿れるぞ」
「ん、はぃ……んぐっ」
ズブブッと、太い棒が身体を貫くような感触。
苦しい、怖い、気持ちいい、でも、それ以上に……嬉しい?
「……入ったな」
「……あっ……あぁ……」
「深く息をしろ」
言われるがままに深呼吸を繰り返すと、段々と苦しさが薄れていく。サンガク様に抱きついて、耳元で名前を呼んだ。
「サンガク様ぁ」
「……コノハ」
サンガク様のモノが俺の中で脈打っている事がわかる。それが、何とも言えず心地よかった。このままずっと繋がっていたかった。
サンガク様は、俺が落ち着くまで待ってくれる。俺もサンガク様を気持ちよくしたい欲求が芽生えた。
「もう、動いてください。サンガク様のお好きな様に……貴方のものにして下さい」
「……わかった」
俺はサンガク様の腰を太腿で挟むように足を絡ませた。
「動くぞ」
「はい」
ズルリ、と引き抜く感覚に背筋が震え、ドチュっと突き上げられる快感が全身に響き渡る。
何度も、繰り返し出し入れされているうちに、サンガク様のモノが中のシコりを引っ掻いて、頭が真っ白になる。
初めてなのに、サンガク様に触れられた場所が全て気持ちがいい。こんなの知らない。
俺はおかしくなってしまったのか?
「あんっ、んっ、あぁっ……だ、めっ、なんかくる、きちゃいます」
「イけ」
パンッと最奥を突き上げられた瞬間、視界に白い火花が満ちた。身体全体が心臓になったかのようにドクンドクンと脈動する。今までの比じゃないくらいの絶頂だった。
身体が弛緩する。しかし、サンガク様の腰の動きは止まらない。
「ひゃうっ!? いま、まだ」
「すまん、コノハ。私はまだ果てていないのだ」
「ぁ、ああ! ふぁい、がんばりましゅ、あ、ぁ、ああ、お慈悲を、口を吸ってくださっ……んちゅ」
サンガク様が俺を抱き寄せて、舌を絡ませてくれる。その事に幸福感を覚えながら、必死にサンガク様を受け入れた。
「っ……ああ」
「は、はぁ……ん、んんん!!」
サンガク様が動きを止めて、中に暖かいものが広がる。それがとても嬉しかった。胸が満たされる。
痛みを伴っていた切なさと腑の熱が落ち着いていく。
「……最後だ。ゆっくりでいい」
「……んぅ……ぷは」
小瓶の最後の一口を飲み干せば、今度は身体が冷めるような虚無感に襲われた。
「大丈夫か?」
「えぇ、少し……怠いだけで」
「そうか」
俺から身を離したサンガク様が、汗を拭って夜着を整える姿を横目で見つめる。
俺は手を伸ばして、サンガク様の袖を摘んだ。
「?」
「……抱き締めて、くださいませんか? 寒くて」
「ああ、わかった」
「ん」
抱きしめられて背中をさすられると、徐々に瞼が重たくなっていく。安心して眠気がやってきた。
「また……」
「?」
「……いえ、なんでもないです。おやすみなさい」
「おやすみ」
次の日、朝餉の準備に行こうとしたらサンガク様ががっちり俺を抱き締めて眠っていて、抜け出せなかった。起こしに来たワカ様に笑われてしまい、恥ずかしい思いをした。
※※※
「どうだった?」
「すごかったです。護身水の影響か、痛みは無かったんですけど……」
「ん?」
「身体中敏感になってて、声が抑えられなかったのが大分恥ずかしかったです」
初夜を迎えた次の日の夜にて、ワカ様とミドリ様にサンガク様との事を報告していた。俺が話してる間、二人共ニヤニヤしていて、沈黙を貫きそっぽを向いているサンガク様を揶揄っている。
「良かった。ちゃんと主導出来たのか」
「心配したぜ~サンガク、お前初めてだからヘタクソなんじゃねぇかと思ってよぉ~」
「え? 初めてだったんですか?」
「………………悪いか」
「いえ、初めてであんなに……すごいですね。経験豊富で慣れてるのかと思いました」
俺は正直な感想を口にしただけなのに、サンガク様はますますそっぽを向いてしまった。
「じゃ、俺の相手は明日の夜でいい?」
「次、僕だろ」
「ええー」
「……よろしければ、お二人ご一緒でも」
「いいのか!」
俺の提案に二人は喜び、三人での行為が決定した瞬間であった。
サンガク様は呆れていたが、早めに済ませた方がいい。
お二人の相手だと大変だろうけど、口でも手でもなんでも使ってお二人が満足するまで頑張ろう。
俺はサンガク様のお相手をして気が少し大きくなっていたが、その薄っぺらい自信はすぐに打ち砕かれる事になる。
俺の娘は、とても可愛い。それはもう目に入れても痛くないくらいだ。
生まれたばかりの頃から愛らしい娘だったが、成長すればする程、その可愛さは留まる事を知らない。
親馬鹿なのは重々承知しているが、村一番と言われる娘の美しさに誇らしくなった。妻に似たのだろう。
娘が一つを迎える前に亡くなったてしまった妻の分まで、愛を注いで世話を焼いた。
しかし、娘が成人を迎える今年……飢饉で死者が出始めた。山神様へ花嫁を捧げる話が家長を集めて行われ、俺の娘に白羽の矢が立ちかけた。
居ても立っても居られず、ちょっと待ったと俺は声を上げて、祭事長と村長に自分を嫁入りさせろと願い出た。若くもない中年男性を山神様に捧げるなど失礼だと言われたが、俺は食い下がった。素っ頓狂な狂言であろうと譲らない。
娘は可愛い。ならば親の俺も可愛いのだ。花嫁の素養はある。
恐らく、飢餓状態で頭がおかしくなったと思われたのだろう。簡易的な儀式で済まされ、洞窟に放り込まれた。
俺が死ぬまでの間、少しでも時間稼ぎになれば良いと思っていた。
しかし、山神様は本当にいらっしゃった。
ならば、命の限り自身を売り込み嫁入りを果たすしかない。
娘まで、こんな目に合わないように。娘が飢えで苦しむ事がないように。恥も自尊心も人の道さえ捨て、ただ、山神様へ誠意を示すことだけを考えて行動した。
結果、三人の山神様に嫁げる事となった。三人とも見た目がよく似てらっしゃるが、髪の長さと表情で見分けられる。長髪のサンガク様、一つ結びのワカ様、短髪のミドリ様。
男同士だが、相手は神様。性など、あってないようなものだ。
今日、俺はサンガク様と身体を重ねる。恥じらいよりも、不安の方が大きい。
身を清めて、夜着を纏う。
寝室へ赴けば、同じく夜着姿のサンガク様が布団の上に胡座をかいていた。
「こちらへ」
「はい」
サンガク様の前に腰を下ろせば、解いて肩にかかる俺の髪を一房すくい、そこに口付けをされた。この動作の意味は知っている。夫婦が情を交わす前の仕草だ。
儀式だとわかっていても胸は早鐘のように鼓動を鳴らしている。
「まずは、これを一口飲め。飲み干してはならぬ」
「ん……これぐらいですか?」
「ああ」
光の粒がフヨフヨと漂っている護身水を一口喉を通した。
少し身体が熱くなる。
「……コノハ」
「はい」
「今から、するが……嫌なら言え」
「はい」
サンガク様に抱き寄せられる。優しく触れる程度の口吸いを繰り返されるうちに身体の芯からじわりと熱が広がっていく。
帯が解かれればハラリと布が滑り落ち、肌を隠すものは無くなった。今夜に限って、褌は不要だろうと思い、履いていない。
サンガク様は、最後まで俺の嫁入りに否定的だったが三日前漸く受け入れてくれた。会った時から優しい方だった。きっと、無理強いはできない人だったのだと思う。
だからこそ、今、抱いてもらえる事が奇跡に近い。そう思うと、途端に怖くなった。失敗すれば、今度こそ拒絶されてしまう。二度とこのような機会を与えられないのではないかという恐怖。俺に価値がないと思われてしまうのではないかと焦る気持ち。それらが混じり合って、サンガク様を直視できない。
「……コノハ、どうした」
「…………サンガク様、もっと激しくしても大丈夫ですよ?」
「なにゆえ、そのような事を……」
俺は貴方に好いてもらいたいんです。好かれなければならない。だから、もっと貪欲に俺を求めてほしい。
「俺は頑丈です。多少無茶をしても壊れません」
「そうではない……そういう事ではない」
サンガク様の手つきは拙く、不慣れな事がありありと伝わってくる。
「情交は、子を授かる為の行為である」
「はい」
「故に、己の快楽の為だけに行うのでは無く、子を成すための……愛の行為をするべきだ」
「……」
「そして、お主は男だ。我らの子を孕める訳では無いがだからといって、お主に辛い思いをさせて一方的に快楽を得る行いは情交とは言えぬ」
サンガク様に頬を包まれて目線が合うように持ち上げられた。
「私は、娘の為に身を捧げるお主を立派と思う。だが、その前に人の子なのだ。もう少し、自分の為に生きても良いのだ」
そんな風に考えた事もなかった。ただ、娘の為に必死になって……いつの間にかそれが当然になっていた。
親として、当然の事だ。紛れもないな、俺の本心だ。
「俺は……別に」
「まぁよい。これからは父ではなく、ただのコノハとして生きるのだからな」
「サンガク様」
「なんだ」
「俺の事、好きになりました?」
「……」
「沈黙されると、流石に傷つくのですが」
サンガク様は俺の言葉に苦笑しながら頭を撫でてくれる。その表情にホッとした。
ゆっくりと唇が合わさり、舌を差し込まれ絡まる。
「ふぅっ、ぅん……あ……」
息継ぎのタイミングが掴めない俺は呼吸をしよとする度に、艶っぽい声が出てしまう。接吻で主導権を握られるとこうなるのか。
サンガク様の指先が俺の身体を這い回り、輪郭をなぞるように愛撫される。胸の突起に触れられると身体が大きく跳ね上がった。
「んっ!?」
「……気持ちいいか?」
「な、なん……そんな」
俺の反応に気を良くしたサンガク様は執拗にそこを攻めたてる。
身体を駆け巡るような感覚に、頭を振り回して逃れようとするが無駄な抵抗だ。
初めて味わう強烈な刺激に身体がビクッと痙攣を起こした。衝撃が収まり、身体の力が抜けた瞬間を見計らって押し倒され脚を開かされた。秘部を見られる羞恥は今更湧かず、困惑が勝った。
「俺、こんな、敏感じゃ……」
「そうであろうな。もう一口飲め。先程と同じように」
「ぁ、んく」
小瓶の水を一口含んで飲み下すと、身体の奥で何かがジリジリと焦げ付き、先程とは比べものにならない熱が襲いかかった。
身体が熱い。熱くてたまらない。
早く解放して欲しい。そう思っていれば、サンガク様は香油を取り出して、掌に広げて温めていた。そして、それを俺の後ろの穴に塗りつけた。
それだけで、俺は達してしまいそうになった。
「(なんで……こんな、ところが、気持ちいいんだ……初めてなのに)」
指を挿入されて掻き混ぜられれば、俺はみっともなく腰を揺らし、サンガク様の首に腕を絡めて身体を密着させた。少しでも、熱を逃がそうとした。
「あぅ、い。あつい、腑が、奥が焼ける」
「落ち着け」
「は、はひ」
「ここが良いのだろう?」
「あっ! ……ひっ!」
クニクニと強弱をつけて円を描くように穴を撫でられ、サンガク様の肩口に額を押し付けて快楽に耐える。
指が抜き差しされ、中をかき混ぜるように解される。
不意に耳に口付けられて囁かれた。
「……そろそろ、挿れるぞ」
「ん、はぃ……んぐっ」
ズブブッと、太い棒が身体を貫くような感触。
苦しい、怖い、気持ちいい、でも、それ以上に……嬉しい?
「……入ったな」
「……あっ……あぁ……」
「深く息をしろ」
言われるがままに深呼吸を繰り返すと、段々と苦しさが薄れていく。サンガク様に抱きついて、耳元で名前を呼んだ。
「サンガク様ぁ」
「……コノハ」
サンガク様のモノが俺の中で脈打っている事がわかる。それが、何とも言えず心地よかった。このままずっと繋がっていたかった。
サンガク様は、俺が落ち着くまで待ってくれる。俺もサンガク様を気持ちよくしたい欲求が芽生えた。
「もう、動いてください。サンガク様のお好きな様に……貴方のものにして下さい」
「……わかった」
俺はサンガク様の腰を太腿で挟むように足を絡ませた。
「動くぞ」
「はい」
ズルリ、と引き抜く感覚に背筋が震え、ドチュっと突き上げられる快感が全身に響き渡る。
何度も、繰り返し出し入れされているうちに、サンガク様のモノが中のシコりを引っ掻いて、頭が真っ白になる。
初めてなのに、サンガク様に触れられた場所が全て気持ちがいい。こんなの知らない。
俺はおかしくなってしまったのか?
「あんっ、んっ、あぁっ……だ、めっ、なんかくる、きちゃいます」
「イけ」
パンッと最奥を突き上げられた瞬間、視界に白い火花が満ちた。身体全体が心臓になったかのようにドクンドクンと脈動する。今までの比じゃないくらいの絶頂だった。
身体が弛緩する。しかし、サンガク様の腰の動きは止まらない。
「ひゃうっ!? いま、まだ」
「すまん、コノハ。私はまだ果てていないのだ」
「ぁ、ああ! ふぁい、がんばりましゅ、あ、ぁ、ああ、お慈悲を、口を吸ってくださっ……んちゅ」
サンガク様が俺を抱き寄せて、舌を絡ませてくれる。その事に幸福感を覚えながら、必死にサンガク様を受け入れた。
「っ……ああ」
「は、はぁ……ん、んんん!!」
サンガク様が動きを止めて、中に暖かいものが広がる。それがとても嬉しかった。胸が満たされる。
痛みを伴っていた切なさと腑の熱が落ち着いていく。
「……最後だ。ゆっくりでいい」
「……んぅ……ぷは」
小瓶の最後の一口を飲み干せば、今度は身体が冷めるような虚無感に襲われた。
「大丈夫か?」
「えぇ、少し……怠いだけで」
「そうか」
俺から身を離したサンガク様が、汗を拭って夜着を整える姿を横目で見つめる。
俺は手を伸ばして、サンガク様の袖を摘んだ。
「?」
「……抱き締めて、くださいませんか? 寒くて」
「ああ、わかった」
「ん」
抱きしめられて背中をさすられると、徐々に瞼が重たくなっていく。安心して眠気がやってきた。
「また……」
「?」
「……いえ、なんでもないです。おやすみなさい」
「おやすみ」
次の日、朝餉の準備に行こうとしたらサンガク様ががっちり俺を抱き締めて眠っていて、抜け出せなかった。起こしに来たワカ様に笑われてしまい、恥ずかしい思いをした。
※※※
「どうだった?」
「すごかったです。護身水の影響か、痛みは無かったんですけど……」
「ん?」
「身体中敏感になってて、声が抑えられなかったのが大分恥ずかしかったです」
初夜を迎えた次の日の夜にて、ワカ様とミドリ様にサンガク様との事を報告していた。俺が話してる間、二人共ニヤニヤしていて、沈黙を貫きそっぽを向いているサンガク様を揶揄っている。
「良かった。ちゃんと主導出来たのか」
「心配したぜ~サンガク、お前初めてだからヘタクソなんじゃねぇかと思ってよぉ~」
「え? 初めてだったんですか?」
「………………悪いか」
「いえ、初めてであんなに……すごいですね。経験豊富で慣れてるのかと思いました」
俺は正直な感想を口にしただけなのに、サンガク様はますますそっぽを向いてしまった。
「じゃ、俺の相手は明日の夜でいい?」
「次、僕だろ」
「ええー」
「……よろしければ、お二人ご一緒でも」
「いいのか!」
俺の提案に二人は喜び、三人での行為が決定した瞬間であった。
サンガク様は呆れていたが、早めに済ませた方がいい。
お二人の相手だと大変だろうけど、口でも手でもなんでも使ってお二人が満足するまで頑張ろう。
俺はサンガク様のお相手をして気が少し大きくなっていたが、その薄っぺらい自信はすぐに打ち砕かれる事になる。
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