催淫魔法士の日常

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19:遅延性②

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 ノトスを勢いのまま抱き上げて、寝室まで連れていきベッドの上に降ろす。

『ギシ……』
「無理してないか?」
「そっちこそ……」

 ゆっくりと覆いかぶさって首筋に口付けを落としながら、シュルリとシルクのネクタイを解いて床に放り投げる。

『プツ……プツ……』
「(丁寧過ぎて、焦ったい……)」

 ノトスのプツリプツリとシャツのボタンが一つずつ外されていく。下から這い上がってくる期待感にノトスは無意識に腰を浮かせて胸を突き出しデュラを誘う。
 露わになった胸に舌を這わせると、舌の感触と自分の痴態を見下ろす視線の両方から責め立てられる羞恥心がより一層快感となって全身を駆け巡った。
 片方の突起を舌で弄りながら、もう片方を指で摘む。

「はぁッ、あぁぁ!」
「気持ち良さそうだな」
「ん…………ちゃんと、きもちいぃ……」
「……そうか」

 反応に気を良くしたデュラはベルトを外して下着をズラせば、淫らに勃ち上がっている性器が開放感でピクリと揺れる。
 
「私が来る前に、ココで慰めていたのか……柔らかい」
「は、やく……ほしぃ」
「ああ、優しくする」

 ノトスの腰を掴んで尻を持ち上げる。
 物欲しそうに強請る後孔に、亀頭をグッと押し付けてゆっくりと挿入していく。

「ぅあ……あ、あああ」
「ぐッ……はぁ……」

 太い幹が前立腺を擦り上げながらじわじわと進んでくる感触に身悶える。デュラも中を暴くたびにヒクヒクと纏わりついてくる肉壁からの刺激に吐息が漏れた。

「は、ぁ……はぁ……」

 亀頭が奥の窄まりをコツリと突き当たり、そのままグイッと中を押し上げていく。

「はぅ、ぅぅ、ん」
「はぁ……全部、入った。痛いか?」
「だいじょ、ぶッ……」
『グチュッグチュ』
「あッ、あぁ! あ、ひっ、おぐッ!」

 淫猥な音を立てて前後する動きに合わせて時折ゴリュッと強く突かれる。
 欲しかった暴力的な質量の刺突に、待ち侘びていたノトスの脳が快感で溶かされていく。
 シーツを掴み、足先でグシャグシャに皺を作りながら押し寄せてくる感覚に耐える。

「中が、痙攣してるぞ……イき、そうか?」
「ひぐっ! イ、きそ、ふぅ……んッ!?」
「?」
「やば……デュラ、俺は大丈夫だから……そのまま、動いて、くれ」
「大丈夫って……ノトス?」

 何か異常を感じとったノトスが身を硬らせて震える。
 そして、その震えも中の痙攣さえもが急にピタリと止まった。
 
『グチュ、ズプン、ズプ、グチュ』

 動いているのは、デュラ一人。
 ノトスは伏せ目がちなまま、喘ぎも無く、一切の反応が無くなった。

「ノトス、ノトス? ノトス?」
『パン、パン、パチュン』

 名前を呼んでも返事は無い。
 ノトスの異変に胸が騒つくも、動きを止められない。
 
「っ、呼吸が」

 肺が上下しておらず、呼吸が止まっている。胸に耳を当てると、心音さえ聞こえない。

「ノトス!!」

 揺さぶりながら、気道を確保して息を吹き込む。

「(何故急に!? ノトスは何か知っていた風だったが……まさか、何か媚薬に付与したのか?)」

 人工呼吸を続けながら、腰の動きを止めずに原因を探る。
 舌を差し入れてみても、やはり反応がない。
 けれど、身体はずっと熱いまま。
 呼吸は止まっているのに、肉筒がギュウギュウと締め付けてくる矛盾した感覚がデュラを混乱させる。

「あ、くぅ……んん、んんっ、ふッ」

 あらゆる手を尽くしても反応を示さないノトスにデュラは焦りを感じながら動き続ける。
 
「ぐぅ、う!」
『ビュク、ビュルル』
「はっ、はーっ、すまない……ノトス」

 最奥の窪みを穿ち、絶頂へ登り詰めたデュラは精を注ぎ込む。
 奥に擦り付けながら全て出し切るように自然と腰を振ってしまう。

『ピクッ』
「!」
「……ん、でゅら」
「あ、ああ、ノトス! 良かった!」
『ガバッ』

 やっとノトスが反応を返してくれた。
 それに安堵したデュラはノトスを抱きしめる。

「すまん、時間停止の魔法が今効いたみたいだ」
「……ああ」

 時空間の魔法書を持っていった事を思い出したデュラが先程のノトスの様子に合点がいった様子。

「良かった……本当に」
「心配かけて、ごめ──ッ!」
「ノトス?」
「ぅ……あっ! ま、て! 知らな、コレは、知らなぃ!」
「ッ!!?」

 ノトスの時間が再開して間も無く、尋常ではない衝撃が全身を駆け巡り、身体が弓形に仰け反った。

『ビク! ビク! ビクビクゥ!!』
「やめッ!! い、あぁあ!!」

 未知の刺激にノトスが堪らず叫ぶ。

「(一気にきてる! 止まってた分が一気に!!)」

 停止中に蓄積された快感が一気に肉体へ反映された。
 何度も突き上げられた刺激が一つの大きな波となり、ノトスを襲う。

「──~~ッッ!!」

 声にならない声を発し、デュラにしがみつきながらなんとか意識を保つ。

「あっ! ひッあぁっ!! まて、まってくれ、はぁっ、イって、るぅッッ! いってぇ、あぁああ!!」

 人工呼吸の感覚に息が詰まり、舌を掬われる感触に喉を晒し、デュラの動きの全てが快楽へ直結している。

「ひぃッ、うぁ、んんんん!」
「……ッ、ノトス」

 頭を振り乱して悶えるノトスを宥めるように抱きしめるデュラも、絶頂を繰り返す肉壁の締め付けに耐える。


 二人にとって長い長い一瞬が過ぎ去り、ノトスは余韻に全身を震わせて、デュラの肩に顔を埋める。

「はぁ……ッ、ぁ……」
「……ノトス、落ち着けそうか?」
「……はぁ、ふぅ……うん」

 ずるりと中から自身を抜き、ノトスの頭を撫でながら呼吸が整うのを待つ。

「はぁ……はぁ……あー、こんな、蓄積効果、あるのかよ」
「魔法書には書いてなかったのか?」
「ああ…………悪い、みっともないとこ見せたな」
「確かに驚いたが………………正直、ノトスが乱れる姿に若干の興奮は覚えた」
「馬鹿正直なムッツリめ……あっ」

 ノトスの腹筋に吐き出された精液をツツーっと筋に沿ってデュラの指がなぞる。
 
「いっぱい出たな」
「言うなって……デュラ、身体起こしてくれ」
「ん? ああ」

 腰の抜けたノトスの身体ごと起き上がり、ベッドの上に座り込んだ形になる。
 そして、密着した状態でノトスはノロノロと腕を動かして、勃ったままのデュラの性器に指を絡めた。

「う、ぁ」
「ガチガチ……お前もちゃんと抜いてないんじゃないか?」
「いや、ただお前に興奮しただけで、不摂生ではない」
「…………ちょっとは憚れよ」

 クチュクチュと音を立てながら、弱い部分を重点的に責める。

「くッ、ぁ……ノトス」
「……んっ」

 デュラからの口付けを拒否する事なく受け入れる。
 少しカサついた唇の柔らかな感触が心地よくて、目を細める。

「はっ……ふッ」
『クチュクチュ』
「はぁ、んッ……ぷぁ」

 デュラの唇を舌先で促せば、肉厚な舌が侵入してくる。
 お互いに舌を絡ませ合うと、優しく緩やかな気持ち良さにノトスから安堵の吐息が漏れる。
 唾液を交換しながら舌を絡め合っていくうちに、段々と脳が蕩けていく。

「んん、んっ……ふぁ」
『ビキッ』

 ノトスの艶っぽい様子に興奮したデュラの性器がビクリと震え、限界を報せる。
 手の動きを速めて、亀頭をグリッと弄る。

「んッ! ノトス……ッ」
『ビュク、ドピュ』

 口を離した二人が見下ろせば、白い液体がノトスの手を汚していた。

「ふぅ……ん、手を、煩わせてしまったな」
「迷惑かけたのは俺の方だから……中断させて悪かった」
「ノトスが楽になったなら、私はなんだっていいさ」
 
 情事の名残りを綺麗に拭き取りながら、デュラにサポートされながらシャワーを浴びて、着替える。

「“洗浄クリーン”」

 デュラの服を魔法で綺麗にすると、家に来た時以上に綺麗になってしまった。

「私はそろそろお暇するが、本当にもう大丈夫か?」
「大丈夫。お陰様でスッキリした。よく眠れそうだ」
「……そうか」

 ノトスはスッキリした様子だが、デュラは何か不安気にノトスを見つめていた。
 その視線の意図を汲み取ったノトスは肩をすくめながら、口を開ける。

「デュラ」
「?」
「もうあの事は、特に気にしてない。今日の事もトラウマにはならないから、そんな顔しないでくれ」
「……ああ、わかった。では、また何かあれば伺わせてもらう」
「はいはい。じゃあな」

 ひらひらと手を振って玄関までデュラを見送った。
 
「はぁ~……疲れた……」

 ベッドまでフラフラになりながらも辿り着いたノトスは、綺麗にした布団にポフッと沈み込む。

「(……今日は、もう休んじまおう)」

 遅延性の改良点を悶々と考えながら、ノトスは眠りに落ちて行った。

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