催淫魔法士の日常

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6: ◯◯しないと出られない建築⑤

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 想定外の事故があったが、作業は順調に進み、ノトスの無排薬改良も大詰めとなっていた。

「大分飲み易くなったな」
「でも、苦渋って感じだ」
「もっと酸味強い方がいい」
「柑橘系の果汁入れたらどうだ?」

 建築作業がひと段落ついたメンツがノトスの試薬を試飲して各々感想と要望を口にしていた。
 ノトスもその感想や意見を聞き入れつつ、手早く少量の無排薬を調合して皆で分け合った。

「お、コレいいんじゃないか?」
「うんうん。こういう果物ある」

 果汁入り無排薬は、甘酸っぱさが加えられても尚後味に苦味が残るが、今までに比べて断然飲み易く仕上がったようだった。

「うん。これならいけると思う」
「萎えない」

 全員が頷きあい、ノトスの無排薬改良方針が決まった。
 果汁を入れて本来の作用を邪魔をしていないか自分で試しながら、黄金比を探る。

「無排薬飲むと腹が減るんだよなー」
「腸内が空っぽになりますからね」
「脱水に気を付けろよ」

 ワイワイと賑やかに会話を繰り広げる平和な光景に自然と口角が上がるノトス。

 後日、完成した無排薬を瓶に詰めて、依頼主へ納品した。
 それから部屋がしっかり機能しているかの最終チェックを行うにあたり……室内の様子を映し出す水晶を依頼人のお嬢様直々にチェックすると言われた。

「皆さま、本当にご苦労様でした。このような素晴らしい出来栄えになるとは……私、とても感激しております」

 深々とお辞儀をしながらおべっかを言う依頼人の言葉など耳に入ってこない作業者達はそわそわしていた。期待している者、顔色が優れぬ者、挙動不審になる者など様々である。
 今までは、自分達で決めてテストを行っていたが、今回はなんと依頼人からの指名制。
 つまり、お嬢様が自分達に性行為を強要するに等しい。
 依頼人の前に貴族の御令嬢。逆らう事は出来ない。

「では、まず……この中で一番若い方はどなた?」
「っ…………はぃ」

 リゲルが恐る恐る小さく手を上げ、他の皆からは憐れまれ、羨ましげな視線を向けられた。

「お名前は?」
「リ、リゲルと申します」
「ふふ、安心して。私しか水晶は見ないからそんな緊張しないで」
「ひゃい!」

 一番見られたくない人に見られるのだから、安心など出来るはずもない。

「あとは……そうですわね……安全面も考えて、薬師のノトスさんかしら?」
「……俺、ですか」

 自分が指名されると思っていなかったのもあって、ノトスの口から気の抜けた返事がこぼれる。

「慣れているでしょ……?」
「……わかりました。お受け致します」

 自分の事を知っているらしいお嬢様の言葉に、二つ返事の承諾を返した。
 お嬢様の命令に背けば、今後の依頼に支障が出る事は明白だ。

「ありがとうございます。では早速」
「今から、で……ですか?」
「ええ、そうです。他の皆さまは解散していただいて構いません」

 背を向けて、スカートの裾を揺らしながら隣の小屋に向かうお嬢様。
 それを見てノトスはバレないように溜息をつきながら、皆に励まされているリゲルへ視線を向けた。
 折角水に流したというのに、どんぶらこと自分達の元へ帰ってきた。

「これも経験だリゲル」
「ロルールが相手なら、良い勉強になる」
「男なら覚悟を決めろ」
「が、がむばってこい……」
「頑張って!」

 皆が口々に慰めの言葉と励ましの言葉をリゲルへと投げ掛けて送り出す。

「……はい……では、いってきます! い、いきましょう! ロルールさん!」
「ああ」
「「行ってらっしゃ~い」」

 覚悟を決めた表情でノトスの腕を引いてズンズンと部屋へ入室するリゲル。

『ガッチャン』
『ガチャガチャ』

 しっかり鍵はかかった。

「ロルールさん……あの、僕、頑張ります」
「うん。俺も頑張るよ」

 二人でベッドに腰掛けて、本番を想定して媚薬と無排薬を飲む。
 
「……ふぅ」
「変な感じはしない? 喉が腫れる感じや痒みとか……」
「無いです……でも身体が、ぽかぽかしてきて、ロルールさんが可愛く見えます」
「俺も、リゲル君がちょっと可愛く見える。ちゃんと効果出てるな」

 二人揃って薬の作用で思考や感覚に異常をきたしてきていた。

「どうする? 俺の事抱けるか?」
「いけます」

 前に比べて格段にシラフの状態に近いが、リゲルの判断は早かった。
 隣に座ったノトスの腰を抱いて、首筋に口を寄せた。
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