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『普通の小学生男子がやる事といえば何でしょうか?私は分かりません。友達は1人もいませんでした。いや、居たのかもしれません。誰か特別な人を作りたくなかったのかもしれません。それとも特別な人は1人だけで十分だったのかもしれません。私は愛する女性が心の中にいるだけで十分に幸せでした。』



 名前も知らない彼女の事を目が勝手に追ってしまいます。廊下ですれ違う度に、体育の合同授業の時に、そう彼女の名前を知ったのも体育の授業の時でした。体操服の胸のゼッケンには彼女の名前が大きく書かれていました。彼女は小学校のバスケ部に所属していました。バスケ部に入った事で長かった髪を切ったのかもしれません。色白だった肌も少し日焼けしていました。清楚でお人形のようなイメージから、活発な女性へと私の中の彼女のイメージは大きく変わってしまいました。

 その当時の私は女性の事がとにかく知りたいという好奇心に蝕まれていました。母親の部屋に入った時でした。台所の引き出しの中にエッチな本と数本のビデオが隠されていました。エッチなマンガ本には、催眠術にかけられた可愛い女子高生が屋上から、校庭に向かってオシッコをするシーンがあったり、丸いブルブルと震える玩具をお尻の前の穴に入れて授業を受けるシーンが描かれていました。

 10歳の私はその女性達を気持ち悪いとは思わずに、とても綺麗で可愛いと思って見ていました。ビデオの方を見るまでは………。

 そのビデオは今なら分かりますが裏ビデオというものでした。完全に女性と男性の性器が見えるものでした。しかも、何故だか映っていたのは金髪の外国人女性でした。信じられない程の大きなオチンチンが女性の身体の中に入って行くのです。子供にはホラー映画と同じようなものです。すぐに停止ボタンを押すと見るのをやめてしまったのをよく覚えています。ビデオを見た後遺症で私はしばらくの間、吐き気を抑える事になってしまいました。やはり、18歳未満には刺激が強いという事なんでしょうね。

 私は残念ながら普通の小学生ではありませんでした。早朝に早起きしてクラスの誰よりも早く教室に1番乗りします。クラスの中で可愛いと思う女子は右手の指で数える程度です。彼女達の机に向かうと、机の横にぶら下がっている体操服袋から体操服を取り出して匂いを嗅ぎました。

 フッフ、期待したような甘い匂いも、汗の匂いもしません。ただの洗い立ての服の匂いです。それでも、オッパイが当たる部分や女性器が当たる部分の匂いを興奮して嗅いでいたのは事実です。とても悪い事をしているのに私の中の心臓は生きている実感を人生の中で一番感じていました。そして、愛する彼女の体操服にも私はそのような汚れた行為をする事になりました。

 私の舌が触れたブルマを愛する彼女が履いています。私の唇が触れたリコーダーを彼女が吹いています。私の中の愛が確かに彼女の中に少しずつ流れ込んで行くのを、私は幸せな気持ちで見守り続けました。それでも、まだまだ知りたいという欲求には足りませんでした。そんな私が次に手を出したのは夏のプールの授業でした。



 5年生の私はお昼休みの時間が終わるのを体育館の近くで待っていました。お昼休みが終わって、すぐに5時間目の体育の授業が始まります。体育館の隣にある女性用の更衣室では6年生の上級生が水着に着替えています。キャーキャーと楽しそうな声が聞こえなくなるまで待つと、私は誰も居なくなっただろう更衣室に向かいました。鍵がかかっていれば、すぐに引き返します。鍵がかかっていなければ中に入ります。音がしないようにゆっくりゆっくりと扉を横にスライドしてみました。ゆっくりと扉は左に移動して行きました。中には誰もいませんでした。

 少し温めの室内に入ると、6年生達がさっきまで着ていた服が木の棚に置かれていました。私はその棚の中から左側中段の棚に近づいて行きました。時間がありません。私の授業もすぐに始まります。ゆっくりと出来るだけ服が同じ場所から移動しないように、ソッと1枚ずつ持ち上げます。探していた物はすぐに見つかりました。白い木綿の下着でした。

 女性器が当たる部分の匂いを嗅ぎます。エッチな本の通りならば甘い匂いがするはずです。でも、そんな匂いはしませんでした。今度は舌を使って味がしないか確かめました。何度も何度も舐めた事で少し下着が濡れてしまいましたが、この暑さならばすぐに乾くはずです。私は急いで棚に下着を戻すと更衣室から出て行きました。あとあと考えると、他の棚も調べるべきでした。それでも、下着を持ち出すような馬鹿な事をしなかっただけマシだったと思います。

『根暗なストーカーから、とんでもないエロガキという印象に変わったでしょうか?それとも、根暗なストーカーに、エロガキが追加されてしまったでしょうか?フッフフ、大人になった私から見ても、とんでもない行動力です。ある意味、尊敬したいような、したくないようなそんな気持ちになります。そうですね。一度でも思いついてしまうと、私はその行動をやってみたいという衝動を抑える事が出来ない性格でした。そして、それを可能にする為の手段を考える時間は、家に帰れば沢山ありました。もしも、父親と母親が離婚しなければ、もしも、父親が養育費を少しでも払っていれば、もっと違った子供時代になったかもしれません。私がこうなってしまったのは全て』

 コホン!やれやれ、人の所為にしても意味はありませんね。スタート地点はどうやっても家庭によって差があります。恵まれた家庭環境ならば幸せになれるとは限りません。貧乏でも本人の努力次第で幸せになる事も可能です。それでも、思わずにはいられません。私が不幸なのは、母親や弟、そして、養育費を払わない父親の所為だと思わずにはいられないのです。貧乏というだけで着る服や持ち物は誰かの貰い物になります。お年玉もお小遣いもまともに貰った事がありません。母親からお小遣いを貰った事はどんなに思い出そうとしても、1、2回。それも合計で1万円以下だったと思います。私が自由にお金を使えるのはお正月のお年玉ぐらいでした。千円を1年間でどのように使うか考える方が難しいものでした。


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