催淫魔法士の日常

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5:◯◯しないと出られない建築④

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『ズブン!』
「かはッ……ぁ、あぁ!」
「っ、ロルールさん……動きますよ」
「く、んん……うん」
 
 律儀に宣言しながら、腰を掴み激しく前後させて奥を突き上げる。
 リゲルの動物のような本能的な腰遣いに甘く上擦ったノトスの喘ぎが部屋を埋め尽くしていく。

「ロルールさんッ……中、熱くてトロトロ、すっごく……気持ちいい……」
「ひあッ、ん……あ゛っ、あぁっ」
『ぐぷっ、ごぽっ、ばちゅっ! じゅぷっ』

 リゲルのモノが抜き出る度に空気の混じった卑猥な音が漏れ、押し込まれる度に粘着質な音と肌がぶつかる音が鳴る。
 そして、ノトスと繋がっている箇所から泡立った潤滑剤が溢れ出ていた。

『ぐぷんっ! ごちゅん!』
「あっ、はァ!」
「(あ~ぁ……リゲル君、完全に雄の顔だな……)」

 フと熱に浮かされた頭の中で冷静な部分でノトスはリゲルを見つめる。言葉には出さないまま喘ぐ。
 久方ぶりの快楽を、この際楽しんでしまおうと半ばやけくそになりながら、その行為に没頭した。

「はぁ……はぁ……ロルールさん」
「ん……あ……リゲ……るくん、ダメ……キスは、ダメだよ」
「どうして……?」
「……これ以上、君を騙したくない」

 ノトスを後ろから抱き込むように密着しながら腰を動かすリゲルが、ノトスへ口を寄せていた。
 良心の呵責により、せめてファーストキスだけは死守しなければならないと、リゲルのキスを拒んだ。

「お願い、だから……キスしたら、きっと後悔する。俺も、君も……あぅ」

 その必死の訴えと切なげな口元の理由を悟ったのか、それともただ単に聞き分けが良かったのか定かではないが、リゲルはそれ以上食い下がる事なく大人しくノトスのお願いに従い、ただ腰を動かし続ける。

「……もう、イきそ、ッ……」
『ばちゅ、ばちゅっ……ごぷっ』
「はッ、あ゛ぅ……イきたいなら……イっていい、から」
「でも……」

 口篭るリゲルのモノが限界だとばかりに中でビクビクと脈打つ感覚があった。その熱の膨張に煽られた中が勝手に蠕動して締め付ける。

「もっと、ロルールさんと……こう、してたい」
「ぁ、ああッ! 噛んじゃ、ぁ、あんんん!」

 頸に噛み付かれ、ゾワゾワと背筋に電流が流れた感覚と共にノトスから一際高い声が漏れ出た。
 そしてノトスのモノから白濁が散り、内腿とローブを汚す。

『ピュク……ビュッ……』
「うっ、く……すごい、締め付けられる」

 リゲルは噛み付いてしまった箇所を舌で癒すように舐め上げながら、腰の速度を緩める事なく最奥へ自分のモノをグリグリと擦りつける。
 達したせいで更に敏感になっているノトスの身体が小刻みに震えていたが、その身体の震えは恐怖などではなくて悦びから来るもので、リゲルが腰を打ち付けてくるたびにその快感に溺れるように甘い声を上げていく。

『パチュッ、パン……パンッパンッ!』
「んッぅう……あ、ぁあっ!」
「イく、ロルールさん、ぼくぅ、もう……イきっ、あぁあぅ!」

 リゲルの熱いモノが、ノトスの中へ注ぎ込まれる。

『ビュルル……ビュク……ビュッ』

 鼓動に押し出されるように、脈に合わせて打ち出される。

「ふぁ、ぁあっ」
『ぐぽ』
「んんん!」

 最後の一滴まで流し込むかのように腰をグリッと押し付けられて、爪先に力がこもってビクリと跳ね上がった。
 まだ硬度を保っているリゲルのを締め付ける自分の肉壁。
 だが、そこからゆっくりと引き抜かれいく感覚にノトスは歯を食いしばりながら腰が追わないように欲を抑え込んだ。

『ズルルル……ン』
「……ん……はぁぁ……」
「はっ……はっ……ロルールさん、気持ちよかったですか?」
「ぅ……あぁ……よかった、よ」

 ノトスから身体を離しつつ、リゲルも脱力するようにその場にへたり込んだ。

「はぁ……」
「大丈夫?」
「大丈夫です。すみません、……あれ? 扉が!」

 リゲルの視線の先で扉から下界の月明かりが漏れているのを見て二人は安堵の表情を浮かべる。
 衣服をいそいそと着直して立ち上がり、足速に外へと出た。
 夜風が余熱を覚ますように二人の体を優しく冷やす。

「よかった~……」
「……リゲル君、今夜の事は忘れてくれると嬉しい」
「そんな無茶な……」
「…………俺の魅了の魔法が解けたら、きっと猛烈に後悔するから」

 そう呟いてから、ノトスは杖を奮って自身にかけていた魅了魔法を解除した。
 リゲルもハッとしたように瞬きをした後に、頭を掻きながら気まずそうな表情を浮かべる。
 魅了から覚め、正気に戻ってもなおリゲルの頬は僅かに赤く染まったままだった。

「はは、ロルールさんの魔法に、まんまとやられました……」
「ごめん」
「……いいえ。思ったより、悪くないですよ」

 リゲルは気恥ずかしそうに笑いながら、自分の胸の中心部分を片手でギュッと握る。そして、何かを決意したような面持ちでノトスへと向き合った。

「ロルールさん……キスを……許してくれませんか?」
「ダメだ。セックスの高揚感で一時的に気が大きくなってるだけだから。それに、俺だって、俺だってなぁ……好きでもないヤツとこんな事したくねえんだよ」
「っ……すみません」

 言葉を荒げるノトスに相手の気持ちを無視した自分本位な頼み事をしていた事に気付いたリゲルの眉尻を下げた。
 暫しの沈黙の中、ノトスが耐えきれず口を開いた瞬間──

『グゥゥウウ!』
「……おい」
「す、すみません!」

 リゲルの腹の虫が壮大に鳴り響き、二人の間に何とも言えない間抜けな空気が流れた。
 今度は羞恥心に頬を染めるリゲルがしょげしょげと身を竦める。

「ぷっ、くくく……とりあえず飯食いに行こうか……リゲル君、何か食いたいのある? 奢るよ」
「え! いいんですか! ご馳走様です!」

 毒気が抜かれたノトスは、リゲルを引き連れ街へと繰り出していった。
 一夜の過ちを忘れるように、美味い飯を食って二人は部屋での事を水に流す事にした。
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